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ギャラクシーエンジェル#11

「日の光があれば大丈夫だけど前半は強すぎだの巻」

(A)ご機嫌でリゾートに向かうエンジェル隊.しかしこれはウォルコットの差し金で実は機中にハイジャック犯が乗っているという.同じく差し金で同乗していたメアリーと一緒に,エンジェル隊はハイジャック犯を捕えることにする.とりあえずフライトアテンダントをふん縛り制服を奪った上で活動を開始するエンジェル隊の面々.犯人の特徴である身長がわからないため,乗客に銃を突きつけて無理やり立たせると条件の該当者が2名出現.そこでミントがどちらが犯人かを自慢のマシンで調べてみると両方とも犯人だと判明したのでそのままふん縛る.ハイジャック犯の逮捕というよりはリゾートのためならば,もはやエンジェル隊を止めるものは何もない.

(B)エンジェル隊の紋章機が向かったのは雨の降り止まぬ惑星.降らせているのはロストテクノロジーに間違いないが,それのある場所が問題だった.戦いに疲弊したこの惑星で,戦災孤児となった少女の胸に輝くロストテクノロジーの石.その石を通じ,彼女の精神状態がこの惑星全体に影響しているがゆえの降り止まない雨.雨のために内戦は中断されたが,星から人は消え,今は偽善者と貧乏人だけが残る星となってしまった.この星を雨に封じ込めている少女のところで,ミルフィーユは紅茶を入れる.

素晴らしい投げが身上の「GA」,今回,前半は暴力的なまでに激しい投げが堪能できます! これほど高いテンションになると,技術力以上に作る側の精神力の維持が難しいはず.気合の入れっぷりも角が立ちまくる尖った展開も実に若々しい! でもって後半はシリーズ中1回くらいやっておきたいシリアス話.もちろんこれは視聴者の見たいものではないんですけども,それでもこういう話をやろうとする理由は自分にはなんとなくわかるのです(苦笑).

前半は高テンションで転がるようにベタネタ展開.「何か大切なものを失いつつあると解っていながら全力の笑顔で最後まで振り切ってくれる素晴らしい芸風」って前も書きましたが今回もその通り.石橋氏の吹っ切れっぷりが一皮剥けて凄いやこりゃ(苦笑).序盤で周囲の迷惑顧みず歌っているあたりから今回のエンジェル隊は迷惑だと誇示しまくりなんですが,それに合わせるかのようにウォルコットもいつもに比べると随分とわがまま.今回のツッコミの主力はメアリーさんで,エンジェル隊の暴力ボケに対して激しく突っ込んでいきます.ぼそっと呟くしかできないノーマッドに比べるとずっとわかりやすいツッコミで,このツッコミが全体のリズムとテンションを底支えしているのです.
ハイジャック犯を捜すというミッション,というかお題の中で,エンジェル隊がご披露する激しい暴力ボケ.スッチーの制服を奪うあたりは序の口で,乗客に銃口を向けてみたり犯人を拷問にかけてみたりとやりたい放題.ハイテンポなのであっさりげらげら笑って見られるんですが,よく考えるとネタの黒さは相当のもので,深夜帯とはいえ同様の事件が起きたら放映できなくなるくらいにはきつい.しかしこれを地上波で不特定多数に放映できる日本って,本当に平和で素晴らしい.ミントさんのマシンによる地獄責めなど,萌えアニメ(もどき)の主役格がこれほどまでに鬼畜以下でいいんでしょうか(苦笑).
メアリーさんの必死のツッコミなどどこ吹く風でシャトルの中をなおも暴れ続けるエンジェル台風.今度はヴァニラさんを捜す過程でコックピット内が壊滅するんですけど,フォルテさんの「わかれよ!」が無理がありすぎて素晴らしい(苦笑).仲間は確かに大切だけども.そのためにハイジャック同様の行動を取るのはやっぱり間違ってるなんてことは視聴者は十分理解しておりますよ.んでもってスッチーが機がハイジャックされたと機内に伝え,晴れてエンジェル隊はハイジャック犯として正式認定されました! おめでとう!
ミルフィーさんの運と周囲の証言によって犯人エクセル・シオーレが座っていたと思しき席を発見し,いろいろあってコックピット壊滅.でも犯人はどこにも見つからず.エクセルさんはどこにいるかを捜す皆さんが最後にたどり着いたのは身内を疑うこと.まずはエクセルはメアリーさんだと迷推理した上で,エクセルは男だという情報からフォルテさんが犯人だと疑われるという間違いだらけの密室推理劇! フォルテさんがお持ちのわがままなもの,そりゃもうぶりんぶりんのばりんばりんにわがままに違いありません(笑).で,結局犯人は見つからず代わりに逮捕されるエンジェル隊.今回のフォルテさんのハジケっぷりは特に凄かったからなぁ.エクセルはしっかりいてオチ自体はちゃんとついてるんですけども,シリーズものならば最終回になっちまうというこの終末の状況こそが番組名物の「投げっぱなし」です.

