ケロロ軍曹#43
「逆境も最後に報われるの巻」
(A)冒頭から童話「泣いた赤鬼」を読んで号泣する軍曹.この悲しみと切なさを仲間にも伝えた上に立案するのは「青鬼さん作戦」.軍曹達が夏美を襲い,それをギロロに救わせて夏美とギロロの仲を取り持ち,さらにそれが計画づくであったと後で伝えることで心証を良くしようとする周到かつ回りくどい作戦だ.この作戦を実現すべく,早速ギロロと夏美の周囲に伏線をちりばめていく軍曹たち.
(B)青鬼は諦め赤鬼を目指すことにした軍曹を襲う夏美の豆.ペコポンの風習,節分の鬼として的にされてしまったのだ.しかし豆の栄養で頭脳を活性化させた軍曹は,夏美を鬼役にして目一杯大豆をぶつけることを計画.クルルの銃によって解除不能の鬼娘となってしまった夏美.角から出ている誘導電波は豆だけでなく豆加工品まで引き寄せる.
冬真っ盛りで次々やってくるイベントネタを丁寧にこなし続ける「ケロロ」.非常にスタイリッシュではあるものの型にはまったお約束キャラだからこそ,これもお約束であるイベントネタから浮くことがないし,実際の物語では型を微妙に外れて気持ちよく遊んでくれるから不安定感を感じさせない,実に玄人なプロの仕事です.で,プロな仕事ぶりと言えば今回後半の夏美さん.エロスを感じさせるには丸出しにすりゃいいってもんではなく,テレ東キッズ枠という最も厳しい環境ですら,描き方であれほどまでに素敵なわけですよ(笑).
前半はメジャーナンバー「泣いた赤鬼」をテーマに展開.ガンプラは出てこないんですけども(苦笑)たしかにこのむかし話はじんとくる名作なので機会があれば皆様にも読んでいただきたいところ.…でも,これに強烈に影響させられちゃだめだろ軍曹(苦笑).思想的には完璧にペコポンの影響下だよなぁこの侵略者.そんでもってこの感動をたまたまいた仲間に伝えると,若干1名を除いて高評価.
で,童話影響下の軍曹が計画したのが「青鬼さん作戦」.そもそも夏美さんを青鬼よろしく襲うのが難しいんですけども,そこは置いておいてギロロと夏美をくっつけてみようという軍曹たちの計画が素晴らしい.あのニブそうな軍曹ですら作戦につい組み込んでしまいたくなるほどに,ギロロの秘めたはずの思いは透明のままでどばどば流出しているに違いない(笑).縁をとりもってそれをきっかけに夏美さんを懐柔しようとする軍曹の計画.でも懐柔されそうなのは夏美さんではなくギロロの方だけではないかと思いますよ軍曹.
計画実行のため,まず伏線を引き始める軍曹たち.「おいしいお茶と…」の看板はあの童話を知っていたなら絶対に外せないモチーフ.原典の切なさを知っていると,意味がわからないギロロがおかしい.あの看板の滅私の精神は,ギロロが夏美に向ける想いと通じるところがあるわけです(笑).そして軍曹どもの余計な計画を知って熱暴走の上壊れるギロロ.凄まじい音を立てて激突しながら移動して,毎度ながら純情.つうか無理に計画を実行しなくても,こんな計画があると言うだけでギロロは十分懐柔されると思います.それにあいつら,実行しちゃうと絶対失敗するから…(笑).
軍曹の伏線仕込みは夕方から夜へ.手製の俳句こと泥甘ポエムでロマンチックムードを増幅しようとする軍曹.クルルに頼んで夏美さん御愛聴の623のラジオで流す手はずまで整えるわけですが,このラジオこそ夏美さんの聖域であり,これを侵すものには災いが訪れるとケロロ小隊はいいかげん気がつくべきだと思います(苦笑).ペンネーム青鬼さんからの意味ありげな投稿ラッシュに不審なものを感じる夏美.そしてついに,伏線張りは完了したと宇宙ヒルを引き連れて出陣する軍曹! この宇宙ヒル,体に這わされ硬直させられる様はこの時間帯では夢想もできないようなエロスに違いないわけですが,セット販売が「ガンプラうんちく」ってのが絶妙にがっかり(笑).それでも夏美さんはちゃんと嫌がって,珍しく軍曹の考えたとおりに計画が進むのかと思ったら…部下いきなり大失敗.その失敗に釣られて軍曹も作戦資料を敵の前にさらすという大ミスを犯して状況逆転.ここで軍曹達を見守っているヒルの動きがとても可愛いぞ.ギロロのテントの前に落ちた軍曹,流れてくるのはラブポエムで,なぜか2人の間に目覚める恋.…なあ,そんな不条理なオチで本当にいいのか(笑)?
