ギャラクシーエンジェル#7
「ロックにデストロイでゴートゥーヘルの巻」
(A)いきなり開催されることになったバンドコンテストに蘭花はエンジェル隊で出場するのだと燃えていた.その勢いに引きずられたのかエンジェル隊はオーディションを受けることに.しかしオーディション会場には蘭花以外の4人しかいない.残る蘭花はどこかと思ったら審査員の背後から窓を突き破って突入する見事なROCKぶり.確かに審査員の価値観を蹂躙できているのかは定かではなく,傍から見ているとただ暴れているだけだ.ところがこの行為が審査委員長の琴線を直撃.グランプリとなりCDデビューまで決まってしまう.もちろん楽器は一切できないエンジェル隊なのだが,蘭花が「ギターが弱い」とまたもROCKな主張を開始.たまたま担当していたフォルテに対し,脱退・除隊まで強いる蘭花.しかも藤子先生を髣髴とさせる風貌の天才ギタリストを外部より招聘.歌とギターはその見た目の反して実にうまく,聞きほれたフォルテは己の力不足を痛感し脱退.天才ギタリストがその名を継いで「新フォルテ」と名乗ることになる.
(B)ウォルコット中佐の朝はエンジェル隊の連中に朝食をつくることから始まる.半分眠っていたり文句が多かったりと問題児揃いだが,彼女たちを無事に朝食を取らせた上で宇宙に送り出すのが彼の大切な仕事だ.それから,同僚や上司からの小言を聞いたり,エンジェル隊からの「ごめん」というとんでもない報告を受けて叱られることも.今日はさらにミルフィーユに夕食の材料の買出しを頼まれたのでスーパーに出かける中佐.落としそうになった豆腐を死守できたのはよかったものの,いきなり猫マスク強盗団がやってきて笑顔の素敵なレジのお嬢さんを人質に取るという緊急事態が発生する.
いつもだと本当に気持ちのいい投げっぷりを見せてくれる「ギャラクシーエンジェル」のはずが,今回は妙にお行儀がよくてかなりの違和感.ナンセンスはある程度以上のテンションがないと普通の「変な話」に終わりかねないわけですが,今回は前半後半ともこの脚本に必要とされているところまでテンションが上がっていきません.話自体は素直でバカで面白いし演出も素直で大きな難はないのですが,2つを組み合わせるとどうにも淡々としすぎてしまって演出と脚本の両方が勿体無い.これは相性が悪かったんだろうなぁ.作画は相変わらず抜群なんですけどね(苦笑).前半の方が面白いですよ.
前半は何はともあれロック.なぜかランファさんが劇症のロック菌に感染したようで奇行を連発.男さえ絡まなければ比較的普通の感性の持ち主だったはずが,ものの見事なROCKっぷりで他のメンバーまでその世界観に飲み込む始末.窓から飛び込んでくるあたりは実に思ったとおりの展開で,審査員の言動が変にリアルだった分だけ実に爽快.「価値観の奴隷の固定観念をぶち壊す」という名目の暴力だったはずが,当たり所が悪かったようで(笑)審査委員長が泣いてグランプリになるというROCKぶり.そして演奏したことがないのに「弱い」と言われ納得してしまい脱退するフォルテさん.ビジュアル面は十分と考え音楽面での強化を選んだランファプロデューサーの英断ですが,切られるは名前はとられるわとフォルテさんにはたまったもんじゃありません.ここで首になった姐さんがギターを買っているあたりはバレバレの伏線です.
ビジュアルも音楽もそれなりにパーフェクトで快進撃を開始し,一躍マスコミの寵児となるエンジェル隊.フォルテさんの服を着る新フォルテ,妙に似合っているのはどうしたらいいのか(苦笑).武道館,全国ツアーとどうやらここは現代日本らしく,そしてまるでギャグマンガのように瞬く間に頂点に達するエンジェル隊.ビルの屋上で夜風と頂点を味わう5人のはずが…芋けんぴがなくて仲間割れ.確かにちょっと硬いですがうまいですよね.仲間割れをパパラッチされたおかげで頂点から滑り地の底に落ちるランファさん.しかし! 本当のROCKは常に踏みつける奴を下から睨みつけることなのでむしろここからが真のスタート.前進,上昇,成り上がりこそロックです(笑)! そして復活ライブ開催.ギターの新フォルテ不在の穴も伏線の元フォルテがギター抱えて戻ってきて助力! 上を目指すランファの志に再度惹かれ集まったエンジェル隊のはずが,幕が開くと新フォルテが真のROCKに! 成り上がりに! ランファサーンボクモドッテキタヨ!(笑)多くの者が上を目指し,互いに踏みつけあいながら世代を重ね,やがて誰も到達できなかった高みへと到達することこそROCKの心意気.しかしもし,その高みには何もないのだとしたら…諸行無常はROCKというのも正解?
後半はウォルコットの主夫っぷり.5時半に起床して朝食をつくって文句を言われるところまで,その主夫っぷりが実に見事.そういやエンジェル隊の面々の両親は今どこでどうしているんでしょうか.とりあえず出来の悪い子ほど可愛いらしく,娘たちがうるさいのもロストテクノロジーを使った極悪ないたずらで叱られるのもとんでもない報告を受けるのも全部仕事.体は辛くなさそうですが,精神的には余程タフでないとやっていけない職場です.「住めば都」とか言ってますが,それはむしろこの過酷な状況の中でストックホルム症候群となってしまった可能性が高い(苦笑).
お使いに出かけたスーパーで一転するウォルコットの運命.お豆腐に手間はかかるが可愛い娘たちの姿を重ねつつも,もちろん笑顔の美しい女性に危機が迫るとなれば身を張って彼女を助ける男意気を見せます.猫強盗団の覆面と語尾がOPにもご登場の例のアレですね(笑).助けた女性に「好きでした!連れて逃げて!」と衝撃の告白を受け,そのまま2人逃げ出すウォルコット.夕日を浴びる海岸で,ウォルコットの(笑)歌声が流れる中,エンジェル隊もツインスター隊もいないがゆえにものすごく地味でちっとも萌えない映像が深夜に延々と流すという嫌がらせに近い行為をやってのけたメタ的なナンセンスさとその根性は素晴らしい.ただし,これはなけなしの視聴率と等価交換なので他の特に長期シリーズは真似してはいけません(苦笑).彼女との小さな安らぎを愛しながら,ストックホルム症候群ゆえに極悪の娘の下にのこのこと戻っていくウォルコット.もちろんお使いで買った食材が晩御飯に反映されている様子もなく,やたら媚を売ってくるなと思ったら当然のように下心ありありのエンジェル隊で実に気の毒.たぶんその状態は「幸せ」よりは「地獄」に近いと思われます.次回はもうちょっとテンションがきっちり上がりきってくれるといいなと思いつつ,次回に続きます.
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