ケロロ軍曹#37
「脈絡無視のノリ重視の巻」
(A)資金難に陥った軍曹は,ドロロに忍者教室を開かせてペコポン人から月謝を取ろうと考える.チラシを巻いて人集めをしようとするも,月謝が少々高すぎて思った通りには集まらず,生徒を待つドロロは落ち込んでしまう.このまますねられては忍者教室が維持できないと考えた軍曹たちはペコポン人のかわりに教室に入門.しかし,真面目に忍術を教えようとするドロロをよそに,軍曹たちは忍術をネタに遊びはじめる.
(B)夏美の部屋に翼竜が乱入.それに怒った夏美が冬樹を連れて軍曹のところに行こうとすると,冷蔵庫の入り口がいつもと違う様子.中に広がるジャングルでは,ケロロ小隊とティラノサウルスがお待ちかね.資金難に陥った軍曹は,恐竜を再生してテーマパークをつくり,ペコポン人から入場料を取ろうと考えていたのだ.怖いティラノにもコントローラーがついているから大丈夫…と思ったら,コントローラーが外れて命がけの追いかけっこがはじまってしまう.
今回はかなり直球の面白さを狙ってきた「ケロロ」.ゲストの556を風変わりなスパイスとして扱ってはいますが,描かれているのは実にスタンダードなどたばた.大人にとってはあまりにノリ重視でべたべたで,先読みだってやり放題のためどうにも物足りないかもしれませんが,特に幼い子どもにとっては非常に面白い回ではないかと.
前半は久々にラビー登場.ラビーさんが本気で働けばすぐに楽な暮らしになると思うんですが,あのダメ兄貴の考えで動いていちゃ生活は苦しいままでしょうね,同じことはケロロ小隊にも言えて,ボーナスだって出たのにもう財政が逼迫してしまう大きな原因はボンクラ軍曹にあるのは間違いのないところ.そこで学校をつくって子どもを集めて月謝を取ろうというコンセプトは,実はそう悪くはないんですよね.忍術で体と心を鍛えようなんてコンセプトは親には非常にウケがいいはずで,商店街よりは住宅地の一戸建てを狙ってチラシを入れて回ったほうが効果的ではないかと.しかし,そこまで考えが及ばない忍者教室には生徒は集まらず,子どもたちのためと騙されて教師を引き受けてしまったドロロはすっかり落ち込んでしまいます.
落ち込みドロロをなんとか教師の座に維持するべく,客引きのはずのケロロたち5人は仮入学.モアさんのくの一姿…というかそのスレンダーな褐色の太腿が素晴らしい! 早速講義を開始するドロロが忍術について説明すると,極意なのに地味とか言われてしまったり,忍者の本業である隠れて逃げてかく乱することを否定されたりと大変態度のよろしくない生徒の皆様(苦笑).高速移動で複数いるように見せる分身の術は,脈絡なしにあっさり軍曹が実現するのにびっくりですがあっさり疲れてやはりダメ(苦笑).あの身のこなしは,普段の家事の賜物?
生徒のひどさに落ち込みそうになるドロロが教えるのは変わり身の術.激しい訓練によって成立する肉体技のはずが,クルルがケロンの技術力なんか投入するものだからぐだぐだに.ギロロの赤さを生かしてダルマ,ポスト,りんご…と仲間を変形させて遊ぶ仲間たちの姿にドロロ,激しく不安を感じております.小隊の面々は軍曹以外各自が特定領域のスペシャリストなので,忍術に相応する技術はそれぞれが別に取得しているのがやっかいなところ.その上唯一ろくな特殊能力もない軍曹ときたら寒中水泳なんか不可能なくらいの根性なし.水着姿のモアさんをもっと見せてください(笑).
