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ケロロ軍曹#27

「人知れず地球の危機を救うのだの巻」

(A)今日も今日とてガンプラを組んでいる軍曹.そこに届いた通信は,ケロロの父がペコポン侵略の様子を見にくるというものだった.輝かしい功績を残した伝説の軍曹であるケロロの父にこんな爛れた現状を見せるわけにはいかないが,だからといってモアにペコポンを壊してもらって証拠隠滅というのはよろしくない.ゆえに夏美に土下座して,日向家が軍曹たちに侵略されているように見せかけることにする.偽装が無事に完了し軍人の鑑である軍曹の父の到着を待つ一同.そのとき,接近する宇宙人の反応が.

(B)いきなり基地の地下に天然温泉をつくりたがる軍曹.侵略への意欲回復などの名目に一応同意した一同は,クルルのつくったドリル機マグマスイマーで地下の源泉を目指すことにする.ところが源泉ではなく地下の巨大な空洞に迷い込んだケロロ小隊.しかも軍曹たちより前にペコポンを侵略に来た宇宙人の残した超兵器が動き出してしまって絶対絶命.クルルの気まぐれで一撃死だけは免れたものの,土偶状の巨大な兵器はマグマスイマーを狙って攻撃を仕掛けてくる.

毎度抜群の安定感で展開している「ケロロ」.展開が安定している原因としては出てくる軍曹たちの侵略がいっこうに進まないという物語上の事情が大きいでしょう(苦笑).今回はそのあたりにからんだ小品が2本.もはや遊ぶことにしか興味の向かっていない軍曹の奇妙な日常は,毎度ながら夏美さんに叱られるという本当に安定した暴力オチで終わります(笑).

前半は軍曹の元に偉大なる父襲来の予定.例えば一人暮らしのアパートに急に親が来ることになってうろたえる大学生のように,爛れた生活を必死で隠そうとする軍曹の気持ちはよくわかる.そもそも普段から真面目にやってればこんなことにはならないのでギロロの言うことはもっともなのですが…でもなかなか出来ることじゃないんだよなぁ(苦笑).父の手紙を読むモアさんのなまりっぷりがいい感じ.
数々の功績を残す宇宙でもっとも軍曹な男こと父.こんな状況がバレようものならどうなるかわからないのでとりあえずモアさんに地球を壊してもらって証拠隠滅してもらおうとする軍曹,すっかり動転しているのか手持ちのガンプラはともかくバンダイのことは忘れているようです(笑).そんな軍曹のうろたえを止めたのは夏美さんで,ペコポンの権力の象徴である彼女の登場に軍曹の脳細胞がフル活動で出た結論が…いい大人が全力の土下座(苦笑).確かにかっこ悪いことこの上ないですが,普段のしょうもない作戦に比べると軍曹の名誉とペコポンの命を守るという目的を考えるとそう悪い決断ではありません.よって盟友の冬樹はあっさり賛成してしまうんですが,姉の夏美さんにはそりゃとても複雑な気分です.
どうやらごく普通の親子関係であるらしいケロン人の実態はもっと宇宙人っぽいのを期待していた冬樹には残念.それはともかく父は軍人の鑑で,軍曹は生き様や誇りや心得やファッションやダイエットや割引などを学んだらしく…どう見ても最初の3つ以降を集中して学んだに違いない(苦笑).侵略劇リハーサルに照れまくりのドロロとギロロに対し,タママは結構な演じっぷり.でもって宇宙人接近でやってきたのは…すもも.どうやらペコポンが気に入ったようでこれからはセミレギュラーの位置に入るようです.そして続けてやってくるのは今度は桃華.緊張と緩和の繰り返し,期待を裏切られ拍子抜けするという古典的展開をきっちりとこなした上でやってくる電話でダメ押しです! 大人には1分先の展開が読めるようなものすごくお約束の展開なんですけども,そこをそれなりに見られるものにしてしまうキャラの魅力と手堅い演出が素晴らしい.誇りは埃に.命を失うよりは埃のほうがマシですからね(笑).

後半は軍曹ペコポンを守る.ケロンの技術力があれば人跡未踏の地にも軍曹たちは楽に踏み込んで行けるはずなので,軍曹の思いつきで日常的にこういうイベントが発生し,その度に人のいい軍曹たちが地球の危機を未然に防いでいるんじゃなかろうか.基地の地下に天然温泉を引けば英気が養えるし夏美さんや小雪さんに喜んでもらえるしということで皆さんそれぞれに納得の上,クルル作のマグマスイマー(笑)で地下へ.やはりガンダム以外のパロディも必要です! 源泉を求めて発進した軍曹たち.しかし地下の大空洞にあっさり落下.昼の子供向け番組なのでシートベルトに対しての啓蒙活動もこなしてますよ.
大空洞には銀河標準語のプレートと先駆者の残した兵器が鎮座.中から出てきた兵器は土偶様で,ここに冬樹がいれば間違いなくいろんな意味で盛り上がってくれたに違いないんですが今回は不在で残念.超兵器に風前の灯火となる軍曹一行の命ですが,神様ことクルルの気まぐれバリアーによって命拾いに成功.その上(当然のように自爆装置もついてますが)メガ粒子砲まで搭載していたクルル.本当に気まぐれだったのか,それとも兵器があると見越して連中を向かわせたのかは神の意思なので不明(笑).敵の電気,炎,振動を風呂に例えて精神力で乗り切る軍曹たち.当然乙女の肢体で視聴者サービスも忘れてませんよ! こんな兵器を野放しにしては侵略に支障をきたすということでマグマスイマーで特攻し破壊に成功する軍曹.「おじさまー」ってモアさんの悲鳴が愛らしくてよろしい.
生き残ったものの帰るための足を失った軍曹たち.とりあえず一風呂浴びることにしたあたりは漢らしくていいですが,温泉が出るということ近くには当然マグマがあるはずで,そこをブチ抜いて真の意味での「マグマスイマー」にならなくてよかった(苦笑).最後には帰れた軍曹が夏美さんに怒られて終了.自業自得だけどちょっと気の毒.
作品としては折り返し地点を過ぎたところですが,今後もこの古典のノリを突き詰めていくのか,それとも別の方向に進化していくのか.この先も楽しみながら見守ってみたいと思います.

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