いちご100%#12

「愚かな日々は終わらないの巻」

(A)東城がコンクール出品用の映画のための書き上げた脚本は素晴らしい出来.しかしその主役となる少女は,さつきには合わない.ヒロインを演じることにこだわるさつきは脇に回って欲しいという真中の言葉に抵抗.けれど真中の頭のなかにいるヒロインは,明るくて謎めいて,そして華奢で….

(B)優れた東城の脚本だがヒロイン役は未だに見つからず,これでは映画が撮れないと,ついに外村が東城の脚本を変えようと言い出した.それを聞いてしまった東城は傷ついて逃げ出してしまう.行方を捜す真中が東城を見つけたのは学校の屋上.中学3年のあのときのように,2人は再び屋上で出会う.

この3ヶ月,美少女アニメとしてはあまりに品質が足りず,かつコメディ味が過剰すぎるという微妙な品質を維持しきってしまった「いちご」.原作はもっと画が美しいんですけども,この頭が悪くて死にそうな物語そのものはあんまり大差ないんだよな(笑).まともなアニメのテンポで描いてしまうとどうしてもボロが出てしまうということで,勢いだけで押し切ろうとした作り手の計略に乗せられたままにたどりついてしまったのがこの最終回.もう面白いくらい全然完結してないんだけど…「いちご」だから仕方がないか(苦笑)!

前半はヒロインは誰だ? わざわざ映像部があるからと狙ってこの高校に来たはずなのに,ここまでの物語でまともな映像を撮っていた時間が極小の真中.たぶんパンツ撮ってた時間のほうが長いですよこいつ.しかし今年度は心を入れ替えて頑張ろうとする真中たちに与えられる素晴らしい東城の脚本! 上手く撮りきることさえできれば,コンクールに出品するには十分な出来のはず.しかしそのヒロイン像はさつきには致命的に似合わない…真中と同じクラス,物理的には最も近いさつきに対する容赦なしの攻撃か?
なんせ真中は夜中まで絵コンテを書き続ける生粋の映画バカ.合わない役柄を無理に演じたがる女優のことはうとましく思うはず.そこまで見越した東城の恐ろしい罠に思った通りにひっかかっていくさつきが哀れでなりません.…唯は最終回なんだから脱いじゃえばいいのに.
真中の絵コンテの少女は短髪で華奢,それに比べるとさつきの髪は長く,ボディも見事なダイナマイトぶり.脇役の幼馴染を推薦するものの,その言葉を豊かな胸で押しつぶすように,2人きりの部室で迫るさつき! 所用あって誰も来ないはずの部室.真中を窓際に追い詰めて,クライマックスのリハーサルをねだります.窓と自分の胸の間に監督を挟み,サイドは腕でブロックして告白のシーンを,濃厚なアドリブつきで…天が彼女に与えた最高の武器はその体,これを十二分に生かしてキスをねだるわけですが,映画バカの真中はそれを押しのけてしまいます.ああ,なんて勿体無い!
己の求めるヒロインの座も真中の愛も手に入れられず苛立つさつき.しかし真中の頭の中のヒロインは,明るくて謎めいていて華奢で…その少女の正体に気がつきはじめた真中.さつきはヒロイン不適格ということだけは確認できた夕方のミーティングは,外村妹の来訪のおかげで完全に終了.「監督なんだから言いたいことは言え」と後輩に説教を受ける情けない真中.こいつがもうちょっとしっかりして自分を持っていたなら,こんな話にはならなかったんだろうなぁ.
外村妹の言葉は真中を責めるものであり,かつ,真中が言いたいことをさつきに伝えるためのもの.さつきだって,真中がダメ人間であることも自分がヒロインには合わないことも当然理解しているのでしょう.それでも真中の一番側にいたいから,ここまで食い下がった意地を自嘲するかのようなさつきの笑顔が切ない.
帰り際,下駄箱の側で東城に会った真中.新しいアイデアを話したい東城に対し,真中ときたら自分のふがいなさに関する愚痴全開.確かにこんな監督じゃろくな映画が出来るわけもない.で,自己嫌悪に陥るバカをわざわざ救いに向かう東城も実に見事な負けっぷり.外村妹に酷評された昨年映画に対し「泣いちゃった」とカミングアウトする東城.真中の心を救いたいという気持ちはわかるんだけど,涙の爆安売りは君自身の価値を下げるぞ?
そして,外村妹にもらった映画のタダ券で一人映画を鑑賞し,忘我の涙を流す真中.その素直さや才能はまあどうでもいいとして(笑)重要なのはこの映画館の立地.帰り道に通りがかった真裏のケーキ屋には,別れたはずの西野の姿が! 己の努力家ぶりを示すことにより,それができない真中との差の大きさを見せつける彼女.いくら同じ映画で泣いたとしても,人間の出来が違いすぎ.コンプレックスを抱えたまま,雨の下に出ていかなければならない真中.「完成したら見せてね! 楽しみにしてる!」と言って離れる西野に応える術を,真中は未だに見つけることができないままです.

…まるで幻覚のようなDVD予告3連発が間に挟まっております.今年の冬販売なんですね.1つ目と3つ目の映像は同じだけど,2つ目は違うことに皆は気がついたかな?

後半はヒロインは君だ! 結局ヒロインは見つからないまま,部室では暫定ヒロインさつきが必死に練習中.映画に対する思い入れのない小宮山は誉めてますが,監督の真中は煮え切らないまま.さつきにはやはり幼馴染をやってほしいという真中のオーダー.でも,ヒロインが決まったわけではないからややこしい.せめてこの段階で候補が決まっていれば,この先の中荒れ程度の展開はなかったはずです.
いつもは真中がぶっちぎりのバカであり悪人であるわけですが,一応最終回の今回は,その真中を越える配慮なしが出現することで相対的に真中をマシに見えるようにしているんだろうけど…いいのかそんなんで(苦笑)? その配慮なしの外村が言い出したのは,映画にしにくい東城の脚本の否定.確かに現在のスタッフではこの脚本を実現するのは難しいんでしょうが,だからといって東城の脚本を否定できるわけがない.脚本は映像作品を支える骨.それをおろそかにしたばっかりに目もあてられない情けない作品になった例は実に多く,例えば…まあ,今書いてる奴のようなことになるわけです(笑).まさか己の技を否定してくる奴が出てくるとは思っていなかった東城はショックで逃走.映像部の連中は東城が傷ついたことに気がついて,あわてて探しに出ます.
もちろん東城がいるのはお約束の屋上.出会いによって場所を刷り込まれていた真中もほどなく登場し,東城のあられもないフライングボディアタックからはじまる,東城綾的な最終回.いちごパンツを堂々と見せ付けた彼女が語るのは中3の出会いの頃のこと.真中しか覚えていないと思われたあの出会いを抜かりなく覚えていた東城.中学3年のあのときも可愛かったけれど,高校2年の今はもっと可愛くなって,ドジでも才能に溢れ,真中と同じように映画がとても好きな東城は,じりじりと真中の心の近くまで接近していたのでありました.自分のふがいなさを責める東城に,絶対に東城は悪くないと答える真中.実際監督さえもっとしっかりしていればこんなことにはならないんだから,全部真中が悪いのです,
「俺は東城の書いたストーリーが好きだ!」と肩を掴んで宣言する真中.東城の実力を最も認めているがゆえの熱弁なんですが,恐らく東城が一番言われたいのは「のストーリー」を抜いた奴ではないかと.あまりに映画に近すぎる東城の場合,映画バカの真中の頭をいかに映画から遠ざけるかが肝要.ゆえに真中の肩に抱きつく東城! 可憐に接近戦を挑みます!
あの中学での出会いを,運命だって思っちゃダメ?と尋ねる可愛い東城.中学の時も高校になっても,2人の間に映画があることには変わりがない.台詞を東城が書き,光景を真中が描く.2人のコンビではじめて実現できる世界を持つという運命の相手….接近して心を一つにすれば,もはや映画よりも唇に気が行くのは当たり前.キスしようとしたら…やっぱり神の手によって水を差されましたとさ(笑).

東城の機嫌も直ったということで残る問題はヒロインのみ.外村妹が大推薦するのは,真中がどうしても避けたかった西野(笑).焦る真中の滝のような汗の描写がいい感じだ.自分の別れた彼女を再び目前にしてしまった真中.しかし外村妹に言われ,実際にその笑顔を目にすることによって思い浮かぶ,東城脚本のヒロインの姿.その衝撃によって羞恥回路がぶっ壊れたらしく(笑)真中は西野に真正面から,「俺たちの映画に出て欲しい」と依頼.これに西野はOKして,ようやく映画の撮影が開始されます!
…どこがどう最終回なんだかよくわからない終わり方ではありますが,何分「いちご」なんでこの程度なら笑って許せてしまう自分が嫌だ(苦笑).最後まで東城の前に立ちふさがった西野に対し,ついには脚本で西野をアテ書きすることにより,同じフィールドに最大の敵を呼び込んだ東城の豪気ぶりが素晴らしい! 己の実力を信じ,血で血を洗う過激なバトルがあのあともきっと続いていくに違いない.変な湿っぽさだけは絶対に似合わない種類のラブコメを,少ないリソースをやりくりしてそれなりに仕上げたところは良かったんじゃないかと微妙にフォローしつつ,この作品の感想を終わりたいと思います.それなりに楽しかったです!

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いちご100%#11

「不在でも影は色濃くの巻」

(A)高校2年の新学期.クラス替えなど交えつつ,真中の高校生活は2年目に突入する.今年は東城とは同じクラスになれなかったが,映像部はもちろん一緒だ.映画を撮ることに気合の入った真中が部室で待ちほうけしていると,入部希望の新入生が入ってきた.彼女は映画館で真中と喧嘩した口は悪いが目は確かな女.制作を希望する彼女だが,真中はそのカメラ映りの良さに惚れこんでしまう.

(B)さつきの誕生日にプレゼントを渡し,泣いて喜ばれた真中.さつきは真中のことが好きなのに,真中は未だに一人に決めることができない.気持ちに応えられないならと,自分の誕生日にはさつきのプレゼントを受け取りを拒否する真中.一生懸命選んだ努力をないがしろにする真中をさつきは平手打ちし,早退してしまう.

学年が上がり事態もより深刻なものになることを期待されるものの,なんせ出てくる奴らが常人離れした感覚の持ち主なのでこのまま妙な展開がきっと続くに違いない「いちご」.西野のリタイヤにより安泰かと思われた東城王国.しかしチョコとともに不死鳥のごとく蘇った高値の花・西野の一撃が王国を崩壊させてしまいます.さすがは元女王,神出鬼没の攻撃が素晴らしい! 遠距離中心ではあるものの接近戦も可能な西野の距離感覚に比べると,中距離を保ち続ける東城や接近戦しかできないさつきはやはり一歩劣るわけです.特に今回後半は,西野不在でありながらもその影が彼らにもたらす効果が面白い.

