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第4回しりとり竜王戦 決勝

しりとり竜王戦の本選の模様です.ちなみに予選については2つ前の記事かこちらをどうぞ.予選の結果勝ち残ったのは関西の4人.準決勝は板尾対有野のベテラン同士の戦いと,千原対渡辺の新人同士の戦いとなりました.準決勝同士を比較して見えるのは,しりとりですら場数を踏めば踏むほど力が上がるという事実.ベテランの余裕に満ちた戦いは素晴らしい.また若手の最初はおずおずと,しかし次第に踏み込んでいく新人らしい戦いぶりにも見所がありました.

準決勝は「しりとりイマジネーション」.テーマに沿った言葉でしりとり.

準決勝第1戦は有野対板尾.テーマは「珍しいオリンピック競技」

有野からスタートですが「血豆持ち3段とび」と可愛いが血だらけで滑りそうな競技からスタート.板尾はそれに「びびりながらの開会式」といきなり競技外に突っ込んでいく面白展開.出だしからかみ合うベテラン2人の打ち合いは見ごたえ十分です.有野の「木登り早降り」は運動会よりは枝打ち職人競技のよう.しかしまだ競技なのに対し板尾の「りんごのののしりあい」は競技ですらなく.さらに有野が自分の芸風らしく「いじめられっこ投げ」という愛らしい響きでバイオレンスな競技を示すと,板尾はそれにさらに己の芸風をかぶせて「ゲイ同士の投げあい」と真っ向勝負! 相当ともどんな競技なのかは謎です.板尾に奪われそうになった主導権を取り戻すための有野の「イメージ110メートルハードル」は微妙に考えさせるネタ.それに呼応する板尾は「ルンルンとび」とさらに難易度の高いネタへ.オリンピック競技という縛りから離れ始める2人は,有野の「ビールかけられ」(勝敗はどこで決めるのか)板尾の「れんこん穴くぐり」(人間では無理)と単純に面白い競技…しかも運動会競技へとシフト.有野の「理科室早移動」はその運動会よりの連想でしょうが郷愁を誘い素晴らしい.それに答える板尾の「ウガンダ人だけ走る」はオリンピックという要素を拾いなおした割りに競技としてまったく成立していないナンセンスさ(笑).ここまでで打ち合いに疲れたらしく有野の「ルールなしアマレス」も板尾の「ストーカーマラソン競技」も味はあるのですが弱く,そのまま微妙なネタで有野の「偽善者エスコート」板尾の「父ちゃんと飛ぶ」と緩やかに終了.

愛らしいがバイオレンスな有野の世界と,不条理で尖った板尾の世界は見事に混合されて大爆発.特に中盤の爆発が素晴らしい一戦でした.結果としては有野が1点差で勝利しましたが,2人の名人にとってはとても楽しい打ち合いだったようです.

準決勝第2戦は千原対渡辺.テーマは「まだ知られていない健康食品」

新人2人のデスマッチとなり戸惑う2人ですが,千原より「例のやつ」と大雑把にお客様にお伺い.対する渡辺の「積み木の出し汁」は極端すぎて今ひとつ.千原は長考の末に「ルーズソックスのあれ」とまたも曖昧で展開しますが2回目以降は弱く.どうやら渡辺はこのテーマがまったく想像つかないらしく,「レッスン場でのため息」ってそりゃ魔女の薬だよ(笑).千原の「黄色汁」はまたも曖昧で弱く,こっちはニュアンスはつかんでいるのですが知識そのものが足りないみたいですね.渡辺の「ルビーを30分冷やしたもの」も魔女の薬っぽいのですが,それにかぶせる千原の「ノースリーブを30分寝かせたもの」って…あんなネタにすがるとは,どうやらかなり追い詰められているようです(苦笑).渡辺の「ノーコン投手のグローブを粉状にしたもの」は長すぎて焦点が定まらず,ここで千原が「ノベルティグッズなのに」と独自の中途半端っぷりを披露.この攻撃になぜか渡辺が「妊婦の笑顔」とさわやか(しかもやっぱり西洋魔術)路線へ.そこで千原は「お前の笑顔」と戻し(実際渡辺はすごくいい笑顔っぷり),それに渡辺が「俺の笑顔」と堂々と引き取ってお約束成立して終了.

結果,テーマに苦しみながらもニュアンスは理解していた千原が勝利.想像ネタのストック不足で敗北してしまった渡辺ですが,お約束展開はなかなかのものでした.

決勝戦は「しりとりツバメ返し」.「**だが**」でしりとり.
テーマは「深い事情がありそうな言葉」
対決するのは有野と千原.流れを掴むと独自の道を爆走する有野に対し,板尾風・不条理妄想系の千原がどのように立ち向かうかが見物です.有野を調子付かせないためには序盤を制するしかないわけですが,実際に千原は先行し,有野より先に場を支配しようと奮闘します.

