« しりとり歌人戦 | トップページ | 今ひとつとか年末番組予定とかてんこもりとか »

ケロロ軍曹#38

「オタクばっかり楽しいぞの巻」

(A)キョクプロ星人の持ち込んだ企画に乗った軍曹.宇宙で大人気のびっくりカメラ企画で,あのギロロを引っ掛けてやろうというのだ.すももが入った夏美そっくりのペコポン人型パワードスーツ(スクール水着装着)はギロロに果敢かつ魅惑的なアタックを繰り広げるが,ギロロは髪の毛程度しか残っていない理性で必死にこれに抵抗する.

(B)夏美の首にはまだクルル制作の変身チョーカーがついていた.パスワードがわからないので外せないのだ.感情が高まったり音声コマンドが入ると勝手に武装してしまう変身チョーカーをつけたまま学校に向かう夏美だが,まともに授業を受けることができず早退する.その帰り道,「ペコポン侵略」というキーワードを聞いてケロン人を無差別に襲う暴走を開始する夏美.

手堅く破綻が少なくて万人向けのお手本のような「ケロロ」.とはいえ長期シリーズなので,短期とは比べ物にならないくらい1話ごとのバリエーションは豊富です.例えば前回は基本的に大人受け放棄で子どもを狙ったつくりだったわけですが,今回はその逆.そりゃもう凄まじい高品質の作画で画面一杯暴れる夏美さんのスク水姿はティーン以上の男の心を絨緞爆撃.子どもにはこの回の価値は正直わからないと思うんですが,わからないほうが幸せだと思います(笑).
前半はすももさんが夏美さんパワードスーツで大暴れ.アイドルゆえの無邪気さなのか人の痛みがわからない残酷さなのか,夏美さんパワードスーツでの乱暴狼藉に一切容赦がないところが逆に気持ちがいい(笑).驚かせることは宇宙共通の面白さのようで,「びっくりカメラ」ももちろん大人気.大好きな番組のためには協力を惜しまないケロロ小隊が提供した生贄はひっかかったときに一番愉快なギロロ.恐らくは事前にギロロ動揺特集VTRを編集の上キョクプロ星人に送りつけ,その愉快さを主張してあったに違いない.この作戦に投入される夏美さんパワードスーツは,この寒いのにスク水ってのがミスマッチで…いい(笑).
寒い朝.芋を焼いているギロロのテントの中に出現するあられもない姿の夏美さん.夏が来た! テントの中に夏が来た(笑)! よほど割り切った短期アニメシリーズでもありえない超絶状況に何もかもを見失うギロロと男性視聴者.内蔵のすももちゃんの熱演によって本能の濁流に流されそうなギロロはかろうじて正気を保ち,看板役のタママはフライング気味.ほっぺのごはんつぶを食われたりスク水エプロンが解けたりスク水タオルでオフロニシマスカだったりと凶悪そのものの攻撃にギロロのリビドーは限界寸前! しかしこれを,「オレはー!」とスポーツやら銃やらで涙ぐましい解消ぶりを見せる様子が哀れです.決して朴念仁ではなく,むしろ過敏な反応ぶりに男の悲しさを感じます.
このギロロの忍耐が女優の心を傷つけて,すももはいきなり路線を「機関銃でどっきり」に勝手に変更! キッチン破壊から始まって,屋根の上で展開されるカエルVSスク水のいろんな意味で恥ずかしい戦闘を本物の夏美さんが見てしまったがゆえに状況はさらにややこしく.その恥ずかしさに軍曹のところにねじこんだ上,クルル製のお守りことチョーカー装着で地上に出る本物夏美さん.女優魂で恥ずかしい夏美さんを演じきろうとするすもも夏美と,乙女の恥じらいを力でぶつける本物夏美の戦いはお守りのおかげでもっと恥ずかしいことに! 変身まではいいんだけどさ.なんで中が水着なのかなぁ…いや,いいけどさ(苦笑).この騒動の中で己が騙されていたことに気がついた哀れなギロロと夏美は元凶・すももを止めるわけですが,パワードスーツの内部確認に戸惑うギロロが男の悲しさそのものです(笑).そしてすもも,生き返った!と思ったら「びっくりカメラでしたー!」でどーつかーれさーんと撤収!話中では一番ひどい目に遭ったのは夏美さんで,一番いい目を見たのはギロロですが,あの後,きっと軍曹が夏美さん以上にひどい目に遭わされたに違いない.

