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ケロロ軍曹#50

「兵士は恋にかなわないの巻」

テントの中でギロロが見つけたディスクには,ペコポン侵略に先立って記者会見を受ける小隊の様子が映っていた.それを見て現在の自分の間違いぶりに気がついてしまったギロロは,軍曹たちをけしかけて日向家を制圧することにする.外界との交通・通信手段を破壊し,外交官たる冬樹の動きを止め,難敵・日向夏美を倒すのだ!
電話機を壊した軍曹たちを懲らしめるために基地に入った夏美は,抗争の中,いきなりひどい熱を出して倒れてしまう.外界とは断絶されたこの空間では助けを呼ぶこともできない.原因不明の高熱が続けば命にも関わるこの事態に,ギロロは夏美を救うべく,一人宇宙へと旅立った.

開始当初から見せていた抜群の安定感を維持したまま,ついに1年を迎えるところまで来た「ケロロ」.土曜午前の手堅いお楽しみとしてすっかり定着した感がありますが,この時間帯から離れるときも近づいてきました.この作品,作り手も見る側も全員ギロロが大好きなんですが(笑),特に良いのはやはり夏美さんと絡んだときのうろたえぶり.今回は図らずも恋に生きることになってしまった上に途方もなく上司に恵まれない気の毒なケロンの生き様をたっぷりとご堪能ください.

前半は大事になるまで.ほぼ1年,ケロロ小隊にはあんまり穏やかな一日は訪れなかったわけですが,本日もろくなことは起きません.発端はギロロが見つけたディスク.お国の英雄として出征する際の記者会見映像を見て,今の自分のやられぶりに改めて愕然とするギロロ…って結構頻繁に愕然としているような気はするわけですが(苦笑).特に敵の女性兵士と恋に落ちるなんて,ぶっちゃけありえなかったはずがものの見事に一人で落ちている現実に改めて打ちのめされます.しかもあんまり報われてないのが泣かせるよなぁ.国や過去の自分に対する恥ずかしさで一杯のギロロは,恐らくはその照れ隠しに(笑)夏美さんに戦いを挑むことに.
最近は軍曹たちのふがいなさを苦々しく見守るばかりのギロロですが,今回は強硬に戦闘を主張.でも,前段説明なしで企画を持ち込むのは,プレゼンとしては非常によろしくありません.ペコポン侵略に来てはや1年なんですが,確かに小隊がこの日向家すら征圧できてないのは間違いなく.立派な見送りを受けてしまった身としては,それなりの成果を出さなければ格好がつきません…っていつだってかっこなんかついてないよね(苦笑).壮行サッカー試合にパレード,そして真っ赤なスカーフ…渋いネタ.そんなわけでこの家の指揮権が欲しくなるわけですが,悪魔であり天使である夏美さんが障害に.軍曹のオタクなペコポンかぶれは見事なもんですが,ギロロの随分と特殊な方向に先鋭化したペコポン趣味はどう評するべきなのか(苦笑).
なにはともあれ制圧してみることにした軍曹たちは,まずは通信手段を徹底して遮断.たまたま日向家に潜入していたドロロがあわてて外部に連絡しようとするも,外部と完全遮断する電磁バリアのおかげで黒焦げに.ここで焦げなければ,勝手に開設した隠し通路とかで脱出する余裕もできたんでしょうが,なんせ,焦げちゃいましたからね(笑).彼が出てくると特に軍曹が戦意を失うということで冬樹を珍しい本で足止めをして準備完了.今回のターゲットは,夏美さんただ一人.
軍曹たちに電話機をぶっ壊されたクレームつけに基地に踏み込んだ夏美さん.毎度軍曹たちの前に立ちはだかる手ごわい女ソルジャーぶりは今回も素晴らしく,軍曹の新作ペコポンスーツ「最終兵器母さん」のコンセプトの大間違いぶりも手伝って,夏美さん初戦は完勝.その隙を突いて背後を取るギロロですが普段の夏美さんなら特段の問題はなさそうなのに,思いもよらぬ伏兵に夏美さん撃沈.いきなり,高熱を出して倒れてしまいます.
敵兵士がいきなり病に倒れて戦いは中断.しかも外界から遮断したのが完璧に裏目に出て,薬も医者も呼べない始末.もちろん全部軍曹のせい…ではなく,実際はけしかけたギロロの責任が重い.最大の障害が消えたと嘯くギロロですが,冬樹に言われなくてもどれほどひどいことを言っているのかは本人が最も自覚しているはず.けれど「初の捕虜が死亡は不名誉」という仲間からの方便を吹き込まれ,夏美さんを救うべく挑む決死の旅! 夏美さんのためならば,黒焦げ程度なんのその!

