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ギャラクシーエンジェル#13

「最後まで投げ一筋の巻」

(A)烏丸ちとせは今日もエンジェル隊への復讐に勤しむ.毒饅頭を準備したがさすがのエンジェル隊もちとせの復讐心だけは学習したようで受け取りを拒否される.ロストテクノロジー整理の仕事中も復讐から頭が離れないちとせが発見したのは,書いたことが現実になる夢ノート.副作用として使用者はやせ衰えていくのだが,憎きエンジェル隊を倒すためにとそれを手に取った.まずはエンジェル隊を血まみれにしようとしたら皿まみれ,天井を落とそうとすると天丼が落ちてくる.エンジェル隊以前に己の字の汚さに敗北するちとせだが,ノートに己の立身出世の様子を書いて現実化し,あっという間に軍の大元帥の地位に着く.権力を手にいれたちとせはエンジェル隊に全滅必至の過酷な命令を下し復讐に成功.しかしやせ衰える体を維持するには,ちとせはひたすら食べ続けるしかない.

(B)究極のロストテクノロジーを探すエンジェル隊だが宝箱の中には隠れんぼ中のノーマッド.そんな不条理ドラマ「ギャラクシーエンジェル」の今日の撮影はこれで終了.3年続いた長期シリーズも残すはあと1話だ.実在のエンジェル隊をモチーフとして制作されているドラマだが,演じる役者たちは誰も本物の彼女たちに会ったことはない.ごく普通の暮らしを送る役者たち.番組が終わることは少し寂しく,しかしその先の芸能活動にも思いを馳せる.
次の日.撮影の最中に本物のエイリアンが襲来して攻撃を開始.ドラマどころではない非常事態に避難する役者たち.ドラマの中とは違いなんの力も持たないはずの彼女たちを,軍が迎えにやってきた.

水曜深夜を駆け抜けた「ギャラクシーエンジェル」も今回で終了…とはいってもこれだけ終了慣れしている作品もそうはないんじゃないか(笑).今期は深夜という時間帯を背後で生かした作品が多く.特にギャグで定評のある脚本家をここまで揃えられたのは番組そのものがここまで追求してきた「投げ」の魅力あってのことでしょう.前期シリーズに比べると放送コード的なタガが外れたのと想定視聴者がマニアになったことでよりマニアックで難しい笑いが投入されたことは事実ですが,回を重ねこなれたがゆえの熟練の面白さは長期シリーズゆえのものです.シリーズ終盤を飾るのは復讐の終幕と実はドラマだった!というメタネタ.最終回ネタで思いついたことは全部やるという制作側の姿勢がいっそ清々しい.

