第5回しりとり竜王戦・予選
人間の想像力の果てで踊る好企画「しりとり竜王戦」.第5回の予選についてお届け.
ようやくスポーツシーズンも終了したということで,今回はまさに祭り状態のメンバーを揃えてきました! 板尾,渡辺(ジャリズム),小堀(2丁拳銃),高山善,千原(千原兄弟),ピエール瀧,川元(ダブルブッキング),大久保(オアシズ),ブラザートム,哲夫(笑い飯),江川達也,有野竜王とまさに実力派オールスター状態.ものすごい顔揃えがうれしいんですけれど…ちょっと多すぎないかこれ(苦笑).いつもは予選2ブロックで展開しているのですが今回は3ブロックに.人数が増えてしまったがゆえに1人に与えられる回答の機会が大幅に減少.そのため,序盤から全力でハジケていける「しりとり」出場経験のあるプロの芸人が特に有利な回となりました.戦いは比較的短時間で終了してしまうので,名人たちの言葉を使った拳のやり取りの妙味は薄かったかも.
今回の司会陣はいとうと勝俣に加えて松尾.甘い勝俣・辛い松尾となるのでかなり良いですね.今回は天然がいないので,予選の段階からガチンコの戦いが繰り広げられることとなりました.
まずはAブロック予選.板尾,渡辺,小堀,高山…マスクドと竹之内の両方が(笑).本命の板尾さんは元気そうで,渡辺も非常に調子がよさそうです.小堀は昔からこういう芸風なんだけど,勝手がわからないのかほのぼのと抜けてるなぁ.高山が調子が悪そう(どうも病み上がりらしいの)で少し心配です.
1戦目は「しりとりセンスマッチ」.テーマに合った言葉でしりとり.
テーマは「貧乏っぽい言葉」
板尾よりスタートで「すずめの肉がわりと上手い」といい滑り出し.久しぶりゆえにいとうが次の回答者を間違ってしまったためか(笑)渡辺「いか食べ放題」小堀「椅子を寄せる」高山「ルーズなズボンも我慢する」と微妙な路線が続く中,停滞した流れの中で板尾が「ルービックキューブ貸して」と正統なんですがいかにも彼らしい手を打って大笑い.これに続いた渡辺の「手があればスプーンなどいらない」は実に強くていい手で,さらに小堀の「炒めたら食べれる」もここまでの流れに乗っていて素晴らしい! ところが高山が長考の末に時間切れ.「る」は確かに難しいんですけども折角の笑いの流れが掴めず勿体無い.板尾の「ルーズベルト,大統領の,追っかけ」ってもう「る」が難しいのはわかったよ(笑).でもこうやってかわしていけるかどうかが「しりとり」の経験の差なのでしょう.渡辺「軽自動車生まれ軽自動車育ち」って微妙に噛みつつ,ドラマとして非常に愉快な回答で終了.
解説では松尾が「椅子を寄せる」のシュールさを褒めていました.
2戦目は「しりとりイマジネーション」,テーマのイメージでしりとり.
テーマは「高倉健の寝言」
久しぶりのためかいきなり例文を出すのを忘れるいとう(苦笑).今回も板尾よりスタートですが「すいか割りの件ですが」って喋り方だけだなぁ(笑).渡辺「ガラスの世代なんだよ」小堀「4つめを渡せ」はキャラがつかめていないようで今ひとつ.ここでの高山の「世間てのは…」は寝言らしく言い切らず余韻が残ってよい手です.これに続く板尾の「母ひとり子ひとり」は今ひとつですが,渡辺の「リスを返しなさい」ってどうやら健さんはマイリスをお飼いのようですよ(笑).小堀の「行きたくないの」はキャラとずれてしまって,関西弁も手伝い笑いが取れません.それに比べると迫力があって有利な高山なのですが,「能書き言うんじゃないよ」ってかっこいいけど心にひっかかる面白さがないのが辛い.そして炸裂する板尾の「4番,高倉」ってどんな寝言だよ! すげえ! ホームランバッターだ(笑)! この板尾の豪風を受けながら,渡辺は己の方向性を失わず「ライオンを返しなさい」.最後の小堀の「行こうかあいねこ」ってキャラが掴めてないのはもうよくわかってるんですが,さらに意味までわからなくなりました(苦笑).
2戦を通して高山は回答回数が不利のまま終了.さらに後半のテーマに小堀がひどく苦しみ,結果としてはAブロックより板尾・渡辺が進出.
Bブロック予選の顔ぞろえは千原,ピエール,川元,大久保.板尾流の千原,リズムを掴むと強い大久保,相手の力を跳ね返す川元と一癖ある連中揃い.そんな中で唯一芸人でないピエールはさわやか.千原はおかんからだめだしを受けながら参加,川元体調不良,そして大久保はコメントすら長考気味でなによりです(笑).コメントからして癖一杯で戦いはスタート.
1戦目は「しりとりセンスマッチ」.テーマは「喧嘩を売る言葉」.