前半は新キャラ本格参入.同じ屋根の下に年下の可愛い幼馴染が転がり込んだだけではなく,同じ部屋で同じ布団で寝ている真中は即刻腹を切るべきです(笑).これがこれから毎日続くのか….下着を着てればいいってもんじゃないよ唯ちゃん!
恋愛に関しては退学相当の真中でも,学校では進級し高校2年に.クラス換えでは大草8組,真中・さつき・外村・小宮山が4組,そしてここまで良い保ってきた東城は6組と離れてしまいます.それほど強いアプローチができない東城にとっては,部活は一緒でもクラスが別というのはかなり厳しい.そんなクラス差を埋めるべく,スカートもひらひらと「遊びに来てね」と悪意なさげに笑う東城.そしてそれを受け入れてしまう真中.…真中には,一人を選ぶ気はまったくないようです!
今日は始業式.だから放課後に部活をやる気満々なのはやはり真中のみ.見事な空回りを見せる部室の真中の前に現れたのは,見覚えのある新入生.堅い表情,尖った印象のクールな美形こと映画館の辛口ポップコーン女再び参上! 彼女の真中に対する態度はうれしいくらいに投げやり.「尊敬できる人間にしかへこへこしない」という素晴らしい信条をお持ちの彼女は,下級生だろうと部活の先輩だろうとまったく容赦なし.よほど真中が尊敬できなかったのか,真中の映画も笑ってけなす気持ちよさ.普通なら批評家が監督にする態度ではないと思うんですが,真中相手なら許す.もっとやれ(笑)! 稚拙極まりない真中の映画は批判するものの,脚本の東城と出演者は評価する彼女は,ここまで言っておいて入部希望という見事な面の皮の持ち主.
制作希望の彼女に対し,真中は女優としての才能を認めます.「女優のほうが向いている」ってのはこれまでの女の子には効果的な口説き文句だと思うんですが,彼女みたいなタイプは(うれしいと思っても)すんなり認めることはまずないはず.それを見誤って無理に女優を勧める真中はやっぱりバカですが,例え相手に対しどんな感情的なしこりがあろうとも認めるべきところを認めるあたりだけはいいところ…かな? けれどカメラの置き場が悪く,スカートの下を狙ったと激しくご立腹の彼女は椅子振り上げて爆走.女の子としてはなかなかの力持ちさんです(笑).この力持ちの名は外村美鈴.あの変態・外村の妹! 一応盗撮疑惑は濡れ衣ではあったものの,椅子アタックをくらったあとにアオリでしっかり下から撮影していたから,もう有罪でいいや(笑).
外村妹はハリネズミのごとく,近寄る奴は上級生でも容赦なし.その可愛げのなさと暴力ぶりに,東城もさつきもびっくり.この妹の偉そうなところを可愛いと評価する変態兄の尻目に,気合の入った異分子らしく「この部はたるんでいる」と実にもっともで偉そうな指摘をぶつけてくる外村妹! それに抵抗したのは,生まれつき真中以外には偉いさつき.で,はじまる映像部頂上決戦.兄すら病気扱いする冷静な判断力できりきりと攻める外村妹と,でかい体と迫力と感情の爆発で押し切るさつきは見事に拮抗.女の子が女の子にビンタを張るなんて,うわぁなんてマニアックな(苦笑)!
デンジャラス新入生とさつきのパンツ丸出しの制服キャットファイト.たぶんドキュメンタリーとして録画すると,特殊な趣味の人に売れるんじゃないかなぁ.例えば外村兄とか(笑).真中がとりなしに間に入るものの,案の定挟まれて最後には変なプレイに.…お前らもう全員バカだ!
そんなわけでハネッ返りの新入部員も増えた映像部.真中は見事に新学期スタートに失敗してめでたしめでたし.気になる西野の高値の花ぶりを唯に聞かされて,己と彼女との間にある越えられない差を実感するしかないのです.

後半はさつきの魅力満載なのに! どうせ一人に決められないなら気を持たせるような真似をしなきゃいいのに,さつきのバイト先にまで出向いて誕生日プレゼントを渡す真中.責任取れないなら形に残るようなものをやっちゃだめだろ真中.…ほら,さつきったら泣いて喜んでるじゃないかよ.夕焼けの中,うれしさに輝くさつきが実に気の毒でなりません.2人きりの写真撮影会だって,B級アイドル以上の大サービスで真中を引き付けようと全力.「だって挑発してるんだもん!」ってわざとらしさすらいとおしい.
主要ヒロイン3人の中では最も遅れた登場で,その時点で生まれた1年という時間の差を体当たりのスキンシップで埋めてきた彼女.そんな必死の頑張りを毎日のように繰り返しても,真中は未だに答えてくれない.…辛くなるほど,真中が大好きなさつき.2人の写真も真中の頬からキスを盗んで大喜び! 来週の真中の誕生日も「期待してて,いいからね」と笑顔で本気.その気合に応える根性のないヘタレ,真中が苦しむのは自業自得以外の何物でもないはずなのに…このバカは,その苦しみを女の子を拒絶することで断ち切ろうとするんだから最悪です.
5月10日.真中は憂鬱な17歳となり,大幅に間違った決心で女の子たちに対処することからはじまる悲劇.髪を下ろしたさつきが一杯の笑顔とともにプレゼントを渡すのに,真中はそれをおことわり.さつきが何件もハシゴして選んでくれた真心の品に対し,「気持ちだけでいいよ」と拒否する真中! もしそうするなら別れてしまえばいいのに,好きだけど当日になってもらえないと言われてもさつきだって困るわけで…ついにはさつきが真中をビンタ! さらに「大ッ嫌い!」と逃走! 今回のさつきもなかなかにパワフル.いつも以上に必死で尽くす彼女の気持ちを真中は全然理解できていない.そんな理解力じゃ,たぶんいい映画なんて撮れねえぞ!
真中がどうするべきだったのか,横で見ている外村兄のほうがずっとよく見えてます.ついでに真中の頭の中まで「全員離したくないくせに」と見事に見抜く鋭さがさすが変態.あまりの変人ぶりにかすんでますが,さすがは外村兄妹ってところだろうか.もちろん真中が東城のことを考えたことだってお見通しっていうか真中が単細胞すぎ?
真中並みに単純にできているのが東城.予想通りに渡しにくるあたり,もうちょっとひねってほしいくらいですが(苦笑).これも真中は一応拒否.しかしさすが中距離の鬼である東城は突き放されても踏みとどまり,真中がそうふるまう理由の一端を,「西野…さん?」と見事に貫いてみせます.真中が西野に変な未練を抱いていることをあっさり見通し,その上でそれでいいと甘やかす東城,厳しい一撃を受けても耐え切って,柔らかく包んで押し返すその持久力が素晴らしい! さらに「私は祝いたいだけ」と色気のないプレゼントを押し付けて退場.場にいなくても影響力を行使できる西野ほどの凄さはないですが,真中扱いは明らかにさつきよりも上です.

己の過ちに気がついた愚か者はあわててさつきのところへ.早退してもバイトには行った勤労精神溢れるさつきに謝罪して,プレゼントを受け取りたいと申し出ます.惚れた弱みってのは本当に弱いようで,どれだけ真中がバカでも受け入れるさつきは甘く,ついに手渡されたプレゼントは…天狗の面の描かれたパンツ! 「大事に…履いてね」って誘惑の方向性がさすがにおかしいよ(笑)! 前半では触られて後半ではプレゼントされて,進級した効果は全部アダルトな方向に現れるのですか(苦笑)?
そして,自分の前に立ちはだかる高すぎる壁を思って憂う屋上の東城.いくら真中と同じ学校に通っていても,クラスが変わって影響力を減らされた上に,存在しないはずなのに強い影響を及ぼす西野もいる.このままでは勝てないと,自分の弱さを強く感じているに違いない.どうすれば,初代チャンピオン西野の影を打ち消す光となれるのか….次回に続きます.

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いちご100%#10

「趣味も思惑も人それぞれにの巻」

(A)明日はホワイトデー.真中は唯とともにお返しを買いに出かける.東城とさつきにあげる分を買って帰る途中で,2人は西野に出会った.真中がさつきからもらったと思っていたチョコは実は西野のもの.それを知った真中はあわてて西野を追いかける.

(B)今日は東城と一緒に映画を見に行く真中.遅刻したり黒川先生のバーゲンの手伝いをしたりとアクシデントはあったものの,無事に2人で映画を見ることに成功する.ファンタジー映画に涙し満足する2人なのだが,隣に座った少女の歯に衣着せぬ評価に対して真中は怒る.単なる悪口ではなく,否定できない部分もあるのが辛いのだ.

猛スピードで流れる季節の中で,美少女とヘタレの珍妙な物語が微妙な音楽とともに展開される「いちご」.たった10話で劇中では2年目も終了間近って,学園ものとしてはまさに驚異的なスピードではないかと(苦笑).このスピード感があるからこそ,相当アレな物語も勢いだけで見通すことができるわけです.当事者の主観ではそうではないと思うんですが,思い返せば青春というものは喜びも悲しみもあくまで一瞬の物語.つうかイベント途中の時間に耐えられない自分のような人間にとっては,最適な恋愛ものではないかと思います.いや,もちろん見ている間中,ずっと腹を立てたり混乱したりはしてるんですけども(笑).

前半は前回の甘かったチョコの内側にあったもの.あれだけいろいろあって分かれたはずの唯なんですが,その余韻をまさに台無しにするほど頻繁に真中家に参上中.しかも高校受験も合格した上に,真中家から通うことになった…というわけで,再び西野に通じるルートが生まれたのでありました.しかしそれ以上に問題なのは唯の同居.小さくて可愛くて勝気で弱いところもあって,幼馴染の妹的存在で気を抜くと布団の中に入ってきて寝ている最中は服を脱ぐというこのフルスペックぶりだと普通は耐えられないはずだけど,真中だから耐えてしまうんだろうなぁ(苦笑).
明日はホワイトデー.唯と一緒にチョコのお返しを買いに行く真中.ここでお返しを2種類選ぶ真中は,片方を本命用として選択.前回の展開を見ればこの本命の熊さんの奴はもちろん東城に与えられるべきものであり,同時に物語の幕を閉じるための合図.唯は真中の失恋記念日を期待しているわけですが,真中と東城の組み合わせに関してはそれがありえないってのが腹が立つわけです(苦笑).しかしこの場面で登場した西野が,磐石の東城王国を揺るがすことになります.
店からの帰りに,偶然西野と逢ってしまった真中と唯.真中が西野にふられて3ヶ月.その割に西野は真中に驚くほど馴れ馴れしく接近.てっきりもう脈なしと思っていた彼女にこんな対応をされたなら,真中でなくても動揺すること請け合いです.その上,西野が去ったあとでついに前回彼女が仕込んだ爆弾が破裂! 玄関の前に置いてあった手作りチョコは西野のもの! 驚愕の事実が判明したことにより,自分が西野とさつきの思いを受け止めていなかったことを知った真中は,まずはあわてて西野を追いかけます.
必死で追いかけ,自分がバカ食いして鼻血を出したチョコレートの礼を言うことにだけは成功する真中.それに対し,真中がついさっき西野のチョコだと気がついたことすら理解していて,しかも怒らない西野.…真中のことが好きだというその趣味を除き,最高に可愛い完璧超人ぶりを如何なく発揮する西野さん.攻撃能力もまた素晴らしく,待っても追ってもだめだと気がついている彼女がとったのは2段階の作戦.真中のお返しに関しては毅然として拒否し,もう真中なんか眼中にないんだと言わんばかりの態度で拒否.むしろ「感謝のつもり」とか「レベルアップできた」とか,いかに彼をを踏み台にして自分が素晴らしくなったのかを強調.確かに言葉どおりに西野さんは素晴らしい美少女であるわけですが,…本当の仕掛けはここから先だ!
車に轢かれそうになる真中を体で救う西野.他に誰もいなくなった路地で2人きりで接触し,そのことにどきどきしている2人…ここで西野が一緒にどきどき! 口ではああ言っていたわけですが内心は真中を拒否してない! もはや手に入らないはずの高値の花が実は手に届く場所に未だにあるという魅惑の事実に翻弄されるバカ真中.磐石であったはずの東城王国は,たった一度の邂逅によって砂の城のように崩れ去りました.
翌日,真中は東城とさつきにコンビニで購入した同じお返しを提供.泣くほど喜ぶ東城と,こちらも大喜びするさつき….特にさつきは,実際は彼女の作ったチョコを真中が食べていないことを知らないのに喜んでいるのが切ない.真中においしいと言ってもらえたと喜んでいても,それは本来全て西野に対して向けられるべき言葉….ゴミ箱を今更あさったってさつきのチョコの味がもはや戻るわけもなく,少なくとも女の子たちの愛情を受け入れる価値すらないこのへタレは,己の罪を悔やんで一人きり.

