陰陽大戦記#15
「だから今日も闘っているの巻」
ナズナがリクのアパートに住むことになり,モモとソーマには身近な敵が増えることになった.地流を見下すナズナが気に入らず,己の力をリクに認めてもらいたいと考えるソーマ.一方地流では,ミカヅチの娘ミヅキが,ユーマに認めてもらいたいために闘神石探索に参加していた.学校で校長からボート部に贈られたボートに乗り,早速転覆して帰ってきたリクに,ソーマは伏魔殿を一緒に探索したいと申し出る.
伏魔殿という新しいステージが加わり,舞台設定のより深いところへ進んでいく「陰陽」.今回は地流側の状況がミヅキとソーマ中心に描かれます.恐らくは何もかも天流より先行しているであろう地流.この世に秩序をもたらす,というミカヅチの指示で動いている彼らが目指すのは一体どこなのか.…というわけでシリアスな地流が出張ってくると全体の雰囲気が重くなってしまいますが,天流は一応相変わらずなので安心です(笑).闘神士たちが闘わなければならない理由は人それぞれで,その理由が深く重いほど強くなるのかもしれません.
前半冒頭は今回も地流よりスタート.12話でコゲンタの大降神にやられたランゲツは未だ癒えずに休息中.最強の式神を扱いながら勝てなかったユーマは「この俺がふがいないばっかりに!」と自分を責めるわけですが,その荒れた気持ちを助けてくれたミヅキにぶつけるってのは男としてだめだろう(苦笑).心技体が揃ったときに発動すると言われる大降神ですが,あのとき,本心を絶叫したリクにそれが揃っていたようには思えないんだよな.
こちらはすっかり元気な天流.前回の直後,ナズナはアパートに入室.日当たりはきっといい部屋なんだと思いますが,向かいからモモちゃんがものすごい顔でこっちを睨んでいるよ!気をつけて! ナズナの加入はやはり食生活の面ではプラスになったようで,リクがあんな風に例えているところを見ると,おじいちゃんの朝食よりもよく出来ているんだろうなぁきっと.そんな食事でも自分の仲間が食べられないとなったらあっさり譲るリク.これまで友達や仲間のために頑張ってきたリクらしくて,とってつけたような感じがしないのが素晴らしい.前回の牛丼でもそうでしたが,いくら賢くても箸の持ち方を指導されていないソーマは,地流ではまともな大人と一緒には暮らしてなかったんだろうか.それとも帰国子女?
ボケ宗家とちび巫女と寝返った敵の3人でつくった仮想「仲良し家族」に呆れるコゲンタに,そのコゲンタとはウマが合わないフサノシンと仲裁に入るホリン.闘神士同士の関係と式神同士の関係がずれているのが面白い.リクとホリンが同じ役回りなんだよな.さて翌日,ナズナはさらにソーマに喧嘩を売りつつ京都へと一時帰宅.その直前にこの家には強力な隠しの結界が張られていると報告するわけですが,もしこの結界が比較的新しいものだとしたら,3話で彼が投げた符の効果ってことだよな?
のどかな学校では,ナズナが住むと決まって激しく怒るモモちゃん.これだけ露骨なんだから,リッくんも少しは察してあげようよ(苦笑).さらにボート部には校長のご好意で本物のボートが与えられ,新人戦への出場も決定? 今回はモモではなく先生の妄想特急が走ってしまい,モモちゃん好きにはとても残念だったに違いない.そんな先生の背後であっさり沈むボート…最初はこんな風に描いてますが,ボート部に関しては闘神と同じく,この先意外とちゃんとした描写をして,うまくなってくれるんじゃないかと.普通の中学1年生にとって,部活はかなり重要ですからね.
さて,天流の側が家族ごっことか転覆とかを繰り広げていた頃,地流の側はシリアスに動いておりました.身寄りがないミヅキを娘として育てているミカヅチですが,2人の間に流れる雰囲気はとても他人行儀.ミヅキが宗家の娘という己の立場を無視してまで伏魔殿捜索部に加勢しているのは,許婚であるユーマに認めてもらいたいため.彼女もまた身寄りがない孤独な身の上らしく,ユーマを心のよりどころにしているようです.そんな一生懸命のミヅキに似ているユーマの母,8話によれば地流に従うユーマにも似ているらしいのですが,今一体どこにいるのか.
ミヅキは鬼門から根性のカンナとともに伏魔殿へと出撃.カンナ,バカだけど(笑)真っ直ぐでいい奴だなぁ.彼女は一体何のために闘っているんだろう.さらに天流側ではずぶぬれで帰ったリクが,ナズナを見返したいソーマに言われて伏魔殿に入ることに.