まず千原が「小3だが喪主」とサスペンス風味でスタート.対する有野は「弓だが矢がコンパス」といつもの変なネタでスタート(笑)…情況がすでに読めません.千原の「ステッキだがマロニー」は佳作で恐らく次の有野の「煮込んだがまだ固い」はたぶんマロニーを引き取った流れではないかと.そこで千原の出してきた「従兄弟だが取り立てる」は板尾名人のような素晴らしい手.恐らくビデオで過去戦を研究してきたのではないかと.有野はここで長考し,「ルミ子だがケンヤはいない」と千原の支配に水を差しに.しかしまだ自分が優勢と見てさらに畳み掛ける千原は長考の末「妹だが取り立てられた」と重ねます.しかし,これはネタとして弱く逆にさっきの良い手を弱める結果に.そこで有野は「他人だが肩を組んで歩いた」とスタンダードに戻して揺さぶります.ネタが切れ始めた千原は「食べれるのだが硬い」は序盤の有野の影響がそのまま出てしまって今ひとつ.勝手に調子を崩す千原を横目に有野はマイペースに「犬だがまったく吼えない」とスタンダードへ.それに答える千原の「胃カメラだが短い」は不条理の良い手です.有野は医療ネタ連携で「意識はないのだがマフラーを編みきった」とさらに強いネタをかぶせます.必死の千原の「タイプなのだが殺す」はいかにも板尾風.有野は「スルメだが固くない」と序盤の流れに戻り,千原は「いい奴なんだがバツ8」と不条理に極端に.最後には有野が「血まみれなのだが大爆笑」と己の本道に戻って終了.

結果.序盤から中盤の爆発によって有野が名人位を再び得て終了.本当にうれしそうな有野が印象的です.うんちくとは違って他の番組で活躍するのは難しそうですが賞だってだけでうれしいんだろうなぁ(苦笑).最終戦で頑張った千原の芸風は恐らく「手堅い板尾」.「ん」はなかなかつかないでしょうが無頼風を吹かせるにはより一層の演技力と独自の着想を磨くべきでしょうね.にしても決勝レベルの戦いの品質の安定は,さすが4回目といったところでした.次回はぜひ,関東のしりとり名人にも頑張っていただきたいものです!

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コメント

すばらしいレポート、トラックバックさせていただきました。現場の緊張感がよみがえってくるようです。

投稿: kunichic | 2004.06.22 00:17

kunichicさん,コメントありがとうございます.トラックバックはどうぞお気軽に.

投稿: Rowen | 2004.06.22 00:35

 番組見てました。有野君は己の芸風も掛かってるから、この
世界(?)は狙って取りにいっている印象がありました。

 仰せのように、くりぃむほど浮き足立つ立場には行かないで
しょうが、業界内外のこの企画に対する知名度が上がってるのも
事実ですから、相方の身体を張った芸風で待遇に三倍の差を事務
所につけられてる有野君としては単なる企画ものの勝利の喜びと
一緒に、巻き返しのチャンスの意味も少しありそうに思えます。

 レビューは詳しく流れを追っていて下さって面白く読ませて
頂きましたが、審査員評とレビュー評が混在している箇所があり
、レビュー評が面白いだけにちょっと戸惑うところがありました。

 中でも有野君の終盤の王道ネタは、不条理ネタや困惑ネタがすぺ
った後に、「しりとり」の企画の本来のポジションを審査員に思
い出させて高得点を浚って勝つというパターンが多かったので、
その時の審査員への印象と、後から「流れ」や「センス」を重視
するレビュー評は、解るように分けて書かれたほうが良いように
思えました。ともあれ、これからも詳細なレビューがんばって
下さい。このレビューで内容を知る方も多いと思いますし(^^

投稿: 一葉 | 2004.06.23 03:13

一葉さん,コメントありがとうございます!
相方との待遇の差が3倍ですか! そりゃあれだけ大喜びするのもわかるような気がします.間違いなく面白い人だと思うんですが,余程解っているスタッフに演出してもらわないと一般ウケはしないんでしょうね…って他のしりとりメンバーも程度の差はありますが似たようなものか(苦笑).

レビューの書き方,わかりにくくてすいません.他のレビューもそうなんですけど自分は勢いと面白さの伝達最重視なので,気になったことを気になったタイミングで書いてます.なので,しっかり読んでくださる方には視点の混在が見えるんだと思うのですが,厄介なことに自分の中では混在しているという意識がまったくないんです.
そんなわけでどこをどう分けていいのか解らないのと,分けるとなると今より手間がかかりそうで,それが原因で書く気が失われるのだけは避けたいので,ご期待には添えなさそうです.折角時間をかけて書いていただいたんですけど,こればっかりはどうぞご勘弁ください.

でも,自分もちゃんとしたレビューはぜひ読んでみたいので,もしお勧めのサイトがありましたらぜひ,選りすぐりで楽しい奴を教えてください! 見に行きますんで!

投稿: Rowen | 2004.06.23 20:56

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