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陰陽大戦記#20

「切れない絆,崩れる世界の巻」

リクたちの夏休み合宿は神社の境内で続いている.宿題の絵を描いたりボートの練習でゴム引きをしたり野菜料理を食わされたりする,そんなのどかな夏休み.ソーマは自分の母に会いに行くが,母は彼のことを覚えていない.落ち込んで戻ってきたソーマのことを,リクだけでなく,リクを通じて知り合った仲間たちが心配している.
そして空には月が戻り,リクは再び伏魔殿へと入る,同行するのはナズナと,ついに許されたソーマ.ソーマは張り切って闘神石を探しに行き,ナズナはそれを追う.一人になったリクを待ち構えていたのは凶相を浮かべるあの男だった.

陰と陽,大人と子ども,日常と戦闘,敵意と慕情,笑いと悲しみ.様々な対比の渦の中で物語が展開する今の「陰陽」を凝縮したのが今回となります.端正で迫力あふれる作画で描かれる起伏の激しい光景は視聴者を画面の中に引きずり込みます.ハイスピードで展開する光景は笑いでも泣きでもテンションが高い! これまでで頭1つ抜けた傑作回だと思いますんで,余さず楽しんでみたいと思います.

前半はいつもの地流ビルからスタート.後に東京タワーが見えていたり定例の部長会議やってたりと都内一等地の大企業っぽいんですが,伏魔殿探索も大鬼門建造も天流討伐も組織の収入に結びつきそうにないところが微妙.どうやって地流が資金面を維持しているのか見当がつきません.あの会議は闘神事業部の部長会議で,他にまともな事業部もあるんだと思いたい(苦笑)….伏魔殿内捜索部長クレヤマ,大鬼門建造部長ナンカイ,そして天流討伐部長タイザン.この3人の大人は今後天流の白虎使いことリクと楽しい仲間たちにぶつかることになりそうですが,部門間での情報伝達がうまくいかなかったために取り逃がす,なんてことも起きそうだなぁ.
あの部長会議の中で普通っぽいのは技術研究部だけなんですが,研究系部門は基本的に投資部門なので黒字には直結しない上に,その中でやってることときたらアレだもの(苦笑).技術研究部のオオスミがミヅキに語る「あなたにもできる大降神」は,闘神石を式神に直接突っ込むという乱暴な手法.14話でもわずかに語られていましたが,闘神石で式神の力を強化できるものの.ろくなコントロール手段がないというのは一か八かの賭けに等しく.けれど…そんな賭けに出なければ己を保てない男が,影に一人.16話で仲間の式を殺した上に手に入れた闘神石が,その手にあります.
さて,天流が過ごす素敵な夏休み.駆け寄るナズナさんあたりから画に入っている気合がいつもと違います.リクたちボート部は合宿の一環で夏休みの宿題を片付け中.前衛入っているもののまだわかるリナのコゲンタ.リクがモデルになっている必要性のないリュージの野菜ボート.その本はどこで売るのですかというモモのリク(笑).そんな一同の前でのほほんとモデルをやっていたリクを含め,誰かこのボート部改めボケ部にツッコんでくださいお願いします(苦笑).モモちゃん,夏休みの宿題って学校に提出するんだから見られたら弁解しにくい絵を描くのはやめようよ…って宿題用の絵は別に描いてあれは自室に飾るのかもしれない.
その後,ボート部は本格的にボート漕ぎの練習をゴムで実施.この作品,闘神でも部活でも結構地道に訓練やってるところが偉い.筋肉なさげなリク・モモ・リナはゴム引きで,筋力トレーニングの必要がないリュージは野菜刻み.訓練の辛さにマネージャーでいい!と逃げ道を見つけたモモちゃん,そのまま妄想特急炸裂.いつもの百面相ではなく妄想背景が流れていくんですが,「その等身が高いお前らは一体誰だよ」と突っ込みたくてもう…見ている視聴者にダメージが来るなぁこの妄想(笑).さらに真後ろに本物がいたことで発生する大惨事.いや,正直ゴム引きやってた時点から嫌な予感はしてたんですけど,そんな期待は裏切ってくれ(笑).眼鏡飛ばされた程度のリナはまだマシで,悲惨なのが暫定天流宗家で主役のリク.目に直撃を食らい,見事なゴムパッチンガチンコリアクションを見せるリッくんが気の毒を通り越して愉快です.ナズナさん,他人を責めるよりも先にすぐ横で誰にも気にされずのたうちまわっている宗家をなんとかしてやってください(苦笑).
その頃,脳天気もいいところのボート部を置き去りに,ソーマは一人出かけていました.事前にリクに語ってあったみたいですね.どこかの公園で一緒にいるのは,ソーマにとっては母親で,彼女にとっては知らないぼうや.ミカヅチに封じられた父はソーマに似て,ユーマの立場は母に似ているという話(8話)や,ユーマに一生懸命なミヅキが母に似ているという話(15話)もありましたね.しかし,ぼんやりと優しいその様子には強い意志は見られず,恐らくは闘神での敗北で記憶を失っているようです.記憶のない母と一緒にいても辛いだけで,結局泣いて天流に戻ってくるしかなかったソーマ.しかし,今はリクだけでなく,おもろい仲間たちが微力とはいえ支えてくれることがうれしい.
地流と天流の日常描写でそれぞれ描かれる人と人の繋がり.地流の繋がりが組織ベースなのに対し,天流の繋がりは個人的な縁であることが対比されてきたわけですが,月が出たのでそんな日常も終了.ソーマの伏魔殿への同行について,「もう許してあげて」と穏やかに願い出るリクが優しい.ナズナも,口で言うほどにはソーマのことが悪い奴には見えなくなってきていたはず.そして非日常の伏魔殿に待っていたのはあの男.闘神石を探しに行った2人に置いていかれたリクを狙っていたのは…イゾウ.