後半.…確か前半ラストで真中には美少女から愛情を受ける価値がないことは確定したはずなんですが,その直後に東城さんと映画デートに出かけるってのは一体どういうつもりだ真中(苦笑)! しかも楽しそうな淫夢を見ているわ,可愛い唯に起こされるわとこの世の天国のよう.神様,はやくこのバカにバチを当ててください.
いきなり遅刻する真中とは出来が違い,映画デートに遅れず待っている可愛い東城.見たい映画まで時間があるということで,それまでの時間つぶしを捜そうとしたら逆に黒川先生に発見され,強制的に任務を与えられる2人.…ドラッグストアでタイムサービスのトイレットペーパーを1時間かかって買え! いい雰囲気を見事に台無しにする,黒川先生の迷惑ぶりが素晴らしい(笑).ぼろぼろになりつつもミッションを果した2人は早々に離脱,肝心の映画へ.
気の合う人たちと同じものを見るというのは結構な楽しみ.同じ空間の中でよく似た思いを共有する面白さやうれしさというのは,映画館や劇場のような,たくさんの人と同じものを鑑賞する良さの1つでしょう.ましてやその思いを共有できるのが自分の好きな女の子だとしたら,これほどの娯楽はそうはない.…しかし!映画終了後に真中の横に座っていた女が映画に対する毒舌を全開だ(笑)! まあ,金払って見た以上悪口も評価の1つだから否定はしないんだけども,これはレストランの中で出てきた料理に店内で文句をつけるようなもんなので,外でやれ(苦笑).
率直な少女の言葉に怒る真中.作り手を目指すゆえにスタッフの苦労を考えろと文句をつけるわけですが,それは見る側が気にしちゃいけない(笑).あくまで擁護に回り必死にフォローする真中と,それをズバっと否定する女.同意できる部分もあるのでついつい引き込まれている真中が間抜けです.…確かに彼女の趣味ではなかったのかもしれないが,わざわざこき下ろしているのが若さゆえの愛らしさって感じだ.本当に嫌なら黙殺のほうがずっと効くもんな.でも真中,議論が楽しいのはわかるが東城さんを放っておくのはやっぱりまずいぞ(苦笑).
減点方式で映画を見る女と,加点方式で映画を見る真中.快の感情を感じられるかどうかだけで映画を評価する真中も,他人がなぜ快を感じるかを追求しない女もどっちもどっち.批評じゃない.けれどヘタレの真中が他人の口で勝つことなんて夢のまた夢で,映画そのものだけでなく東城とのデートの楽しさに溺れていることも間違いないから,なお悔しい….
ハンバーガーショップで一息つくことになった真中と東城.映画という趣味だけは共通しているものの,その他については差のありすぎるこの2人.カラオケに関してやたらと拒否する様子がかわいいよ東城(笑).テレビもろくに見ていない東城と本すらまともに読んでない真中は,そもそも同じ世界に生きてない.…だからこそ2人を繋ぐ映画は大切.東城自身は,映画そのものに対する評価ではなく,自分が受けた率直な印象について語ります.他の人がどう言おうと,自分の中でアリならその映画はアリというのが無垢な視聴者としての東城のスタンス.これもまたもっともな意見なんですが…「他人の意見で自分の意見をねじ曲げちゃだめ」という方向に,真中の意見が東城の意見によってねじ曲げられているように見えるのは,何かの冗談ですか(笑)?

あまりに違う2人を繋ぐのは映画だけ.映画への憧れがそのまま東城の魅力に加えられているのはご存知のとおり.しかし真中は本屋で無理に本を買い,映画抜きで東城にもっと近づく努力をしてみます.それは趣味外で互いに近づこうとする第一歩…とはいえ,東城さんは映画がなくてもそのドジッ子ぶりとエロスだけで相当の強者であるわけですが(苦笑).映画館で論争となった女が外村の妹というオチがついて今回は終了.前半では西野,後半では東城が真中の中でさらに存在価値を増したわけですが,それでは残るさつきはどうなる? 必死に頑張っても空回りし続けるのがとても愛しい彼女の涙の笑顔の理由を知りたいと思いつつ,次回に続きます!

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いちご100%#9

「表面だけは素敵に甘くての巻」

(A)バレンタインも近いある日.真中は相変わらずのどっちつかずで今日はさつきの買い物を手伝っていた.その途中で出会ったのは東城.なぜかさつきは真中と一緒にデートしているのだと東城に言って逃げ出す.あわてて追いかけた真中はさつきに抱きつかれるのだが,その思いに応える腕を彼は持っていない.

(B)真中のことを大嫌いだと言ってしまった上に,チョコレートも渡せなかったさつき.しかしなぜか真中は「ありがとう」とさつきに礼を言う.実は勘違いしているのだが,仲直りできたことのほうがうれしくてさつきも勝手に納得.そしてチョコをくれた東城もまた,自作の小説とともに真中に急接近.バレンタインを期に真中とさらに親しくなっていく.

とりあえず真中が全部悪いという真実でおなじみの「いちご」.そもそも奴はただの勝敗判定機なのでまともな人格を求めるほうが間違っているという説もありますが,感情移入すらしたくない男にここまで惚れる娘さんたちは一体どこに頭をぶつけたんでしょうか(笑)? あるいは真中からモテフェロモンでも出ているのか? 東西南北の皆さんが全員変人という回答は恐らく真実に限りなく近いと思うんですがせつないので(苦笑)ここはフェロモン説を主張してみたいと思います.今回はさつきがかなり頑張るもののいいところは全部東城に持っていかれるのが悲しい.いいなぁ,真中のモテフェロモン….

前半.冒頭からバレンタインデーを前にして机の掃除に励む小宮山の道化ぶりが悲しい.もちろんぶっちゃけ無駄.この悲しい目を真中にも味あわせてやりたくてたまらないのですが!そうはならないこの物語の構造が辛い.なんせ西野にふられたとはいえ,真中には東城とさつきがまだ残っているわけです.その上両方とも同じくらい好きって,…こいつこそ即刻腹を切るべきだと思います!
そんな最悪の男真中と一緒に買い物しているさつき.好きになったときは「真中の気持ちはどうでもいい」と言い切っていたけれど,実際そんな都合のいい女の子がいるわけもなく.格上の東城を前にして戦闘モード全開! デートしていたと言い張ってみます.およそ1年のビハインドと仲が良すぎて友達に留まってしまう己のふがいなさゆえにかけた特攻なんですが,直後に「デートなんかしていない」と当の真中に完全否定されるのが厳しい.この段階で明らかに2人の間では勝敗はついているわけですよ.ところがここでさらに話をややこしくするのが真中の才能.もう勝敗は決まってるんだから,そのまま東城のところにいろよ.さつきの後を追ったりするなよ!
バカの追走に一応感謝の言葉を返すさつき.けれど既にあの場の勝敗は決していて,今更フォローされても覆りはしない.「東城さんのどこが好き? あたしのほうがくだらない話もできるし,一緒にいて楽しい」…それこそがさつきが東城に劣るところだとわかっていて,それでも抱きつくさつき.…親しすぎるから飢餓感が煽られない.真中の側から欲しがってはもらえない.だから真中は抱きしめ返してくれない.ついに「大嫌い」と口にしてしまうさつき.強がっているけれど独占欲だってちゃんとある彼女は,真中と自分自身を呪いつつ走り去ります.取り残され,このままでは西野の轍を踏むと後悔する真中.そうですよお前が一人に決めさえすればこんなややこしいことにはならないんだよ! 「抱きしめ返したらもっと傷つける」って思うなら最初から後を追うな! 翌日からはさすがにさつきとの仲もギスギスになって数日経過.さつきが後悔しているのは例のフェロモンのせいだろう(苦笑).
そしてはじまるバレンタイン.チョコが舞い飛ぶ学校では大草が大人気なのに対し小宮山と真中には何も当たらず.小宮山がちょっと気の毒.さすがにさつきはくれないだろうと真中も諦めてるんですが,なんとさつき,仲直りを狙って準備しておりました(苦笑).拒否することで真中の飢餓感を適度に煽ったところで,チョコを与えて許すことでさらに自分に惚れさせるというスタンダードな戦略です.しかし,これをいち早く妨害するのが東城! さつきに拒否されたままの孤独な真中の心に,東城のチョコが染み入ってしまいます.その上あげる理由についても愛でも恋でもなく「感謝の気持ち」と謙虚.ただ攻め込むのではなく肝心なところではすっと引いて真中を誘い込む,その抜群の攻めぶりを見てしまったがゆえにさつきは戦意を喪失し,チョコをゴミ箱に捨てて退場.
バレンタイン戦線では東城が圧倒的な勝利を収める…はずが,消えたはずの第3勢力がなぜか復活して事態をややこしくしてくれます.真中に別れを告げたはずの西野が,チョコを真中の家の前に置いていった! …この大番狂わせはもちろん真中の予想の範囲を遥かに超え,さつきがくれたものだと一方的に誤解.しかし,これは誤解しても仕方がないでしょう.さすが真中なんかを好きなだけのことはあり,西野さんの思考が読めません(苦笑)! 入試で来ていた唯の前でチョコをかっこんで鼻血を出す真中.…お前,今いくつですか?

