ボボボーボ・ボーボボ#49
「どんな寝言も歌になる!の巻」
あのソフトンを倒してしまうJ.その強さはまさに無限の極み.埋葬されて一命を取り留めたソフトンにかわって戦うのはボーボボで,蘇ったソフトンの助言を受けて敵の黒太陽真拳を攻略するための糸口こと電気スタンドを掴む.このままボボパッチとなってJを潰そうと考えるボーボボ.しかしそれを妨害するべくJが召還した田楽マンがなぜかボーボボの後ろから滑り込んでフュージョン成功.誕生,田ボちゃん!
他の作品ではいい意味でも悪い意味でも追従できない領域を爆走する「ボーボボ」.最高にバカなものをつくるためにはそれを完璧に支える高度な技術力が必要です.だからこそ,笑えるギャグは素晴らしい! でも,外人にこの面白さは理解できるんでしょうか? もちろん文化なんか無関係な根源的な笑いに満ちているので,ある程度は絶対行けると思うんですが,本作の一番愉快な部分を楽しむためには日本のバラエティ番組事情について理解できていないと難しいはずなんですが(笑).
ちなみにアバンはルーレット.たわしではなく,わたし.…やっぱり外人にはわからないと思います(苦笑).
序盤はまだまともなハジケ勝負.ソフトンを倒すことでその洗練された不条理芸の力を見せつけたJ.ソフトンの胸の傷を完璧に無視してアリさんを気遣うのは,もちろん倒れた仲間をよりおいしくするため.どさくさにまぎれてソフトンの妻役をやってみた魚雷さんはビュティさんのツッコミを受けて芸を撤収.こっちは自分が笑いを取ることしか考えてませんが,お笑いとしてはどちらも正しい.
ソフトンの容態が危険なので傷口に薬を塗るはずが,オバーナちゃんの堪忍袋から取り出されたラフレシアを当てられるがままのソフトン.瀕死の彼を巡って展開するしょうもないコント.本当は誰も容態なんか気にしちゃいないということが丸わかりで,どうにも気の毒(笑).ボーボボに至ってはソフトンをさっくり埋葬するという狼藉ぶりなんですけども,これで一命を取り留めるソフトンもさすがの不条理ぶりです(苦笑).
ついに友の死?を背負ってJと対峙することになるボーボボ.敵がタマネギという食い物型なので「料理」という言葉を混ぜ込んでみたら,これに全力で食いついてきたのがなぜか敵ではなくて首領パッチ.なぜか釣れてしまったこの雑魚は,鼻毛真拳奥義,毛ロリー1/2にまで混じってみたり.
Jは強みである不条理芸を確立し,場の主導権を譲る気配はありません.「陽炎の儚さこそが美しい」とか,意味のない仰々しさこそJの笑いの本質.あまりに似合わない言葉の組み合わせで幻惑するのが真骨頂で,これぞ複数の太陽で幻惑する黒太陽の真実.それを打ち崩すにはより普遍性の高い…というかぶっちゃけ低レベルのネタをぶつけることが意外と効果的.というわけでスーパーフラッシュ!!こと電気スタンドが出てくるのですたぶん(笑).
くだらないネタで空気を掴んだボーボボはさらに超奥義・女子高生3百人大行進でJの高度な遊びを展開する隙を与えず,さらにボボパッチで攻めきろうとするわけですが…妨害のためにJが呼んだ田楽がなぜか(苦笑)ボーボボと絶妙な化学反応を起こします! 普段はヘタレ役をこなす田楽ですが,さすがはプロ.おいしい場面は見逃さすに果敢にフュージョン,後から(笑)! 結果,生まれたのがキューティな田ボちゃん.田楽属性が継承されたのか絶妙の愛らしさで声まで豪華なんですが,安易に好きになってはいけません.なんせ田ボの半分はあのボーボボで出来てます!
中盤は田ボちゃんオンステージ! なんと5時間という無意味に長い持続時間を誇る田ボ.この美しき刺客は実に可憐で,中身のことを気にしなければ十分ヒロインとしてやっていける存在感.特技はもちろん歌.しかも声優が國府田氏であるために普通にうまいところが今回に限っては恐ろしい(苦笑)! 歌は,旋律にさえ乗せてしまえばどんな珍妙な詩であっても一般大衆の脳に叩き込めるという恐ろしい洗脳兵器.その浸透度は不条理芸人が太刀打ちできるような深さではありません.