前半は烏丸・復讐・ちとせ最終章.今期参入した美少女のはずが,これまでは視聴者の意図に反してちゃんとからめないどころか出番がレアというマニアックな方向性で攻めてきました.ファンにとっては出番の少なさが不満でしょうが,印象の薄い新人アイドルの売り込み方としては正しいのではないかと.復讐=ちとせくらいにはキャラが立ちましたからね(苦笑).今回は毒饅頭で挑戦しますが露骨にやりすぎちゃって失敗.余程のことにも懲りないエンジェル隊に危険人物として認識されるようになったのは,彼女のこれまでの熱く激しく迷惑な活動あってのこと.最終回なので神がちとせさんに与えたロストテクノロジーはドリ…書いたことが現実になる不思議なノート.その代償としては書いた本人がやせ衰えるわけですが,そこを過食でカバーしようとするあたりがちゃんとギャグアニメです.
ちとせさん,まずはエンジェル隊をひどい目に遭わせようと比較的わかりやすいことを書いてみますが誤字で大失敗.書いている内容の血なまぐささはありますがやっぱりちゃんとギャグアニメ.しかしここから始まるちとせの立身出世物語.本に書けば字が綺麗になれるのはもちろん,受験だって昇進だってもはや思いのままで大元帥に.あのコスチュームにものすごい既視感が(苦笑)….そして復讐最高潮.エンジェル隊を呼び出した上で人事異動を命令します.主役が小宇宙を燃やしてもノートを持つちとせには勝てず,有事には突っ込んで爆死,あるいは訓練中に死亡という特殊攻撃部隊に行かされるエンジェル隊.
人は何かを手に入れるためには相当の代価が必要で,ちとせさんの場合は体重.その代価を本の力で手に入れようとしたちとせさん,当然のように巨大化しすぎで大失敗.特訓中?のエンジェル隊が目にしたのは,巨大化の上にシュバルツシルト面より小さくなろうとする大元帥! 今回はちとせさんがはじけているのでエンジェル隊がツッコミ役を担当.「何がしたいのよあんたは!」って心の叫びはまさに視聴者のものです.意地を張ってエンジェル隊に助けを求めないちとせに対し,エンジェル隊で唯一ツッコミができない天性のボケことミルフィーさんが友情を伝えます! 「嘘ですよね!」「…嘘でーす!」うわ頭悪いなぁ(苦笑).しかし気持ちが通じ合ったのもつかの間,己の中に友こと主役を吸い込んでしまう「ギャラクシーエンジェル」最終回.主役不在ゆえに崩壊し拡散し破綻していく物語.まさか劇場版エヴァになるなんて(笑).ちとせが書き残したノートへの最後の願いを叶えるかのように,遥か宇宙のどこかで始まる再びの出会い.人は一人きりでは人ではいられないので他者が必要なわけですが,ちとせさんが差し伸べた手はいつかは誰かにきちんと握ってもらえるんでしょうか(苦笑).ちなみに1話後半ラストでのカウントダウンがちゃんと達成されてます.

そして最終話.後半はいきなり軽いコメディから始まったのかと思ったらドラマの撮影.3年続いた長期シリーズということでこれまでの作品は全てトランスバール中央テレビ制作のドラマであった可能性まで出てくるバリバリのメタネタです.長期シリーズの終盤ということで名残惜しさを感じる出演陣の姿に,今期シリーズの終局を一緒に寂しがったりしときましょう.役者の皆さんの普段着の姿が実に生活観溢れていていい感じ.リアルさでは1話前半もかなりいい感じだったのですが,そういやあれも前半はまともな?不条理展開に見せかけてラストは滅茶苦茶だったよなーと思ったら今回もか(苦笑).役者たちが日常生活で見せる普通の顔は役柄とは全然違って,快活なヴァニラ役としっかりしたミルフィー役は普段のイメージに反して麗しい.田舎から荷物が送られてくるミント役,そして屋台に集うフォルテ役,ランファ役,ちとせ役.次の仕事についてまだ先を決められないでいる彼女たちの姿は寂しいですがきっと頑張って実力を出し切った終末だと思うので,さわやか.
しかしこのままいい話で終わるような「GA」ではありません.最終回の撮影だったはずがいきなりドラマが現実に.未知のエイリアンによる攻撃で軍に呼ばれて代役の依頼! ここまで不条理ギャグドラマをやってきてますから多少の超展開にはついていけるはずの役者たちも,いきなり実在しないエンジェル隊のかわりにプロパガンダのために最前線に出ろというのは想定外だったようで狼狽.しかし選択の余地なく連れてこられた最前線は…いつもだ! いつものダメなノリが戻ってきた(笑)! とりあえず作り手の側はきっとフォルテさんが大好きだったに違いないので,今期はよかったなフォルテさん! 不条理な状況ゆえに目覚めていく役者たちの中のオリジナルの魂.なんかエンジェル隊としては目からビームとか間違ってるけどもう最終回だから思う存分やってくれ! 大ボスに対するミントさんのタバスコ喫煙は,番組もろとも敵を葬る作品生命をかけた大技です.そして変な大団円…をテレビで見ているミルフィーさん.これもまたドラマの1話だったんでしょうか.
この作品が背負ってしまった「投げ」という売りを十二分に見せたいい最終回だったのではないかと思います.終盤まで作り手のエゴよりも笑いを優先させたあたりはプロの仕事でしょう.わざと若々しい滅茶苦茶ができるのはベテランの技術あってのことですので,話だけでなくそれをほぼ支えきった作画の手堅さも誉めておこうと思います.で,次回作はいつですか(笑)?

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