ケロロ軍曹#24
「特撮パロディ以外の何ものでもなくの巻」
(A)大宇宙からペコポンに降りた一条の光.それは硬直した笑顔の男と今にも泣きそうな少女だった.スーパーへ買い物に出かけた夏美に,屋根から男がいきなり声をかけてきた.飛び降りてきた人間離れした男の風体と素っ頓狂なノリに宇宙人の匂いを感じ,その場を全力で逃げ出す夏美.しかし男だけでなく少女の銃撃まで浴びた上に,帰宅した家にまでおかしな2人に踏み込まれてしまう.そんな突然の侵入者に目撃されてしまいあわてるタママとギロロだが,後から出てきた軍曹だけはまるで悪の首領のように振舞う.侵入者は宇宙探偵556とその妹のラビー.「癒着」で変身することも可能なのだ.そんな彼と仲間たちを軍曹はクルル空間へと誘う.
(B)地球での職探し励む宇宙探偵556.しかしうまくいかない.夏美がスーパーに買い物に行くと,家計を助けるためにラビーが店頭販売のアルバイトをしていた.そんな苦境を救うため556の就職先を探す軍曹たち.クルルが見つけた彼にぴったりの仕事は特撮の主役.556は監督の前にド派手に登場して首尾よく主役の座を射止めた.早速ロケが開始され556のアドリブ溢れる大活躍ぶりに監督もご満悦.ところがここまでお膳立てした軍曹たちは556の成功していく姿に喜び以外のくすぶる感情を抱いた.今や憧れの職業につこうとする556に対し,タママと軍曹は嫉妬の気持ちを抱いてしまったのだ.
毎度快調な「ケロロ」ですが,今回は大宇宙からの使者をお迎えして宇宙刑事もののパロディ三昧.自分はあまり詳しくないんですが,もちろん知らない人間が見てもそれなりに楽しい出来にはなってます.ただし最近の数話に比べると元ネタに起因する笑いの方が圧倒的に多いようで,一緒に見ている父親ばかり笑わせる構造ってのは番組的にはあまりよろしくはないのかも.
前半は宇宙探偵556登場.平和を守るために宇宙から落下してきたのは2つの影なんですが,556はどうでもいいとして(笑)妹のラビーさんが見た目は可愛いんですけども声が本当に田楽です(笑).スーパーにお買い物に出かけた夏美さんが556たちの餌食となり,異様な迫力で追いかけられてしまって気の毒.足がしびれるあたりはベタですが,「愛ってなんだ!」とか主題歌みたいなことを言い出すあたりからパロディ全開.この素っ頓狂なノリに当然のごとく宇宙人を感じる夏美さん,確実に軍曹たちのノリを学習してしまっているようです(苦笑).超速マシンは三輪車の上,固まった笑顔でポーズを決めながら追ってくる556.そしてそのサポートのラビーさんは悲しい瞳で麗しく,銃の腕がそれなりなのが後半の伏線になってます.
日向家に踏み込む556の頓狂なノリに当然のように共鳴する軍曹とサポートのクルル.タママとギロロを置き去りにクルル時空へご案内.「癒着!」って変身時の台詞としてはどうだろう(苦笑).プロセス紹介を断られたナレーターは無念そうです.今回の話で一番愉快だったのは「何かのパロディだよ」って冬樹の台詞で,おぼろげながらも状況が的確に理解できているゆえに悲しい(苦笑).
さて,例の時空の中で戦う5人…ではなく556と軍曹.付き合い長いんですから,等身を合わせるあたりでギロロは軍曹の意思に気がつくべきです(苦笑).すっかり視聴者の立場に回ったギロロとタママ2匹の前で軍曹は大ピンチ.しかしドロロが救っても叱られるだけ.なんせこの戦いは単なるじゃれあいなわけですから.軍曹の一本筋の通ったボンクラぶりが556の極端さと相まって情けない.そりゃ妹だって泣きたくなります.
侵略者と宇宙刑事の夢を抱いた軍曹と556の幼少時代.確かに立派じゃないですが,それでも侵略者という職につけているだけ軍曹のほうが…運が良いようで(笑).ペコポンにはボンクラが1人増えてしまったわけですが,ペコポンの将来には特に影響がなさそうなところがさわやかに悲しいです.
後半は就職氷河期を歩む宇宙探偵556.免許が必要な職業ではないので,556の場合は別の事務所に就職するよりは最初から自分の事務所を立ち上げたほうがいいんじゃなかろうか.ボンクラ兄貴にかわって家計を助けるためにスーパーで売り子をやっているラビーさん.正義の味方の宇宙探偵は今日も就職が決まらず赤貧にあえぎ,侵略者で組織の末端でパラサイトの軍曹にはそんな独立ゆえの苦労は無関係.しかし友人ゆえに556の職探しをしてやる軍曹はさすがボンクラ友人.ギロロはいい加減学習しようよ(苦笑).クルルが見つけてきたのは少年の憧れの職業,特撮ヒーロー俳優.今時はイケメンじゃなきゃできない職業なんですが,この監督はたまたま古いタイプの宇宙刑事ものがつくりたかったようです.原点回帰?
主演男優を捜す監督の前にいきなり出てきた556はその勢いですんなり主役に決定.いきなり撮影開始で展開が速い.怪人大進撃を鮮やかに倒していくアドリブ満点の556.その幼馴染の出世ぶりに喜ばなければいけない軍曹のはずが心の奥で何かがくすぶるあたりがやはり少年の魂を抱えていたということでしょう.でもって同じ少年の魂を抱えるタママの暴走に乗って乱入しアドリブ増量! ジャバタマケロイザー! しかしそんな悪友の乱入が許せなかったラビーさん.ところがその愛らしさが認められジャスティラビィに番組変更! 市場のニーズとしても本格的なアクションの出来る女性は珍しいですし,ラビーさんの場合は見た目も素晴らしいので人気が出るのは当然かと.ただし番組終了後,芸能界でどのように生き残っていくかは常に考えていくべきでしょう.男性俳優に比べると女性の特撮出身俳優はそう多くないですからね.で,お兄ちゃんは就職頑張れ! 最後のDVDには恐らく店頭販売時代のラビーさんの姿とか収録されるんだろうなぁなどと勘ぐりつつ,次回に続きます.
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