後半は本当に大変なことに.待ち受けたイゾウとリクとの式神戦が早速開始.純粋な闘神ではコゲンタとフジの力の差は明らかで,震坎兌離の孤月拳舞,震離兌で西海道虎鉄とコゲンタが圧倒的に優勢.小さいコゲンタがフジの懐に華麗に斬りこんでいく様子が素晴らしい.イゾウの流派章は恐らく今も伍のままで,初めてイゾウと戦った頃(9話)は弐であったリクの流派章は既に四.リクの闘神士としての成長と,イゾウとフジの心身の傷の深さがもたらされたのがこの力の差.離震離兌で放たれる必殺の怒涛斬魂剣は逆手下克上を真正面から打ち倒し,勝負はついたかに思われたんですが…ここから先がフジの災難.傷ついた自分の式神の背中に,闘神石を無理に突っ込むイゾウ!
異空間内に人が短期滞在可能な空間を作り出すような,強大な力の闘神石が体内に入ったことによって,緑光とともに大降神状態となるフジ.対ランゲツ戦では自分が大降神でひどい目に遭わせたコゲンタですが,今回は大降神の恐ろしさを身をもって味わうこととなります.先行したナズナとソーマもようやく戻ってくるものの,ホリンの治癒術が少し役立った程度,相手が大きすぎて並みの式神ではまったく歯が立ちません.己の式神を代償として得た天流側の惨状を喜ぶイゾウは完璧に闘神士の道を踏み外していて,リクの「あのフジの苦しんでいる姿が!」という叫びすら,もはや届きません.そしてナズナの予告どおり,命令不能のフジに印を入れようとするイゾウの神操機が反応をやめ,…逆に神操機から闘神士の体へと黒線が侵入!
闘神士であるリクと仲間を助け,苦しむフジを止めるためのコゲンタの悲壮な提案.「気力を全部叩き込め!」 孤独を嫌うリクはコゲンタを失いたくはなく,しかし信頼の式神であるコゲンタは,闘神士を置いて逃げたくない.2人が納得して帰るためには,全力でフジを倒す以外に方法はなく…離坎震震,必殺の百鬼滅衰撃が炸裂するものの,大降神状況のフジにはそれでも叶わない!
リクをコゲンタが認めたときに託された百鬼滅衰撃.威力は大きいが反動も大きく,この一撃で敵を倒せなければ眠ってしまったコゲンタはやられるしかない…その危機が今ここに.フジの攻撃を受けるコゲンタの名を必死で呼ぶリク.天流宗家の絶叫は,あのときのようにコゲンタを揺り動かし,ついには緑光とともにコゲンタまでもが大降神状態となります! いきなり巨大怪獣の殴り合いが開始され,この作品が「陰陽大戦記」なのかどうかが一瞬わからなくなってます(笑).音楽のおかげでかろうじて主役と敵役の戦闘に見えていますが,音楽がなかったらどちらが悪役かもわかりません(苦笑).2体の足元のリクが小さいなぁ….
大降神のコゲンタはフジの闘神石と存在を壊し,それゆえかこのフィールドも崩壊を開始.普通ならフジを消された時点で呆けているはずのイゾウは苦しみつつ落下.あの逆流でイゾウの身に何が起きたんだろうか.大降神のコゲンタは地割れから落ちそうになり,そんなコゲンタを置いて逃げることは絶対にできないリク.どれだけナズナとソーマに呼ばれても,泣かれても…「式神を置いて逃げる闘神士になんてなれない!」 ついにはコゲンタと同じ地割れから,下へと落ちてしまうリク.目の前で崩壊する世界と視界から消えていく仲間の姿に,必死でその名を呼ぶナズナとソーマ.特に膝から崩れるソーマは辛い.父はミカヅチに封じられ,母は彼の記憶をなくし,兄やかつての仲間とは敵対していて,ひとりぼっちの彼を救ってくれた恩人は目の前から消え…これは辛すぎる!

落下直前,「コゲンタは僕の大切な…」と口走りつつ落ちたリクを,暴走状況のはずのコゲンタが救っていました.それが救いとなって,とんでもないことになったのに作品としての後味が悪くないってのが凄い.リクが伏魔殿の崩壊に巻き込まれるのは間違いなさそうですが,世界が壊れると闘神士たちはどうなってしまうのか.運良く命が助かったとしても,大技を使ったコゲンタは眠りに入るはずなのでリク一人で気力消耗が激しい空間でサバイバルしなければならないはず.もしも生きて帰ってこれたなら,随分と成長して戻ってこられそうです.そして次回はとうとうヤクモとリクの邂逅.…天流だけど,あれだけナズナが慕ってるんだからきっとまともな人に違いない(笑).そろそろいろんなことがばれてきていてやばい状況のマサオミの動向も気になるところ.果たして夏休みが終わるとき,リクは「夏休みの思い出」として何を描くことになるのか.次回に続きます.

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