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第6回しりとり竜王戦・本戦

今回は新人棋士の活躍が目覚ましい「しりとり竜王戦」予選でしたが,その顛末については1つ前の記事か以下のリンクをどうぞ.
 R'sM: 第6回しりとり竜王戦・予選
準決勝以降はたった一度きりの戦い.回答回数自体は増えるのでより長い伏線も引きやすいのですが,少しでも失敗したり波に乗れなかった瞬間に敗北が決定するという厳しい勝負の場でもあります.ここで勝ち残れる者こそが真のしりとり竜王なわけですが,今回は正直竜王経験者が不調.予選で勝ち残ったのは渡辺・有野・トム・千原・板尾・矢作.本戦の経過は以下の通りですが,「しりとり」とは思えないような素敵な終局となってびっくりです.

準決勝のルールは「しりとりランデブー」.「~の~」でしりとり.
準決勝第1試合は渡辺・トム・板尾の3人で,テーマは「さわやかな言葉」

どう見てもさわやかでない3人組は,「さわやか」の解釈までどうにも変.板尾の「胃の中のフリスク」って…それはさわやかか(苦笑)? 渡辺は「クリスマスイブの実刑判決」…面白いけどさわやかか(笑)? そしてトムは深呼吸の上,「妻がひとりで旅に出ました」だけならなんとなく寂しいさわやかさが確かにあるんですが,いかんせん「の」が入っていない.そこで繋げて「妻がひとりで旅に出ましたのに,ボクは旅に出ませんでした.すいませんでした」って長すぎて下のキャプションを打つ人に迷惑だ(笑)! 板尾の「タランティーノの寝顔」はさわやかか? 渡辺の「鬼たちの人命救助」はなんとなくさわやかな気が.トムの「余命わずかな芳香剤のくせに」…さわやか以前に「の」にやられているトム.板尾の「二人羽織の友情」…なんかやっぱりさわやかとは違う.このテーマに一番苦しんでいるのは板尾ですね.渡辺は泣きそうな顔で考えた末に「後ろ髪のなびいた形が8分音符」とこれは映像としてさわやか.このさわやかな流れに乗るトムの「プラットホームのさよなら」は「の」もきちんと使えていてよし.そして板尾の「螺旋階段の身投げ」って…さわやかじゃないってば!(苦笑)

結果,渡辺13点,トム6点,板尾5点で渡辺が進出! 前回の竜王はここで敗北.竜王専用の金の駒を逆様にしていたのが悪かったのか,それとも金の駒を持ってくるのを忘れたのが悪かったのか,あるいは生まれつきさわやかが理解できなかったからか(笑).そしてさわやかはともかく「の」に悩んでしまったトムは残念でした.

準決勝第2試合は有野・千原・矢作の3人で,テーマは「さみしくなる言葉」

第1試合よりはやりやすいテーマの「さみしい」特に有野はこの手のニュアンスの表現がうまいんですが,冒頭から「薄い頭の散髪」と真っ直ぐにさみしい.続く千原はかたまった末に「土のついた母子手帳」…一体親子に何があったんだ! 矢作の「うっかりものの宇宙旅行」は審査員には面白いだけと評価されてしまったんですが,本来は「さみしい」というテーマで読み解いてあげるべきかも.宇宙旅行に出かけたものの,いろいろあって(笑)さみしいラストを迎えてしまううっかりもの.きっと地球にはもう帰れない….有野の「薄汚い,友達の母」は切ない.千原は再び固まった上に「花嫁の全力疾走」とドラマチック.これ,さわやかでも使えるかも.矢作の「占い師の持ち物」はその占い師の人となりが見えてくるようで.有野の「野良犬の飼い主は同級生」は微妙に寂しさは薄い.千原の「インディカ米のライスシャワー」はきっとお金ないんだろな.そして矢作の「悪い人のキャッチボール」は風景として美しい! 物語というよりは一つの街の風景を切り取って見せられたような,美しい戦いぶりでした.

結果,有野6点,千原10点,矢作5点で安定していた千原が進出.有野は悪くなかったんですが逆に方向性として得意でもなかったため,彼の一番の売りを披露することができなかったのが気の毒.矢作は審査員に理解さえあればもう1つ上に行けたはず.ただし「待ってるときに常にゲボ吐きそうなんですよね」というコメントが痛々しいのでここで負けさせてあげてください(苦笑).

決勝戦はしりとりツバメ返し.「~だが~」でしりとり.
テーマは「中間管理職的な言葉」

事前のコメントでは両者とも段位を欲しがっているわけですが,これは口だけで両者とも本気で竜王の座を狙ってきます.その先走る気持ちゆえか,手を上げる前に駒を打ってしまう渡辺(笑)「余裕だがつるっぱげ」って直球です(笑).対する千原は「芸能人だが立たされている」と微妙.だってそんな中間管理職いなさそうだし.それに比べると渡辺の妄想はやはりリアルで,「ルーティンワークだが椅子転がし」って仕事の内容はわからないまでも,転がる椅子やルーティンワークという言葉そのものが会社らしい.押される千原は「シチリア島に来たのだが日帰り」経費削減具合は会社っぽいんですが,ヨーロッパの会社か.そして渡辺の「立派なスーツなのだがボタン0」…なんでないんだよ(笑)! 落ちたのか取られたのか.千原の「ローソンに来ただけなのだがテンションが上がる」は中年男性っぽい人物像が浮かび上がってうまいんですが,渡辺の「類人猿ぽいルックスなのだが名刺交換はかっこいい」は顔すら浮かび上がる素晴らしい一手です! 千原の「いい子なのだがお茶を入れてくれない」は本人視点で珍しいですが,サラリーマンコントの一部でもあります.渡辺の「一緒にゴルフ行くぞというのだが徒歩」…それは無理だよ(笑)! 最後は千原が,悩み苦しんで引っ張りに引っ張った上で出てきたのが「ホタル族なのだが…結構気に入っている」無理に出しただけのことはあって面白い.全体的に千原の苦しみ具合は渡辺を完全に越えていました.これで全ての戦いが終了.

結果.渡辺19点,千原9点,渡辺新竜王の誕生です! 期待されながらもここまで不本意な成績に終わってきた上に,「今日も嫁に怒られてきた」(笑)という自称だめ人間渡辺がようやく竜王の座に.しかし大変なのは竜王というプレッシャーの中で勝ち続けていくこと.2強の構造が崩れたことで今後の「しりとり」界がどのように変化していくかも気になりますが,最後の最後で渡辺が涙ぐむ姿にほろりと来るという,実に「しりとり」らしくない(笑)素晴らしい回となりました.

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