焼きたて!!ジャぱん#8
「まだ動けるからさらに前への巻」
サンピエールとの勝負に引き分けることで存続できたパンタジア南東京支店に,新たな試練,新人戦への召集令状がやってきた.全国のパンタジア新人の中で頂点を競うこの戦いは優勝者に対する副賞も豪華.特に希望すれば本店勤務も可能ということで河内はがぜんやる気を出す.さすがはパンタジアの新人戦で,予選のテーマは「室温で3週間カビない食パンを作れ」という難しいもの.ところが和馬はすぐさま解決法を思いついたのか,ジャぱん32号の材料を取りに行ってしまう.取り残されてしまった河内.自分の実力で優勝したいのだが着想も才能も和馬には勝てないと悔しがり途方にくれる河内に,月乃は「太陽の手,欲しいですか」と問いかけた.
まだまだ普通のパンコメディの「ジャぱん」の今回の主役は「なんやてー」河内.主役にはないパン知識がありツッコミの腕もそれなりで,主役の和馬のボケを輝かせるのが河内の存在なのは間違いないはずですが,パンの腕と着想自体は和馬と大きな差がついてしまい,職人としての実力差に苦しむ河内がきっかけを得て奮起するのが今回以降となります.…とはいえこの努力,長期的にはどんな意味があったのか(苦笑).
前半.ゴールデンタイムに(湯気だらけでも)シャワーシーンからスタートする作り手の根性がいいなぁ.和馬の実家のテレビで放映されたのは2週前の録画…って現実の時間経過に沿ったお遊びですね(先週は休止).和馬の祖父,89でぷるぷるですがタオル1枚の姉に跳ねられても無事で何より.
パンタジアグループの会長である月乃の祖父は和馬の祖父の10歳下.彼から和馬と河内に届いた赤紙は,全国的な新人戦への召集令状.店長も月乃もこの新人戦の入賞者ということで和馬も河内も勝利を義務付けられる上に,河内を駆り立てるのは副賞の本店勤務!ビッグになることを諦めない彼が奮起するのは当然なんですが,競争相手が例年の3倍という情報でどうしてもへこんでしまいます.ツッコミは常識を心得ていてなんぼなわけですが,職人として常識を突破するにはその知識が邪魔になることが多いわけで.「いつもの3倍頑張ればいい」とあっさり言い切るプレッシャーなしの和馬の強さは,河内には手が届かないわけです.
今年の新人戦予選のテーマは食パン.しかも一般的な室内で3週間カビないものを! …とはいえ形が食パンであれば混ぜ物は許されるようなので,条件としては緩いかな.長期保存が可能な菓子パンはいくつかあるので,その防腐技術を食パンに転用する…というのが基本的な攻略法でしょう.ちなみにカビたパンは本当に危険なわけですが,同じようにカビの生えたもちも食べないほうが賢明.良い子だけじゃなく,腹の減った漫画家も真似しちゃだめだ(笑).この課題をあっさり解消する手を思いついた和馬は,就業時間中に早速材料を取りに出かけるパン馬鹿ぶり.こいつパンさえ作っていられれば幸せだから,給料が減ったって痛くも痒くもないに違いない(苦笑).
そして取り残される河内.自分には,作る前から見ている人間をどきどきさせるような意外性はなく,天賦の才である太陽の手もなく.しかしそれを認識してなお新人戦は自分の力で勝ちたいと苦しむ河内.入社テストでの不正行為の後ろめたさはとても良い形で河内に吸収されたようで,それを確認した月乃さんは妖しい笑みで河内に提案を.
後半は河内頑張る! なんと太陽の手を手に入れられるという月乃の誘い.「無理」という常識で回答する河内ですが,河内改に生まれかわれば可能という常識外の返答が.自分では道を切り開く術がなく,その上ことごとく常識はずれのバカにやられてきた河内だからこそ,この常識離れした提案から逃げるわけにはいきません.そして月乃に連行される河内は…大変な特訓を受けることになってしまいます.「なんやて!」
河内が連行されたのはえらく深いプール.そこで重りをつけて朝夜10キロづつ泳げという無体な注文を食らって早速特訓開始!の勢いが実に無情で良い.「がたがたうるさいですわ!」と愛らしく真っ黒な月乃さんが大好きだ(笑).その上SPときたら…アレは嫌だよなぁ.ゆえに泣きながら泳ぐしかない河内.この月乃の黒さにも理由があるわけですが,その1つが1千万の援助金なのは疑いのないところ(苦笑).
さて河内,特訓1日目にして早速プールで死にかけます.脳裏で回るのは過去の走馬燈.それは…パンタジアに入りたかった,その情熱ゆえに死んだ父の姿.「諦めたらあかん! 諦めなければ笑えるんや.」と感動的な台詞なのに,その後父を待つ宿命はあまりにも無情.この部分,コメディとしては考えられないくらいにしっかりとした演出ぶり! 情けない父の死をきっかけに河内は職人を目指し,自分のため,家族のために勝ちたかったものの,天才である和馬にはかなわず…しかし,過去に支えられ,再び泳ぎだす河内の雄姿が素晴らしい.大阪ゆえに浪花節!
こんな河内の諦めの悪さと素性の良さを,月乃は入社試験の頃から認めていました.もちろん才能の方向が和馬とはまったく違うので,和馬と同じような職人にはなれなくても,彼には彼の職人として成功するための道がある,はず…あるといいね(苦笑)!
腕を徹底して鍛えることで太陽の手甲をつけさせるのが月乃の計画.店長や模糊山のマッチョな体も手の温度を上げるため,とキャラ造形に理由があるあたりは素晴らしいですが,今後はネタ重視となるのであんまり理由は出てきません(苦笑).死にかけたものの生き残った河内は自分につけられた「河内改」にツッコミつつ気絶し,他の名前は「ない」ということに決定.一方,和馬は深夜を徒歩で材料に向かって移動中.ボケとツッコミの揃った南東京支店の新人2人は次回も奮闘.和馬が手に入れてくるものは何か.そして,特訓はともかく河内はどうやってカビない食パンをつくるのか.次回に続きます.
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