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ギャラクシーエンジェル#12

「あの連中に関わろうなんて命知らずもいいところだなの巻」

(A)任務中,ちとせは復讐に使えそうな「命と引き換えにぬいぐるみにするロストテクノロジーの杖」を拾う.復讐に対する執着心の強さはエンジェル隊にこそ似合いだと,ツインスター隊から配置換えされるちとせ.しかしエンジェル隊の面々はちとせを完全無視.そんなに自分が嫌いかと感極まるちとせに対し声をかけたのはノーマッドだった.ちとせはどれも中途半端なので存在感がないのだが,最も大きな問題は無償のはずの愛に見返りを求めていることだった.キャラを強め無償の愛を体現するため,ちとせは思い切った行動をとる.

(B)いい男だがダメ男のジェイにやたらご執心のヴァニラにノーマッドは気が気ではない.ジェイの行くところならどこにでもストーキングを敢行するヴァニラだが,そのきっかけとなったのは雨の中のたった一度の邂逅だった.そりゃひとめぼれだと周囲に言われても絶対に信じたくないノーマッド.他のエンジェル隊メンバーにヴァニラを救ってほしいのだが全員が静観の構えをとり,そしてヴァニラはもう止まらない.

今期投げて投げまくった「GA」もいよいよ終了間近.シリアスは前回こなしたので残る4話は一心不乱にギャグるつもりに違いない.ただし今回は投げよりも中盤の転がし具合が両方とも楽しく,全体としてのベストではありませんが脚本の両氏の持っている強みが今までで一番よく生きた愉快話ではないかと.短時間にエピソード満載でもきっちり転がせる力量,女性ならではの男性に対する視点の鋭さ,両氏とも今までで一番輝いてますのでしっかりと面白い.そして両話とも視聴者とエンジェル隊について暗喩している部分が多く,その底意地悪さが楽しいですよ特に後半.

前半はこれまで随分と割り食っていた烏丸"復讐"ちとせさんをクローズアップ.エンジェル隊が濃すぎるがゆえにまったく仲間入りできなかったちとせさん.今回はぬいぐるみの杖という復讐道具ゲットの上に辞令でエンジェル隊に潜り込むという好機を得るわけですが…キャラとしての中途半端さゆえに相手にしてもらえないのはいつもの通り.気の毒に見えるのは彼女が復讐心以外は普通だからでしょう.ちとせさんは「エンジェル隊と一緒に過ごせたらきっと楽しいだろうな」という視聴者の無邪気な希望をそのまま体現していますが,現実ってのは厳しいもんで,ちとせさんほど現実的には濃いキャラであっても「あの」エンジェル隊に新規加入するにはキャラが立ってないという恐ろしさをノーマッドは指摘.もしこの作品が昼間のものだったら次第に受け入れられていくはずなので,「ダメなものはダメ」と拒否されるこの芸風は実は深夜ならではです.
ノーマッドからキャラの薄さと「無償の愛」についてアドバイスを受けたちとせさん.復讐を取りやめた上,報酬を受け取れないぬいぐるみに己の姿を変えてエンジェル隊に再挑戦.ぬいぐるみ要員で癒し路線にキャラを変更.確かにこれくらいダイナミックなキャラの変更だとエンジェル隊も気にはしてくれたんですが…飽きるまでにかかる時間が一瞬ってのが無情(苦笑).
表面上の変化くらいでは誰も関心を示さないという脅威のタレント軍団エンジェル隊ですが,ちとせさんは内部紛争の間に入ることによってキャラ立ての道筋を掴みます.確かに全員十分すぎるほどにキャラの立っているエンジェル隊ですが,逆に黙って悩みを聞くという逆ベクトルのキャラは彼女たちの対極にあって空席,そこに見事におさまったちとせさんはキャラ確立に成功! 「黙って聞く」あたりがミソでノーマッドでは突っ込んでしまうのでできない役柄なわけですね.
ようやく3人には気に入られ,立ち位置を得たちとせさん.必要とされる喜びを味わったのもつかの間で,引っ張られて壊れてごみ回収ですぽん.さすがはエンジェル隊.通常構成に1人を加えるということはそれだけ元からいるメンバーの出番が減るということなので無意識のうちに粉砕です.さすがベテラン芸人(笑)! 投げは弱いですけども特に中盤(ぬいぐるみ化)がよく破綻しているので,きっちり面白いのが素晴らしい.

後半はヴァニラさんというよりはノーマッド全開.エンジェル隊への手出しはできないものの口だけは出せるという彼はまさに視聴者並びに作り手の意識が最も色濃く投射される対象…すなわち最高のツッコミ要員なわけですが,そんなノーマッドが大ファンのヴァニラさんが他の男に興味を持っちゃって燃えさかる彼の嫉妬心.そりゃ視聴者だってお気に入りのヒロインがあんなのとくっつく筋書きになったら平静ではいられないんでしょうが,でも周囲のコメントは妥当な場合が多いので耳を貸すべきだと思いますよやはり(笑).現実逃避を続けるノーマッドに追い討ちをかけるエンジェル隊の皆様.一目出会ったその日から恋の花咲くこともある.これが真実でないのなら,世の恋愛関連作品のかなりの割合のものが姿を消してしまうのです.でもミルフィーさんのケーキは飛躍しすぎ.「男の嫉妬はみっともない」と至極もっともなご意見に対するノーマッドの「ハナクソ食べて死んじゃえ」ってこの時間帯にガキネタぶつけてくるあたりのバランス感覚がものすごいなぁ(笑).
ジェイに対して猫まっしぐらのヴァニラさんは新たなるステージへと歩みだします.夜の街でジェイにかつおぶしをあげるヴァニラさん.ジェイの背中にまぐろの刺身をぶら下げるヴァニラさん.ジェイに拾った魚の骨をあげようとするヴァニラさん.ノーマッドの嫉妬のおかげでごまかされてるんですけども,冷静に考えればどれも気味が悪いのは間違いなし.しかし「不思議少女」というヴァニラさんの設定ゆえに彼女の行為の意味を直球で受け取ることができなくなっているノーマッド&視聴者(の一部).ヴァニラさんの誠意?をないがしろにするジェイに本気で怒るノーマッドに対しいたって普通人のジェイは「二度とそのツラ見せんな」とご返答.しかしこの回答すら実はヴァニラさんには心地よく.
そしてヴァニラさんの壮絶なる仕上げ.謎の粉末を使ってジェイをお魚に! これは病気ではなく当然呪い.まさか恋ではないよなと思いつつ見ていた大半の視聴者にとって謎だったのはその動機.でも…そんな理由かよ(苦笑).ちとせさんのいけてるミドルネームが動機だとすれば納得もいく行動でついでにエンジェル隊全員が巻き込まれて終了.一番愉快だったのは己の手の届かない対象の恋愛事情に右往左往する男の哀しさと滑稽さだったりするので,笑うときには己の胸に手を当てろ(笑).こちらも次で最終回.深夜風に見えないけれどしっかり深夜的なネタや構造ををちりばめてきた「ギャラクシーエンジェル」もこれで一旦見納めということで,ぜひ最後を飾るにふさわしいものすごい投げを期待しつつ,次回に続きます.

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