怪奇大家族#12
「先祖の因果が子孫に報い?の巻」
三途の川に流されてしまったキヨシは,どこかの川の袂に流れ着く.それを発見したのは父と同じ顔の着物姿の男.伝統的な日本家屋の中で目を覚ましたキヨシを「キヨベエ様」と呼ぶこの男は下男のマサキチ.そして「兄者は見つかったのか」とこれも着物でやってきた妹そっくりの彼女の名はオキョウ.キヨシは,タイムスリップの上ご先祖様の家に転がり込んでしまったのだ.名前と服装は違うものの過去の忌野家は現在とそっくり.しかし過去の忌野家は霊能力を悪用しいんちき霊感商法を生業としていた.忌野家に協力しない妖怪や幽霊を封じる部屋を発見したキヨシは,可哀想な彼らを解放する.先祖の非道な行いをやめさせようとするキヨシだが,本物のキヨベエが出てきたおかげでキヨシは捕まってしまった.
主役のキヨシ死亡中の「怪奇大家族 DEATH」.前回終盤で三途の川に流されたキヨシがたどり着いたのは思ってもいなかった光景となります.アバンが変わっているのは前回からですが,今回はさらに軽いなぁ.さらに劇中の音楽も今回用に変わっているあたりは芸が細かい.キヨシが流された直後に開かずの間の中の彼の体が消え,今回の物語「and REBIRTH」」がスタート.
序盤.流されたキヨシを拾ったのは着物姿の父.助けられたキヨシが運ばれたのは,現代の忌野家の一戸建てではなく純日本家屋.目覚めたキヨシは父からキヨベエ様と呼ばれて大混乱.前回予告で約束されたとおりにここは過去の世界.しかし予告を見ていない(笑)キヨシは家族の変貌にうろたえるしかありません.ここは過去の忌野家,キヨシのご先祖様の家.妹そっくりで気が強そうなオキョウと父そっくりのマサキチ.さらに祖父はもう死んでいて,相変わらずの役立たずぶり.
ちなみに現代の忌野家では四十九日の法要が十中弟のおかげで無事終了.そこになぜか参加しているMIBの2人と十中弟のエロとか生臭な小競り合いぶりがおかしい.外人には絶対見えないけれど外人と言い張るMIBと,どう見ても外人なのに国籍をぼかす十中弟の相性はやはり悪いようで.そしてまたも例のペンでぴかっとなって巻き戻っている展開.大事なグッズなのはわかるんだけどさ,話が先に進まないから,そのペンどこかにしまおうよ(苦笑).
一方過去では忌野家ご先祖の家の中をうろつくキヨシ.霊能力を生かした過去の忌野家の商売は悪霊落とし.でも「こんなん出ましたー」は…いいのか(苦笑)? 母そっくりのご先祖の能力に感動していると,その直後にさっくり剥げる化けの皮.霊とグルになった上で霊障を起こし,それを解決して礼金をもらうという悪辣なマッチポンプぶり.この悪さは現在の忌野家にはないものですね.さらに現在の忌野家にはないものがもう1つ.気が強そうで遊び人の兄・本物のキヨベエに出会ってしまって思わず暴力を振るった上に気絶させてしまう気の弱いキヨシ.普段の情けない演技はあまりにもしっくりと来ているんですが(笑),気が強いキヨベエも自然に演じているのが素晴らしい.
暴力不祥事の証拠隠滅を行おうとしたキヨシが発見したのは,ここまで登場した妖怪・幽霊などが集められた部屋.単体でもあれだけひどい目に遭わされた連中の一挙登場にうろたえるキヨシの前に出てきたのは,赤い服のオアサさん.後でライターをいじっている物の怪の前でキヨベエに捨てられ命を絶った彼女が説明するところによると,例の茶番劇に協力しない物の怪一同をここに閉じ込めたのは過去の忌野家であるという事実が判明.「いんちき霊感商法」という時代考証大失敗のフレーズまで飛び出すサービスぶりが素晴らしい.まあ,宇宙人いるしね(苦笑).忌野家がやたら超常現象に好かれた理由だけでなく,アサミさんがやたらキヨシが大好きだった理由までなんとなくわかって,この部屋から超常現象一同を開放するキヨシ.封印を剥がすたびに大ウケされてうれしそうなキヨシは,そのうれしさを力に変えて悪徳商法に勤しむご先祖の祖母と妹に直訴するわけですが,逆にそれを不審がられた上に本物のキヨベエまで復帰してしまい,過去であってもやっぱり大ピンチに.
中盤はキヨシの晴れ舞台.旧家族に捕まって縛り上げられこづかれる我らが主役キヨシ.それを助けてくれるのがさっき解き放った超常現象一同.…宇宙人がどうしようもなく浮いているのがたまりません.それほど広くない部屋の中にキヨシと旧忌野家と物の怪一同が集結してちょっとしたラッシュ状態.どうすんだこの大量の登場人物(苦笑).もちろんいがみ合う旧忌野家と物の怪に対し,割って入るしかない未来のキヨシ.「ちょっと待った!」 ここから先が忌野清四享年22歳の一世一代の大舞台.これまでの成り行きをかいつまんで話し,未来には過去の忌野家も物の怪たちも居場所はないと主張.それに異議を唱える過去の母ことオユウ様はキヨシの頭の中にあるこれまでのダイジェストを見て卒倒.疑惑がようやく晴れたことで,追い撃つようにはっきりと自分の名と子孫という立場を言うキヨシ.
未来はいんちき霊感商法はともかく(笑)物の怪には居場所のない世界のはず…なのに激しく超常現象に襲われていた現代の忌野家.原因は開かずの間の邪悪なものか,それとも過去でのいがみあいなのか.だから現在の家族を救うために,皆仲良くしようよ!とオユウ様と妖怪ババアを必死に握手させるキヨシ.ここまでの経験から,無情な人間よりは情のある物の怪のほうがずっと人間的だと知っているキヨシならではの交渉ぶりに一同も拍手! とりあえず過去での物の怪VS忌野家の抗争が発生することだけは防げたわけですが,過去に来てしまったキヨシの問題は解決しないまま…と思ったら指でキヨシを誘うオユウ様.
終盤はさらに怒涛! またも縛り上げられ,例の開かずの間そっくりの部屋に連れてこられたキヨシ.なんと旧忌野家はキヨシを未来に送還する儀式を行ってくれるということで,キヨシも戻れると大喜び.ここで一発借りを返すキヨベエに対し「お前になんか絶対似てない!」と言い切るキヨシですが…そっくりなんだけど(笑).さらにオユウ様に大事な呪文を口伝で教わるものの,どうにも覚えの悪いキヨシ.雰囲気ぶち壊しなのは間違いないですが,いきなり覚えろって言われても(苦笑).
そして,発動するのは未来送還「封印」の儀! 「ちょっと待ったー!」 さらにキヨシが教えられたのは誰もが物の怪を見られるようになるという厄介極まりない呪文.現代社会で物の怪が見えることがどこまで面倒くさいことなのか,骨身に染みて知っているはずのキヨシの意思を無視して儀式は発動.この大仕掛けはベタですが矛盾もなく,しかもびっくり! 最終回1話前にしてとんでもない存在と化してしまったキヨシは果たして現在に無事復活できるのか…いや,復活してはまずいのか? さらに教えられた呪文もまた発動してしまうのか! この非常に気持ちのいい展開に身を浸しつつ,次回,石版魔物編最終回に続きます!
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