陰陽大戦記#14
「みんなみんな勝手ですの巻」
京都から戻ってきたリク.しかし自分の知りたいことはわからなかった.その上いきなり目を覚ました祖父は置手紙を残して勝手に出かけてしまい,リクには「社を守れ」という言葉だけが残される.いつのまにか修復されていた天流の隠された社の前で途方にくれ,コゲンタに自分の知らない謎をぶつけるリク.コゲンタでは答えられないその問いに答えたのは,あのときの勾玉を持って京都からやってきたナズナだった.
「天流は鬼門を守り,開くことは許されない」というのは建前.天流のごく一部は陰陽八卦盤を使い,古くから伏魔殿に出入りしていたのだ.その上社に来たソーマは,地流は既に闘神石を捜すために伏魔殿に侵入していると語る.もはや一刻の猶予もないと早速伏魔殿に向かうことにするナズナ…とリク.
新年となり物語も新たな段階に踏み出す「陰陽」.冒頭の警告とオープニング映像差し替え,アイキャッチ変更,エンディングの曲&映像変更(元絵は一緒)と雰囲気も新たにお届けです.印象に残るのは警告は当然として(笑)オープニングの映像差し替え,これまでは呼び出しだったんですが今度は呼応しているような….そういや冒頭でリクが見下ろすあの景色はどこなんだろう.
肝心の物語の方は昨年末のハイテンションぶりを見ていると今ひとつ緩い.とはいえこの先の盛り上げるために意図的に気を抜く場所をつくっておくのは(ギャグでもシリアスでも)シリーズ全体の緩急を考えると重要なこと.ゆったりした雰囲気の中で行われるのはキャラの立ち位置再確認・変更と新章のステージ紹介.それなりに主張はするものの,周囲に翻弄され思い通りにならないことが多すぎるリッくんとコゲンタとついでにモモちゃん(笑)をお楽しみください.
前半冒頭は地流のビルで舞うミカヅチよりスタート.乱れた世界に力で秩序をもたらすという剣呑極まりない思想を語るミカヅチ.そしてこいつも欲しがる伏魔殿の底の秘めたる力が,今後の物語でも重要な鍵となるようです.
地流はいつもシリアスなんですが,その一方で怒涛の京都から緩ーい日常に戻った暫定天流宗家・太刀花リク.早速ボート部の一員として先生に叱られております.「ちゃんと活動しろと叱られた」と部員に八つ当たりする先生の前でリクは完璧に上の空.なんせ京都に行っても何もわからないどころかむしろ謎が増えてしまいましたからね(苦笑).天流宗家の遺跡・太白神社・新太白神社・大降神.経験も知識も足りない上に当事者であるリクに見えた真実はごくわずか…ということでリクはなぜかボート部のキャプテンに任命されました(笑).
悩んでいるおかげでいつものボケが出せないリクはさらに周囲に翻弄されます.帰宅したあと留守番のソーマから告げられたのは衝撃の展開.ソーマくん,それは「変わったこと」だからもっと緊迫感溢れる感じでリクに伝えてあげようよ(苦笑).謎解きの頼りの綱のじいちゃんに出奔されてあわてて後を追おうとするリク.毎度ながら煮物どころではなく,あっさり置き去りにされるモモちゃんが大変に気の毒です.「社を守れ」の伝言に従って例の社に行ったら,いつのまにか直っている上に中の床には変な絵が…快調に謎が増えてるよ(苦笑).同じような太極陣を使って,12話ではマサオミが伏魔殿に移動してたから,祖父も一人で行ったんだろうか? それとも陣の外の別の場所に向かったのか?
じいちゃんに置き去りにされて「これからどうすれば…」と社の外で困るリク.コゲンタは「地流と闘え!」と無責任ですが,知識こそないけれど考える能力のあるリクは割り切ることもできません.そこで考えの浅いパートナーに立て続けに疑問をぶつけてみることに.「地流は鬼門を開いて何をしようとしているの」「世界を滅ぼす力って何なの」「なんで天流はそんなに恐ろしい力を守ってるの」 ここまでの謎と展開にストレスが溜まったらしいリクの口撃に責められるコゲンタ,非常に辛そうです(苦笑).しかしそんなコゲンタを救うべく京都から参上したのは,前回別れたばかりのナズナでありました.
鬼門を守るのが天流の役目.それを開き伏魔殿に入ることは決して許されない…というのがここまでの大前提.しかしその前提を覆す物証がナズナによって提示されます.天流の神具である月の勾玉と陰陽八卦盤は,伏魔殿内部で迷わないための装備.古くから天流が伏魔殿に入っていたという事実は天流のトップシークレットですが,勾玉の持ち主であり,恐らく宗家であるリクは知らなければなりません.しかし,リクの後を追ってきたソーマとマサオミwithザ・リアル牛丼によってナズナすら知らなかったさらなる事実が判明.「なんだリク,伏魔殿に入ったことなかったのか」
ナズナにソーマとマサオミを仲間として紹介するリク…うさんくさいのが1人混じってるんですが気がついてないのがもどかしい(苦笑).地流のソーマにナズナが喧嘩を売りそうになりますが,ソーマが教える地流最新情報のために喧嘩中断.とっくに伏魔殿に入り闘神石を集めていた地流の動向を知ることは,戦うことより余程重要です.
夕方から夜へ.空には満月.おいしい牛丼をいただきつつミーティングを終了し,天流としてナズナも伏魔殿の中に入ることに.もちろんリクも.「えっボクも?」 マサオミは闘神石よりは伏魔殿の中の禁忌の力に興味があるようです.ミカヅチも欲しがっていた伏魔殿の底の秘めたる力については,天流の側の記録は見つかっていないようです.
