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怪奇大家族#8

「霊界版ヤクザVシネの巻」

霊に満ちた自宅・忌野家に嫌気が差したキヨシはある日家出した.しかし,無一文で飛び出したか弱いキヨシは都市の生存競争に真っ先に負けてぼろぼろに.そんなキヨシを拾ってくれたのは,死体を集めるスナック「まぁ冥土」の店主・メメント森だった.寡黙で強面,喧嘩も強い店主を「兄貴」と慕うキヨシは,死体の女の子たちが接客をする,死に酔いしれるスナックでボーイとして働きはじめる.理解のある客たちと個性的?な女の子に恵まれた「まぁ冥土」.しかしこの店を潰したいと考える何者かが鉄砲玉を送り込んでくる.

実写なんだけど派手で漫画的な物語が気持ちいい「怪奇大家族」.今回は忌野家を飛び出したキヨシが体験する裏霊社会というわけで他の家族の出番はほとんどなし.現在の忌野家は霊ライン3本と妖ライン1本が走る心霊現象のメッカなんですが,そこから逃げ出してもやはりオカルトに巻き込まれているキヨシが哀れ.家にいなくても,主役は不幸からは逃げることはできないのです.さらに線香という小道具が実に小粋に使われているのが楽しい.
序盤.(たぶん主に)アサミさんの髪の毛の処理にほとほと疲れ果て,家を飛び出したキヨシ.無一文で喧嘩にも負け,あっという間に身を持ち崩していく若者の様子はまるでチンピラものVシネマの序盤のよう.しかしぼろぼろでゴミ捨て場にいたキヨシを助けたのは死体の森.普通のVシネマだとヤクザの兄貴なんだけどね(苦笑).死体を集めていた子分に,半殺されたキヨシは死体と勘違いされて回収されてしまいます.あたかもビートたけしのヤクザ映画のごとく子分を手酷く叱りつつ,ぼろぼろのキヨシに「中入んなよ」とスナック「まぁ冥土」に導くメメント森からはじまる,キヨシの長くて短い霊界裏社会体験記.
森の風格と男気にあこがれたキヨシは,「ゆっくりしていきな」という森の言葉に甘え,兄貴のスナックでボーイとして働きはじめます.普通のスナックだと中には外国から来た綺麗なお姉さんがいるわけですが,このスナックでは死体のお姉さんが妖艶に微笑んでおられます.お客は死体の良さを知る生者の皆様.死体をフレッシュな状態で保つためには冷蔵用の装置などそれなりの金が必要なはず.同じ死体や幽霊を相手にしても,金を稼ぐことはできないですからね.しかも誰彼もからぼったくるわけではないあたりが,兄貴の適切な配慮を示してます.ナンバー1のセツコ嬢の「とにかく人が死ぬ!」ってトレードマークがさすが死体スナック(笑).
そんな生者向けの特殊な趣味のスナックに送り込まれた鉄砲玉の流しは,死体を苦しめる「僕らはみんな生きている」という呪歌(笑)を絶唱.兄貴があわてて運び出し,姐さんに「呪います」を歌わせることで呪歌の効果をキャンセル.誰からか恨みをかっているのは間違いないですが,いつでも来いと線香を吸ってる兄貴.画面全体の色調に加え,小道具が効いてます!

中盤.1ヶ月のボーイ修行が板についてしまったキヨシ.司会ぶりも後輩への指示も堂に入ったもので,これがキヨシの天職なのか? ちなみに無情な忌野家は兄のことなどすっかり忘れてしまっております.「血は水で洗う」ってのはここで学んだ知識なのか,それともアサミさんの口からこぼれた奴を処理することで覚えてしまったのか(笑).
なんとか存続している店の前で,キャッチボールに興じる森さんとキヨシ.店にとっても生きているキヨシがいれば買い物や真昼の活動など便利なことも多そうなんですが,「そろそろお前帰れや」と帰宅を進める兄貴の言葉にキヨシは狼狽.「カタギのお前のいるところじゃねえよ」と転がりこんだ弟を真っ当な世界に戻そうとするのはヤクザVシネマのお約束.ついでにこの状況だと愛する女が迎えに来るのもお約束なんですが,キヨシの場合,店の前ではアサミさんがキヨシを迎えに来ました…普通だと愛する女の登場で精神的に戸惑うシーンとなるはずなんですが,キヨシにとっては家を飛び出した一因に迎えに来られてもやりにくいところ.オカルト界にも表と裏の社会があるようで,ちゃんとした葬式を受けた幽霊の方がそうでない死体より格上.死者を霊とせずに死体のままで働かせているメメント森の評判は霊界ではすこぶる悪いようですが,兄貴に心酔しているキヨシにその言葉が通じるわけがありません.さらに後のシーンでは,森のおかげで無縁仏寸前の女の子たちは救われたのだと感謝していて,兄貴は霊界のあぶれ者を集めてくれた,いわゆる霊界の必要悪だったわけですね.
そしてついに訪れた崩壊の日.セツコの命日を店のスタッフで祝ってドライアイスを取りに入ったキヨシ.しかし背後,店から仲間たちの悲鳴が!

終盤.敵の鉄砲玉によってヤクザVシネマがいきなりB級ホラー映画に変化! 送り込まれた鉄砲玉は死体の自由意志を奪う凶悪なゾンビ.店のスタッフが噛まれるとゾンビに変わるため,あっという間にゾンビに支配されてしまう「まぁ冥土」.直前までのノリが非常に抑え目だったので,ここでのアクションの大爆発ぶりはかなりのものです.
鉄砲玉を送り込んだ敵に対して怒りつつ,森は大切な自分のスタッフを次々に己の銃で撃ち殺すものの…しかし森も噛まれてしまいます.キヨシに「俺を撃て」と銃を差し出す森ですが,いかに裏霊界の水になじんだように見えたとしてもキヨシはやはり表社会の男.どうしても撃つことはできず,無我夢中で店から街へと逃げ出します.「メメントー…モリー…」すなわち『死を思え』と唸って近づく兄貴.けれどキヨシには何もできず….この大ピンチを救ったのはなんと! 深刻なキヨシと森に対し,その背景から介入する救い主の姿がどうにも間抜け.あたかも画太郎先生の漫画のような(苦笑)暴力的ながらナンセンスな終末の後味はあまり良いものではありません.死を迎えることとなった森に線香を差し出すキヨシ.彼に弔ってもらえたことで,無縁仏改めゾンビのはずの森も成仏することができていたらいいのですが.
辛い経験の末に帰宅したキヨシの心は,森という心の師匠を得たことで少し大人になっていました.誰にも等しく訪れるものを実地で知ることができましたし,あのアサミさんに火を差し出してもらえるようにもなりましたしね.しかしそんな忌野家勢揃いを狙ったかのような新たな来訪者が! ここまでの展開を見ていると,4本のラインが走っているのは忌野家ではなくキヨシなのではないかと疑問を抱きつつ(苦笑)次回に続きます.

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