水遁の次は土遁.土に潜って隠れるのだと渡したクナイがなぜか生徒に大ヒット.説明無視で穴を掘りまくる一同の気合は一体どこから生まれているのか.その上流行はクナイから穴掘りへと瞬く間に移行.モアさん,いくら弱めてあるとは言え,黙示録撃を使うのは危ないよ(苦笑).もはや忍術はどうでもよく破壊活動に勤しむ一同にがっかりするドロロの頭上から,聞き覚えのある濃く暑苦しい笑い声の主は…今回のスパイス,宇宙探偵556がラビーさんを連れて営業妨害の報復に参上.これになぜかケロロ一同は忍者軍団と化して対抗することに.ノリ重視のため問答無用で物語は展開,視聴者もドロロも戸惑いながらついていくしかありません(笑).この戦いは夏美さんに大変な災害をもたらし,ゆえに第三の,最強勢力として二組に襲いかかる夏美さん.そこから隠れ身の術で逃げるようにドロロが誘導したはずが,無体な仕打ちを受けて地に沈んでしまう哀れっぷり.あれほど忍術の精神に怒っていたギロロさん,煙幕に隠れて逃げるのは卑怯ではないのか?
結果的に罪は556が全部背負ってしまい,ケロロ小隊おなじみの共鳴でさえ忘れられ,ドロロの存在価値って一体…あばよ涙とか言われても(苦笑).
後半はさらにノリ重視.冒頭で夏美さんを再び不幸が襲い,これによって日向姉弟は冷蔵庫を通って原始のジャングルへと足を踏み入れることに.相変わらず貧乏な軍曹が仕掛けるのは本物の恐竜を使ったテーマパーク・ジェラシックパラダイス.コンテンツの内容はいいとして,余程維持費を抑えることができないとダメでしょうね.確かに暴竜ティラノサウルスの魅力は素晴らしいわけですが,その危険な生物を安全な状態で維持するってのは一筋縄ではいかないはずで…やっぱりな(苦笑).
ギャオちゃんというひねりのない名前をつけられたティラノの頭にはクルル作のコントロールユニット「3回まわってワン」が鎮座.しかし確か恐竜には2つの脳があったことが災いしたのか,完璧にはコントロールされていないようなギャオちゃん,芸にかこつけて飼い主の軍曹を蹂躙.お手,おかわり,伏せと…全部狙っているよなぁ(笑).さらに「ボール」とってこーい,と軍曹が投げたおかげで発生するお約束の大惨事.ここでギロロがかわりにコントロールされてるあたりが愉快です(笑).
軍曹のコントロールを離れたギャオちゃんは目の前を逃げる小さな餌を追いかけ回し,ギロロを使ってユニットを元に戻す試みもユニットを壊す大失敗で終了.ユニットを外した瞬間に己の使命を忘れるギロロの間がまた素晴らしい.
恐竜相手にはケロロ小隊はあまりにも無力で,怪獣パニック映画のお約束を真面目にこなすケロロ小隊の前に現れたのはスパイスの556.…見に来ただけなので役には立たず(笑).もはや壊れた入り口へと恐竜を廃棄するしかないと小隊内ではほぼ意見が一致するわけですが,唯一それに反対する軍曹は己の体1つで説得に向かい…もはやにエサにすら見えないようで,踏まれます(笑).そしてラスト.それは激しいご都合主義が一同の危機を救います.脈絡なく起きた出来事と超理論によってなぜかタイムトンネルが出現.そして「ボール」を追ったギャオちゃんははるかジュラ紀の昔へと到着し.テレビにはそのオーパーツが骨と一緒に映っていたのでありました.
特に終盤,出来の悪すぎることがウリのB級映画のような展開が,割と丁寧な「ケロロ」にしては随分と投げやりですが,これは作る側が意図してノリ重視のテイストでまとめていると考えたほうがよさそうです.この実験路線は次回も続くんでしょうか.予告のあの映像は…それは画面の前の誰に対するサービスですか(笑)? 素晴らしい画がおがめそうな次回に続きます.
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