後半は真中が出さなくていい勇気を出す.翌日の学校.結局チョコを渡せなかったさつきは仲直りのタイミングを失って困惑.真中依存症気味のさつきにとっては非常に辛いこの状況.もうしばらくこの状況が続いたなら,きっと依存症も治ったに違いないんですが….真中はいきなり「ありがとう」とさつきに感謝! さつきがチョコを捨て,西野が家の前に置いていったことで微妙に食い違いながらも話が噛みあってしまい,さつきも自分が捨てたのを真中が食べたのだと誤解…真中ならゴミ箱の口に押し込まれたものも拾って食うことはあり得そうだからなぁ(笑).もちろんあの西野さんのチョコなので微妙に話は食い違ってるんですが,そこは都合よくさつきも誤解しております.2人はしなくていい仲直りをしてしまうわけですが,肝心のさつきのチョコは一体どこに行ってしまったんだろう?
そしてバレンタインの本来の勝者である東城もさらに行動開始.奥手というキャラクターゆえに接近戦には劣る東城さんですが,小説の続きをダシにして初心な感じに迫ります! 放課後,夕方の光の差し込む部室で2人きり…いかにも止めを刺されそうな状況に迷わず踏み込む真中.どう見たって東城のことが一番好きですよお前は(苦笑).小説の中には2人のヒロイン.お姫様(=西野)と機織りの少女(=東城),さてヒーローはどっちを選ぶ?…ってナチュラルにさつきさんの存在を無視しているあたりが怖い(笑).東城にとっての仮想敵はやはり未だに西野.中学時代に彼女の強さを見せつけられてますからね.
そう.東城の現在の優位は西野の不在と真中の夢あってのこと.どちらかでも欠ければこの優位は崩れると知っているから,より自身の地位を高める工夫が必要です.真中の「もう少し話していかない?」という言葉はまさに渡りに船.真中にもっともっと近づくためにノートを落とし,それに誘われた真中は手を,手首を,そして全身を己の腕の中へ! この状況で「東城が好きって言ってくれたら」と自分のどっちつかずを他人のせいにする真中の根性は本当に最悪(笑).…怖くなりながらも抱きしめるこのシーン,なんでこんな荘厳な音楽なんでしょうか(苦笑).曲選んだ奴はバカで最高です.

出会ったときから東城を抱きしめたかった真中.普通の作品ならここで決着がつくんですけども,この作品はそれほど単純にはいきません.東城自身はずっと真中が好きでその気持ちを曲げる気配は微塵もないわけですが,真中には東城を選ぶと決める根性がないのが切ない(苦笑).さつきとは仲直りできて,東城とは抱き合うことができて大喜びの真中.その陰にある真実を知らない真中と周囲の東西北は,皆それなりに幸せ.
けれど今日の陰にあった重大な真実.それは真中がさつきのチョコだと思ったあれは,西野が置いたチョコだったということ.自分でふっておきながらなぜチョコなんか持ってきたのかその意図は全然わからないんですが,西野の復帰は東城に,チョコ間違いはさつきと西野に深刻なダメージをもたらすはず.この重要な真実を知るのは間に挟まる唯ただ一人.今はかき鍋で思考が吹っ飛んでますが(笑)いつ爆弾が破裂してもおかしくはありません.外側は甘いこのチョコの中身は一体何が詰まっているのか.さすがにもうちょっと作画も頑張ってほしいと思いつつ,次回に続きます.

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いちご100%#8

「小悪魔は恋の隙間で遊ぶの巻」

(A)正月.唯とともに初詣に出かけた真中は,その帰り道に東城に出会った.桜海学園を受験する唯は,賢い東城に真中家で勉強を習うことにする.去年の同じ時期は自分が東城に勉強を教わっていたことを懐かしく思う真中を蚊帳の外にして,唯と東城は2人で勉強.その会話の中で,東城は真中が彼女と別れたことを知る.

(B)真中家での東城と唯の個人授業も今日で最後.2人が勉強をやめて散歩しようと決めた最終日,真中だけでなく,小宮山や外村,さつきまでもが集合し,なぜか全員で公園でかくれんぼをすることになってしまう.偶然同じ場所に隠れてしまった真中は唯の成長ぶりに心を乱す.他の全員が見つかり残るは唯のみ.しかし狭い公園を1時間探し回っても見つからない上に,雪まで降ってくる.

実際原作からしてかなりとんでもない作品であり,そのとんでもなさを見事に生かしてアニメ化しているとしか言いようのない「いちご」.作品の個性は,他の作品を論じる際に「~のように」と比喩に使われるほどにならなければ確立したとは言えないはず.その点では平均以上の凄さを見せ付けている本作ですが,それが果たして望ましいことなのかどうかについては全然ちっちゃい話なので気にしないでおきましょう(笑).
今回は年下の唯が主役.真中争奪戦では東西南北の中では他の3人からかなり引き離された位置にいる彼女が,年齢不相応の稚気溢れる行動の合間にネタを仕込むというなかなかのテクニックを見せつけます.

前半は東城のコントぶりが…(笑).唯と一緒に初詣に出かけた真中.昨年末西野にふられたこともあり,神前で願うのは「前向きな恋ができますように」とか「皆に相応しい男になれますように」…もちろん神はこんな奴の願いなんか叶えるわけがない.で,神が正しいものを助けるはずなので,唯の合格のほうは大丈夫でしょう.帰り道に偶然出会った東城に対する挨拶が間違っていると年下の唯に鉄拳教育される真中が正月から不幸でよろしい.
東城と3人になった神社からの帰り道,桜海を受ける唯は今更ながら自分の受ける高校のレベルの高さに困っていて,それに対し東城は自分の去年の受験予想問題集をあげようかと提案.唯に対し便宜を計るのは現在最強の驕りなどではなく,真中の身近な人物を懐柔することによって真中からの評価を引き上げ,さらに学校以外の場所で真中の近くに接近するため.学校ではさすがにさつきが妨害してきますからね.そして東城の賢さについて太鼓判を押す真中.「受けたら絶対受かってたんだからな! 何で来たのか皆不思議なくらい!」…なんでそんなにエキサイトしてるんでしょうか(笑).受験のときは世話になったのは間違いないんだけどね.
兄的存在の真中があまりにも本気なので,唯は東城に勉強を教えてくれとお願い.しかも勉強場所は真中の家だ! 東城が家に来る.そのことにすっかり有頂天の真中.…こいつ,たぶん西野さんにふられたばかりだということを完璧に忘れてるんじゃないかと(苦笑).西野からの苦しみが東城からの喜びで打ち消されてしまうってことは,やはり序列の東城優位は揺るがないようです.
翌日,家庭教師のために真中家を訪問する東城.それを迎える真中…と思ったら唯に即座に轢かれております(笑).このあたり衝突音など妙に遊んでいて楽しい.良いムードの時に流れる例の歌も含め,この作品の魅力は音楽で割り増しされてますよね.本当は東城とちょっと話したかった真中ですが唯のために部屋には入れてもらえず,負け犬のように2階へと上がっていく様が小気味いい(笑).
ここを頑張ればより真中に近づけるというわけで,前日からばっちり仕込んできた東城は見事な教え上手の上に我慢強い.そんな東城に憧れる唯は,どうしてここまで出来る人が泉坂なんかにいるのかと質問.その理由として挙げてみた「好きな人のいる学校?」はもちろんビンゴ.しかもその相手はこの家の二階でごろごろしてるんだよ唯ちゃん(苦笑)! きっと両思いだからコクれと促す唯に対し,相手に彼女がいるとしおらしく引き下がってみせる東城.しかし,妄想をそのまま口に出してしまうほどにどうしようもなく口の軽い真中が語ってしまったに違いない最新情報が東城の三半規管を揺るがします!
真中が彼女と別れた…動揺して湯のみを落とし,こぼした茶を拭くものを取りに行こうと立ち上がった直後にずっこけて顔面をぶつけ,さらに小指の端をぶつける(笑)! まさにコントみたいな動揺コンボを示す東城.内心の動揺もあるものの,ここまでやれば誰だって東城が好きなのが誰かわかるので,唯は勉強の礼として休憩を提案.
唯が出かけて家の中には真中と登場の2人きり.それを知らない真中が2人がいるはずの部屋を覗くと,中では東城がひとりで寝ております.ここで戸を閉めて2階に戻ることも,寝ている東城を起こすこともしないあたりが真中らしさ(苦笑)! 寝ているのをいいことに寝顔を眺めたり,他人の鞄からノートを取り出すというコソ泥ぶりを発揮するのに,目覚めた東城さんは天然ゆえに怒らない(苦笑)….普通ならこっぴどく叱られても怒らないあたり,やっぱりこの2人お似合いなんでしょう.だってこんな男のために小説の続きを書いてくるわけですからね(苦笑)!
東城の小説がうれしくて,早速一緒に読み始める2人.もうこの時点で唯のことは頭の中から落ちてしまっていると思われます.2人きりなのに小悦に夢中の真中.こいつ,やっぱり女の子たちよりも夢のほうが大切で,東城の魅力には実は真中の夢が含まれ底上げされてる状態.東城単体の魅力で他の女の子を圧倒しているわけではないわけです.だからこそ頬を染めて,「変なこと,聞いてもいいかな?」と更なる攻撃を仕掛ける東城.…しかしここから先に展開すると終わってしまうので(笑)ちゃんと妨害が入りましたとさ.後で毎日10分くらい2人きりにされたってもはやあの好機は戻らず,日々は過ぎていきます.

後半は唯が直球でない魅力を発揮.本当に瞬く間に日々の過ぎる本作では,短いCMの間に家庭教師期間が終了して唯は明日帰ることに.折角だから今日は休みにしてお散歩しましょう…と東城が唯を連れ出したところ,なぜか泉坂の仲間が集合することに.外村や小宮山は初見ですが,さつきとはあのバーガーショップでの痴態でおなじみ(笑).「だってまたひどい目に遭わされる…」とビビる唯ですが,さつきはそんなねちねち引き摺るような子じゃないから安心しとけ.ここで高校生が5人,中学3年が1人でやることが「かくれんぼ」.唯のリクエストなので仕方ないですが,途中でエンジンがかかっても最初は呆れ半分ではじめるのが普通のところ,一人,最初からわくわくしているバカがいる…(苦笑).
隠れるとき,トイレの裏ではちあわせる唯と真中.あのサイズだとたぶん簡易トイレだろうから,かなり臭いそうな場所で密着している2人.そんな場所でシャンプーの匂いを嗅ぎ分けられる真中の鼻はどうかしていると思います.さらに密着したことで血迷う唯もどうだろう(苦笑).「純平は変わった」と真中が大人になったことをひとつずつ挙げ,「唯は変わった?」と至近距離で尋ねる唯.目の前で,小さくてすっぽりと包めそうな唯に言われたら,そりゃもう雰囲気に流されやすい真中には抗う術はなく…けれど,ここで近くでの発見の声によって過ちは起きずに済みました! 唯にはちょっと大人になった真中に憧れの気持ちがあるんじゃないかと思うんですが,彼女の輝かしい未来のことを考えると真中なんかに手を出すのはやめておくべきなので本当によかった….
そして,他の全員が見つかっても,途中で別の場所に隠れに行った唯だけが見つからずに焦る高校生たち.森が併設されていることもない,住宅街の中の結構狭い公園のはずなのに.唯ときたら1時間経っても見つからない場所にいるようです.しかも空からは雪が落ちてきて,このままでは寒さで凍えてしまいます…って雪が降るような暖かい場所なら,子どもじゃないんだから1時間程度じっとしていても凍えて動けなくなったりはしないんじゃないかと.むしろそこまで体力のない奴は,受験に耐えられないんじゃなかろうか(苦笑).
ルールを破らない唯は勝手に帰ることはなく,間違いなくここにいるはず,必死で探す一同の中で,真中が聞きつけたのが唯のくしゃみ.この寒い中,彼女は屋根の上にずっと隠れていたのでした.どうやら幼い頃からの取って置きの隠れ場所だったようでそれを残念がる素振りをみせる唯に対し,「…バカ!」と抱きしめる真中.たぶん遊んでいるうちに頭の中が小学生に戻ってしまったに違いない真中.中学生がちょっと雪かぶった程度でどうにかなるわけがないのに本気で心配して泣いている真中が間抜けです.この子どもっぽさに,東城やさつきはめろめろなんだから世の中というのはよくわからないものです.