これから来る恐ろしさを肌で感じ取っているのか,紳士のイメージを犠牲にしてでもレディではない田ボを傷つけ,敗北させようとするJ.しかしこの攻撃が田ボの劇場を開くきっかけに! 虐げられた田ボが頼るのは天国のパパで,彼が送ってくれたお守りは…ヌンチャク.どう見たって似合わない武器を手にした田ボはなぜか見事につかいこなして見せますよ! 魔法のステッキに比べれば妙な呪文も恥ずかしいダンスも怪しい設定も必要なく,ただひたすらに敵を壊せばいいだけですからね(笑)! というわけでノリノリでヌンチャクを振り回す田ボさん.とりあえず韓流を入れ込んでみたり香港映画になってみたりともはやこの世界の支配者は彼女に決定!
田ボの超絶マル秘奥義,「ONE-SONG・ミュージアム」は音と感覚の世界.歌えない不条理芸人をノリで歌番組に引きずりこんだ田ボ.その歌声は見えない糸となり,Jの体をマリオネットのごとく操ります.歌うは「マジカルガール田ボちゃんのテーマ」.作詞作曲武田信玄…ってこの歌,JASRACにはどんな風に登録されるのか(笑).たとえJであっても抵抗できない戦慄の旋律.これまでもボーボボ劇場などでミュージカルに巻き込むことで攻撃してきましたが,田ボの攻撃は歌なので物語不要なところが恐ろしい.毒手,アリの巣,変な間とやりたい放題の田ボの猛攻に必死で抵抗するJは田ボからマイクを取り上げようとするわけですが…お笑い芸人って,意外と歌がうまいんだよね(笑).
終盤は珍奇歌の連打連打! 田ボが手放してしまったマイクをまず掴んだのは天の助.この世界を維持するべく,田ボの変わりに思いついたことを歌ったら…「東京ところ天コミュニケーション」!ってなんじゃそりゃ(笑).リアクション芸人の癖に身の程をわきまえていない無礼ぶりがOVERとの戦いで目覚めた天の助の面白さ.「国会議事堂」なんて歌詞に混ぜてくるあたり,そのお調子ノリっぷりがよく出てますね.ツッコミに向かってところてんの素晴らしき秘密,微糖を絶唱する天の助.このうざさがたまらない(苦笑)!
さらに歌うのは首領パッチ.言葉とは裏腹にやる気満々の歌姫ぶりがこっちもうざいぞ.で,「なんでもいいから歌って」…ってどうしてそこで出てくるのが「ベーターカロチン」になってしまうのか(苦笑)! …もちろん中盤での田ボが示した苦手なニンジンを継承してるんですけども,律儀に継承するなと心の底から叫びたい.肝心のところで「ベネチア国際」とか言い出すだけでなく,「フルマラソン」と言いながらDDRやる意味がわかんねえ! 恐ろしい.なんて恐ろしい歌の力! おかげでメーターもMAXとなり,フィーバータイムに突入だ!
田ボ,首領パッチ,天の助の歌唱によってなぜかJはガパパビッチに改名.ツカミネタを勝手に変更された上に,それを強制的に弱点にしてしまうのが田ボの巧妙な戦術です.タイミング絶妙なビュティさんのツッコミまで合いの手にしながら,ガパパビッチことタマネギをナスの辛味噌炒めに添えてみるのが天の助! 3人がかりの猛攻は桁違いのプレッシャーでJを刻んでいきます.妙に上手い天の助が歌う,木ノ下大八49歳…素晴らしいトボケっぷりにツッコミももう降参だ! 首領パッチと田ボの主導権争いに巻き込まれたソフトンの微妙な歌すら敵を誘いこむための罠.Jを仕留める愛と友情の超必殺技・聖ラジカル セレモニー…ってあんなに可愛いのに鼻毛! ようやくこいつの半分のことを視聴者が思い出した段階でステージ終了.もう,腹一杯です!
ただでも強いのに,ついに新たな戦闘形態まで身につけてしまったボーボボ.今彼の前に立ちふさがることができるのは余程の強者かバカだけでしょう.さて,ボスであるギガは一体どっち? そういやおやびんの弟子・破天荒もどこでどうしているのやら.作画監督と演出が連名になっているあたりにスタッフの無茶な気合を感じたり,國府田氏の素晴らしい歌唱力に対し熱烈な感謝を捧げたりしつつ,次回,ギガ戦に続きます!
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