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第3回しりとり竜王戦 本戦

本選レビューです.予選展開については前の記事をご覧ください.
予選終了時点で勝ち抜いたのは川元,板尾,有野,有田.川元以外は3強で当然の顔ぞろえ.ただし川元も自分のかたくなな性質をよく生かしたいい戦いぶりをしています.素人が混じっているためにネタ同士が連携しにくく互いに効果を打ち消しあう予選とは違い,本選ではプロが互いを潰すのではなく高めあうような展開がよく見られます.テーマに乗ると圧倒的に強い有野,テーマを問わず強引に自分の世界を押し通す有田,そして常に奔放な板尾との戦いが若い川元をどんな高みに導くのかが見ものです.

準決勝は「しりとりランデブー」.「**の**」とつなげた言葉でしりとり.

まずは川元対有田.テーマは「青春ぽいもの」.有田の強引さに川元がどのような手を打つか.
有田より「セミの死骸」とセンチメンタルに.川元の「インコの世話」はちょっと若すぎるかも.有田の「ワキガの先生」はいい.臭いに答える川元の「イカの異臭」は考え落ちですね(笑).有田の「うんこずわりの毎日」はストレート.ここまでの展開で有田の青春が生々しく浮かび上がってきているのがおかしい.逆に川元はあたかも有田をそのまま鏡に映したようで,「父のビデオ」という答えもまたストレート.その鏡に気づいた有田,わざと「お母さんのビデオ」で跳ね返す.それを川元が「おいのビデオ」と跳ね返しさらに「俺のビデオ」とテンポ良く跳ね返す有田.このあたりのわかってる打ち合いぶりは気持ちいいのですが,あまりにもいい打ち合いに川本と有田は一時的にバランスを崩し,川元は「突き指の自慢」といういいネタながらも「ん」をつけてしまいます.ここでリズムをがたがたにされた有田,「椎間板ヘルニアのあの友達」「レンコンの栽培」とダメに.一方川元は「蝶の群れ」「犬の迷子」と有田が序盤に見せた詩人ぶりを遅れて跳ね返し,有田の「5年生の出し物」,川元の「野村のジャンプ力」で終了.
結果,崩れたリズムからいち早く復帰しバランスよく点を取り続けた川元勝ち抜け.有田は川元から跳ね返された自分自身の青春の幻影に自己中毒し(笑)空気を支配しきることができませんでした.

次は板尾対有野.テーマは「見てはいけないもの」.不条理同士の息詰まる戦い.ある意味決勝です.
有野より「お父さんの怒られてるところ」とスタンダードに開始.が,板尾の「路地裏の犬猫」はなぜ見てはいけないのかわからない無重力殺法(苦笑).その理由を説明する有野の「子猫の死骸」.確かに見てはいけないようです.板尾は有野の回答すらまったく気にせず「イイダコの交尾」.鮮やかな死と性の対比.有野は対戦相手だけでなく会場まで見た上で「野村アナの素顔」…しかし周囲を見すぎて最初の文字は「び」だという根本的なところを見失しなってる有野(苦笑).中盤,板尾の「仮面ライダーの2人乗り」からはじまるヒーローシリーズ.有野の「リップサービスのヒーロー」,板尾の「ロデムの楽屋」と展開.この段階で有野,掴みかけた波に乗れず苦闘.一方板尾は「ローキックの専門学校」というスマッシュヒット.終盤は有野・板尾双方が手づまってゆきなんとなく終了.
結果,有野に比べれば一段テンションの高かった板尾名人勝利.有野は板尾の奔放ぶりに引きずられ,折角の爆発力を披露する展開になれず敗退.

決勝は「しりとりツバメ返し」 「**だが**」と逆接で繋ぎます.
全体を通すと,今回は大人しい戦いが多く.特にテーマと相手に恵まれた名人の展開する素晴らしいワールドについてはあまり見られませんでした.しかし溜めに溜めたフラストレーションは,この最終戦でとんでもない勢いで爆発し昇華します! 途中で飽きて寝た人間ははっきりいってものすごく損.しりとり竜王戦名勝負として語り継がれるであろうこの決勝戦,テーマは「せつない言葉」.非常にやりやすいテーマでスタート.

