陰陽大戦記#21
「嘘つきは神流のはじまりの巻」
大降神のフジを倒したコゲンタ.2柱の大降神の激突がもたらした力によってフィールドが壊れ,リクは別の伏魔殿に飛ばされる.神操機の中でコゲンタは眠ったままとなり,その上謎の闘神士に「天流のヤクモ」と人違いされるリクは,反撃する手段もないままひたすら逃げ回るしかない.
その頃,ナズナとソーマはマサオミとともに,リクを助けるために壊れた伏魔殿に戻っていた.しかしそこでミカヅチの命で派遣されたミヅキとカンナに出会ってしまう.仕掛けてくる地流の2人と仕方なく戦うマサオミは,強い.
前回ものすごいテンションで話を展開し最後に強烈なヒキをぶっ放して終了した「陰陽」.基本的には闘神士だけが踏み込める特殊な空間,伏魔殿.闘神石を取った程度で崩壊する不安定な空間を怪獣バトルでぶっ壊してしまい,その裂け目からリクがコゲンタごと落ちてから先が今回の物語となります.本当に凄かった前回に比べるとどうしても見劣りしてしまいますが,ついに第3の流派・神流が表舞台に出てきたことは見逃せません.この先待っているであろう中盤のクライマックスとシリーズ後半で,神流はどのような役割を果すんだろうか.
前半は前回の続き.あの大崩壊に巻き込まれたリクですが,さすがは主役,別の伏魔殿に落下して無事.むしろ無事でないのは百鬼滅衰撃を放った上に大降神したコゲンタで,神操機の中で深い眠りに落ちてます.この伏魔殿は霧が漂う石庭のようなフィールド.そこにはリクの他に妙な風体の,しかしどこかで見覚えのあるシルエットの闘神士がいて,彼に勘違いされ式神をけしかけられてしまう不運なリク.消雪のマガホシの降神シーン,見栄を切るところの文字が神流の緑色になってますね.ちなみに天流は青,地流は赤.
「天流のヤクモ」と誤解され,よくわかんないながらも逃げ回ることになるリク.人違いとわかってもらえても,見逃す代償に神操機を置いていけ,という神流闘神士の要求を呑むことなどできません.手の中では,大事なコゲンタが無力に眠りっぱなし.自分の式神を置いて逃げることができないのは,前回リクが主張していた通りです.
リクがひとり大変な目に遭わされている頃,隠された天流の社の鬼門からはナズナとソーマだけが帰還.仲間を置き去りにした2人は打ちのめされ,さらにその悲しい知らせに完璧に取り乱すモモ.リクのことを任せたナズナさんのふがいなさに切れたモモちゃん,相手の落ち込みも気にせずに叱責! 大好きだから,容赦できないんだろうなぁ.2人とも式神のダメージがひどすぎて出せる状態ではなく,ゆえに救援に行けない状況.でも,無力なモモちゃんは先走って鬼門に突っ込んでいこうとするのはやめてください(苦笑).今の君の役割は,この先リクが大変なことになったこともわからないくらいに大変なことになったときのために,目の前で起きていることを全て覚えておいてくれることのはずです.というわけで一同が天の助けを求めている真っ最中に,バイクでやってきたのがマサオミ.ソースカツ丼を人数分持参しているあたり,前回登場時にがっくりされたことをしっかり覚えていらっしゃるようで(笑).都合の良すぎる偶然で参上した都合のいい奴に,モモはリクの救出を懇願.リクが大降神したことを聞いただけで「まずい」と判断しているマサオミ.彼はリクの前回の大降神のことをを知らないはずですが…それはともかく,マサオミを加えた即席救助隊は再び伏魔殿へと降りることになります.
そして地流ビル.ミカヅチに呼ばれたミヅキは,カンナとともに伏魔伝の調査に向かい,到着した直後に天流の即席救助隊と顔を合わせてしまいます.もちろん「見逃してくれないかな」とか言ってくるうさんくさいお兄さんの提案を飲むことはできません.ゆえにはじまる式神戦.地流のクラダユウとエレキテルに対するはマサオミのキバチヨ.…ちゃんと文字が緑色なんだよなぁ.ちなみにてっきりこの時点でナズナさんが気がつくのかと思ったら,意外とあっさりスルーされてます.
壊れた伏魔殿で戦いがはじまった頃,石庭の伏魔殿ではリクが未だに逃げていました.しかし式神の技,骸神滅閃に襲われ,神操機を落としてしまい手は届かず,敵は近づき…という大ピンチを救ってくれたのが,天流の闘神士・ヤクモ.
後半はいつものようにバトル.まずは壊れた伏魔殿でのマサオミ対ミヅキ・カンナの戦いですが,こちらはマサオミが圧倒的な優勢を保っています.しかも本気で戦う気がないので序盤はひたすら回避と妨害に徹しているあたりが凄まじい.1対2の状況なのに相手に対して手加減ができるマサオミの強さは群を抜いています.こいつの流派章,いくつなんだろう…六以上なのは間違いなさそうなんですが.