後半はひどいや軍曹(笑).夏美さんが原因不明の高熱に苦しめられている頃,あの軽装で宇宙商人のもとを訪れたギロロは,特効薬である宇宙ケルベロスの肝を購入を希望.しかし生憎暴れている生きのいい奴しかおらず,購入資金のかわりに宇宙ケルベロス退治に挑むことになったギロロは命を削る激闘を演じることに.さすが特効薬だけあって,多少傷つけた程度ではあっさり回復するケルベロスに対し,ギロロは長期戦を挑むことになります.ギロロのバトルシーンは今回の見せ場の1つで,ケルベロスの3つ首と尻尾がメリハリついて動いているのが素晴らしい.宇宙ケルベロスの凄まじい攻撃に気を失いかけるギロロ.そんな漢を目覚めさせるのは,愛する者の幻.少なくとも夏美さんをを助けるまでは,ギロロに死は許されないのです!
その頃,冬樹に申し出て夏美さんの看病を手伝う軍曹とモア,そしてドロロをおつかいにやることでバリアの効き加減を確かめ続けているようにしか見えないタママ(苦笑).やってることがずれてる奴もいますけど,皆,夏美さんのために一生懸命.怖い暴力ツッコミに定評のある夏美さんですが,それ以上に,小隊にとっても失えない大切な仲間として認識されていることが判明.敵兵士にそんな感情を抱くんじゃ,やっぱり軍曹たちの負けでしょうね(笑).
そして,必死の夜は終わり次の日の朝.熱の下がらない患者のため,ギロロがぼろぼろになって持ち帰ったのは壮絶なハンティングの成果である宇宙ケルベロスの肝! ギロロを命をかけた夏美さんへの愛をようやく彼女のために使えるのかと思ったら…ボケガエルが(笑)! あまりの惨事にここまで必死で気を張ってきた漢もさすがにばったり.というわけで本来はここで終わってもいいはずの物語はさらに続きます.
ドロロとタママの努力によって(笑)バリアは破れたものの,時は既に遅く.夏美の熱は下がらずついに死の淵に.一晩の成果を失ったギロロは言葉をかけるしかなく,それに応える夏美さんの「私が死ぬわけないでしょ」は嘘の一歩手前.夏美さんを大切に思う弟と宇宙人たちの前で,そしてまだ言いたいことがあるギロロの前で,夏美さんの命の炎は弱弱しく揺らぎ…しかし,これを救ったのはクルルの能力!
もちろんファミリー向けのギャグアニメなので夏美さんが命を落とさないのは当然.それでも,例え軍曹が全ての元凶だとしても(苦笑)夏美さんが助かってよかった.ちなみに夏美さん,どうせ軍曹だけ居たってろくなことはできないんだから,むしろクルルの方をを再起不能にしたほうが後々のためにいいんじゃないか?
ラストは手当てされるギロロと,手当てしてくれる夏美さん.こんな風にわずかでも報われてしまうから,あれほど強いギロロでもいつまでも恋を切り捨てられないわけで.要するに,美少女こそ最強の兵器.というわけでついに1年.次回,最終回?に続きます.

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