ケロロ軍曹#48
「甘き怠惰よ来たれの巻」
季節は春.その暖かさに誰もがどうにもやる気をそがれる季節だが,日向家には年がら年中の春の宇宙人が居候していた.やる気のなさを人間界に蔓延させればペコポンが支配できると考えた軍曹は早速作戦開始.世界のやる気のない仲間たちから弛みと緩みことケロッとマーチエネルギーを蓄積する.エネルギーの効果を調べるべく556を連れてきて人体実験してみたのだが,効果がなぜか現れないと油断したのがまずかった.実は556にはしっかり効いていて,効果なしと思って開きっぱなしにした扉の奥から溢れ出る怠惰なエネルギーは,日向家を中心に世界を,そしてナレーターを覆っていく.
手堅い笑いだけでなく濃いパロディもウリの「ケロロ」.ここまで他社の作品にネタにされてきた鬱憤を晴らすがごとく,原作の力を借りて真正面から他作を茶化しにかかっている最近のサンライズの姿勢がよく出てますね(笑).とはいえパロディの濃さに負けないくらいそれ以外の描写もよく出来ていて,パロディの全てを理解できなかったとしても十分最後まで楽しめる質の高さが素晴らしい.並の力量じゃここまで面白くはならないでしょうからね.「ケロロ」史上でも歴史に残るに違いない,傑作パロディ回です!
前半は崩壊まで.冒頭からフォントいじりしてますね(笑).春の魔法で普段に比べて無気力度を増しているのが冬樹くん.彼こそ今回の主役です.12時間でも足りない睡眠,大好きなはずのUFOすらどうでもよくなる無気力状態をぶっ飛ばすのが秋ママさんの愛のスペシャルホールド! ナイスなサイズの豊丘の谷間にいきなり押しつけられてびっくりです.確かにこれは目が醒めるよね! つうか,秋ママさんが凄い美人なのでここまでの効果があるわけです.ふつーのおかんだったら目は覚めるかもしれないけれど,やる気はむしろ減退する可能性が…(笑).
そして日向家居候の年中春のボケ蛙こと我らが軍曹.日がなだらだらガンプラつくって寝て暮らす軍曹の日常が本当に憎くてたまりませんよ! この緩さや弛みを自分以外の人間に与えてしまえば相対的に自分が働き者になるという,ろくでもない逆転の発想を発揮してしまった迷惑な軍曹は早速計画立案&実行.このあたりから先では様々な他作品の幻覚が目の前を通り過ぎていくだけでなく,音楽もなかなかに盛り上げてくれるのでお聞き逃しなく.陰陽伏龍師ってなんだろう…(笑).なんだか素敵なお召し物の軍曹は,仲間を地球全土に派遣して力をいかにも怠惰そうな動物から吸収して収集.溜まっていく力の強さを示すのはKEROのゲージ.一杯に溜まった怠惰の力をばらまけば人類は全員軍曹以下の存在に成り下がるという,なんと恐ろしい超兵器! …今回後半のクライマックスを考えると,ここで元祖とんでもないエンディングの「イデオン」を持ってくるセンスはさすがです.怠惰の力はそれを集めに向かった3人の叫びで一杯に! ついにゲージが光り輝き,ケロッとエネルギーは準備完了.
とはいえ未知数のエネルギーをいきなり実戦に投入するのもよろしくないので,一応モルモットを準備してエネルギーについて調べるも,ここで556を連れてきてしまったのが過ちのはじまり.もうちょっと敏感に反応するモルモットさえ使用していればこの先の惨事は訪れなかったはずです.そう,こんなときのためのギロロじゃないですか(笑)!
モルモット,556号を囲むSOUND ONLY板の指示でケロっとマーチエネルギーをあびせると…それでもさすが556号は元気はつらつ.しかしこれは556だから効いてないように見えただけで,実は恐るべきエネルギーは十分に有効なのでありました.実験成功おめでとう! …閉じ込められていたエネルギーは部屋から漂い出て拡散し,なけなしのやる気を奪われる軍曹とその仲間たち.モアさんの四文字熟語が適当だ(苦笑).ペコポンの支配に有効なエネルギーをコントロールすることができず,ついにはナレーターまで巻き込まれる大惨事に.
後半は深刻化する状況とさらに悪乗りの度を高めていくパロディ! CMの間によほど喰らってしまったのか.いきなりやる気のないナレーターからはじまって世界は怠惰に満たされていきます.謎の濃い霧に囲まれる押井な戦闘機…ってまた随分と敷居の高い芸をかまして来るもんだなぁ(笑).この惨事からあらかじめ守られていたのが桃華さんと一緒に出かけていた冬樹で,なぜか未だ正気を保っております.忍者なので平気だったドロロと合流した冬樹は元凶の地である日向家へと向かい…この異変をもたらす霧が,当然の如く日向家の地下から湧き出しているのを目の当たりにします.
友達の不始末,あるいはペットの不始末を片づけるべく,ドロロとともに主役らしく地下に向かう冬樹.中の通路で発見されるのは怠惰な力に飲み込まれたやる気のない…というかむしろげっそりな(笑)モアさん.四文字熟語も適当すぎ.そんな彼女が書き残していたのが日記.もちろんこれはパロディなので,いつ書いたのかとか無粋なことを突っ込んではいけません(笑).奥に進むごとに出会うかつての仲間たちと,彼らが書き残した日記からこの事件の実態に迫っていく…というパロディを身をもってこなす冬樹とドロロ.特にギロロの日記がやたらと豪華.それにエースを狙わせてどうするよクルル(笑).
ペコポン社会崩壊の元凶である施設の最奥,ヘブンズドアの向こうには…やたらちんまりしたカオルくんこと軍曹がお待ちかね.そして怠惰の結晶はなぜかアヤナミさん(4人目)に! 冬樹の叫びもそのままなんですが,ニュアンスが違うってのが芸が細かい(笑).ご存知の通り本作は「ガンダム」パロディに重きを置いているわけですが,1作品ばかりを何度も使用されるとどうしても飽きてしまうのは事実.そんな食傷気味の視聴者すら満足させてしまう全開の「エヴァ」パロディが素晴らしい! マーチインパクト,ATフィールドと連発されるパロディの中で仲間に潰されて無力化されるドロロ.しかし誰かが制御装置を止めなければ,世界は怠惰となり破滅してしまいます.やがてパロディすら溶け合ってひとつになっていくクライマックスの中,冬樹は己のやるべきことをこなすのです!
結局世界を救ったのは冒頭の秋ママさんのハグの力.春なので,全てを越える究極の力は母の胸,という一見まともなようで適当な結論でお茶を濁してみたいと思います(笑). 次回は何事もなかったかのようにいつもの「ケロロ」に戻るようで何より.今回いいところで活躍できなかった桃華さん頑張れと影から応援しつつ,次回に続きます.
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