ケロロ軍曹#10
「面白い教育目的番組の巻」
地球侵略をもくろむケロロ4人組.しかし今日も今日とてお菓子広げて夏美とだべる軍曹.ペコポン人を油断させる作戦だと言い切ってお菓子を大量投入しているのだが,軍曹の真意が気になるギロロ.もちろん軍曹がお菓子を大量に食べたいだけの計画だ.ところが軍曹の歯に突然の刺激.軍曹絶叫.奥歯からの激痛でびきびきがんがんやられる軍曹の様子を見て基地で見守っていた連中は緊急発進.仰々しい小隊の様子にたかが虫歯じゃないかと考える夏美だが,虫歯をなめてはいけない.虫歯は極小宇宙人の秘密基地なのだ.はいはいごめんよーとクルルはコンコンと虫歯を叩いて軍曹をいびる.軍曹の虫歯こと宇宙人の軍曹侵略を食い止めるためのカリエス大作戦が開始.ミクロイド光線で小さくなり,ギロロとタママは見事なガンダムぶりで軍曹の口中に突入.
静かな口中に響く2人の足音.そこに敵の侵略宇宙人が襲来.タママが暴走し軍曹の口中で炸裂するが,全て当たらず敵を倒すことができずに戻ってきた2匹.敵は凶悪宇宙人の超ダリーで,このままでは明らかな戦力不足.だったらボクが!と言いかける冬樹を遮ったのはクランケの軍曹だった.
なおも抜群の安定感で展開中の「ケロロ」.今回はサンライズのお家芸であるガンダムギミックをこれでもかこれでもかと叩きつけます.ただし台詞ではなく構図・要素・効果音などで主に処理しているあたりが正しいですね.こういう使い方なら,ガンダムがよくわかっている親とわからない子どもが一緒に見ても楽しいでしょうから.それとクルルの根性悪ぶりが随所で発揮されているので子安の落ち着いた(笑)演技を楽しむのも良いでしょう.
冒頭からだれっぱなしの軍曹は,お菓子が食べたいからと適当な作戦を立案.指揮官としての職権乱用も甚だしいわけですが,どうもあのチームだと軍曹だけでなくギロロ以外の他の面子も似たり寄ったりの乱用はやっている気がしてなりません.地球に侵略しに来た宇宙人に侵略されてしまったうっかりさんの軍曹.虫歯はやっぱり早めに歯医者に行った方がいいと思いますよ.我慢したぶんだけ通う時間が長くなりますし.そのような教訓的要素をうまく笑いにからめるという手法は,モニタに接近するギロロたちのシーンでも使われてますね.仲間に確保された上に,よく冷えた水等で確認されている軍曹がどうにも痛々しく.「コンコン,コンコンコン」なんて叩かれてたらそりゃ視聴者だって軍曹が錯乱したのかなーとか普通に思ってしまうわけで.それから,ナース姿のモアさんは素晴らしいですな.
ケロロとタママが小さくなった割には効果音などが巨大ロボット(というかガンダム)の第1次カリエスウォー.しかしタママのノーコンぶりで撤退.後半は錯乱したわけではなかった軍曹,隊長なので率先して危険地帯へ!と脳波コントロールロボット・ケロロBが登場.屋根に登るためには随分とオーバースペックです.そして頭に装備されている導火線.新戦力として参加するのは冬樹と夏美さん.そんな夏美さんを守りたいギロロの熱い気持ちはナレーションにすら翻弄される始末.
そしていよいよはじまる口の中の戦争.カリエスウォーは前半でもガンダムだったのですが,後半はさらにガンダム.というか最近見たアニメの中では「ボーボボ」と並んで実にロボットらしい良い動きをしているという事実はどうなんだろう(笑).特にギロロと夏美さんの命中率100%コンビの気持ちのいい戦いぶりはなかなかのものです.
そして戦いも終盤に至れば巨大ボスの出番です.まあその前に自分の神経という弱点に軍曹はやられているわけですが.ラスボスのマザーは巨大な美人.よい暴れっぷりでさすがに一時退却しようと思ったら,神経をつつかれて救助艇に乗れなくなってしまう軍曹.全員脱出命令を発し,置いていかれるメカ軍曹はかっこよく.ここで秘密兵器を発動させようとしたら宴会芸セット.ここの外しっぷりと直後の展開は本当によくできていて,軍曹と視聴者の予想と違うことで笑わせ,さらにそれがやはり視聴者の期待する予想通りになっていくということで重ねて笑わせる,スタンダードで良いコメディの構造になっているのが素晴らしい.
後日談はちゃんと歯磨きする軍曹の横で夏美さんの歯が…というわけでまたも素敵なサバゲーがはじまって終了.一度見る側が期待してしまったものはきっちり提供することがギャグには必須です.しかし良い仕事だけでは飽きてしまいますので,今後どんな風に今の番組の枠を壊していくのか,そのあたりに注目しつつ次回に続きます.
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