しりとり若獅子戦・予選
テレビ朝日制作の関東ローカル番組「虎の門」が咲かせた笑いの花(たぶんトリカブトとか)である「しりとり竜王戦」.今回はそれを若手芸人のみを集めて実施.これまで出場経験のある若手4人と勝俣とベテランの棋士が推薦する若手4人の計8人で行われるトーナメント戦です.強力すぎるベテラン棋士3人(板尾・千原・渡辺)が見守る中で戦わなければならない若手どもは,後になるほどしりとりそのものよりも周囲からのプレッシャーに潰されていきます.ベテランが落ち着いて企画を進行しているからこそ若手も自分たちの良いものが出せるのだということが如実に出た回かもしれません.見所は中盤.プレッシャーに負けてうわ言を言い出す奴がいますので注目です(笑).
参加者は,小堀(二丁拳銃),哲夫(笑い飯),ふかわ,高橋(サバンナ),水野(リットン),井上(次長課長),西田(笑い飯),川元(ダブルブッキング).全員がお笑いで,中でもミスター噛ませ犬・ふかわと…若手?な水野が悪目立ち.今回は特別ルールで,開設席のしりとりの重鎮たちが最初の例題を出し,自分が推薦した芸人以外は審査も担当します.3ブロック制よりも1本に与えられる時間が少し長いので,ベテランなら面白ネタの打ち合いで上り詰めることができるはずなんですが若手がその境地に達することはできるのか.
Aブロック予選は小堀,哲夫,ふかわ,高橋.ふかわは勝俣枠.嫌がらせに限りなく近いようにも見えますが(笑)往時のふかわのセンスは本当に凄かったので,これをきっかけに笑いの神を降ろせるといいんですが.千原が推薦したのは高橋.大阪ではイチオシという台詞でプレッシャーをかけてます.千原が若手を推薦する格だという事実に時間の経過を感じますが,…小堀はそこに居ていいのか(笑)?
予選の競技は「しりとりセンスマッチ」.テーマに合った言葉でしりとり.
最初のテーマは「カッコイイ言葉」
板尾の例題,「皮の上下左右」からスタート.変化球.
手を上げたのはふかわ.「牛の涙」は冒頭からひねりすぎではありますが,不条理芸人として全盛期の頃のふかわの芸風はこの方向.ただしこれ自体はあんまり面白くなし.前の迷走の直撃を受けた高橋は「助けた亀の誘いを断る」と微妙.続く小堀の「留守しがち」哲夫の「地球絶対平和」も微妙.そしてふかわは「私の雨」と己の道を探してなおも迷走.迷惑です(苦笑).直前が悪すぎる高橋まで「目薬に醤油を使う」と不条理な方向へ.言葉のチョイスは悪くないんですがテーマには合わない.小堀の「牛に乗れる」で微妙にテーマに合ってきて,哲夫が放った「ルイ158世」が素晴らしい!ようやく言葉とテーマが合いました(苦笑).ふかわはマイペースに「石も食べる」と己の道を求めますが,高橋は流されずに「ルームメイトがKISSのメンバー」とベタですが確かにかっこよく.小堀はかなり悩んだ末に…「後に残さない」.恨みやしがらみならかっこいいところですが,なんせ子どもっぽい小堀が言うので給食しか連想できないんだよなぁ(苦笑).哲夫の「急がば回り過ぎれ」は語尾が無理やりなのは面白いけれど微妙.ぎりぎりだ!
解説ではふかわの温まりぶりに疑問を呈す声が.ギャグの中でも不条理は時代に左右される部分が大きいので,髪1本でもずれてしまうとこういう状態になるんだよなぁ.
次のテーマは「情けない言葉」
千原の「お父さんはAD」からスタート.放送業界の人間だと笑えるネタ.
またもふかわが速攻.「いつの間にかいない」は不条理なんですがふかわ自身のことを示していてもいて自虐的(苦笑).これに対する高橋は「犬に鼻で笑われる」とテーマには合っているものの普通.小堀の「ルーレットがなかなか止まらない」は緩くていい.小堀のキャラだと人生ゲームのルーレットしか浮かばないんだよなぁ(笑).哲夫の「芋くてへーこいた」は言い回しも含めて良かったんですが,何かに目覚めたかふかわ,「たっちゃった」…何が(笑)! 深夜帯を生かしたものすごい一手にまたもペースを崩される高橋,呆然としつつも考えて…「タモリさんと,完全に一緒の…サングラス」本来はもっと意外な言葉で締めることもできるはずですが,そこを精一杯頑張っても当たり前の言葉にしか行かなかったという心の動きそのものが面白い(笑).ようやくコツをつかんできた一同は小堀の「寸足らずがひどい」も哲夫の「インダス偽文明」もなかなか不条理で良し.しかし,周囲がペースを掴みかけている夜明けの中で落ちていく流れ星ふかわ.「痛いけどたっちゃった」…って不条理ネタを自分でかぶせるのはダメだ! 絶対ダメだ(苦笑)! 高橋の「誕生日会10年連続誰も来ない」は悪くないんですが,前の悪いインパクトが強すぎて目立たず.小堀の「椅子がどこにもない」は過去の「喧嘩を売る言葉」の「椅子ないよ?」に似てますが,喧嘩が売れないあたりが情けない.最後.哲夫の「一本木で遊ぼうや」は…それ,情けないのか?
皆頑張ったんですが焦っているのか考える時間がほとんどなく早撃ち気味.時間をかけることには前の回答の印象を消す効果もあるんで,もう少し落ち着いて指せるとよかったんですが.