翌日は真中だけでなく,唯を心配した皆も駅でお見送り.ごまかしながらも心配しているさつきが愛らしいなぁ.皆にいっそのこと泉坂に入れなどと言われて泣き出す唯.ちょっと年上のお兄ちゃんたちに遊んでもらえた上にここまで親身になってもらえたのが,本当に楽しかったようでよかった.けれど,真中いじりには定評のある唯は1つとんでもない地雷を仕掛けて帰っていきます(笑).…皆には大不評のあの約束が成立してしまったってことは,この先真中のベットの中から登場する唯がもう一度見られたりするんだろうか? …季節は巡りもうすぐ春.この先新しい出会いは待っているのだろうか.次回に続きます.

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いちご100%#7

「ことごとく期待を裏切る男の巻」

(A)もうすぐクリスマス.真中は自分の周囲の女の子たちにプレゼントしたいのだが金がない.そこでバーガーショップでアルバイトをすることに決めると,そこではさつきもアルバイトをしていた.学校でべたべたしてくる彼女とは違い,手際よく対応よくさらに美しいさつきは見事な店の看板ぶり.けれど,店に2人きりになった瞬間からいつもの猛攻がはじまった.

(B)クリスマスまでもうすぐ.店でプレゼントのためのバイトに励む真中のところに,西野がやってきた.試作したケーキの味見をして欲しいと頼まれた真中は西野の家へ.部屋でお手製のケーキを食べた真中に対し,西野は思わせぶりな行動を次々に取る.両親は十時を過ぎるまで帰ってこない.このまま雰囲気に流されたら何をしでかすかわからないと逃げ出す真中の背中に,西野がすがりついて言う.「流されたらどうなるか,知りたいの」

原作の強みと弱みをよく把握して,見せるべきところにのみ注力していくかわりにそれ以外の部分は全力で手を抜く!(笑)豪快な割り切りっぷりがたまらない「いちご」.萌えアニメとしては問題がありすぎなんですが,資金や時間に余裕のない深夜アニメとしては素晴らしいファイトぶりを見せているんじゃないかと! もちろんダメぶりが楽しい種類の作品なので,ツッコミどころは笑い涙が出るほどに多々あるんですが,それを勢いと雰囲気で無理に突破していく様子がさらに笑いを誘うという芸風の破壊力恐るべし.今回は前半が勢い,後半が雰囲気と見事に二極化.現在暫定トップの東城を追う2人の少女の攻めっぷりが見事です.

前半はいきなり冬に…時間経過が本当に速いアニメだ.クリスマスを前にプレゼントのことを考え始めた真中.それをあげる相手はやはり3人.こいつが「3人とも好き」という下衆であることが実に良くわかるシーンです.暇はあるけど金がない真中はアルバイトを決意するわけですが,同じ店にはさつきも在籍しているというわけで,もうベタベタのお約束のひどい奴が目の前に広がっていきます(笑).
己の領域にエサが迷い込んだということで上機嫌のさつき.教育係という絶好のポジションにつけながらも,まずはシフトの条件を口実に真中を遠ざけてじらします.で,他の競争相手がいないからこそできるさつきのじらしに見事にひっかかる真中はやっぱりバカ.手際がよくて対応も良い上に素敵なさつきはお客さんから大人気で,むしろハンバーガーよりもさつきを頼みたい客が多そうな気がするぞこの店(笑).それに比べて入ったばかりの真中は裏方で苦闘中.距離をおくことによって飢餓感をいい感じに煽ったところで,本当の攻めが炸裂だ!
さつきが狙っていたタイミングがついに到来.真中と店に2人きり,仕込みは終わり客も来ない…ということで,どきどきする真中にさつきが提案するのはレジ打ちの練習.ほぼ距離なしの学校での攻めとは異なり,1メートル以上を保ってきたバイト先の距離感をそのまま継承すると見せかけて,実際は真後ろに陣取って密着するというエロ授業(笑)! 至近距離での直接攻撃を得意とする彼女にしては珍しく距離を考えたこの攻めぶりに,真中は背中が気持ちよくてグロッキーに(苦笑)! もはや倒されるのは時間の問題かと思われたそのとき,思わぬ闖入者がさつきを妨害…唯だ! 東西南北の一人ではあるものの他の3人からはすっかり置いていかれた彼女は,迫るさつきを食い止めようとするんですけども,この先の結果を考えると逆効果だったんじゃないか(笑)?
妹的存在としてお兄ちゃんを取られるわけにいかない唯は,さつきと真中を客として監視.ついでに気に食わないさつきの髪の長さについていちゃもんをつけ,女同士の真剣バトル開始! …たぶんそういう野蛮ぶりを見せ付けてしまうと,男にその趣味がない限り敬遠されそうですが(笑)開始ったら開始.さつきは報復に注文されたバーガーに大量のカラシを投入.このトロイの木馬を見事に食らった経験の浅い唯は,報復としてマスタードを放射! もはやちょっとした悪戯を遥かに超えた2人の暴れっぷりを止めるしかない真中.もし別の客が来たら即座にさつきがクビになりそうな状況を,なんとか食い止めることに成功したようです.
けれど本当のお楽しみはこれからだ! マスタードを食らったさつきが汚れた下着を洗おうと脱いでいるところに唯がきて,素直に謝罪.客商売としては店員のさつきが客の唯に謝るべきなんですが,そのあたりまでは真中にはまだわからないようで.しかもあれほどさっき迫られていて,その狙いが全然わかってなかったことまで判明して目も当てられない惨状です(苦笑).そして半裸のさつきの抜群のボディに見とれる唯に,立派な胸を良い作画で見せつけたなら,「たれるだけ」と毒舌で報復してまたもトラブルに.さつきの距離をきっちりとった最初の攻めはどこへやら.ついに真中に半裸を見せつけそうになってみたり(笑).結局真中がひどい目に遭ったのでなんとなくいい気分なんですが,とりあえずこんな店は営業停止にしちゃえと思います.

後半は西野が情感たっぷりに演じます.残念ながら営業停止にはならなかったようで未だにバイトに励んでいた真中とさつき.そのさつきがおつかいに出かけた隙に,前女王の西野が店に乱入! 自分が作ったロールケーキを味見して欲しいと提案し,自分の家にご招待する西野さん.ケーキぐらい渡してしまえばいいのにわざわざ家に部屋に招待するのは,もちろん下心があるから! …しかしさすが女の子の理解に致命的な障害を抱えた真中が意図に気がつくのがあまりに遅い(苦笑).西野の部屋でケーキを喰う幸せなバカは能天気にケーキを誉めたりしてますが,CDをかける西野の魅惑の後姿あたりから,ようやく彼女の罠にひっかかりはじめます.
己の領域にケーキという罠で餌を誘い込むことに成功した西野は,ようやく状況を理解して意識しまくる餌に対しラッシュをかけます! 西野の両親の帰宅は10時過ぎとその唇から聞かされて動揺するしかない真中.まさに理性の滅多打ち! これがさすがに堪えた真中は即座に逃走を決意するわけですが,背を見せた直後に見事な西野の追い打ちが入り!ついに出た真後ろに陣取って密着する誘惑!…って書いてると実は前半とあんまり展開が変わらないような気が(笑)! 「雰囲気に流されたらどうなるか知りたい」,「なんでも,していい」.…邪魔者が入る可能性が限りなく小さいこの場所で,ついにフィニッシュブローを放つ西野! さすがは前女王,ここまでされて落ちない奴は男ではないという一撃にもはや倒れこむしかない真中…と思ったら真中はただの男ではなく「最低の男」.ここまで身を投げ出した西野さんに別人の顔を見てしまって躊躇するという情けなさ!
これやって落ちないなんてのは西野にとっては恥以外の何物でもなく,その屈辱を晴らすように真中に突きつけられる最後通告.待つのが苦手だった彼女にとって,3人の間をうろうろするしか能のない真中はじれったいわ面倒くさいわとどうしようもなく,それでも最初のわくわくを自分にくれるかもしれないと思ったから,ここまで続いてしまったのだけど.…けれど,本当は自分も東城のように真中の夢に巻き込まれてみたかった.時は戻らず,彼女の後悔ももはや消えるわけもない.だから西野は,真中にさよならを告げます.

クリスマスイブもバイトに精を出す真中.西野の衝撃の告知はプレゼントのことを真中の頭から見事に吹っ飛ばしました.一人働く負け犬のところに,映像研究部の仲間たちが登場.中にはさつきや東城もちゃんと混じってるんですが,ふられたばかりのバカには皆の笑顔はまぶしすぎてときめくことすらできない…そんな切ない年の瀬.実にいい気味だと思います(笑).
そして帰り道,ケーキ売り場で西野の真意をようやく理解したアホ真中.今日以外に意味を持たないあのケーキは,きっと今日のため.あのとき部屋に招いてくれたのもそういうつもりで…ってもうケーキ食ったあとは向こうはずっとそういう感じだったじゃねえかよ.よく考えろ真中(苦笑)! そんなわけで,本当に好きだったことと本当にふられたことを身を持って知った真中が過ごす,寒すぎる年の瀬.お前にはそれがお似合いだと強く強く思いつつ,次回に続きます.

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いちご100%#6

「乙女の弱さ,乙女の意地の巻」

(A)9月16日,休日.西野は誰かの電話を待っていた.けれどその電話は来るわけもなく,友達からのショッピングの誘いに気乗りしないながらも出かける.そこが友達のセッティングした場だとわかって不機嫌になり,ファーストフード店の中で急にキスを迫った友達の先輩に怒り,価値観が合わないと宣言する西野.

(B)帰宅間際の真中は,東城が小説のネタにかこつけて,真中のことが好きだけれど,彼女がいるから諦めているのだと友達に話しているのを聞いた.好かれているのに真中が喜べないのは,東城・西野・さつきの3人のことが同じくらい好きだから.友達の大草に相談したあと,真中はひとつのことを決心する.

恋の機微とか淡い描写とか,そんなものはかなぐり捨ててテンション高目にバカ話をやってくれるのがうれしい「いちご」.しかし今回はちょっといい話.前半は文句なしに良い作画で微妙な機微を描いて,まるで普通の萌えアニメみたいでむしろびっくりだ(笑).学校の違いで距離のある西野さんが,その距離を一気に縮めるために見せる攻撃が素晴らしい.さらにこのサイトとしての見所は後半.押しも押されもしない最悪ぶりを発揮する真中と能天気でバカなさつき…に見せかけて,真中の鈍感攻撃に耐えるさつき.たとえフィクションの中にだって,そんな都合のいい女の子がいるわけがないだろう!

