« らいむいろ流奇譚X#7 | トップページ | 第8回しりとり竜王戦・本戦 »

第8回しりとり竜王戦・予選

しりとり.それは魂の叫び.しりとり,それは身を削りあう言霊使いたちが放つ青白い火花…というわけで今年も無事に生き残ってくれた虎の門長期企画「しりとり竜王戦」.どんな競技なのかとか,過去どんな戦いが繰り広げられたのかについてはここのバックナンバーでも眺めていただければ概要をつかんでいただけるんではないかと.今回は準決勝が一番見ごたえがありましたね.
今回の出場者は渡辺(ジャリズム),藤崎奈々子,西田(笑い飯),千原兄(千原兄弟),濱口(よゐこ),河本(次長課長),香田晋,板尾竜王,渡辺と西田と板尾以外はレギュラーがいない,新人中心のトーナメントです.むしろ強いレギュラーとしておなじみの千原弟やよゐこ有野の相方が連れてこられているのが面白い.しかし,台風の目がとんでもないところから出てきてびっくりすることになるので請うご期待.司会はいとう,勝俣,MEGUMIで,採点には今回休みの有野と千原も入ります.
ファンとして何よりうれしいのは久々に8人制に戻ったこと.最近までは12人制で行われていたわけですが,時間が短すぎて名人同士の言葉の打ち合いを見る時間があまりなかったですからね.さらにマンネリ化しつつあったいつものルールを変更し,大きく空気を変えたことも特筆しておきたい.確かに完成度は高かったんですが,企画としてはさすがに限界が来てましたからね.あと,竜王の間に当たる照明が変わりました(笑).

Aブロック予選は渡辺・藤崎・西田・千原兄の4人での戦い.しりとりでは中堅で予選は通過して当然の渡辺と西田に,どう見ても天然の藤崎.千原兄はもちろん芸人なんですが,板尾一派として活躍する弟とは違って日本語が怪しいというのが不安材料.果たして兄ワールド試合会場に広がるのか…とか思っていたら実際に広がったのは別のもの.

1戦目は「しりとりツバメ返し」.「~だが~」でしりとり.
テーマは「せつない言葉」.「思い出の海岸だが埋め立て中」からスタート.

冒頭からいきなり攻め込んできたのが千原兄なんですが,「右心房だが左寄り」は解剖図だと当たり前.渡辺は「離婚届を渡されたのだが誤字脱字だらけ」と上手い.誤字脱字に,己の愚かさを再確認するわけですな.そして問題は藤崎.彼女の「毛糸だが固い」は余計な解釈の必要がない直球で,いきなり場の空気をつかみます! その豪風に吹かれた西田の「いい服を着ているのだが血まみれ」はその残酷さが板尾風.千原の「レッスン中だが職務質問される」は職務質問という単語の力が強くて高評価.渡辺は「ルーをそのままかじっているのだが味覚さえない」…ってのは明らかに考えすぎ(苦笑).そんな迷走の渡辺に比べると,藤崎の「いのししだが弱い」は短い上に絶妙.藤崎システムでは難しい文は作れないようです.続く西田は「いいたいことは山ほどあるのだが餅が喉に詰まっている」と藤崎と違う方向で回答.己のペースを維持するのは重要です.やっぱり助けてくれとか言いたいよなぁ.千原の「ルールは守らないタイプなのだが普通免許は持っている」は今ひとつ.「る」攻めを食らっている渡辺の「ルイ・ヴィトンの大きなバックを購入したのだが主に寝袋に使っています」は笑点のよう.空気を掴んだ藤崎は「ルンバだが暗い」というさらなる直球で審査員の魂をつかみ,その温まった空気を西田が「いいとこを見せたつもりなのだがメガネをかけていない」で奪って行こうとするんですが失敗.状況としてはラブコメだよね(笑)? 千原の「いい感じでいるのだがいつも動物が寄ってくる」は公園とか? 最も今回苦戦する渡辺は指で唇さすったりしつつ,「涙腺は緩いのだが,ゆるき,ん,緩くない気もする」.途中は原文ママで,噛んでしまうくらいに苦戦しているようで.泣きたいんだ(苦笑).

