ケロロ軍曹#33
「子ども向けネタとしては微妙なところの巻」
画面の前に勢ぞろいしてそのときを待つケロロ小隊.大好きなゲロロ艦長がアニメ化され,今日は1話の放映日なのだ.放映祝いに関連グッズを買い込んで2ヶ月分の侵略予算を使い込んでしまった軍曹は,自分たちもアニメの力でペコポンを経済的に侵略しようと考える.
ところがアニメのつくりかたなど一切知らない軍曹たち.秋ママにもらった資料を頼りに,小隊の総力をあげてアニメを制作することになる.しかし脚本も絵コンテも作画も力不足で仕上げは活躍できず,背景ときたら反則技.ゆえにアニメ制作は大失敗.アニメを楽に作る方法が別にあるのではないかと考えた軍曹たちは,ゲロロ艦長を制作しているアニメスタジオに秘密を探りに行くことになった.
実に手堅い熟練のコメディを見せる「ケロロ」.今回はアニメの中でアニメ製作現場を見るというメタネタなわけですが,実は題材としては動きが少なく相当に地味.ゆえに台詞回しや演出で更なる派手さを入れることができれば,もう少し愉快にできたはずなのでちょっともったいなかったですね.声優さんたちに絵を描かせるなんてのは企画的にはハジケてるんですけども,それ,普通の子どもにはわからないですから(笑)!
前半は最初の失敗まで.アニメ内アニメ,松本先生な「ゲロロ艦長」の初回放映日,5人揃って鑑賞しているケロロ小隊…ってギロロお前もか(笑).ずば抜けたヒット作品はアニメやマンガのコアなファン以外の幅広い層を巻き込むのが普通なので,「ゲロロ」もその手の作品ってことなのかな.しかし放映直後からあれほど関連商品を販売するあたりが只者ではないですね.あんなに一度に出しちゃ買う側が息切れすると思うんですが(苦笑).ともかくその膨大な関連商品を買いあさってしまったケロロ小隊は毎度ながら経済的に破綻.でも今回はギロロにも欲しいプラモデルがあるので強く言うわけにもいかず.軍曹がふってきた名台詞にまでついつい名台詞で答えてしまうおちゃめぶり.
アニメで経済侵略を果たすのだと提案する軍曹.確かにコンテンツ産業は昨今急速に伸びている分野で,生産は人力をメインにしているので資源の少ない国にはよく合った製品ではあるけども…精密な作業が得意という国民性に強く依存しているので,大雑把なケロロ小隊じゃ無理(笑).ちなみに成功イメージの中での「アニメのまち」がどうにも笑えます.
さて,作り方を知らない一堂はまずはそこから探索開始.夏美さんと冬樹経由で,秋ママさんの勤める角山書店にペコポンスーツ着用の上で参上する軍曹とタママ.会社には事前にアポを取ってから行こうね!そして秋ママが準備してくれた資料一式でアニメをつくることに挑戦するケロロ小隊.ここからはやさしいアニメの作り方を抜粋&実践でご紹介なわけですが,…やっぱり脚本があまりにだめだとどうしようもないよなぁ(苦笑).小隊の場合は絵コンテも作画もだめなわけですが,もし両方が良かったとしても脚本レベルであまりに激しくコケられるとフォローのしようがないわけです.そんなわけで今回のプロジェクトの戦犯は軍曹に間違いなし.ちなみに仕上げのドロロは塗る気満々で愛らしいわけですが,本来はパソコンですよね? そしてやる前からわかりきっていた通り,やっぱり頓挫しかけたこのプロジェクトを持ち直すため,軍曹たちはもっと楽にアニメを作る方法を求めて「サンイラズ」に潜入することに.
後半はサンイラズ潜入編.冒頭,見覚えのあるものが出てきて笑える自分がちょっと嫌.特にビルがあまりにもまんまなんですけど,この面白さがわかる人間が日本全国にどれだけいるっていうんだ.こういう極端に人を選ぶネタをやるときには,一般的な笑いもいつもより濃い目に入れておかないとだめでしょうね.知識のあるなしで作品の評価が変わるようなつくりは,知識のないことが前提になる子ども向けの場合は極力避けるべきです…とまあ苦言はともかく(苦笑).アンチバリアで見えなくなった軍曹たちはサンイラズ内で静かに大暴れ.脚本会議会場のいきなり団子があまりにもいきなりでどうすればいいのやら.体動かさない仕事っぽいですから,あまり甘いものを食べ過ぎてはいけないという教訓話であるかのように唐辛子団子登場.軍曹の口が燃えました.描きながら叫ぶのあたりはオタクには有名なネタですね.そして作画,そのポーズは「のけぞる美味さ」あたりですか? 何はともあれギロロは間違いなく作画には向いてないので,いいかげん諦めてほしかった(笑).
社内を放浪したものの結局目指す「楽なアニメの作り方」は見つからず,間接的にそんなふとどきなことを考えたことを怒られる始末.しかし,他人に与えられた未来など意味はないわけで,自分の力で成し遂げなければ!と他人に与えられた感動台詞でまとめた上に再度アニメづくりを再開し,「ケロロぐんそう」がとうとう完成.試写会ではもう動いている映像を見ているだけでうれしい一同.よく言えば味のある素敵な画面が全国放送される暴挙(苦笑).未熟ゆえに小隊の名折れということで計画が無期延期されてめでたし,と最後まで視聴者の想像の範疇,予定調和の中で終了.ラストだけは予想から外れてくれないと物足りないよなぁなどと思いつつ,次回に続きます.
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