後半は前半のアレが夢だったのかと思わせるくらいにシリアス.人を笑わせるにはかなり高度な技術が必要なので,ギャグが十分にやれるチームの技術力は基本的にかなり高いと考えて間違いないんですけども,いかんせんシリアスとは別軸になってしまうのでそのままでは比較ができません.そこで現在のチームの強さについて他番組と比較できる形にして見せつけるのがこの話.例えるならば芸人のドラマ出演や鶴太郎の絵のようなもんですね(笑).愉快で面白いのばっかりやっているからこそ,たまにはシリアスだってできるんだと見せつけたくもなるんだよ! だから,だから…気にくわなくてもそっとしておいてやってくれ(苦笑)!
少女に貼りついたロストテクノロジーの石によって雨が降り止まない惑星.戦災孤児である彼女の心が惑星全体の気象に影響してるなんて設定は15分前とは同番組とは思えないくらいにシリアス.そんな彼女に何かを感じ,一生懸命交流を図るミルフィーさん.少女が降らせた雨によって,彼女をこんな立場にしてしまった内戦は終了したものの,その代償にここに残ったのは偽善者と貧乏人だけで他の人々は外に出ていってしまう.己を襲う苦しみに対して泣き続けた彼女,止まない涙ゆえに苦しみは止みましたが,その後まで泣かれては周囲の人も離れたくなるってもんです.そんな彼女の側にやってきた天使・ミルフィーさんは彼女の涙を止めようとします.紅茶を使い,無生物であっても周囲からの気持ちには答えるものなのだと示したいようですがうまくいかず.紋章機で舞い上がり強制的に彼女の涙を止めてみることに.ロストテクノロジーである少女を奪ったミルフィーさんを追う軍に攻撃されながらも,ミルフィーさんは少女を連れて圏外を目指します.
辛くて苦しい雨の彼女は,そのまま現実の暗くて悲しい世相とそこに生きる視聴者を例えたもの.こんな暗い世の中に対し,制作者は様々な妨害を受けながらも,光…つまり笑い溢れる世界を目指すのです.この生真面目な展開の中だと「ボケなんだけどなぁ」って呟きが随分と愉快ですが(笑),ミルフィーさんが暗喩する制作側としては特別な計算ではなく,ただ笑わせたいからやっているんだと言いたいんだろうなきっと.暗い世の中のことなんか考えるのは辛くて悲しい.だから無視してひたすら自分たちの利潤やら芸術性やらを高めていくだけの物語の作り方もあるはず.けれど,それは雨の少女を殺すのと一緒で,先に何も残りはしません.
暗いこの世界にも光=笑いさえあればもう一度輝ける良い物があるんだと少女を空の上に導くミルフィーさん.地表は辛く悲しい事件に覆われてはいるけれど,それよりもっと高いところは優しい笑いに満ちていてきっと眩しい.その眩しさを少女である視聴者に教えようとする道化のミルフィーさんには,きっと少女である視聴者からの笑いの光が差し込むのです.
暗くて辛いからこそ自分たちは笑わせようとするんだと短い時間で一生懸命語っている,作り手の誇りに満ちたいい話なんじゃないかと思います.いや,考えすぎの可能性もものすごく高いんですけども(笑).そして笑いの光,今回の場合は前半が強すぎると思います.あんまり強い光を当てると花だって焼けてしまうんだから気をつけろ(苦笑).残り話数もわずか.シリアスもこなしたことだし終局に近づいてもいつも通りにきっと投げて終わっていくんだろうなと思いつつ,次回に続きます.

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