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ボボボーボ・ボーボボ#25

「ツッコミ壊しの珍展開の巻」

ボーボボたちの前に立ちはだかるラジオマン.形がテレビなのに「ラジオマン」程度ではもはや笑いもとれないこの無情な世界.ラジオマンの中から出てきた連中はボーボボたちをテレビの中に引きずり込もうとするも全員非力.ただし「100円あげる」という甘言に釣られて首領パッチおやびんはラジオマン(テレビ)の中に入ってしまい,それを追って破天荒とボーボボがラジオマン(テレビ)の中へ救出に向かう.
モニタの中に閉じ込められたボーボボと首領パッチは早速全国放送のニュース番組を乗っ取って見ているだけで腹が立つような変なニュースの報道開始.それを見ているビュティとヘッポコ丸は外から突っ込むしかない.そして残る破天荒はどうなったのかと思ったら,視聴者投稿の心霊写真にぼんやり写ってる始末.
ボーボボたちのあまりのやりたい放題ぶりに敵・ショウ・メイが登場.変なキャラになっているボーボボたちを前に「Z基地は最強.ザコですら天の助レベルだ」と言い放つ.そしてボーボボたちを足止めするために懺悔フラッシュを照射.ボーボボは首領パッチを蹴落としたことを,首領パッチはボーボボを勝手に迷子にしたことを懺悔しふたりは絶交.これはショウ・メイの思惑通りの仲間割れだ.案の定ラジオマンの外では大量のザコに囲まれるヘッポコ丸とビュティ.ザコとは言え全員天の助並みの実力で大ピンチ.そして田楽マンは今日も可愛い.

今回は久しぶりのすさまじいハジケっぷりというかもはや凄すぎてなんだかわからない(笑).あんたは破綻しすぎです! 理屈不明のまま頭の中に叩き込まれる珍奇な脚本が強烈ですがそれにしっかりついていった演出も作画も見事なもの.さらにバラエティ豊かな音楽も加わって,これまでどんなボケにもきっちり対応してきたビュティさんがとうとうぶっ壊れるほどに.最初はテレビ,次は食べ物,そして格闘物へと繋がっていくテーマの変遷も見事です.

まずは珍世界の7不思議よりスタート.前回のあらすじの捏造はもはやおなじみなわけですが,オープニングがはじまる前に番組を応援しにくくするってのはいかがなものか(苦笑).で,本編がはじまったらラジオマンはテレビなのにラジオだという事実を必死にアピールするものの…今更その程度のネタでは何の意外性もなし.ここの音楽の使い方が情けなさを増していてなかなか.そしてテレビの中から出てきた弱い人たちに騙されて連れ込まれるのはやはりベテラン首領パッチ.おいしい状況は絶対に見逃しません! 師匠恋しさに追いかける破天荒と愉快な状況を前に飛び込まざるを得ない実力派ボーボボ. ただし30分経って戻ってこなければ警察に届けてくれって…その対応がこの世界では通じないことをわかっているゆえに愉快.
テレビの中のボーボボたちはさっくりニュースジャックを成功させた上でバカ番組炸裂! 犯人役もやってジャンケンやってボクの勝ち&負け,新型火車,スポーツのパチ美さんが一瞬で終了,明日の天気が見えないなど,ツッコミ魂をくすぐりまくる展開に傍観者という立場にやるせない気分のビュティさんとヘッポコ丸.しかし変態服装の敵ショウ・メイが出てきてからは状況が一変.むしろビュティさんたちのほうが大ピンチに.とりあえずボーボボと首領パッチは互いを友人と認識しているようで何より(笑).