板尾より「髄液だが飲む」最初から強手で攻め込む板尾を 「娘だが無視」と跳ね返す川元.さらに「知り合いじゃないんだが金を貸す」と板尾名人は不思議ワールドの展開を開始し,その勢いに乗る川元「少しだが貸す」と跳ね返します.板尾はその跳ね返しをものともせず「水泳は得意だが断る」と自分の状況を台無しにする組み立て,それを川元が同じく「ルーマニアに来たのだが風邪気味」と同種の組み立てで跳ね返し,それに答える板尾,「ミルマスカラスに会えたのだが臭い」と今度は相手に問題のある組み立てに微妙に切り替え.しかし川元は方向の違いをものともせず 「いつも一緒にいたいのだがわいせつ罪」と前の組み立てのまま畳み掛け! この強いネタに答える板尾の「いろいろ世話になったが,殺す!」という無頼攻撃がすごすぎます! もう完全に殴りあいです! 川元の「すずめを捕まえたのだが剥製」は川元本来の芸風.答える板尾の「すばらしいイリュージョン」はどうやら『すずめ』の『す』に引きずられたらしく(笑)あわてて「イリュージョンだが,2回目だ!」と無理やり勢いのみで持ち直し.あの川元を笑わせました.そこに攻め込む川元,自分から組み立てを変え「抱いたのだが微熱が続く」と切ない王道へ.しかし板尾の 「クリスマスだが意識がない!」で一蹴されてしまいます.格の違いを見せ付けられた川元,「石を食べたのだが満足」「ヤクルトだが断る」とどうしても弱く,逆に板尾名人は「クルージングの途中だがさらばじゃ!」「ルービックキューブだが揃ってるじゃないか!」と怒涛の攻めきり.別の世界へ突き抜けていきました.

結果,板尾名人が優勝.竜王の座は板尾のもとへ.
にしても最終戦は本当にすごかった! 川元の,相手のネタを反射するという性質が板尾名人をとんでもない高みまで持ち上げていきました.川元に対する「可愛かった」という板尾名人の評価は優しいが厳しいもの.しかし,展開にもよりますが板尾有田有野の3強の一角に入ったことは確かです.課題としては自分から組み立てるときの弱さがありますが,相手が強ければ強いほど自分も面白くなっていくというその鏡の様はまさに脅威.次回の竜王戦でも大暴れしてくれるのを楽しみにしたいと思います!

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コメント

「第3回しりとり竜王戦」の決勝の盛り上がりには興奮しました。新メンバーでは次回、大槻教授は斉木しげる同様いないでしょうね。高倉健を知らないんじゃダメですよ。清水のよっちゃんには不覚にもキャラに笑わせられました。ズルイなぁ。
しりとり竜王2回目に初回のインパクトがないなと思っていた私は、今回板尾名人のスゴさを改めて感じました。


投稿: ☆珍奇 | 2004.04.25 17:03

☆珍奇様,コメントありがとうございます.
決勝は奇跡のような素晴らしさでしたよね.あんなすごいもんはそう見られるもんじゃありません.繰り返して何度も見たいところです.
大槻教授は実は最初のネタではげらげら笑ってましたので(苦笑)次回はないとは思いますが面白いゲストを出してくれるとうれしいですね.MMRのキバヤシが実在してくれればなぁ(笑).他には西村知美とか千秋とかそういう反則をぜひ.あと上島竜平とかも奇妙な味が出てきそうでいいなぁ…

投稿: Rowen | 2004.04.26 23:13

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» うんちくよりも優しくて。 [2歩下がって、3歩進む。]
テーマは「せつない言葉」!! 「髄液だが飲む」「娘だが無視」「知り合いじゃないんだが金を貸す」「少しだが貸す」「水泳は得意だが断る」「ルーマニアに来たのだ... [続きを読む]

受信: 2004.04.24 17:13

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