後半はギロロと夏美を襲う更なる衝撃展開.日向家の庭に妙な形の痕跡と,夏美さんの首に変身チョーカーを残してしまった前半の戦い.軍曹は露骨に解除パスワードを教えないようですが(苦笑)夏美さんは仕方なくそのままで学校に.ただし感情が高まったり戦闘とか攻撃のようなキーワードにも反応してしまうこのチョーカーつきでは,とても授業なんか受けられるわけがない…と思ったら案の定の展開に.ペコポン人としては驚異的な身体能力を誇る夏美さんをチョーカーを使って小隊の傘下に置くという軍曹らしからぬ非人道的な作戦なわけですが,「最強兵器彼女」ってテレビの前の普通のお客さんにはネタがわからないんじゃないかなぁ(苦笑).
さて,学校に向かった夏美さんは授業をまともに受けることができません.あたかも武器の気配に敏感に反応してしまうちせのごとく,セント→戦闘,先頭→戦闘と勝手に変換してしまう夏美さん.ゆえに早退するしかないところまで軍曹の周到な計算のうちってのが珍しい.しかし,意図してかどうかは不明ですが,クルルのバーサーカーシステムのミスがケロロ小隊を壊滅へと導きます.アレンビーと違って感情を爆発させるのではなく,むしろレインのごとく冷静な機械に変わってしまった夏美さん.戸惑うギロロに対しこのあたりのクルルは陰険でかっこいい.生意気に先輩呼ばわりしたり,侵略兵器しかつくらないと言い切ってみたりと子安のまともな魅力(笑)が全開です.
躍動する美しい画で大暴れする夏美さんのおかげで軍曹は黒漕げアフロに.この麗しきキリングドールを止めるためには,凄まじく恥ずかしい台詞を音声入力しなければなりません.…これはクルルのギロロに対する意図的な嫌がらせなのか? まあ彼らの真の意図がどうであってもギロロは重装甲スーツで出るしかありません.このご都合主義とオタクなネタに満ちた物語の中で,彼の真心だけが唯一の真実.
暴走夏美さん相手ではケロロ小隊は誘導すら苦戦.今回もいきなり団子が出てますね(笑).高速移動が可能なドロロがギロロの元に誘導し,嘘臭いギミックで地上に出た重装甲スーツと夏美さんの一騎打ちが開始.無駄にギミックが細かいところはもちろん凄いんですが,重装甲スーツの重量感溢れる崩れ方が凄まじい.作り手総出でのバカなノリを感じてしまいます(苦笑).ギロロは夏美の意識を焼き芋で逸らし,耳元でとんでもなく恥ずかしいパスワードを詠唱.ただ,ギロロにとっては英語でよかったのではないかと.万が一日本語だったら「お前が好きだ! お前が欲しい!」ってやらされてるところだぞ(笑).ギロロの恥をかなぐり捨ててでも夏美さんを助けたい気持ちと,夏美さんの乙女らしい食い気によってケロロ小隊は救われ,ようやく,たった一言だけですが報われながらも,そんな気分を台無しにするほどの辱めを受けることになるギロロ.これはやはり前半の収録失敗の原因に対するクルルの手の込んだ復讐と考えるべきなんだろうか.さすがにこれほどまでに濃い遊び方をされてしまうと,普段は極力軽視しているネタに触れないわけにはいかないよなぁと苦笑いしつつ,次回に続きます.

|

« しりとり歌人戦 | トップページ | 今ひとつとか年末番組予定とかてんこもりとか »

レビュー◆ケロロ軍曹」カテゴリの記事

コメント

その他大きいお友達専用のギミックとして
1)夏美スーツの操縦方法がガオガイガーOVA版の前半と同じ
2)後半のケロロの即やられたメカがほとんどビグロ
3)ギロロ重装甲スーツのコクピットがダグラム
他にもあったような気がします。
さすがはサンライズ。
それにしても朝の10時の子供向けアニメでこんなに動いていいんだろうか。ヘタすると種ガンより動いてるんじゃないかと。

投稿: GreenThumb | 2004.12.24 02:25

GreenThumbさん,コメントありがとうございます.
この回はカトキさんのお名前が輝いてましたね.画がとりあえず素晴らしくて,その手のマニアの方々には軒並み高評価だったようです.中でもARTIFACTさんのところの記事は素晴らしかった! 確かにカーミ・サンチンだとかものすごく納得(笑).

ただし,いつもの「ケロロ」が凄いのはネタがまったくわからなくてもある程度の面白さは保証されてるところだと思うので,この回ほどネタに依存されてしまうと,子供向け番組としてはあまり良くはないよなぁと思いました.1回くらいなら楽しいからいいんですけどね(苦笑).

投稿: Rowen | 2004.12.27 23:24

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ケロロ軍曹#38:

« しりとり歌人戦 | トップページ | 今ひとつとか年末番組予定とかてんこもりとか »