千原より「リボ払いでしょどうせ」って妙に女性っぽい売り言葉からスタート.ピエール「折角ですんで」川元「デンマークに住め」って両方とも不条理なんですがわかりにくい.ここで炸裂したのが大久保,長考の末に「雌ブタ」…凄い! 直球だ(笑)! この爆発を受けた千原は長考でリズムを取り直し,「立ちこぎばっかりやなあ」となぜか幼児に戻っています.続くピエール「油みたいな顔だな」は直球なんですが大久保ほどの破壊力はありません.川元の「内緒なんだけど教えない」は比較的素直な手.そしてどうもこのテーマに思うところがあるに違いない大久保,「椅子ないよ?」って彼女の過去に何があったんだろうか(苦笑).千原の「ようこそハローワークへ」は手堅くしかも演技も加わって面白いんですが,続くピエールの「塀の向こう側に送ったろうか」は喧嘩を売るというよりは喧嘩の最中の言葉で終了.
2戦目は「しりとりイマジネーション」.テーマは「新作映画のキャッチコピー」.
1戦目の遅れを取り戻すべく攻めたのは川元で「ぶりをふんだんにつかった」ってうまそうな映画ですね.…ガッシュ? 続く大久保は長考の末に「箪笥の中身に続くもの」って機械翻訳した文章みたいだ(笑).このテーマでも安定して面白いのは千原で「ノックさんおすすめ」これは強い! ピエールの「名作かも」B級映画にありそう.直前のピエールのテンションが今ひとつのため流れに乗れない川元の「木曜日に見てください」はやはり微妙.他者よりも自分との戦いが厳しい大久保,マイペースで「イメージしてください.サチコの」ってエロか?エロなのか(笑)? 千原の「ノルウェーで5万人が泣きかけた」語尾の崩し方がうまい.そしてピエールの「タイタニック風」はベタですけどなかなかいいなぁ.解説の松尾も高く評価しました.
スロースターターには辛いこの短期決戦を勝ち抜いたのは千原と大久保.接戦を制しました.ピエールは初回ゆえに仕方ないところもありますが,川元がここで落ちるとは! コマ音にやられたとかコメントしてますが,それよりは周囲にある程度依存してハジケていくタイプなので,ピエールが乱した笑いの流れにノリきれなかったんではないかと.
最後のCブロック予選の顔ぞろえはトム,哲夫,江川,有野.トムと江川というおっさんが2人.トムさんは非常に楽しそうで江川は後悔気味.この2人のおっさん連携が発動すると怖そうです.竜王有野はどんな状況でもマイペースに己の風を吹かせるでしょうが,コンパで鍛えてきた未知数の哲夫が濃いおっさんの間でどんな風に頑張るのかも見ものです.
1戦目は「しりとりセンスマッチ」.テーマは「さみしげな言葉」.
まずは有野,「岸部シローの娘です」は面白いけどコメントがしにくいぞ(笑).トムの「すね」は短いですが味わいがあって確かにさみしい.哲夫の「ねじ穴埋まる」は状況が考えにくく,江川の「ルクセンブルグの,蚊」は苦し紛れで両方微妙.蚊を受けた有野の「蚊にさされたあとが500個」って数が多すぎ.1つなら寂しいかもしれないのに.トムの「子連れおかみ」はおっさんらしくダジャレなんですがちゃんと寂しく.で,哲夫,「緑色の顔」ってそれ寂しいか? 江川の「大人遊び」は考えすぎで微妙.それに比べると有野の「ビー玉を飲み込んだと嘘をつく」は凄いディティールでちゃんと面白く,幼い日々を思い起こさせて寂しい.これを受けたトムの「首が回りにくい」は逆に大人ゆえの寂しさを感じます.この2人に比べると哲夫の「イチロー補欠」江川の「作り笑い」は今ひとつ.もっとひねって(笑)! 解説でも松尾が「常識はだめ」と言及していました.
2戦目は「しりとりイマジネーション」.テーマは「珍しい虫の名前」.
遅れを取り戻すため前に出たのが哲夫の「キゾクバチ」,続く江川は「チクロカマキリモドキ」でまあまあの滑り出し.ここで有野が「キミドリモンシロチョウ」ってどんなカラーリングなのか悩ませる矛盾を含ませて面白い.装飾的で技巧的な有野に続くトムは見事に外して「ウガ」.簡潔ですがどんな虫? 哲夫の「ガイコツダケムシ」って悪くないんですが,ちゃんと駒を打ってから言おうよ(苦笑).かなり一杯一杯の江川の「シオチョウ」,前の回答が甘かったからだけど苦しい! 有野の「ウナジナメアオムシ」は気持ち悪さが虫らしく,これを受ける短回答で省エネのトムの「シノウカ」って…短いが怖いな.哲夫の「カレースキムシ」って実に小学生です(苦笑).
結果は有野・トムの勝利.続く哲夫は頑張ったんですが惜敗.残る江川は…見るのとやるのは大違いということで完全にだめでした(笑).折角おっさんなんだからもっと放送コード的に際どい方向を攻める手もあったはずなんですけどね.
以上予選で勝ち残ったのはAブロック板尾・渡辺,Bブロック千原・大久保,Cブロック有野・トム.この6人でもって本戦が行われたわけですが,その顛末については次の記事に続きます.
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