金色のガッシュベル#91
「なおみちゃん最強伝説健在の巻」
清麿に置き去りにされたガッシュは,清麿の母上のお使いを引き受けてウマゴンとともに出かけた.その途中で通りがかったいつもの公園はなぜか廃墟に変わっていて,友達には「お前が悪いんだ!」と一方的に言われる始末.立ち入り禁止の森の中からジュッテーム・ベーゼ号で飛び出してきたなおみちゃんの仕業だと思ったガッシュは,彼女がどこに向かうのか後をつけはじめる.向かった先は以前も行ったデパート.退屈していた名探偵ティオも加わって,三人がかりのデパート内尾行がはじまった.ガッシュたちはなおみちゃんのお買い物に度肝を抜かれ,一方なおみちゃんはガッシュたちの尾行に気がついている.
2ヶ月間のシリアスを無事終了しギャグ方向に羽根を伸ばしまくっている「ガッシュ」.この3週間,自分には辛かったシリアスな感想書きの日々がようやく報われたかのような珍妙な面白話が本当にうれしいですし,この方向こそ本作の重要な魅力というかむしろ本筋であると信じて疑わないわけですが(笑),今回もまた,何かをやりすぎてしまって前のめりに倒れていく攻めの脚本が絶妙.謎の論理で転がるように展開していく,不条理でどこか無機質な物語は広平虫氏らしい.また画も立体感を感じさせる素晴らしいもので,「むしろそんなに頑張ってどうするよ」という気分で一杯です(苦笑).一流のギャグはやはり一流の画で作ってもらわなければ!
前半はカマキリジョーとなおみちゃんの幻覚よりスタート.テレビの中に必要以上の感情移入をしている様が実に幼児っぽくてよろしい.で,そんな没入感に遊んでいたガッシュは清麿に置いていかれそうになり…サブタイトルの直後にはきっちり食い下がっているあたりが素晴らしい(笑).なおみちゃんが怖くてどうしても公園には行きたくないガッシュと,どうしても学校にはついてきてほしくない清麿.清麿さんご提示の学校の問題ことバカどもがとても面白い(苦笑).今日は清麿が勝って負けたガッシュは取り残されます.
さて,取り残されたガッシュは公園には行けないので玄関でバルカン遊び.なぜかいるウマゴンは小屋のなかでサンビームのくれたプレゼントでお遊び.その喜びと誇らしさを必死でメルメル伝えようとするウマゴンですが,ガッシュにはお約束で言葉は届かない.サンビームさんと三丁目のごみ置き場では「サン」しか合ってないもんな(苦笑).
母上のお留守番のお願いをお使いに替えてもらい,ウマゴンとともに出かけるガッシュ.うれしさでうっかり,ついつい来てはいけない公園に近寄ってしまうあたりはさすが幼児の浅はかさ.しかしこの危機をカマキリジョーのように「勇気を持って」物陰に隠れつつ接近する主役.妥協できるポイントとして精一杯がそこなのか.ところが例の公園は廃墟に.地面には巨大な溝が走り,その後をついていくと先は立ち入り禁止.さらに偶然顔を合わせることになったヒデアキくんには「ガッシュ.お前が悪いんだ!」と名指しで言われ…と急展開.このあたりはサスペンスドラマの枠組みを使ってるんですが,あくまで雰囲気重視で論理は成立していないので(笑)期待してはいけません.
犯人扱いされたガッシュは雰囲気でショックでぱったり,「私が一体何をした?」と号泣.そんな一人芝居を繰り広げる横で爆走する天敵・なおみちゃん.この一連の事件の犯人はなおみちゃんではないかと考えたガッシュは,ウマゴンを連れて追跡を開始.普通なら幼児がそんな真似をできるはずもなく,その極端な推理が面白いという場面ではあるんですが,本作の場合は恐ろしいことにこれが真実に近かったりするもんだから(笑)ややこしい.
デパートに幼児用足こぎ車のおもちゃで乗り付けたなおみちゃんはデパートで豪快なショッピングを開始.たまたま暇だったティオも追跡舞台に加わって,デパート中,なおみちゃんを陰から追跡するガッシュたち.化粧品売り場,ペットショップ,ファンシーショップに洋服売り場と次々に店舗を征服していくなおみちゃん.ふつーにカードで買い物した上に車まで運ばせる様子も手馴れていて,その資金力は一体どこから来ているのか,謎は深まるばかりです.ちなみにここでの買い物はラストで必要以上に大活躍.ティオの服を誉めるのに当然のごとく失敗するガッシュとそれに怒るティオ.ついでにウマゴン.3人が自分を尾行していることにも,当然なおみちゃんは気がついています.