中盤は大量の天の助並みに囲まれるビュティさんたち.彼らの正体は…一流シェフ集団.早速料理攻撃が来るのかと思ったら一杯いすぎて動けず,天の助並みのバカであることが判明.モニタの中ではショウ・メイの照明を浴びたボーボボがバンパイアで日傘もないので消えかかり,演技のふりして本当に灰に.愕然とする首領パッチの前で蘇ったボーボボは,ボーボボWTマークIIセカンドという長い名前となり黒角アフロ化.首領パッチも一緒に適当にパワーアップ.お外に出たいとだだをこねる攻撃を放つボーボボのアフロの中にははんぺんが.これではおでん屋さんにしかなれません.…ここまでお読みいただいてご理解いただけますように,このあたりの展開は敵が突っ込みに回るしかないほどに滅茶苦茶です.しかし滅茶苦茶はさらに加速! ボーボボはおでん屋を召還して客ごと装着,誕生!「忠」の闘神武甲冑 「カオスオブおでん!」… “カオス”は身をもって蹴りから守るおでん屋の客ことアーマー業界に再就職したてのお父さんです.そして頑張ったお父さんは「信」の力に目覚め首領パッチアーマーを装着し誕生!「スターダストモスファイアー」!…ヒーローもののパロディギャグは数あれど,装着シーンだけでここまで引っ張ったバカはこれまでいなかった気が(苦笑).装着シーンそのものの気合の入りぶりはいかにも「星矢」なのですがもはやそれに突っ込みを入れている状況ではありません!
外では囲まれてピンチのビュティ.思わず「助けてお兄ちゃん!」と妹シャウト.他人が間に挟まりますがその声に答えるようにソフトン参上.ただしロケーションは最悪でZ基地の女子トイレ.女性隊員にすっぽんで殴られるという大変な屈辱を味わい,しかもサービスマンまで同行する「下ネタコンビ」です.

終盤はお父さんアーマー,ボーボボや首領パッチよりも必死に活躍.首領パッチアーマーは敵の攻撃を見事に避けて中身のお父さんばかりがやられます.でもお父さんはそもそもアーマーなので攻撃が当たらないと意味ないですし.ボーボボの鼻毛真拳「修学旅行」にショウ・メイは巻き込まれ,おでんの具と一緒に修学旅行へ.でも夜うるさくする悪い生徒なので「バーニングハンドヘルファイア」(キメ台詞つき)でやられて敗北.
さらにモニタの中からボーボボメタモルフォーゼでちょびっと巨大竜に変身して脱出! カタストロフの後には卵を産んでビュティさん大混乱.そして生まれてビュティさん感涙…あまりの滅茶苦茶さに,とうとう我らのビュティさんが壊れました! 珍奇展開による衝撃に耐えられなくなったビュティさんの心は己を守るために別の人格を作り出したのです.嘘! ワイルドな本能ビュティさんに対しヘッポコ丸は目を覚ましてくれと殴ろうとしますがやはりできず,それを「ためらうな」とそそのかした首領パッチは本能ビュティさんの折檻を食らいます.次にボーボボが変身したフェニファルコ(不死鳥)は出現と同時に死にかかり,まじめにやれと言われて寸劇「課長フェニファルコ」…周囲をなめまくりの展開の中でやっとボーボボが元に戻り,この超展開ぶりに錯乱していたビュティさんもヘッポコ丸を殴ってやっと元に.「俺だってわかんねぇよぉ」と泣くヘッポコ丸が気の毒でしたが,ツッコミ仲間が元に戻ってよかったな!
ただしわけのわからない展開が終了したわけではありません.ボーボボの中で5年も雌伏していた敵はさすがの強さ.5メガネ,割り箸,明太子はキャンセル,ウーロン茶,雑巾,領収書の使い方がわからないとツッコミを置いていくいろんな意味での超絶バトル(カードバトルのパロディ)が展開し最後には「ガネメ」! …眼鏡を使わないただの言葉であり,ボーボボの「地獄モズ落とし」という技らしい技が相打ちしていてビュティさんがやっとツッコミ復活!ラストは新たな敵戦車!というよりはむしろ上に乗っているサービスマン.いよいよ田楽マンのハジケが見られるのか.そして破天荒は心霊写真のままなのかそれとも基地に誘い込んだらあとは傍観を決め込んでいるのか! 見ているほうもついて行けないんですけども次回に続きます!

