ケロロ軍曹#41
「元の木阿弥より悪くなって終了の巻」
(A)割とどうでもいいのだが譲れないことで口論となった夏美と軍曹.白黒つけるために取り出されたのはクルルがつくった怪しいスゴロク.プレイヤーが等身大となって楽しめるこのスゴロクは,実はマスに止まるとプレイヤーのやりたいことができる楽しいゲームだった.…ただし夏美を除く.
(B)日常に空しさを感じるドロロが見たのは,街で濃すぎるキャラを敬遠されている556の姿だった.存在感のなさで定評のあるドロロは556の濃さに憧れ,その存在感が欲しいと相談したところ556曰く「考えるな感じるんだ」.濃すぎる556の熱血洗脳に当てられたドロロは心の炎を燃やし変なオーラをまとうことに成功するが,名前はやっぱり覚えてもらえない.
12ヶ月をかけて作品の様々な可能性を一通り試したあと,現在は原点回帰中の「ケロロ」.キャラの能力のバリエーションが多彩のためどんな話に持ち込んだって違和感がないのが本作の素晴らしいところですが,中でも最もこの作品らしいネタと言えば古典コメディ展開とパロディ.技術力が特に高いので,ここまでやりつくされてきたかのように思われる前半のような古典ネタも安心して見ていられるってのは強い.
前半はそんな古典ネタのすごいスゴロク.確かにどうでもいいけれど譲れないこだわりはあるものですが,ミルクティーのミルクが先か後かなんてそんな乙女みたいなことで喧嘩になるなよ軍曹(笑)とか思ったらこれは夏美さんをスゴロクに引き込むための罠であったようで,決着をつけるべくクルルがつくったおもしろ…ではなく(苦笑)等身大スゴロクをプレイすることになる一同.吸い込まれた等身大スゴロクの中にはいつもの面子が準備万端.この状況にあっさりなじむ冬樹と懐疑心を抱いたままの夏美.両者の判断とも,間違いではありません.
この等身大スゴロク,若干1名を除いては非常に楽しいコーナー揃い.本物のナスカやエジプトの名所観光ができて大喜びの冬樹,ケーキやおしるこ食べまくりのタママ,宇宙お好み焼きFXを食べマンガを読むといういつものだらだら暮らしの延長な軍曹.どうやらやりたいことが現実化するスゴロクであるらしいものの,唯一ひどい目に遭わされるのが夏美さん.クルルの調整のためかそれとも無意識にこのゲームに対する不信感が拭えないためかあるいは潜在意識でこの展開を望んでいるのか(笑)海外でグルメのはずが闘牛になったりムエタイになったり.確かにグルメじゃないですが,抜群の運動神経を生かした立派なストレス発散のようなのでこれでいいのでは(苦笑).冬樹はカッパドキア,タママはプリン,軍曹はプラモ,夏美は本場のサッカーと夏美さんオチ担当.軍曹を真摯に応援するモアさんのえこひいきな笑顔が素晴らしい.
しかしこの楽しい?ゲームには当然大変な罠が仕掛けられていました.ペコポン人がゴールした場合はカップめん1個,ケロン人がゴールした場合にはペコポン侵略が現実化するという大ピンチ! しかも2以上を出せは軍曹がゴールするという危機場面.栄光の架け橋という時事ネタをそのままやりつつ(笑)投げる軍曹ですが出た目は1.…それは,リアクションのスペシャリストとしては間違ってない(笑)! スゴロク終盤には厳しい罠が一杯で,軍曹が止まってしまったのは「恐怖の大王が落ちてくる」.モアさんの巨大な御父上が登場の上にいい加減ペコポン人は忘れかかっている予言の成就を遂行開始.もちろん今滅亡させられては征服できなくなるので必死で止めようとする軍曹ですが,折角来た以上は壊さないと!とどうにも止まらない御父上.それを強制的に止めたのは,世界の外の赤い奴の蹴り一発でどつかれさん.さらにこの企画には随分とセット料金がかかっていたようでまたも小隊は赤貧の危機に.やはり豊富な資金力がなければ,金のかかる等身大スゴロク企画は無理,という結論でよろしいですか?
後半はドロロ頑張ってパロディネタに挑む.今はこんな影の薄い忍者役がこなせるまでになりましたが,ドロロの声の草尾氏の経歴はかなり華々しいもので,逆に言えば,いい味の脇役というのはある程度以上のキャリアを積まなければ演じることができないわけですね.
無視・軽視が当たり前の毎日にむなしさを覚えるドロロの前では,相変わらず濃すぎる556が一人熱血祭り.後のラビーさんが毎度ながら気の毒でなりません(苦笑).他人に避けられているのは,存在感よりむしろ嫌悪感ではないかと.ぶっちゃけうざい? しかしうざいとすら思ってもらえないドロロはその存在感の出し方を教えてもらうべく556に教えを請います.テレレ君って誰ですか(笑)?
556の指導は「Don't think! Feel!」 ブルース・リーの名言に騙されてなんとなく燃えてくるドロロ.助けを求める声が聞こえるのは気のせいだと思いますし,助けを押し売りするという思想もどうかと思うんですがその雰囲気と1対1という状況の悪さから洗脳されてしまうドロロ.こんな風になっちゃいますんで,怪しげな勧誘に出向かないといけなくなった場合は1人で行くことは避けましょう(苦笑).熱き血潮を輸血されてしまったドロロの心の炎は燃え上がるものの,やっぱり名前は覚えてもらえないあたりは哀れです.
そして名言,「俺は今猛烈に熱血してるー!」を叫びつつ仲間の修正にかかるドロロ.ガンプラもおかしも銃磨きもパソコンもだめで必要なのは青春を輝かせること.走れ笑え戦え叫べとひとりなのに超高テンション.他者に禁欲やら独自の思想やらを押し売りする危険な仲間(笑)を様子見する軍曹たち.愛と平和の戦士として戦うため,意味不明の特訓で新必殺技を開発することになるケロロ小隊.
そんな付き合いのいい…というかノリのいい連中のことが心配になった飼い主たちは揃って地下基地を偵察.特訓した新技の命名権を爽やかにドロロに渡す小隊の面々と,落下しそうな一同の命を「俺がやらなきゃ誰がやる!」とファイト一発で救うドロロ.レアすぎるまともな小隊の姿がここにあったわけですが,もちろん軍曹たちが本気のわけがありません.556が登場し侵略者であるケロロ小隊に挑戦.これを打ち倒すべく小隊が編み出した新必殺技,必殺竜王陣は…当然のごとくドロロはないがしろ.ああ,なんか見たことあるなぁ(笑).洗脳に成功し自分の仲間になったと思っていたのにいきなり手のひらを返された彼の心中をお察ししたい.どんな熱血洗脳もこれだけ冷や水をぶっかけられれば解けること間違いなし.仲間が身を投げうってくれたおかげで,変な方向に道を誤らなくてよかったなドロロ(笑).きっちり台無しにされる安定感を味わいつつ,次回に続きます.
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