後半はさらになおみちゃん爆走.デパートの中で追跡している3人がやってきたのはおもちゃ売り場.ここで無生物のロボットと会話した上でお買い上げに至るなおみちゃん.底知れぬ彼女の力はパートナーなしでは口から電撃すら吐けない主役が追いつけるものではなく,「遊びはおしまい」と従業員に3人のことを通報するしたたかさでガッシュたちを追われる側に変えてしまいます.呼びつけられるお懐かしい顔は迷子回収に燃える試食コーナー従業員.暇なのかサービスに自信があるのか極上の迷子センターにガッシュたちをご案内したいわけですが,あまりに怖いので逃げだす一同.迷子センターが暇な理由は恐らくこの怖さでしょう(苦笑).
追い詰められて「清麿ー!」とガッシュが絶叫した頃,買い物に出かけたまま戻らないガッシュに腹を立てつつ迎えに出た清麿は,撮影が終わりティオを捜している恵に遭遇.あんな激しい一日を一緒に過ごしたために(笑)相手がアイドルゆえの遠慮すら忘れすっかり仲良しで,目撃してしまった鈴芽は大ショック.清麿本人の気持ちはともかく,2人を比較すると鈴芽が勝てるわけがない.
清麿が恵と一緒に楽しく歩き始めた頃,ガッシュたちは依然として逃亡続行中.迷子のプロと迷子サービスのプロの追跡劇が目まぐるしく展開する傍らで,なおみちゃんは様々な買い物を終了し駐車場からベーゼ号で出発.追跡を振り切るにはガッシュたちもデパートから出てしまえばいいんですが,そこまで頭が回っていないようでマネキン人形に化けてやり過ごそうとしたところで…恵と清麿にようやく再会.
今回注目すべき点はここから.ガッシュ脳内の超理論によって,実に不思議な展開が視聴者を襲います.「このままでは,私は悪いままなのだ」となおみちゃんに会いに行くことを決意するガッシュ…まずどうしてガッシュが悪いのか,さらになぜなおみちゃんに会えばガッシュは悪くなくなるのか.両方とも不明なんですが幼児の思考回路はむしろこのほうがリアル…なのか(笑)? 素晴らしい画で公園に向かい,素晴らしい画で取り残されるウマゴンと清麿.やってることと作画の力の入れ具合がちぐはぐで面白い!
公園で迎えるナオミちゃんとの最終決戦.「ガッシュのくせに生意気なのよ!」と襲いかかるなおみちゃんのゾフィス並みに周到な罠.手下の石版魔物ならぬロボットは大切な仲間であるバルカンよりも余程素晴らしく,さらにデパートで買い込んだ様々な物体がガッシュを翻弄! 公園はなおみちゃんのフィールド.鉄球やら巨大落とし穴まで仕込んであるのはもちろんガッシュが怖くて設置した…わけがなく,単に全力でいじめたいだけだよな(苦笑).ついにはガッシュ,公園の巨大落とし穴の中で絶叫.前半で友達に「ガッシュが悪い」と言われたのは,とても一人では仕込めない罠をなおみちゃんが設置する際に彼も部下として手伝わされたためか,それとも公園の残虐なる仕掛けを知っていたためか…ともかくガッシュは完敗です.
ぼろぼろガッシュになおみちゃんが本当に言いたかったことは,要するに「明日もここに来なさいよ」ってこと.これを言えないがゆえに壮絶な設備を仕込むなおみちゃん…照れ隠しにも程がある(苦笑).この先原作がある程度貯まるまでもちのき町の日常は続きそうですが,なおみちゃんに遭遇するたびにガッシュがひどい目に遭うのも変わりなさそうでなによりです(笑).次回は博士とフォルゴレたちの物語ということで,作画は微妙なんですけどもキャラとしてはいい組み合わせなので,不覚にも途中で泣けてしまったらどうしようなどと期待しつつ,次回に続きます.
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