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コメント

 始めまして。興味深く読ませていただいております。
私は成人男子のボーボボファンです。
 ボーボボをバラエティ番組として、
キャラを芸人として捉える視点は、
分かり易くかつ的を射ていると感心いたしました。
これからも楽しいレビューを書いてください。

投稿: サミー・リー | 2004.06.16 23:53

サミー・リーさん,コメントありがとうございます!
「ボーボボ」は大人にも面白いですよね.思いを共にしてくれる方がいらっしゃって心強い限りです.
「ボーボボ」は笑いで戦っているので,「しりとり竜王」や「オンエアバトル」と構造的に近いですね.芸風や芸暦,業界内でのポジションなどを想像して,実在の芸人にあてはめて見るのは結構楽しいです.万が一実写化するときには,天の助=上島竜平だけはぜひともお願いしたい(笑).

投稿: Rowen | 2004.06.17 02:39

お返事ありがとうございます。
ボーボボは戦いを主軸に、小芝居やギャグが乱発され、
その中に伏線があったりして少々複雑な構造なので、
ナカナカ理解されにくいんですよね。
「すかし」「乗り突っ込み」「天丼」「美味しい負け」
等の技法を巧みに使ったギャグアニメなんですが…。

私は「めちゃイケ」における、
「フジテレビ警察」などのワクぶち抜き企画に
構成が似てると感じます。
色々な芸人(芸能人)が色々といじられ、
そのタレントのバックグラウンドからオチを持ってきたり。
笑わせながら犯罪を撲滅(笑)していく様は、
毛狩り隊との対決に通ずるものがあると思います。
武田真治とヘッポコ丸のポジションも…。

そういえばボーボボが「子供に見たせくない番組」の
第十位にランクインしました。
原作をアレだけマイルドにしているのに…。

投稿: サミー・リー | 2004.06.18 01:05

コメントありがとうございます!
「ボーボボ」は,基本ラインは引いてあるがアドリブの激しいバラエティ番組だと考えるといい感じです.だからきっちり脚本の書かれている企画よりは,お笑い業界全体とか,伝説に残る「お笑いウルトラクイズ」あたりに見立てるとしっくりときますね.
数々のお笑いのパターンがしっかり見えているのは,実はお笑い自体の根本的なパターンにはそうバラエティはなくて,ただしそのパターンに乗せる素材によって面白さの質が変わるといういい証拠なのではないかと.「ボーボボ」はフィクションゆえにとんでもないものの組み合わせができるので,それが大きな強みになっているのではないかと.

投稿: Rowen | 2004.06.19 00:40

「お笑いウルトラクイズ」はイイですね~っ。
若手時代のナイナイがまったく入り込めなかった
あのハイテンション! 大好きでした。
またやって欲しいものですね。

漫画だとボケは無限大ですからね。
原作でケセランパセランを初めて見た時は、腰が砕けました。
表情や絵のインパクトも外せないですね。
アニメだと多少マイルドにされてしまうんですよね。
次回登場の大工の山下さんは、本当は生首なんですが、
ロボの手足付けられてしまいました…。

投稿: サミー・リー | 2004.06.19 01:29

またまたコメントありがとうございます!
「お笑いウルトラクイズ」は,まさに企画が笑いのためだけにつくられていて大好きでした.バブル時代で金があったゆえに出来たとんでもないセットや企画は,今や実現不能のものも多いとか.アニメは現実では実現できないものも表現できますんで,「ボーボボ」では特にそこに注力してもらえるとうれしいかも.

マンガはアニメに比べると規制が緩いですから,ネタに関してはやりたい放題ですよね.それに比べるとアニメはどうしても不自由に見える部分はあります.
ただし,番組や舞台,企画の縛りに合わせて不適切な部分をカットしたり置き換えたりできる芸人でなければ,本当の意味で大成することはできないと思いますので,その観点からすれば東映さんはなかなかのファイトぶりではないかと(笑).
確かに規制なしのライブネタが面白い芸人さんは数多くいますが,それを公共でも通じるネタにうまく緩められるかどうかってのは,また別の大切な才能だとも思いますんで.

投稿: Rowen | 2004.06.20 22:13

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