後半はいつものバトル.基本的に知らないだけで覚えの悪くないリクは,ナズナを見真似て鬼門を開きます.月の勾玉を待つ間話す2人.あまりに自分を疑わないリクに不安になるソーマと,「そういう人じゃないよ」と鷹揚に信頼しているリク.ソーマはいいんだけど,マサオミも同じように信頼しちゃまずいと思うぞリク(苦笑).人の気持ちは変わる,と自分の兄を例に出すソーマ.ユーマがミカヅチに協力しはじめたとき,ソーマにはいきなりの心変わりにしか見えなかったようですが,その裏で彼の知らない何かがあったんだろうか.一方ソーマの知らないところでユーマと闘ったリクはその事実を言いかけるも,勾玉が発動して伏魔殿に送られる2人.覚えが悪くない上に八卦盤を使いこなす力量のあるリクですが,言い出せないことをごまかすのはあまり得意ではないようです.
先に同じ伏魔殿に入っていた地流のカンナとミヅキは,ミヅキの式神・甘露のクラダユウの能力で闘神石を探索.判明した闘神石の在処には八卦盤を使ったリクたちもやってきて,いよいよ対決.
兄の婚約者と出会ったソーマ,婚約者の弟で裏切り者と出会ったミヅキ,そして前回闘った敵に再会してしまったリクとカンナ.あっさり式を降ろしたリクたちの中で,動けないソーマ.地流を裏切った段階で仲間が全て敵になったことを頭では理解しているはずですが,実際に見知った顔に敵対することはやはり辛い.ミカヅチやユーマが目指すというもっと高いところというのはどこなんだろう.さらにソーマを揺さぶるのは,リクが京都でユーマを倒しかけたという事実.さっき誤魔化してしまった事実をミヅキに言われてしまったリクと,ユーマの無事を聞いてほっとするソーマ.本当は兄のことが心配でたまらないはずがさらに意地を張るソーマは,父の言葉が正しいことを証明するために同じ言葉を発したリクに協力します.
今回のフィールドは金,土性のコゲンタと水性のクラダユウ・エレキテルには向いたフィールドですが,火性のフサノシンにはあまり良くないようです.コゲンタVSクラダユウでは煩悩滅却打のおかげでリクに悪意がないことが判明.叩かれて本気で痛がるコゲンタが気の毒ですが(笑),リクに悪意があったら痛いどころでは済まなかったに違いない.天流が闘う理由はわからなくても,自分が仲間と認めた者を守るためにリクのスイッチは入ってます.もっと大きな目的のために闘う地流とは相容れることはできないわけですが,気になるのは「地流は天流の罪を償おうとしている」というミヅキの言葉.…また謎が(苦笑).
一方,フサノシンVSエレキテルの戦いもヒートアップ.根性を語るカンナの気合でピカピカ言いつつ頑張るエレキテル.あまりにピカピカ言うもんだから,嫌なピカチュウに見えてしまってどうしたらいいのか(笑).エレキテルの暴流登衝撃に対し高速移動で対抗する果敢なフサノシン.しかしエレキテルの電光によって闘神石が飛び出し,必死で取り合う2匹の式神ですが勝者はなんと根性のエレキテル! カンナとエレキテルコンビの意外すぎる大活躍のおかげでフィールドは崩壊し,天流も地流もともに撤退.
帰ってきた2人は互いに「ごめん」とあやまります.闘神石を取られたソーマと,ユーマのことを言えなかったリク.天地は善悪で分けられるものではないので,互いの事情を知ることができれば,立場が違ってもその罪を互いに許しあうことはできるわけです.コゲンタとフサノシンは嫌な鞘当を繰り広げてますが(笑)リク曰くああ見えて少しは仲良くなったらしいので,同じ立場のナズナとソーマも,互いを知ればもう少し歩み寄ることができるのかもしれません.そして,本来は無条件で自分の味方になってくれるはずの家族を大事にするように言うリク.「ボクにはいないから」という呟きが本当に重い.家族がいないリクにとって,仲間は家族のかわり.あの家族ごっこだって,リクには本当にかけがえのない時間だったに違いない.
己の仲間を守るために必死のリクですが,地流の攻撃はさらに勢いを増し,次回はあの人が戻ってくるようです.形相の変わった彼は一体どんな攻撃を仕掛けてくるのか.あと,テルはやっぱり大喰らいで他人に迷惑をかけるのか(苦笑).次回に続きます.
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