渡辺を激しく苦しめていたのは実は千原兄.無意識なのかわざとなのか,「る」を次の渡辺に回すえげつなさ(苦笑).しかしそんな2人の頭の上を軽く越えていった藤崎と,その勢いに乗ってマイペースに遊んでいた西田.特に審査員と(たぶん)視聴者の心を掴んだ藤崎は,その短さと単純さには原点回帰の素晴らしさを感じます.

2戦目は「しりとりマジネーション」.テーマのイメージでしりとり.
テーマは「ジーコのひとり言」.「シャラポワ…」からスタート.

どうもあんまり考えていないらしい(笑)千原兄が先行するんですが 「ワシの頭焼きソバそっくり」は期待したのに今ひとつ.この千原兄に苦しめられる渡辺は…「リス,反対にしたらスリ」思いつきだけにも聞こえるんですが(笑)渡辺らしくあとからじわじわくる面白さがあります.外人がこれを考えているというところがミソ.藤崎の「リンボーダンスしたいな」は迷走.男性は難しいのか.西田の「仲間は仲間,ジーコはジーコ」一体ジーコに何があったのか.抜け駆けかはたまた仲間はずれか(苦笑).千原兄の「今度の休みこそ布団干そ」ジーコのキャラに合わないくらいに関西.そして迷宮の中の渡辺「海,反対にしても何もない」…もはや出口がわからない(苦笑).さて,ここまで西田以外はジーコの扱いに戸惑いがあったわけですが,藤崎が見出した道が恐ろしい.「いいなー勝ったチーム」には会場全体が戸惑いの嵐が吹き荒れます.そうか.それでいいんだ(笑)! この風に巻き込まれては他の対戦者は体勢を取り戻せません.続く西田の「昔から半ズボンだよねえサッカー」だって悪くはないんですが,直前が凄すぎて霞む始末.千原兄の「母さん,いつもより塩分多いなぁ」だって「ひとり言」というテーマを考えるとかなり愉快なんですがそこまでは拾ってもらえず,渡辺の「愛,確か英語にもある」に至っては迷走の極み.

2戦が終了して判明したのは,藤崎は恐ろしい天然であるという事実.並みの天然にはテーマによって当たり外れが激しいという弱点がつきまとうんですが,藤崎は可愛い笑顔と単純思考でテーマにそれなりに合わせることができてしまう,まさに脅威の天然です.藤崎直後の西田は自分の世界が作れなくて大変そうでしたが,それでもこのレベルまで仕上げてきたあたりがさすが.千原兄と渡辺は潰しあいになってしまっていいところがありませんでした.
結果.合計14点の藤崎と11点の西田が準決勝進出.藤崎は恐ろしい!

Bブロック予選は香田・河本・濱口・板尾竜王の4人での戦い.ある意味藤崎以上にこの場所から浮いている香田は大丈夫なのか.河本は家で見てたってことは,番組を研究した上で参加しているはず.彼の言語センスは独自の尖り方で面白い.濱口はバラエティで噛む芸人としてむしろおなじみ(笑).普段のバラエティとは有野との立ち位置が逆になっているのが面白い.新人ばかりのこのステージに降臨したのが板尾竜王.早速無関係トークで審査員の心と場の空気をつかみにかかるあたりがさすがベテラン,周到です.

1戦目は「しりとりツバメ返し」.「~だが~」でしりとり.
テーマは「男気のある言葉」.「真夜中だがサングラス」からスタート.

演技次第のこのテーマは板尾竜王に有利ですが,「掬っているのだが泥鰌じゃねえ」はまだまだ.見た目では香田もこれが得意そうなのに.「え.えー,閻魔様だが,サムライ」…しりとりのルールに負けていてよくわからない回答に(笑).河本は戸惑いつつも「犬を,犬が,犬が死んだのだがまだ育てている」言いだしが微妙だが黒さが入って良い雰囲気に.そして濱口は大方の予想通り,きっかけを間違える上に「ルビーの指輪だが,歌っているのは寺尾聰じゃない」と早速迷走開始.暖まってきた板尾の「いたこだしオカマだが,俺のことを思うなら,抱いてやる」…使われる単語がいちいち物凄いんですが,その組み合わせでさらに笑えるという名回答.ちなみにいたこだしオカマは抱かれるほう?抱くほう(笑)? 迷走中の香田は悩んだ末に「ルージュをつけた唇なのだが,ミルフィーユがついている」ってそれは男気じゃない.「キスはしない」とか女性性を否定に行けばいいんだが.場の流れを掴んできた河本は「ルービックキューブを持っているのだが,そういう遊び方はしてない」.これは無機的な言いぶりと相まって素晴らしい! やっぱり投げたりするのか.濱口の「妹だが時と場合による」は本気の説教ですかそれとも恋風ですか(笑)? 対戦相手も暖まってきたんですが,板尾竜王は強い上に安定.「ルーブル美術館に来たのだが,今日は目をつぶっていようじゃないか」は問答無用の面白さ.そんな風に巻き込まれた香田は「浣腸するのだが泣かない」ってそれじゃ幼児だ.本数勝負に行かなくちゃ(笑).河本の「イルカと会話をしたのだが,伝わったふりをしてやったぞ」は技巧に走り今ひとつ.そして濱口.「象だというのだが,鼻がナゲ,鼻が長いと限らない」…噛んだー!

