ケロロ軍曹#12
「それ軍としてはどうなの?の巻」
(A)うなされる冬樹が目覚めると,自分の上に宇宙人が寝ていた.彼女はすもも.宇宙レベルのスーパーアイドルだ.なんでこんな辺境惑星にトップアイドルが来たのかと思ったら,どうやらケロロ小隊を激励に来たらしいということで沸き立ち慰問ステージのセッティングをはじめる軍曹たち.でもコンサートの前はのんびりしたいということで,すももはアホトロン星人の変身能力で人間に変身して街へ外出.辺境のペコポンは宇宙通貨も使えない不便な土地だが,自分を知る人間がいないことに大喜びのすもも.しかし写真を撮影してほしいと頼まれたりしているうちにどんどん憂鬱な顔に.
(B)クルルが開発したベルトは,軍曹たちの戦闘能力を通常の3倍に高める上に風車もついている優れもの.しかし己の訓練の成果のみを信じるギロロからは「くだらん」とコメント.そんなギロロは雨の日に,濡れていた猫を助ける.
次の日.侵略会議に出席したギロロだが,何かおかしいと思ったらいつもかけていたベルトがなくなっていた.それが妙にツボに入ったらしい軍曹とタママに爆笑されぶちぎれるギロロだが,体のコントロールがうまくいかず突っ込むことができない.おかげで次々にものにぶち当たって痛く,かわりにまわしなどをつけてもバランスの崩れは直らず.このまま小隊の足を引っ張るくらいならと真面目なギロロは,愛する夏美にドリフのような言葉を残して除隊することにする.
今回は軽いコントを2つお届け.「ケロロ」にはこの形態のほうが合っている気がしますね.男だけ,あるいは女だけがギャグ要員というのはよくあるんですが,ケロロは男女混交でギャグをやっているのが珍しい.本来この構造だと添え物になってしまいかねない女の子たちがイキイキと勝手に活躍しているところは「ケロロ」の優れた点だと思うので,今回だけでなくぜひ今後も愛らしく動かしてもらえるといいですね.
前半は宇宙のアイドルすももちゃん.アホトロン←アホロートルというわけでモデルはウーパールーパーなんだろうなあたぶん.登場当初はそのへんてこデザインで大丈夫かと思ったものですが,人間の姿に変形したところで疑問は氷解.ペコポン人に化ける際にあの愛らしいデザインを即座に選択できるコーディネートのセンス,そしてどんな情況でも他者の目を集めなければ生きていけない強い自己顕示欲.これならアイドルとしてやっていけますね.そんなトップアイドルのオーラの直撃を受けた軍曹はなぜかやり手のイベンターに.きっと近隣の宇宙テレビのネットに入っている星の住人にチケットを売りまくったんでしょうが,結果的には恐らく大変な負債が.ばかばかしいと言い切っていたギロロがモアさんと一緒になぜかチケット販売やらされているのと,意外とクルルが素直に物販を手伝っていたのがおかしい.ギロロは命令されたんでしょうがクルルは自分が気にいらないと働かないはずなので…ファンだったんだろうなぁ(笑).
実はちょっとした気の迷いからペコポンにやってきたすももちゃん.しかし他者の視線がないと生きていけないアイドルの魂からカラオケステージに乱入して支配.さすがの才能であっという間に客が大挙.もう普通の女の子じゃ我慢できない!と帰るすももちゃん,とりあえずグループ脱退とか芸能界引退まで思い切らないうちに己の気持ちを確認することができてよかったのではないかと(笑).
後半はギロロが大変なことに.誰でもニュータイプにしてしまう素晴らしい3倍ベルトは愉快なのですが,ベルトがなくなりバランスが取れなくなってしまったゆえに戦闘能力が大幅ダウンしてしまったギロロが気の毒.「たかがベルト」と思う向きもあるかもしれませんが,どんな商売でもプロは自分の道具にとりわけ気を配るもんなので仕方がないかと.ケロンの足元の細さからするとあのベルトはバランスをとるのに随分と影響していたようで,見事に吉本新喜劇系のぶつかり芸を体現しているギロロはとても気の毒.それに比べ,軍曹たちは確かに面白いですがあんなに爆笑しなくても(苦笑).実際,ツボに入るってのはあんなもんなんですけど,いくらツボでも現在進行形の現象を笑うのはやめようと思いました.もちろん終了した現象に対しては遠慮なく笑う方向で.
己の無力さに除隊を申し出るギロロ.あのまま地球を離れたら恐らく宇宙の藻屑となるに違いなく.しかしそんな一介の有能な軍人の命を救ったのはあの猫で,ギロロを追い詰めたのはクルルでした…己の研究のためなら面白半分に仲間を死地に追いやっても後悔しないであろうクルルに,だめだが深い共感を覚えるのはなぜだろう(苦笑).ベルトの中には夏美の写真というわけで,無理にクルルが作らなくてもギロロは副作用のない3倍ベルトを既に手に入れていましたとさ.
ツッコミゆえに通常はメインで活躍することの難しいギロロですが,長いシリーズならば主役を張れるチャンスが何度かあるかも.あの楽しそうな動かし方からすると作る側もギロロが大好きのようなので,今後もぜひその気持ちをそのまま作品にぶつけていただきたいものです.
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