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怪奇大家族#9

「人は順応する生き物の巻」

今の家にそれぞれ不満を持つ忌野家一同は,リフォームしたいと夢を馳せるがそれには先立つ金がないはずだった.しかし次の日,浅墓工務店の多羅尾番外がリフォームの下見にやってくる.珍しく気の利いたことを父がやったと家族は勘違いするも,父は業者など呼んでいなかった.
次の日.キヨシが目覚めるとキヨシの部屋が広くなっていた.一晩にして忌野家は巨大な迷路に姿を変えてしまったのだ.思ってもいないところに繋がる出入り口を伝っているうちに合流したキヨシと妹と父.ようやく玄関にたどり着いて外に出られるかと思ったら仏間に戻され,仏間の窓は虚無へと続く.奇怪なリフォームを施されて遭難者まで出ているこの家から,キヨシたちは脱出しなければならないのだ.

ここしばらく落ち着いた話を提供していた「怪奇」,今回は久々の面白回! 幽霊も妖怪も出てこないわけですが,家という無機質な迷宮をやがて受け入れていく忌野家の姿はあたかも押井守(笑)を彷彿とさせる素晴らしい出来.不条理に対し途中で抵抗を諦めて受け入れていくあたりが日本的で卑小で寛容で,そこが楽しい! これまでの放映分からベスト3本選べと言われたらこの回をまず選びたい,シュールな傑作です.

序盤.モノクロの推理ドラマよりスタート.板尾さんはそこで何をやってるんですか(苦笑).壁のうめき声の原因はリフォームの際に壁に塗りこまれた死体だったというサスペンスにもオカルトにもなりきれていない緩い話を見ながら忌野家が達する意見が「リフォームいいわねー」って一体どんな文脈でそこに達してしまうのか(苦笑).
全員が今の中古住宅には不満で,プールの欲しい母,大きなベッドの部屋が欲しい妹,大人の娯楽室ことカジノが欲しいキヨシに,ジャグジーバスなどが欲しい祖母.そして,地下の降霊室が欲しい父.ラストは突っ込みどころなので,「なくても十分降りてるよ」とツッコんであげましょう(苦笑).金がない奴がいかにもやりそうな他愛もない夢想的リフォーム雑談が,確かにこの家に大変な事態を招くことになるのです.
次の日.早速やってくる顔色の悪い浅墓工務店の多羅尾番外.この業者は家中を叩きまくり,見えない誰かと会話したり,犬小屋と犬を計りまくってみたりとどうやらリフォームの下見らしく.きっと父が連絡してくれたのだとキヨシたちが勝手に納得したのが命取り.浅墓から手渡された名刺が,霊感のない父が触ると真っ白になっているあたりが,念のため,多羅尾が普通の人間ではなく,特殊な現象であることを示しています.
そしてはじまる破滅と再構成の次の朝.キヨシが部屋で目覚めると,部屋がやたら広く変化! さらに戸を開いて出ると,同じ部屋に続く別の戸からここに戻ってしまいます.手を戸の外に差し出すと,向こうの戸から自分の手が見えるという現象とひとしきり遊ぶキヨシ.向こうに見える自分にフェイントをかけてみたりと素晴らしい現実逃避ぶり.ただしこれが現実である以上,キヨシは主役としても立ち上がらなければなりません.というわけでまずは部屋の窓を開けてみると着替え中の妹の部屋に.彼女に対する「よお」という気の抜けた挨拶が実にキヨシです(笑).
妹と合流してはじまる本格的な忌野家探検.全ての扉や戸がランダムに繋がれる巨大な迷路をさ迷う兄と妹.どこか少女漫画的なファンタジックさの中,脈絡なく繋がる部屋と部屋をさ迷ううちに,妹が「これってリフォームなんじゃない?」と嫌な事実に気がつきます.
さ迷った2人がようやくたどり着いたのは,いつもならすぐに行けるはずの茶の間.ここで父と合流して仲間は3人に.さらに玄関から戻された仏間には祖母の姿が.この状況をなんとかしろと父に「忌野家の変なこと担当」にされてしまったキヨシ.しかし,開くと虚無へと続くトラップ出入り口やら遭難者の死体やらが3人の危機感を煽ります.

中盤.ヒゲ面で倒れているキヨシと同じく憔悴した父と妹.祖母のみいつものままなだけでなく,どこから持ってきたのかわからない饅頭を黙々と食ってます(笑).精神的なものなのか,それともこの家がもたらす効果なのか,少なくとも数日以上は経過していそうなキヨシたちのところに母の声の幻覚が…ってこちらもふつーな母登場.しかも現在の家の構造に対し「便利」というとんでもない形容をやってのけます(苦笑).天然ボケゆえにこの家への順応は素晴らしい母のつくった料理をがつがつと食らう3人は,いよいよこの家の中で生きていくことになります.
キヨシの,あたかもアタルのようなナレーションとともに紹介される忌野家の異常な日常.外には出られないもののなぜかライフラインは生きていたので,家の中で栽培したり,どこからか持ってきたりと食料を調達した上で,異常な家の中で日々の暮らしを維持する家族たち.いつもは家の外部から異形がやってくるんですが今回は家自体が異形化.しかもその中で暮らす家族たちは家という異形に取り込まれた異形の一部となり,それは観察者であるキヨシも例外ではありません.行く先を示す手書きの張り紙は家中に張り巡らされ,ついには宇宙と家族について語りだすキヨシのテンパったナレーション.素晴らしい(笑)!
さて,その間外にいたのは殺子と八九郎と犬.家は結界に阻まれて誰も入ることができないのかと思ったら,例のリフォーム業者,多羅尾がひょうひょうと入っていきました.

終盤は一気に状況が変化!エッシャーの絵画のごときで現在の忌野家図を部屋で見ていたキヨシに吹く風.その風から,ベッドの下の新しい出入り口を発見するキヨシ.暗い画面を激しい音楽とともに這っていき,暗い通路から出ていくキヨシが見たのは…工務店とその中の多羅尾.元凶をようやく発見したキヨシは,ごく普通の挨拶もそこそこに(笑)家を元に戻せとファイトを開始で,クロスカウンターはゆっくりとヒット(笑).前回のボーイ修行で鍛えられていたのかこれまでの珍妙な展開にほとほと嫌気がさしていたのか,キヨシはいつもならありえないくらいの暴力的な大活躍.明らかに鬱積するものを多羅尾にぶつけております(苦笑).
元凶が発見されたのでようやく家は元の姿に.その元凶を呼んだ原因が祖父であったことも判明するんですがそれはともかく,一連の事件でキヨシが学んだのは,どんな家でも住めば都で,異常現象よりも確実に恐いものが存在するということ.そしてくしゃくしゃにして鼻紙にするばあちゃんは最強であるということ(笑).閉じ込められた恐怖に絶望して自殺して終わり…なんてありきたりなホラーの結末を回避できたのは,祖母に代表される忌野家の極度ののん気さゆえなので,キヨシは家族に呆れるだけでなく感謝するべきだと思います(笑).次はまたもひどい目に遭うキヨシ! ネタ元は恐怖新聞とかですか? 終わり,ではなく次回に続きます!

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