結果はしりとり経験者の哲夫と小堀が11点と6点でやはり勝ち抜け.推薦2人はともに4点で落選.これって案外経験がものを言う企画なんだよね.
Bブロック予選参加棋士は水野,井上,西田,川元の4人.どう見たって新人ではない水野は板尾の推薦枠.嫌がらせのように見えますが…嫌がらせだよなぁ間違いなく(苦笑).ともかく若獅子じゃありません.井上は渡辺の推薦枠.「当たればでかい!」という推薦の言葉ですが,この時点でかなり緊張していて,次の2戦のすごい見所となっていきます(笑).川元はこの企画のきつさを良く知っているがゆえのコメントを.そして西田は,Aブロックの哲夫と2人合わせて笑い飯なんですが,コンビがピンで同じ番組に出るってのはなんだか恥ずかしいみたいです.
最初のテーマは「器の大きそうな言葉」
渡辺の「NASAvs俺」からスタート.相変わらずうまいこと言うなぁ.
こちらのグループはなかなか手が上がらず,口火を切ったのは西田.「連発させます寺の鐘」は悪くはないがテーマからちょっと遠い.直後に答える井上は「熱が出ても44度くらいなら耐えれる」とそれは器の問題なのかよくわからない回答を.このあたりから彼の旅路ははじまっているようです(苦笑).水野の「ルービックキューブでもう一儲け」は手堅い.さすが万年若手! 川元の「献血で全てを捧げる」は悪くないんですが直前が良すぎて印象が薄い.西田の「ルーレットを回せ火がつくくらい速く」は,器が大きいというよりはかっこいい言葉.西田はテーマからのずれに苦闘し続けます.井上の「クリスマスの日に彼女に油田をプレゼントする」は長すぎて微妙.激しく緊張しているようでものすごく辛そうです.水野の「留守の戸締りはしない」は緊張の欠片もなく(苦笑)しっかりと楽しいんですが,それを追いかける川元の「いなごの大群の進路方向を変える」は人間の能力の範囲を軽く超える凄さ! この超人路線に即座に乗った西田は「ルビーはまだ柔らかいほうの宝石だ」とテーマにきっちり合わせることにようやく成功.そして井上.はじめて長考した上で歩みだすのが…「だったらゆっとくけどお前は一番.その上は俺」…おいどこに行く(苦笑)! いきなり目を覚ましたままでうわごとを言い始める井上.その凄さの前では水野の「レンコンの穴なぞ全部塞いでやる」は悪くはないが弱い.最後は川元が「ルーマニアで包茎手術」と最初の路線に戻って,下ネタでくすくす笑いをとります.
解説では,初戦なのにもはや一杯一杯でうわ言状態の井上に注目が集中.大人なのに途中から涙目です(笑).
次のテーマは「ジーンと来る言葉」
板尾の「住所が欲しい」というレベルの高すぎる例からスタート.
手を上げたのは川元.元々周囲の実力が高いほど実力を発揮する川元の答えは「いたこを抱いたんじゃない,お前を抱いたんだ!」いきなりものすごい設定と映像がやってきた! これを受ける西田の「だいぶやせていた」はじわっとくる言葉.うわ言井上は「ためになる話をしたがさっき聞いたといわれた」というのは…彼の妄想の中ではジーンと来るんでしょうか(笑).水野の「タイ以外全部握ってやってくれ」は状況が曖昧すぎてジーンとはしない.完璧に掴んでいる川元は「0点を取ったのに誰もしかってくれない」と寂しさの忍ばせ方が素晴らしい! 西田の「イルカがよってきた.陸までも」はテーマからは外れ気味なんですが,言葉から浮かぶ状況が明らかで想像の余地も大きいので審査員は好評価.井上の「もうすぐこの店も潰れてしまうのか」は割といいんですが,井上自身があまりにも辛そうでうわ言にどうしても聞こえてしまいます(苦笑).水野の「カウパー氏腺液」はとても下品(苦笑).それに比べると川元の「木彫りの祖母」はやはり素晴らしい!年長者ってなんかジーンとくるというネタを継承した西田の「ボーリングに行った.80歳ではじめて」は悪くはないが言葉の弱さの割には長すぎる.年長者ネタは井上も採用.「手の皺が複雑になってきた」必死の回答としては素晴らしい.で,ここまでの流れを壊したのが水野.「たぶん産油国では有名だ」は明らかに暴投.これでリズムが狂ったために川元の「ダメおやじが最後に確変をひいた」は今ひとつ.西田の「煙草を吸っていた.猿なのに」は言葉よりは演技で得をしてますね.そしてラストの井上は「錦鯉の色彩は他の国では表せない」…うわ言だ(笑)!
尻上がりに良くなっていったこのグループでは,印象の面ではトランス状態の井上が最高に輝いてました.ラストとか.水野も終盤以外は比較的堅調で,辱めるために推薦した板尾の意図には反したようです(笑).今回全体を通しても,この2戦は特にレベルの高い,見ごたえのある戦いでした!
この激しい戦いを勝ち残ったのは…川元と西田.20点と12点で進出.新人の2人は井上10点と水野7点でやはり安定感が足りずに敗北.ですが下品な水野もトランス井上も十分にキャラは立ってますんで,ぜひ竜王戦への登用をお願いしたいところです.
以上予選で勝ち残ったのはAブロック哲夫・小堀,Bブロック川元・西田の経験者たち.この4人で本戦が行われたわけですが,その顛末については次の記事に続きます.
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