月の満ち欠けで発動するらしい勾玉を使い伏魔殿に入るのは2人だけ.地流のソーマは認められず,マサオミは不埒なのでお断り.リッくん,ナズナの勘は正しいからあとで辞書引いとけ(笑).未だに大根の煮物を持って待っているモモちゃんを残したまま,月の勾玉発動.伏魔殿へ.
後半はいつものようにバトル.伏魔殿へ向かう様子は障子世界で式神を降ろすときとよく似てるんですが,闘神士が世界へと入っていくので降神とは方向が逆向き.伏魔殿への道は降神の道と同じか,それとも良く似た別の通路なのか.月の勾玉の力で入った空間は伏魔殿のかなり奥.ナズナの陰陽八卦盤が導くままに珍しくリクが積極的に進もうとしたらいきなり妖怪に襲われます.ナズナの符で危機から救われたのはいいものの,符の爆発に巻き込まれたリクは見事に池へと吹っ飛ばされて…という命をかけたコントのオチを「びっくりした」ですませるリク…お前は本当にすごい奴だ(苦笑).このフィールドは気力の消耗が激しいということで,長時間の滞在や符,式神の使いすぎは命に関わってきます.本来存在しないはずの空間に無理やり存在し,さらにそこに介入していくことにはそれなりのコストが必要ってことかな.
同じことはこのフィールドに先に足を踏み入れていた地流の2人にも言えます.その上八卦盤の持ち主でない地流には,うまく動かすこともできないようです.伏魔殿侵入は天流の重要機密.八卦盤だって天流の誰もが持っているものではないはずなので,天流の重要な人物が地流に敗北したってことなのか,それとも….八卦盤の謎はともかく,これからの敵となりそうなのが根性を語る女カンナと冷静な男モズ.根性論で単純なカンナはともかく,手強そうなのは冷静な判断ができるモズ.柊のトウベエを降ろしてその霊感で闘神石を効率よく捜すモズたちと,八卦盤に導かれたリクたちは同じ木のもとへ.地流が闘神石を集めているのは,式神の力を強化するため? それとも地流大鬼門を建造するため? あるいは両方? …ともかくまた謎が(苦笑).そして木の下で顔を合わせてしまった地流と天流は,式神を降神し闘神を開始.
地流は柊のトウベエと秋水のエレキテル.天流は白虎のコゲンタと柊のホリン.フィールドは木と水.トウベエ・エレキテル・ホリンには有利なものの土性のコゲンタには相克が発生していて良いフィールドではありません.ここまで磨いてきたリクとのコンビネーションで速攻をかけるコゲンタですが,逆にエレキテルの電撃技で返り討ちに遭ってしまうのが情けない.すかさずフォローに入るホリンを襲うのは同じ柊のトウベエ.柊同士の戦いはほぼ互角で,リクもコゲンタに孤月拳舞を発させてエレキテルに反撃.ここでモズがすかさずエレキテルのフォローにトウベエを向かわせ,爆発で場が乱れたのをいいことに撤退するあたりの判断が素晴らしい.彼がいればまともなコンビネーションプレイも可能でしょうね.
折角頑張ってようやく反撃できるかと思ったら逃げられた上に,池に落ちる気の毒なコゲンタ.「びっくりした」程度で流せるほど人間も出来ていないので,闘神石のありそうな木をぶった切ることでストレス発散することに決定.さすがにリクは拒否するものの,ナズナにお願いされて仕方なくどうなっても知らないと呟きつつ小さく印を入れたなら,木はあっさりと真っ二つ.コゲンタのせいで水をかぶったリクの頭にぶつかってきたのが緑に光る闘神石.
リクの才能の片鱗を見出したナズナは自分を仲間にしてくれと提案します.「なんとなくですが宗家たるべき才能を感じますよ」とか言われて照れるリク.今回リクが翻弄されまくった他者からの勝手な提案は,どれもリクのことを認めているからこその言葉でもあるわけで,周囲から一目置かれるようになってきたというのは,主役としては望ましいことなんでしょうね.闘神石をリクが手に入れたため,支えのなくなったフィールドは崩壊を開始し,天流も離脱.
すっかり暗くなった帰り道.天流2人,地流1人,不埒な奴1人(笑)の道行に待っていたのはモモ.夜分までどうもご苦労様です.しかもナズナはリクの護衛を引き受けるわ太刀花家アパートに引っ越すことが急遽決定するわとモモちゃんにとっては悪夢の展開.幼馴染を振りかざしてもリクを自分だけのものにはできないから,ここはリクに選んでもらえるよう頑張らないと勝ち目がないぞモモちゃん! …でもリクだから,告白だって全然気がつかないか間が悪いんだろうなぁと考えると,泣けてくるなぁ(苦笑).
リクの仲間に太白神社のナズナが加入することで,まず,例の壮絶な食生活が改善されそうなのでリクとソーマは喜ぶべきでしょう.しかしそれ以上に影響が大きそうなのが実はマサオミ.ナズナは天流のとあるお方ことヤクモの式神について知っていそうなので,キバチヨを降ろした時点で彼が天流ではないことが判明しそうです.この危機をマサオミは気がついているんだろうか.
予告からすると次回はユーマ・ソーマ兄弟の当番回のようですが,当番役が主役になれるかは別の話.またいいところを取られないよう頑張れソーマ! 次回に続きます.
…ところでリク,おじいちゃんのことはもういいのか?
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