前半は西野さん視聴者を魅了! 9月16日の朝をゆっくり過ごす西野の休日.母に構われて,それでもどこか憂鬱そうにごろごろしている姿が妙にリアル.今日が大切な日であることや電話を気にしている様子が,余分な独白なしに,行動や母親との会話の中でやんわりと匂わされているのが素晴らしい.かかってきた電話は今彼女が期待しているものではなく,友達の買い物の誘いでがっくり.しかし,今日は1年のうちでも一人きりにはなりたくない日で,恐らくは来ない電話を待つことの寂しさを紛らわせるため,出かけることに.
友達と一緒にお買い物した西野.母のくれた特別なお小遣いの話はするものの,なぜもらったのかについては話さないあたり,誘ってくれた友達に対する距離感が出てますね.ファーストフード店の中,隣席のカップルは熱々にプレゼントなどしているもんだから,それを見てもっと寂しくなる西野さん.決してうらやましいわけではなく,自分の側にあの人がいないことが寂しい.だからこそ,一緒にいられるなら誰でもいいってわけがない! 最も有利な同じ学校をあえて避け,修業の旅に出ている西野.もちろん独りきりが平気な程度には強いから,好みに合わない友達の先輩なんか,眼中になしなので思い切りキック! …なんでこんないい女なのに真中のことが好きなんだろう(苦笑).
こんな大切な日に出会ったばかりの好きでもない男にキスされそうになってショックの西野.帰ってきてから部屋に閉じこもり,さっきの行動について考え,受け入れられないと確認.本当に高嶺の花だった彼女らしく,実はキスすらまだという奥手だったわけですね.平静を装っても驚いて怖くて動揺は止まらなくて,そんな西野のところにあの人の声は届かず…そんなとき鳴った携帯からは,どうしても欲しかったあの人の声が.
携帯電話の向こう,西野の現状なんかまったく知らなかった真中は,唯の受験の手伝いとして西野に協力を求めています.声が聞けたのはうれしいけれど,本当に今日聞きたい言葉はくれない真中に対し,ついに西野はわがままを.「今日会いたい」という悲しい言葉に全力でやってきてくれた真中を,西野は街灯の下で待っていました.
予測された顔とは明らかに異なる笑顔で待っていた西野に,真中は大混乱.街灯の下で2人で食べるいちごのショートの意味を,バカな真中はやはり理解できません.…今日は西野の誕生日.1年のうち,独りきりで過ごすのが最も辛い日.そんな日に辛い目に遭ってしまったから,わがままでも真中に会いたかった.ケーキを一緒に今日食べたかった!
好きな女の子の誕生日を忘れるというデリカシーのなさを今日も発揮する真中はうろたえまくって必死.でも,ケーキのいちごじゃもう足りないよ真中(苦笑).必死でプレゼントを申し出るものの,西野が望んだのは握手.今の自分は唇には届かない.だから,今までよりもほんの少し,けれど直接互いの温度がわかる近くへ.
少女が差し出す精一杯の細い白い手を,街灯の下で握る真中.秋の闇に囲まれ,接触の熱さを互いに感じる2人は,互いを手に入れていないけれど,それでもなお幸福.…という視聴者まで巻き込んだ素晴らしい西野さんの猛攻でありました.日常の距離を握手一発で解消してしまう柔軟な発想は,さすが元王者です.

後半は耐える女! 一時は付き合っていて今も好きな女の子の誕生日を忘れるデリカシーのなさでおなじみの真中は,偶然東城が己の愛について冗談めかして友達に話しているのを耳にします.確かに内気な東城は,バカの開けっぴろげな応援がなければ自分の文を外に出すことはなかっただろうから,その点に関してだけは真中の功績を認めてもいいかな.感謝の言葉は直接言われるよりも,他人からの伝聞で聞いたほうが効くもの.その点でも友達に語る東城の攻めにはソツがありません.真中と適度な距離を取り,しかし絶えず裏表のない好意を示し続ける東城はまさに女王.バランスの良いたゆまぬ前進によって,あの西野もついにやられたんだよね.
そんな東城の態度によって,どうしようもなく悩むバカな真中.勝敗判定機だけのことはあり,こいつ自分に好意を寄せる3人のことが同じくらい好きという下衆っぷり(苦笑).悩みすぎて寝不足の真中に対しさつきは必死にアピールするものの,現在悩んでいる最中なので効果は今ひとつ.マイダーリン呼ばわりもただならぬ仲も「ぎゅってしてくれたじゃん!」も,一つ一つの手は本当に良いのに,間が悪いのがさつきの未熟なところ.また,攻めるときもエロス一本調子で単調なのがよろしくない.性格なのか意地っ張りなのか,椅子の上に登って好きだと全開にするばかりで,その恥ずかしい行為を恥らう部分がないのが本当に惜しい.美少女と眼鏡のドジっ子を見事に使い分ける東城のバランスに比べると,そのアピール力はやはり一段落ちてしまうわけです.
自分の周囲にいる3人の美少女の扱いに困った真中は,もてる大草のところで贅沢なご相談.そこで自分と3人の関係について話すことで,各自が自分とどのような関係にあるのかを把握.夢を叶えるために一緒に走ってくれる東城,走る自分を常に応援してくれる西野,そして一緒にいること自体が楽しいさつき.3人とも真中にとっては得がたい人材であることは間違いないということで,奴は一つとんでもない決意をします.
夕方,さつきを呼び出した真中が彼女に語るのは.「さつきのことは好き.でも他の2人も好き」という最悪のコメント.もう,この時点で一撃入れて争奪戦から離脱しても誰も責めやしないよさつき….3人とも同じくらい好きって,思っているのは許すけど,それを当事者に言う神経が信じられません.けれどこんな馬鹿者に対し,このことを最初に話してくれたのがうれしいと,秘密を共有できるのがうれしいと無理に食い下がるさつき!

どれだけタフそうに見えても女の子なんだから,他に好きな人がいると聞いて傷つかないわけがない.その上真中ときたら,さつきなら大丈夫だと考えて本当にひどい言葉を最初にぶつけたわけです.いくら同じくらい好きだと言っても,東城にはビデオテープに手紙を添えただけのように,真中は言葉で傷つけることをしなかった.どんなに丈夫でも本当に大切な人をわざと傷つける奴はいないのだから,つまり,3人の中でさつきは真中から最も大切にされていないわけです.…恐らくそこまで理解してもなお,無理にいいとこ探しをして必死で笑って迫るさつき.なんて切ない意地っ張り! そんな態度をきちんと理解できたなら,そりゃ思い切りぐらっとくるさ!
必死で真中の都合のいい女になろうとするのは,そうでなければ他の2人に勝てないから.現実の理想の姿であるフィクションだからこそ,何の考えもなしに他人のために都合よく振舞う奴なんているわけがない.そう考えると,不器用に笑顔で耐えるさつきの流す,血の涙が見えてくるはずです! たった一人しか勝ち残れないこの戦場で,最後に勝ち残るのが誰になるとしても,真中だけはものすごく不幸になればいいと思います.…次回に続きます!

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いちご100%#5

「さつき布団部屋ホールドの巻」

(A)映像部を巡って東城と喧嘩してさつきに告白されて,混乱している真中は偶然西野と再会した.自分なりの道を見つけて頑張っている西野の姿に.真中は自分のやりたいことをやるのだと気持ちを新たにする.まずは東城の所に行ってどうしても一緒に映画がつくりたいのだと直訴.東城は真中の願いを聞き入れて,文芸部とかけもちで映像部に入部.ここに泉坂高校映像部が結成された.

(B)ひなびた海で夏合宿を開始した泉坂高校映像部.抜群のボディの東城,さつき,黒川先生が一緒ということで,同行した男たちも桃色トークや水着姿に大喜びだ.浜辺ではビデオ撮影兼浜遊びで楽しむ一同.中でも東城とさつきから思いを寄せられている真中は男たちの羨望の的で,イメージダウン作戦として女風呂に投げ込まれるという制裁を受ける.

正統派の萌えモノとしては速すぎるテンポのおかげで,原作由来の無茶な展開を無理やりに頭の中に叩き込まれていく感覚がむしろ気持ちいい「いちご」.もし凡百の作品と同じテンポで描いていたならば,…とてもじゃないですが恥ずかしくて視聴が続けられないと思います(苦笑).勝敗判定装置・真中を巡る本格的なバトルはさらにヒートアップ.前半のわけのわからない大混乱は前回のヒキをぶっ飛ばすとんでもない見ごたえですが,やはり後半のさつきの猛攻が凄い.東城との差を詰めるべく,まさに体ごと特攻をかけるさつきの雄姿に惚れてください!

前半は素晴らしきバカ話.東城に拒否されさつきに求められ,あっさり混乱している真中の前に再登場するのは,ヒロインの座を追われ態勢を立て直し中の西野.真中と東城の間にあった「同じ夢」という切り札に対抗するべく武者修行を積む彼女が見つけたのは料理.「おいしい」という言葉がうれしいとクッキングスクールで技を磨く彼女のまぶしさに比べ,人間関係に苦しみやりたいことの出来ていない真中は己の卑小さを感じ,ついに初心を思い出します.当然真中の中では己の夢は女の子よりも重く,ここまで助けてくれた西野に軽い感謝の言葉を投げつけただけで置いてきぼりだ! …西野が誰に「おいしい」と言ってもらいたいのか,ちょっと感のいい小学生でも気がつきそうな素振りなんか完全無視.だって真中はバカだから! ブタに真珠とはまさにこの状態のこと.
で,この先の展開が物凄い.いきなり東城に謝る真中はかろうじてわかる.映画をつくるのは真中の夢で,そのためなら泥水程度は平気で飲みそうな奴ですからね.わからないのはそんな真中の懇願にいきなり折れてしまう東城.確かに「一緒に映画をつくる」という切り札を自分に戻してくれた真中と,これ以上反目し合うのはヒロインとしてはよろしくないわけですが,そこであっさり部活のかけもちを申し出て万事OKってのはどうなのか(苦笑)! 前回からここまで引っ張ったくせに,ろくな葛藤もその解消もないままに収拾してしまう事態の腰砕けぶり…しかし! 本当に腰が砕けるのはこの先の展開です(笑)! 夏休みエロ合宿は後半をお楽しみに!
仲直りした真中と東城は早速映画研究という建前で真中の家で2人きりのビデオ視聴ミーティングを計画.引っ込み思案の東城にとって,喧嘩したあとで真中の家に遊びに行くなんてのは飴と鞭を使い分ける見事な翻弄ぶり.たとえ自分の親が手薬煉引いて自分の息子の彼女候補を待ち構えていようとも,見慣れない上に露出度の高い私服姿の東城が家にいればもう,もう! …しかし映画と女の子だと映画のほうを選んでしまう真中と,元々真面目で自分からは迫らない芸風でおなじみの東城では目覚しい進展はないものの,そんなほのぼので終わる「いちご」じゃありません!
災厄のはじまりはさつきの電話.どうやら部活をサボって2人で楽しんでいた真中と東城の居場所を察知したさつきは早速真中家に進軍を開始.その合間に東城がエロ本に気づいてみるわ,さつきが映像部全員で襲来した上に黒川先生が女の子たちの胸のサイズを調べはじめるわと狭い部屋は大変にストロベリーな状況に(笑).その上お菓子を持ってきた西野にまさかの唯まで加わって,これぞ一軒屋バトルロイヤル! …屋上で悲しそうだった東城は,心からの言葉をぶつけて笑っていたさつきは,自分の道を探して歩き出した西野は一体どこに行っちゃったんだろう(苦笑)! でもまあ,これもこれで楽しいから,よし!

