ケロロ軍曹#46
「廊下にぽつんと赤い塗料の巻」
全てを蝕み無敵の存在すら無力化する最強の恐怖,忘却.日向家にもその病に犯された住人がひとり.現・軍曹のプライベートルームにとりついている幽霊だ.その心を伝えるために特殊効果やら小道具やらを頑張ってみるものの家の住人にはなかなか伝わらない.夏美は軍曹の悪戯だと思い込んでクレームをつけようとするのだが,もちろんそれはお門違いもいいところ.そんな楽しい内輪もめに夢中になってやっぱり気づいてもらえない幽霊の恨みは頂点に達し,ついに軍曹と夏美を連れ去ってしまう.
ネタだけは露骨なものの笑いとしてはごくノーマルで,誰もが必ず楽しめる「ケロロ」.今回は幽霊ネタでご機嫌を伺ってくるわけですが,笑いの質はいつもの通り.畳み掛ける幽霊ギャグのテンポの良さはなかなかのものなんですが,何分最近実写でこれを越える「怪奇」を見てしまっているので,ついついもう一味を求めてしまう自分が嫌だ(苦笑).でも,あんまり本気で怖面白くすると,怖いのが苦手な人が見られなくなってしまいますからね.
前半は最も身近な恐怖こと忘却に襲われた彼女よりスタート.1年近くの長期シリーズともなれば様々なものが忘れ去られていくのが当然で,むしろ忘れないで伏線として消費していくほうが珍しい.忘却されたものシリーズの片隅に冬樹がそっといるのがおかしい(笑).地味だし,女の子じゃないし仕方がないよなぁ.
もちろん幽霊さんは冬樹なんか出すぎなくらいの出番しかなく,ゆえに毎度画面の前で大暴れしている面々に地味にアピール開始.謎の雷鳴は幽霊っぽいんですが,廊下に赤いプラモ塗料を置くのには一体どんな意味があるのか.普通はべったりと廊下や壁に血がついているものなんですが,塗料でもいいから,蓋を開けて中身をぶち撒けるくらいはするべきです.そんな地味さだからモアさんに拾われてしまうわけですよ(笑).
幽霊さんは入浴中の夏美さんを襲うわけですが,そんなことよりもよりによって今日泡のお風呂に挑戦しなくてもいいんじゃないかを憤る視聴者が多そうだ(苦笑).泡の中から自分以外の手が一杯…ということに驚いてあわてて風呂から飛び出す夏美さんwith泡.女体に関しては毎度絶妙の鉄壁の防御を見せてくれる本作.あの泡防御は泡が余りに濃すぎて,しかも丈夫すぎて納得がいきません! しかしそんな視聴者の憤りをよそに,この家には文句なしのトラブルメーカーがいるということで夏美さんは全てを軍曹のせいにしてみることに.
さて,濡れ衣を着せられそうになる軍曹たちは本日は地下の私室のリフォームに挑戦中.クルル謹製の窓は地下室でも楽しいどころか随分便利そうだしXPのようなんですが(笑),扉でないのはいろいろ不都合があるからに違いない.しかしここにも霊障発生.細いクビを窓に挟まれた軍曹は一体何を見ているのやら….というわけでもちろん身に覚えのない軍曹たちを巻き込んで,ついに発生する派手な騒霊現象! ところが折角の彼女の努力をボケで打ち消してしまう阿呆のおかげで折角の効果がうやむやになる始末.ここで小雪さんがドロロとともに到着の上で風水講座.風水的には南西に黄色いものを置いたほうがいいらしい.作中では「百式」が礼として挙げられていますが,黄色いケースなので「ボーボボ」のDVDでもいいですか(笑)? そしてここまで無視されまくったがゆえに,ついに幽霊さんがご登場…というか軍曹との初顔合わせが結構意外.あまりに濃すぎる宇宙人と展開のおかげで,ここまで(わざと)無視されまくってきた幽霊さんに同情するドロロ.その怨念ゆえに,ついには生者である夏美さんと軍曹をさらってしまいます! その恨みつらみときたらガンプラの影でとんでもないシミに.あんな環境,確かにマニアじゃないと絶対辛いよなぁ(苦笑).
後半は幽霊の起源探訪.気づかれない恨みでついに洞窟の中にさらわれてしまった夏美さんと軍曹.洞窟の壁には人の手が入っていることを示す木製の補強が見えてます.夏美さんたちを運んできた幽霊は,ここは上の軍曹の部屋とは違って,余計なものが一切ないため,折角のトークに水を差されたり混ぜっ返されたりしにくい幽霊さんのフィールドのはずなのに軍曹は果敢にボケ敢行.もちらんそこで幽霊さんの口から語られる内容は,正直舞台負けしていて情けない(苦笑).気がついてもらうためのささやかないたずらは,あまりにも薄味でこの作品ではスパイスにすらなってない始末.まあ,南の島のときは結構頑張ってたんですが,結局気づいてもらえませんでしたからねぇ.
その頃,姉と友達が神隠しに遭った冬樹たちはおろおろ.しかし部屋の地下から漂う悲しい念…その念を知ったギロロが開いたのは封印の扉.開かずの間というよりは「締めとけ」状態のこの扉に触れたなら,触ったものには忘却の呪いがついてきて…ギロロが,ギロロの目が! 小雪さんがいきなり陰陽道という隠し芸を発揮するんですが,それよりはつぶらな瞳のギロロが気になってたまりません(苦笑).
さて,地下では夏美さんが幽霊相手に対話を開始.日常的に異文化コミュニケーションなこの家の住人であるために,幽霊と友好関係を築くくらいならお手の物.なぜここに留まるのか,その未練を尋ねる夏美さんに対し,幽霊が見せるのは何百年も昔の記憶の風景.なんか見たことのあるシルエットのカッパをかばった娘さんこと往時の幽霊さん.その罰として地下牢に繋がれるなんてのは乱暴な話.しかし問題は牢に入れられたことではなく,むしろ村人に忘れ去られたという悲しき事実で,きっとこれが彼女のトラウマ.それ を助けてくれたのが幽霊さんの助けた物言うカッパ.「あります」口調や「同胞」という言葉.そしてこの地の人は彼らの敵,ということでどう見てもあれは古いケロンの姿に違いない.
結局娘さんが悲劇的な最後を遂げなかったあたりが本作の根っから甘いところですが(苦笑),幽霊さんの未練はカッパさんとの再会で,これをついかなえそうになってしまうのがやっぱり軍曹.その瓜二つの姿のおかげで幽霊さんは未練が消え,成仏一歩手前まで近づくわけですが,…幽霊一世一代の見せ場を邪魔するのは小雪さんで,しかも成仏の鍵が割れてしまいます!
折角の機会だったんですが,無視は辛くてもこの家の面白さにはすっかりなじんでいたようで,しばらく居つくことになった幽霊さん.ときどきは思い出してあげますんで,幽霊さんももうちょっと効果的なアピール方法を模索してください.そして…あのつぶらな目の忘却のケロンに記憶を戻してあげてください.可愛いのは間違いないんですけども,もう,ものすごい違和感が(苦笑).予告を見る限りさすがに次回のアフロ祭りには元に戻っているようなんで一安心しながらも,次回に続きます.
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