当然のように安定している板尾と,無機質なマシンっぽい河本が良い滑り出しだったのに対し,きっかけ間違うわ噛むわと別の意味で大活躍の(苦笑)濱口リーダーはこれはこれでいい.一番まずいのは香田.ルールとテーマの両方で苦戦.

2戦目は「しりとりマジネーション」.テーマのイメージでしりとり.
テーマは「ダメ忍者の合言葉」.「山・川豊」からスタート.

知っている人にはシノブ伝のサスケたちを思い浮かべつつお楽しみいただきたいわけですが,一拍置くので難しいテーマに対し板尾は「かば・ばか」.リスペクト渡辺(笑).香田の「カス・ヅケ」はいい.そこに「ドアがギー」という注釈をつけるいとうも素晴らしい(笑).河本の「ケミストリー・メガネがリーダー」は微妙.濱口の「ダチョウ・卵がでかい」連想ゲームじゃないんだぞ? 板尾の「岩手県の県庁所在地・さぁ?」はさわやかに無責任! ちなみにgoogleで調べたら盛岡市らしいですよ(笑).香田はこのテーマには合っているのか「アンコウ・鍋」は食べ物シリーズでなんか良し.河本もつかんだようで「便所・どこ?」が可愛い.そして濱口までも「コバンザメ・ついてるよ」と良い回答を.他のメンバーの復調に嫉妬したのか板尾,「よいこと言えば・有野」とからみに行くんですがこれは弱い.で,最後が香田「野糞・草むら」…そうか.粕漬けもあんこう鍋も喰い終わったんだ(笑).

この2戦は,苦闘した香田がようやくつかみかけたところで終了.最初から最後までほぼ死角なしに展開した板尾竜王はともかく,河本は速射砲のごとき喋り口が非常に面白い.回答が長いほうが面白くなるタイプなので,2戦目のようなテーマでも無理にそっちに持っていってもよかったんじゃないかな.濱口は,視聴者の期待する持ち味がしっかり出せてたんで,名人としてはダメでも芸人としては素晴らしいと思います(笑).
結果,板尾15点,河本12点で勝ち抜け.以降,藤崎・西田・板尾・河本で行われる準決勝以降の戦いについては,次あたりの記事に続きます.

|

« らいむいろ流奇譚X#7 | トップページ | 第8回しりとり竜王戦・本戦 »

レビュー◆しりとり竜王戦」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 第8回しりとり竜王戦・予選:

» いたこだしオカマだが、俺のことを思うなら、抱いてやる。 [ある編集者の気になるノート]
えー、多くの方に意味不明だろう上のタイトルについては、後述します。 昨日の深夜、テレビ朝日で「しりとり竜王戦」に見入ってました。 (ルール等についてはこ... [続きを読む]

受信: 2005.02.19 21:39

» 第8回しりとり竜王戦・本戦 [R'sM]
この記事は第8回竜王戦,準決勝以降の記事です.予選の様子は直前の記事か以下のリンクでどうぞ.  R'sM: 第8回しりと [続きを読む]

受信: 2005.02.20 14:56

» びっくりしたぁ〜 [EYE'S DIARY]
みなさん、TB&コメントありがとうございました裂 自分のブログなんて誰も見てないだろうなんて思ってたもんだからかなりビックリでした&am... [続きを読む]

受信: 2005.02.22 14:05

« らいむいろ流奇譚X#7 | トップページ | 第8回しりとり竜王戦・本戦 »