後半はさつきの畳みかけが素晴らしい! 前半で設立された映像部.目だった活動は真中の家でエロスな大混乱を巻き起こしたことなわけですが,本格的な活動として夏合宿を実施.抜群の美少女どもを通常のビーチに連れて行ってしまうとあっさり連れてかれる可能性が高いというわけで,ろくに人もいないひなびた海岸が舞台となります.普段と異なる環境は心をうわつかせ,いちご戦士たちにとっては真中をKOするのに絶好の状況.どうにもぼろい宿だって,女の子たちのストロベリーなトークが聞こえ放題と思えば天国です(笑).水着を準備していない東城に,持ってきた水着を貸し出すさつき.抜群のボディラインの黒川先生とあわせ,3人の艶姿はやはり多くの人の目にさらすには勿体無いよね.そんなわけで撮影しながらのビーチ遊びは,少人数だからこそ安心できてひたすらに楽しい.まさに男にとっては理想的な夏休みです.
けれどさつきと東城の目的はあくまでヒロインの座を確保すること.特に折角告白した割に東城に遅れをとっているさつきにとっては,この旅行は遅れを一気に取り戻す良い機会.彼女自身も自分の体には相当の自信があるはずですが,水着でお風呂で東城のボディの持つ力を知ればなおさらさつきには一刻の猶予もないわけです.
ちなみに東城とさつきに明らかに思いを寄せられている罰当たりな真中については,小宮山や外村という神の手によって天誅が下されるわけですが…その天誅はあんまり罰になってねえなぁ(苦笑).女風呂に投げ込まれた程度で真中のことが本当に嫌いになるなら,東城もさつきも今ここにはいないと思うんだ.
そして夜.風呂場に投げ込まれたことで痛みで眠れなくなった真中を襲うのは,もっとも厳しい攻めを見せるさつき.ついさっき目にしたばかりの天国の情景を思い出して興奮する真中に対し,いつもとは打って変わってしおらしく,眠れそうもないから話をしないかと誘うさつき….これこそがさつきの罠.布団部屋に真中を引き込んだ上に,体のほてりが取れないと直球で心を奪いにくるエロスの申し子ぶりが凄まじい! ムードと体で真中の心を強引に奪うなんてのは,そこまで割り切れていない他の3人にはとてもできない捨て身の攻撃.少なくとも東城に勝つにはこれしかないと覚悟しているからこその猛攻は,真中とついでに視聴者の心を鷲づかみ. 「2人きりになって,キスとかいろんなことしたかったの!」 …ああああもう,聞いてるほうが恥ずかしいよ(笑)! 真中だってさつきが嫌いなわけじゃない.映画がなければ,東城がいなければ物語はここで終わるはず.しかしそんな状況でも戸惑ってしまう真中のおかげで,乙女たちの人智を尽くした戦いは続いていくわけです.
本気のアプローチ中に運悪く熱に襲われ,さつきが倒れてしまった翌日の朝.その捨て身の攻撃は真中に止めを刺すには至らなかったものの,わずかな報酬を手に入れてうれしそうなさつき…真中のどこがいいのかはよくわからないんですが,さつきが幸せならいいんだろうか.けれど本当の幸せは,誰かにヒロインの座を譲って自分に似合う別の誰かを捜すことなんじゃなかろうか.あまりにも無邪気で,ゆえに本気で真中を奪い合う少女たちを動かす運命の悲しさなんかを感じたふりなどしながらも,きっとまたどうしようもないバカをやってくれるに違いない次回に続きます!

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いちご100%#4

「さつき,マイナスからプラスへの跳躍の巻」

(A)念願のビデオカメラを手に入れた真中は,早速試し撮りに出かける.川辺で見つけたのは,長身の髪の長い美少女.絵になるその姿に思わずカメラを向けた真中だが,突然の突風がとんでもない光景を真中のカメラに映し出してしまった.それが原因で川にカメラを沈められてしまった真中は,彼女を許さないと怒る.そんな気が強くて姉御肌の少女の名は北大路さつき.真中と同じクラスになった彼女は,ことあるごとに真中と衝突する.

(B)真中に助けられときめきを感じてしまったさつき.それをきっかけに何かを世話を焼こうとするさつきと真中の姿を見て,東城は複雑な気持ちだ.真中自身は今この学校には目当ての映像部がないことを聞いて驚く.5人を集めれば新しく部がつくれると聞いて早速部員を集めに回るのだが,もう一人が足りない.最後にさつきが快く加入を申し出て,東城と一緒に映画を撮るために必要な人数が揃ったはずが…東城が言い出したのは,真中には意外すぎる言葉だった.

恋は戦いで,戦場泉坂についに主要な戦士が揃う「いちご」.最後にやってきたのは長身のサバサバとした性格が魅力の北大路さつき.しかし実は今回はまだ彼女の本来の本領はまったく発揮されていないので,今後を考えると逆に珍しい回となるんじゃないかな.西野は修業の旅,唯は未だ本格参戦の資格すらなく,現状は純情路線で攻める東城の天下.ここに乱入してきたのが我らがさつき.抜群のボディと超積極的な性格はおっとりした役作りに対してはまさに天敵.これを退けるべく東城が打った布石の巧妙さもまた面白い.

前半はさつき登場! 映画を撮りたいとうわ言のように叫んできた努力がようやく報われたのか,ビデオカメラをゲットした真中は有頂天.しかし,早速壊されるんだから神はやはりよく見ていらっしゃいますよ(笑).手に入れたものを試したくて飛び出した外には,被写体が一杯.中でも河川敷で見つけた長身の美少女が風の中に凛と立つ様に魅せられた真中はこれを撮影しようとするわけですが…そこに一陣のエロ風が! まあ,スカートがめくれるのは自然のやることなんで不可抗力で,アクシデントに迷わずカメラを向けるのは一種の才能だとは思うけれど(笑)怒られても仕方がないことは認識しておけ真中.美少女に見せなさいよと迫られて,ボディアタックから胸タッチへと連携をかます真中と,そんな真中を叩く美少女.その上ビデオカメラまで遠投(苦笑)! あわれ新品は川の中に.カメラにどんな保証をつけていたのかによって,修理にかかってくる額が違いそうだなぁ.
そんな出来事を背負った真中が入学した泉坂高校では,運良く真中は東城と一緒のクラス.大草はともかく東城に気のある小宮山が別のクラスになってくれたのは大きい.しかし,今や競争者は小宮山だけではありません.髪を下ろし眼鏡を外したことで東城は一躍有名人.真中の視線だけ集められればいいんですが,やたらと他の男子にまでたかられるのは東城にとっては苦行に間違いなし.そんな状況を救ってくれたのが例の彼女.さばさばとした言葉と態度で男どもをけちらしてくれるのは長身の…真中はもちろんカメラの敵を発見したので興奮し,美少女のほうも「なんであたしのまわりをうろつくの!」と次回からの彼女からは考えられないような台詞を吐いて対抗.彼女は北大路さつき.東西南北のラストです.胸を触られた慰謝料でビデオカメラ1台がおしゃかが等価交換なのかそれともどちらかに不利があるのかについては,皆様のご判断にお任せしたい(笑).最初は大嫌いながらも何かのきっかけで好きになる.恋愛ものの定石の1つで,さつきが今回駆け抜けていく道そのものでもあります.
授業中うるさくした罰として廊下のワックスがけを命じられた真中とさつき.いきなりワックスを真中に向かってぶちまけるなど,さつきの行動はネガティブな方にも実に積極的.真中憎けりゃ仲良さそうな東城まで憎いと控えめながらも痛烈な攻撃を仕掛けてくるあの東城を中傷してみる挑発ぶり.もちろん東城の二面性の魅力にグロッキーな真中にとってはこれはとんでもない言いがかり,さすがに怒るわけですが…足元には例のワックスが! つるつると2人でコケて真中は指に怪我,さつきは足首ひねります.
さすがは見事なバカである真中は,ここまでのやりとりを無視して動けないさつきに男らしく背中を提供.意地を張るさつきもついには背中を借り,いがみあっていたはずの2人は急接近.理由はどうあれ感情を高ぶらせたままで体を密着させた上に,バカな真中にはろくな意図や悪意はないことがさつきにも判明…とはいえ,許可も取らずにいい光景だから撮ろうとしたというのは一歩間違えば盗撮になってもおかしくはないんだ(苦笑).
ぐらつきはじめたさつきの心が折れるのは翌日.あの眼鏡っ子姿に戻った東城は面白いように男たちに相手にされなくなるどころか敵意を向けられ,囲まれた彼女を救うべく飛び出した一本気のさつきは昨日のワックスで足首の捻挫が足を引きます.ここに飛び込んで事態を無理やり収拾したのが真中! まあ,代償として昨日もひどかった指が更に悪化してますが(苦笑).東城の二面性という必殺技を目にして驚く一同のうち,さつきは昨日真中が言い張っていた「東城はそんなんじゃない」という言葉が真実であったことに気がつき,その上自分の怪我まで心配されてしまっては…こうして,ついに真中争奪戦への参戦資格を手に入れた北大路さつき.現状東城の次に真中に近い彼女は,登場時期による遅れをどのように挽回するのか.

後半はさつき覚醒.前半ラストで真中が憎くなくなったさつきは,今度は何かと世話を焼きはじめます.行動的には嫌がらせとあんまり変わらないあたりが,彼女の混乱ぶりを示しているような.しかしそんなさつきの態度が変わったことを敏感に察知しているのが現在暫定1位の東城.彼女自身も変身という大技で勝てるはずのない西野から勝利を奪った簒奪者なので,新たな敵には敏感です.でも,鈍感な真中に「仲いいよね」と言って効果があるんなら,この話はこんなややこしいことにはならないよ(苦笑).
一方真中はまたも自分の夢こと映画で頭が一杯に.こいつ,夢と女の子を天秤にかけると確実に夢が勝ってしまうバカなわけですが,映像部をつくるために4人の協力者を集めることにもう夢中.とりあえず猫の手でもいいということで小宮山を引き込んだりしていると,登場したのが新キャラの外村.特徴はある種のゲームの主人公のようなバカ長い前髪.こういうキャラは感情移入のためにこのような「誰でもありえる」外見を与えられているので,視聴者も真中に感情移入できない,あるいはする気になれない場合は外村視点で見るのがいいんじゃないだろうか.
外村の目当ては映像部という名目.彼のサイト「ボクが見つけた美少女」の素材を撮影するための公的な名と手数が欲しいというのが,なんつうか,マニアだなぁ(苦笑).ネット経由のアイドル育成部にしたい外村の本音はもちろん真中に受け入れられるもんではないんですが,…しかし,夢のためなら妥協も一つの選択肢だと割り切ってしまうあたりが真中.そして夢のためなら周囲への配慮をなくすのも真中.本来最初に話を通すべき現1位の東城を無視して先に新参者のさつきに声をかけるだなんて! しかも自分の大切な切り札である「一緒に映画つくろう」をさつきにまで与えてしまうなんて!
このまま地位を保ちたい東城にとって,真中の行為は許せるものではありません.ゆえに文芸部に入るという反逆の道を選択.その心変わりに必死で食い下がる真中に対し,ついに半泣きでぶち切れる東城.「あたしがあたしの部活選んで,何が悪いの!」…真中が勝手に真中の道を選べるだけでなく,東城も自分で自分の道を選べる.この物語の主役は真中ではなく美少女たちなのだと,スカートの裾から白いものをちらちらさせつつ宣言です! でもね東城,君の気持ちは絶対真中にはわからないんだよ.だって真中,バカなんだもん(苦笑).
東城の涙の意味もわからず戸惑う真中のところにやってきたのがさつき.下手なちょっかいを出したあげくに,うとましがる真中に対して「仕方ないでしょ! あんたのこと好きなんだから!」…直前の東城とは逆ベクトルの絶叫だ! いまだ真意を伝えていない東城,真中の側から告白した西野,そもそもそういうところにたどりついていない唯と他の3人がもっとも手薄な領域で,初撃からクリーンヒットを狙うさつきの豪腕が光ります! しかも男勝りが真っ赤になって逃げるという追加効果.ここまで徹底して攻めれば直前の東城の顔も吹っ飛ぶってなもんですよ.

