ケロロ軍曹#39
「今年最後の名人芸の巻」
(A)クリスマスを前に気合の入るケロンが一匹.浮かれたペコポン人の隙を突いて侵略しようという軍曹の計画は,ボーナスをせしめてガンプラを買うためのもの.しかしこの計画からあっさり離脱するドロロとタママ.特にタママの発言にひっかかった軍曹は,先にクリスマスについて調べてみることにする.
(B)大掃除を前に気合の入るケロンが一匹.日向家の掃除を一身に担ってきた軍曹は,フル装備の上で大掃除の現場総指揮を取る.ペコポン侵略とは段違いの迫力で指示する軍曹は,おばあちゃんの知恵袋的掃除小ネタや自分を棚に上げた詭弁を披露しつつ大掃除を遂行していく.
今時滅多に見られないような時事ネタすら淡々とこなす実力派の「ケロロ」.この芸の幅の広さが実にプロっぽい.今回は軍曹が両編とも主役らしく大暴れで声も含め演技のバリエーションが特に素晴らしい.でも,侵略より掃除に生き生きしてるってのは指揮官としてどうなのか.
前半はクリスマス.この浮かれた季節に乗じて侵略計画を実行しようとする軍曹は珍しく真面目なのかと思ったら,当然のように目当てはガンプラ.視聴者もギロロも,もう期待なんかしちゃいけないとわかっていながらついつい無駄に期待してしまうんだよなぁ(苦笑).この計画,ギロロとクルルは乗るものの,卑怯ということでさっくりドロロが撤退.その拒否は当たり前すぎて,出番が減るだけなんだけどいいのか? それに比べるとタママの「三太さん」からプレゼントをもらうために辞退,というネタは何度も回想してもらえる良いヒキです.クリスマスについての知識のない軍曹は,計画のためにもまずは情報集めすることに.
ネット検索で調べる軍曹と,直接夏美さんに聞いてみるギロロ.心温まる情報に魅入られそうになりながら初志貫徹に突き進む軍曹に対し,夏美さんのコメントであっさりゆでがえるとなり取り込まれるギロロ(苦笑).そもそもガンプラには興味がなかったというのもありますが,夏美さんが絡むと軍曹より情けないところも相変わらず.さらにクルルも秋ママさんにパーティに誘われたので脱落で,軍曹には一人ぼっちの戦争をやる根性もなくガンプラはなしと決定し…タママの語ったサンタさんのクリスマスプレゼントにすがるしかないというのは実にお約束.
サンタさん情報を冬樹から入手しようとするも,あまりにも詳細すぎてあっという間にお手上げになる軍曹.さすがは冬樹,オカルトマニアゆえにこの手の情報にも詳しいなぁ.サンタにプレゼントをもらうために駆けずり回る軍曹ですが,「なんでもお見通し」という言葉を思い出して愕然となりつつも,556とラビーさんの手伝いで善行を地道に積むことに決定.こんな一時的な善行にどれほどの効果があるのかはわかりませんが,楽しいクリスマスパーティもケーキもアルバイト代もなしで必死に働く軍曹がちょっぴり哀れ.バイト代があればきっとガンプラ買えたんだろうけどね(苦笑).そしてくたくたの夜,滅私の働きを評価した誰かが軍曹にもプレゼントをご提供.きっとこれは,ペコポンの文化にケロンを組み込もうとする誰かの陰謀に違いない.
後半は時期的に気になるけれどもできない(笑)大掃除.基本的に非常に面倒くさいイベントなんですが,異様に光り輝くのは我らが軍曹.なんせここまでの9ヶ月間で軍曹がまともに身に着けた唯一のスキルが日向家の家事.自信満々で現場総指揮にあたる軍曹には逆らいがたい指揮官の風格が漂います.このカリスマ性を侵略作戦の時に発揮できればこんな話にはなっていないんですが…(苦笑).掃除用オプションをフル装備の軍曹は,居候のギロロを含め部下を動かし掃除に邁進.
頭に装備したミツケール君でダメな掃除を発見した上で直ちに是正していくお掃除軍曹.窓掃除には新聞紙,畳には茶殻&箒.奥さんこれ覚えて帰って下さいよ的な知恵をご披露する軍曹.茶殻の部分で無駄にトレビアンなパリ風なのが,なぜか異様におかしいぞ(笑).掃除は埃を効率的に取るのも重要ですが,大切なのは捨てられないものを減らすこと.本を整理する冬樹は軍曹の口車に乗せられて本を供出してしまいますが,どうしても整理できないものは他人の冷たい目で分類してもらうってのは一つの手でしょうね.もちろん本当に大切なものは真っ先に別にしておきたいところですけども,意外と図書館には同じ本があったりするもんですよ.片づけるのに必要なのは,新しい本に出会うために捨てる勇気…ということですが,あの本を捨てずに古本屋に持って行けば新しい本との出合いもぐっと近づくのでさらにお勧めです.散々口先で盛り上げられたあと,軍曹がガンプラを死守していることを知った冬樹の落ち込みぶりは,やっぱり気の毒(苦笑).
軍曹の小姑のような大活躍のおかげで家はぴかぴかに.いつも壊したり惑星レベルで掃除したりのモアさんには,新鮮な体験だったようでよかったですね.それからギロロ,ゴミの野焼きは論外なのでやめなさい.合成繊維を低温で燃やすなんてのは最悪ですよ! そして軍曹,間違った掃除を正したいのはわかるけれど,夏美さんの風呂場に突入するのは…夏美さんが浴槽から出ているタイミングを狙いなさい(笑).夏美さんにぶっ飛ばされて頭を燃やす軍曹,お約束なんですがよく燃えてるなぁ.
仕上げは年越しそばを食べながらまったり.来年も日向家とケロンたちの細く長い縁は続いていくわけですね.相変わらず「時そば」知ってて除夜の鐘を知らないというバランスの悪い知識をご披露する軍曹には,来年もまだまだ学んでもらうべきことは多そうです.大晦日のテレビでは格闘技…ってテレ東だから「でぶや」のほうがいいんじゃないかな(笑).実にこの作品らしい手堅さの,きりっとした名人芸で締めたところで来年の次回に続きます.
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