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ギャラクシーエンジェル#6

「実験企画はとりあえず褒めとくの巻」

(A)材料を持ち寄ってスキヤキを楽しもうとするエンジェル隊.蘭花は牛肉,フォルテはとうふ,ミントはしらたきでそしてヴァニラはねぎを担当.残るミルフィーユは鍋と卵の担当なのだが鍋が一通り出来上がってもまだ来ない.食い意地の張った4人は先に食べようとするが鍋から暴れ牛登場.「お前何やった」と周囲から責められる蘭花が白状するところによると,無念の死を遂げた闘牛の肉なので極上だけどタダだったという.もしそれが本当なら自分たちではなく闘牛士を恨むべき牛なのだが,そういえば…と飛び入りでその闘牛をバズーカで倒した心当たりがあったフォルテ.牛が出ただけでも困った状況なのに,今度は豆腐としらたき,続けてねぎまで増殖.増えた理由は牛と同じく無念と無料.牛とともに巨大化し暴れるしらたきと豆腐とねぎに巻き込まれ,どうしようもなくなったエンジェル隊.そこにミルフィーユがようやく登場する.

(B)それは長く儚き歴史の物語.ウォルコット帝国の誕生と同時に属国となった5つの国からウォルコットの元へ送り込まれた5人の姫.姫たちは王妃として城で暮らすことになったものの,王並びに城内の重官たちを相次いで暗殺.その結果結託した5人の王妃が帝国の実権を握ることとなる.しかし王妃たちの悪政によって国は破綻し,民は圧制に苦しむこととなった.そんな暗黒時代に市民として立ち上がったのが烏丸ちとせ.彼女を旗印としての市民革命が起き,その結果2人の妃が断頭台の露と消えることとなる.しかし歴史はここで留まることなく,赤く残酷なる流転を続けるのであった.

投げることこそ己の道とばかりにナンセンスを突き詰める「ギャラクシーエンジェル」.今回は因果が巡って絡まって放置の物語2つで攻めてきましたよ.前半は他愛なくお約束をやりこなしているわけですが恐ろしいのはやはり後半.淡々と進む歴史を淡々と突っ込む解説ということでギャグとしての難易度の高さが際立ちます.ある意味冒頭からラストまで投げっぱなしとなりますんでこの時間帯じゃないと無理でしょうね.しょうもない話を視聴者が見ることによって初めてギャグとして完成するライブ感の強い1作で,特に激しい実験作は褒めることにしている自分としては褒めざるを得ません(笑).
前半はエンジェル隊スキヤキを食そうとするの巻.序盤から妙に平穏な鍋風景と「買い寄って」のような不審ワードで見ている側はどんどん不安に.肉を取り合う娘どもはこの作品としては特に問題もありませんが,牛が出てくるあたりからやっぱりいつものダメなノリに.フォルテがバズーカで殺した闘牛の肉でタダで持ってきたランファ.…どちらかというと悪いのはフォルテさんか? たとえ理由ありだろうと無料商品を選択するエンジェル隊の面々.もちろん預かった金は使い込んでいるに違いありません.ヴァニラさんもつき合い良く理由ありを購入してしまったおかげで大変なことに.しらたきに巻き込まれたり豆腐から生えたりする光景は素敵にナンセンスなんですが,この作品では日常風景っぽくて嫌だ(苦笑).
そして登場する真打ミルフィーさん.宇宙の全てに愛される強運娘さんは当然のように牛だけでなく他の具材もを事前になつかせておきました! 見所としては巻き戻りシーンの素材が懐かしいです.そしてお盆なので具材たちの無念の魂を慰めるため,ミルフィーさんお手製の絶品の割り下で食べることを宣言! 渾身・涙の割り下で食すことで具材たちは生命の連鎖に戻されて永遠の命を得るのです.そしてそんな騒動の原因となった鍋こと怨念増幅ロストテクノロジーを持ち込んだのもやはりミルフィーさんで素敵なマッチポンプ.

でもって問題の後半.いきなり舞台からはじまってもうやる気満々です! ベル薔薇銀英伝ガンダム三国志北斗の拳そのとき歴史は動いた小説吉田学校等々,英雄的な個人が時代の渦をつくり,その無情な時代の渦に無力な個人が流されたり流されなかったり英雄まで流されたりという様をあくまで傍観者として眺めるのが歴史物の楽しみ方.その構造でナンセンスをやるなんてのは「バブリング創世記」や「虚構船団」で実に筒井でSFです(笑).観客は物語の構造から傍観者の位置に押し込まれるんですが,その傍観者の位置のまま生暖かく歴史の流れを見守るもよし傍観者の位置を離脱し激しく突っ込むもよし.淡々と流れる物語は全てネタという構造になっていますのでコメントが書きにくいったらないんですが主線がエンジェル隊でアレンジに入ってくるのがツインスター隊で,物語は同じところをループしながら変な方向に発展展開.先駆的な小説と同じく,物語の淡々としながら猛スピードのリズムを感じとる方向で頑張ってみると楽しいはずです.
王を独占したい5人の王妃だったはずが王を暗殺したあたりからおかしなことに.ランファさん,見た目重視だから殺すってのはどうよ.そしてミルフィーさんの無邪気な暴れっぷりがなんだかな(笑).そんな5人の場の支配もつかの間,そしてちとせさんが5人の居場所を奪ったのもつかの間で,甘えんぼさんなので権力に身をまかせたとき勇者は忘れ物していました! 王妃ランファさん参上で1対18万で勝利するマッチョぶりでランファ政権樹立.ここでなんと筋肉優先世界で超兄貴みたいだ(笑)そんな地獄を傍観する旅の大魔道士.しかしランファさんビジュアル的に耐えられず世界は麻のように乱れ,更に立つのがヴァニラさん.地下に工場でノーマッドモビルスーツで戦いを挑んでもランファさんビームには勝てず.しかしランファさんの自爆に乗じてヴァニラさんが政権の座へ.陰にまわってミルフィーさんを傀儡に仕立てても結局廃墟に.あらゆるものは進まないかループしていて歯噛みしたいような展開の中,この時代は伝承となるも文明崩壊でまた幕をあける巨大なループループ.
きっと一度やってみたかったんだろうけど本当にやる奴はバカ以外の何者でもないなとかナレーションの台詞がもう少しリズムに乗ってくれるとさらにすごいところまで行けたのに惜しいなと思ったりしながらも,ここまで実験企画なだけでも褒める!と言い切りつつ,にこにこしながら次回に続きます.

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