好きだ好きだと廊下を叫びつつ通過し,ついには校庭にたどり着くさつき.真中の気持ちが誰を好きでもいい.自分は一緒に楽しく面白くやっていければそれでいいと,真中にとっては最良の条件である都合のいい女宣言でフィニッシュを決めるさつき…とはいえ,本当にそんな都合のいい奴はいるわけがないんだからもうちょっと考えろ真中…ってこいつはバカだったか(苦笑).接近する真中とさつき.ゆえに己が西野の場所を奪ったように,その地位を奪われた東城.さらに再登場するのは少し髪を長くした西野! 戻ってきた元王者はこのリングにどのような風をもたらすのか.役者が出揃い激しいバトルロイヤルが繰り広げられる,次回に続きます.

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いちご100%#3

「時には退くことすら道の巻」

(A)高校受験は波乱のうちに終了し,ついに訪れた合格発表の日.しかし,真中と小宮山の番号は掲示板にはない.2人とも幸い補欠では合格していたもの,卒業式の日になっても小宮山のところにだけは合格通知は来なかった.かろうじて夢の泉坂高校に合格した真中の頭からは,あの日から東城のことしか浮かばない.彼女は別にいるはずなのに,妄想の相手は眼鏡のない東城の姿…そのことを真中の次に知っていたのは,西野だった.

(B)真中が目覚めると同じ布団の中に半裸の女の子がいた.一つ年下の幼馴染,唯が春休みを利用して高校の見学にやってきたのだ.彼女の志望校はあの桜海学園.学校見学に付き合わされる真中はものすごく複雑な気分だ.

たった一つの座をかけたルール無用の真っ向勝負に挑む,乙女たちのあられもない戦いぶりを愉快に見守るべき「いちご」.いやもう本当に,いい大人が見ちゃいけないくらい文句なしにくだらないのは間違いないんですけども,そこがいいんだ本作の場合は! 真中の心さえ動かせればなんでもありのいちごにまみれた戦場で,西野が見せたとんでもない攻撃! …確かに一歩退くことも一つの戦術.そして,失うものなど何もない新人が仕掛けた凄まじい直球勝負! 作画は確かに不安定だけど状況がもうそれどころじゃねえ!

前半は西野の華麗なるステップ.前回東城渾身の一撃で高校受験が台無しになった真中.もちろん真中が悪いので同情の余地なんてこれっぽっちもなく,実際の試験の結果はもちろん不合格.…視聴者側の意識としては特に補欠合格なんかしてなくてもいいんですけども(苦笑),真中はこのバトルの勝敗判定装置なのでなくなるのはまずい.東城は順当として,合格して喜んでいいはずの西野の態度がおかしい.眼鏡を外した噛ませ犬改め最大の敵を前に,西野が考える次の一手とは.
そんなわけで中学生活最後の卒業式には,真中にも遅れて春の知らせが.ただし小宮山だけが未だに冬.とはいえ真中は小宮山なんかどうでもよく夢中なのは東城.眼鏡が壊れたという名目でコンタクトで登校した東城は,元々の素材の良さを周囲に見せつけ大人気.他の男に取り囲まれ真中とは微妙に距離を置くことで,嫉妬心を引き出そうとする老獪極まりない技が恐ろしい(笑).その技術に転がされた真中の頭はもちろん東城に対する妄想で一杯.己のイメージを美化し東城は都合よくエロで阿呆にする妄想は現実との落差が激しい.もちろん,東城が己のために泉坂を志望したはずがなく,ましてや中学時代の思い出を要求されるなんてありえない.ありえないけど…恥ずかしい妄想に廊下で浸るバカ真中.こいつの彼女は本当に気の毒.真中の頭は東城で一杯.西野とつきあっているはずなのに.
卒業式の風物詩と言えば第二ボタン争奪戦,ということでその実例を見せてくれるのが大草.真中の友の割には一人だけ随分と出来がよい上に性格も良く,東城も西野もこっちが好きなら納得できるのに.それに比べるともはや小宮山はどうでもいいという真中の友人軽視ぶりは最悪.しかも考えているのはやはり東城のこと…どうして自分の側にいる人を大切にしないんだろうこの男は.
そう.本来真中が考えなければいけないのは,現在彼女である西野のこと.今回は大人気ゆえによれよれ姿でご登場です! さらに真中の第2ボタンを目ざとく見つけ,いきなり組み付いて口でそれを切り取るという凄まじい攻撃! 現在頭は東城に支配されているということで,ボディを狙ってきたその様が可愛いくてエロく…真中が憎くてたまりません(苦笑)! 西野がもらった中学の思い出.なんせ西野は泉坂には,真中と同じ高校には行かないことを決意してやがりました.なんせ真中はバカゆえに考えていることがわかりやすく,勘が鋭くなくてもモロバレ状態.「好きな人いるでしょ?」という一撃は,さっきの接触と相まって真中に対し痛烈なヒット.しかも「自分も好きだし」と相手に塩を送る西野.ここから先が大勝負!
西野の進路はあの桜海学園.しかもその理由は…真中を諦めていないから.受験の日に西野が知ったのは東城と真中は自分の知らない「映画」が共通しているということ.彼女という立場ではあっても,思いを共にするほどの趣味は西野にはなく…ゆえに,それを捜すためにあえて別の高校に行くのだと武者修行宣言! 現状を冷静に分析し己の弱さをはっきりと知り,その上で武道家として求道の旅に出る西野.なぜ真中のためにここまでやっているのか,本人ですらその理由はよくわかっていないようですが,格闘家の本能としてあの鉄棒の告白で心に火がついたのは間違いないらしい.人を好きになるのは理屈じゃない.そして,嫌な奴を好きになるほど心は広くない.…別れ際に渾身のコンボを叩き込んでいく可愛い西野.鮮烈な記憶を残して一時退場です.
今まさに去り行く太陽のように,西野が自分の側を離れたことを痛感する,屋上の真中.けれど西野で一杯の彼の心を再度取りにきたのが東城.屋上はバトルがはじまった思い出の聖地.いちごパンツにただ憧れていた昨日にはもう帰れないけれど.東城は真中の第二ボタンがないことに気づき,去った西野の痕跡を目にします.それを塗りつぶすべく行動に出る東城.そう,この世界にヒロインはたった一人! 「何か思い出欲しいな」と夢のように迫る東城.この状況をぶっ壊したのは神の手こと小宮山.…まあ,うまくいっちゃったら先の話ができないから,当然の帰結だとは思います(苦笑).

後半は破壊力抜群だ! 春休みの朝,早朝半裸少女というとんでもないバラエティ企画(たぶんドッキリカメラ系)の餌食となるのはもちろん我らが真中.作画は微妙ではあるもののその衣装ときたら凄まじい.年齢差というハンデを背負った彼女ならではの,まさに身を捨てた攻撃だ! 新登場の戦士の名は唯.真中とは幼馴染で,幼少のころから泣き虫真中を助けてくれた一つ年下の女の子です.もちろんその彼女が半裸で布団にもぐりこんでいる理由は特にないんでしょうけども…しかし,これまでの東城や西野が見せてきた攻撃よりも一段体に近いところが恐ろしい! 脱げかかったパジャマでパンツは丸出し.いちごではないですが.
そんな少女台風・唯が真中家にやってきたのは学校見学のため.寮のある学校を狙っているという彼女の本命は…桜海ですか(苦笑).春休みとはいえ手続きとか西野に出くわす可能性もないとは言えず,真中はものすごく複雑な気分.西野との破局を思い出させることによって真中に揺さぶりをかける唯は,「合格した人に会いたい」というわがままでさらに傷口を抉ります.しかし,これはヒロインの座争奪戦で示す手としては逆効果ではあるまいか?
そんな失敗を取り返すのが帰り道で唯が見せる弱さ,犬に必要以上におびえ,悪口を言いつつも真中に頼る可愛い気を見せつけて,最初のイメージとは逆の親近感を出そうとしてますね.さすが1年下だけあって技はどれもこれもまだまだ大振りなんですが,もうちょっと自然に技が出るようになれば,2大ヒロインにも対抗できるかも.
唯の不自然極まりない猛攻はさらに加速.幼馴染という立場を使い唯が戦場として選択したのはなんと風呂! 裸になるところなので,捨て身の技を仕掛けるときにはこれ以上の舞台はありません.まずは背中を流すという名目で潜入し,さらにシャワーをかぶってずぶ濡れになるあたりまでものすごく不自然だけど(笑)お約束.唯ちゃん,いくら幼馴染でもやっぱり風呂で顔をあわせるのは照れるよ(苦笑)! 着替えないと風邪をひく…ということでいきなり風呂場の中で服を脱ぎだし,一緒に入ろうとする唯だがそれでは場所取りが甘い.正しい攻め方としては出入り口付近に場所を取り,真中が出られない状況で服を脱ぐべきです.おかげで獲物には逃げられてしまうのは,やはり経験不足.一撃一撃は相当の威力なんですが,丁寧でなく荒が目立つのが勿体無い.
最後の攻撃は翌日の朝.寝坊した彼女の服装は,昨晩よりもパワーアップ! 無駄に服を着ていない唯は,やっぱり攻撃の組み立てがなってないとしか言いようがないなぁ(苦笑).ただし,ほぼ全裸なんて見せられたらさすがにそれで頭の中は一杯になりそうなので,未熟ながらもよく考えたとほめてあげたい.そして真中はそのまま本棚の下で潰れていてください(笑).
さて,次回は…ついに来た北! いちご戦士の中でもイチオシの彼女は,実に強引かつ強力な技を次々に繰り出すダイナマイト! 緩急織り交ぜた見事な暴れぶりはまさに本作の申し子.えげつなく,かついとおしい彼女がどこまでやってくれるのか.そしてこれに対抗する東城の動向は如何に.次回に続きます.

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