後半は前半を反映しつつスタート.緑の宇宙人は青鬼から赤鬼へと鞍替えを試みるわけですが,節分に鬼では豆の的になるだけだっちゃ.さすが,夏美さんが投げるとマシンガンの音がするなぁ(笑).しかし鳩に豆鉄砲のごとくぽりぽりと豆をいただいた軍曹は,その溢れる栄養によって頭脳活性化.なんせ大豆は優秀な健康食品ですからね.普段にない知恵を得た軍曹は早速夏美さんをおびき寄せた上で罠にかけます.虎縞のクルルの銃で夏美さんを撃てば,可愛い鬼っ子に大変身だっちゃ! いろいろあって語尾は頑張れなかったようですが,伝統あるこのコスチュームはどうにも愛らしくかつエロス.鬼なので豆をぶつけられる役目を一身に背負うことになり,苦悩する様もたまらない(苦笑).確かにこんなコスプレでは外には出られないよなぁ….しかも角に大豆誘導波が仕込まれているために百発百中という至れり尽くせりぶり.大豆が入っていれば加工食品でもOKというアバウトな仕様で,豆が尽きたら加工品を投げつけることも可能.でも,味噌とか豆腐でまだマシだったんじゃないかと.もしそれを使って熱い味噌汁なんか作ろうもんなら間違いなく大惨事になるでしょうからね.
必死で逃げる夏美鬼は地下の基地に逃げ込もうとするものの冷蔵庫は開かず,追い詰められた彼女の前に立つ軍曹達が手にするのは危険すぎる代物,納豆.美味いけど体には浴びたくありません.さすがに軍曹たちに謝って許してもらおうとする夏美さんですが,ここで軍曹が突きつけてくる要求が高すぎ.けれど納豆はどうしても嫌で…可憐な乙女の絶叫は,実験動物こと彼女を守る無敵のガーディアンを呼び起こします!
出陣するリアル赤鬼,ギロロ.そのスピード感と暴走ぶりが実に悪乗りした画で鮮やかに描かれます! 3倍ではなく1.3倍のパワーアップを遂げているわけですが,出力よりはむしろ精神的なリミットが完璧に壊れていることのほうが恐ろしい.「ナツミイジメタ」…って肉丸くん? これに対抗しなければならなくなった軍曹はFAケロロとして参上するものの,弱点を突かれあっさり敗北.弱点が体の中で一番でかくてしかもむき出しってのはまずいよね(苦笑).軍曹を倒した勇者ギロロは夏美さんの側に寄ろうとするわけですが,ここで悪の首魁が仕込んでいたトラップでギロロ落下! 悪役装備としては王道とも言える装備なんですが,使われる間があまりにも絶妙でわかっていてもびっくり.一度は虎口を脱したかと思われた夏美さんですが,再び迫る大ピンチ.しかし…!
結局悪は滅び,ギロロさんこと赤鬼は夏美さんの甘いチョコレートケーキをいただくことになりました.今回激しく翻弄された2人がようやく幸せそうで,よかった! 実はここに至って前半目指した「泣いた赤鬼」が途中まで実現できているわけなのですが,ここで手紙を出せばいいものの軍曹は既に赤ずきんがマイブームとなって間を外してしまいましたとさ.画の面では夏美さんが最高だったわけですが,EDまで含めると声は中田氏が最高.かっこいい声で激しく狼狽したり暴走したり照れたりと素晴らしい芸を披露してくれる贅沢さに微笑みつつ,次回に続きます.
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