しかしミヅキたちも勝ちを譲る気はないようです.クラダユウの術で強化した上に,必殺の阿毘捨法雷神憑で攻撃するエレキテル.ステータスアップ系の術の使用はこれがはじめてかな? このコンビネーションにはさすがのキバチヨも手を焼き,ついに必殺の天地開闢裂武人を放ちます.地を割く大技の谷間に吸い込まれる2体の地流の式神.しかし,後から落ちてくるクラダユウを助けるため,先に落ちたエレキテルが雷を放ってそれをくい止め…その代償にエレキテルは「好きでしたー!」と謎のメッセージを残し消滅.好きなのは最後の献身ぶりからするとクラダユウ? それともここまで一緒に気合で戦ってくれたカンナ? 己の式の消滅で,記憶を失いつつもミヅキを気遣うカンナ.しかし彼女の気遣いを無視して撤退すべき場面で退かないミヅキの判断がすごくダメ.一見落ち着いて見えるけれど,冷静な判断には欠けるというのをうまく描いてますね.
石庭の伏魔殿では天流のヤクモ対神流の戦いを主役のリクが観戦中.ヤクモが降ろしたのはおなじみの青龍のブリュネ.純粋な力勝負や激しい印の打ち合いでは,敵のほうが優位のようです.おかげで標的から外してもらえないリクはまたも危機に陥るわけですが,どうやらヤクモは本気を出していなかった様子.式に頼り切るのではなく,式と符のコンビネーションを生かすヤクモの戦い方はマサオミに近いんですが,マサオミよりも符の役割が重いところが特徴でしょう.マガホシがその必殺技・浄名剛衝醍武で突進するのを縛符のトラップで止め,坤乾艮乾艮乾でブリュネの必殺技,終章破滅之炎舞曲を確実に当ててダメージを与えるヤクモ.…ブリュネが凄い円踊ってんなぁ(笑).ここで勝負が決まって逃走する神流.また,闘神機がかたかたと言ったので深追いせず式を戻すヤクモ.「限界が近い」ってのは,やはり闘神機にガタが来ているのだろうか?
神流が去り,ようやくヤクモに挨拶できるようになったリク.天流とは思えないまともなヤクモの前で,天流遺跡,月の勾玉,天神町の社…と事情を説明するリク.ここでヤクモにリクの在所が伝わったので,そのうちあの社に来ることもありそうです.事情に納得したのか壊れた伏魔殿への道を開くヤクモと,別れ際に急いで恩人の名と「神流」について尋ねるリク.彼らを追うヤクモが語る神流の情報はごく断片的なものですが,大切なのはリクが第3勢力の存在について知ったこと.最も組織化されている地流や衰退し離散しかかっている天流と比較して,彼らはどの程度の規模を持っているんだろう.伏魔伝の奥にいるってことは,本拠も伏魔殿の中なんだろうか? そしてヤクモとリクはお別れ.リクの背中を押す様子や笑顔を見ると,意外と気さくなお兄さんなのかも.
壊れた伏魔殿では式神戦が詰みに.撤退する機を失った時点でこうなることは見えていたわけですが…そして,そんな限界のミヅキのもとにユーマが登場.思わず安堵して倒れるミヅキですけども,完璧に自業自得なのであんまり気の毒ではありません(苦笑).ミヅキはカンナが犠牲になった意味をよく考えるべきだと思います.さらに壊れた伏魔殿にはリクまでも帰還し,両者とも手負いを抱えた状況での戦いは諦め,撤退.ユーマの判断は冷静で正しい.そしてリクは神流についての話を仲間たちに披露.ここでマサオミが神流についてすっとぼけていたことに,鈍い天流たちが気がつく日は来るんでしょうか….
伏魔殿から帰還すると,鬼門から出た直後からがっちりモモちゃんに抱きつかれるリッくん.よほどうれしかったのか,普段なら照れてやらない行動を堂々とやらかしている様がいっそ気持ちがいい(笑).
ついにリクとヤクモが知り合いとなり,そのヤクモの接近を知って警戒するのがマサオミ.ナズナさんが彼女の理想の宗家の姿そのものに違いないヤクモについてあまり知らなかったのは意外でしたが,おかげで次にリク・ヤクモ・マサオミの3人が会したときに,物語が更なる展開を迎えることが決定したようです.思えばリクが闘神士となってからここまで,うさんくさいながらも教え導いてきたマサオミですが,そろそろその役割から外れる時期なのかもしれません.
次回は久々のリクの過去を探る話.ここまでのリクは過去と周囲の因縁に巻き込まれ流されているだけで,自分の行く道を自分で選べているわけではありません.それでも鍛錬のおかげで闘神士として一人で歩いていける力はついてきたから,主役としてはそろそろ自立したいところ.そのためには,欠けた自身の過去を取り戻し,その上で今後どんな理由で誰と戦い,また誰と手を結ぶかを考えていくことが重要になります.過去を知ることによって,ここまでリクの周囲を流れてきた巨大な他人の物語が,リク自身の物語へと質を変えるはず.時期的にもそろそろシリーズ中盤を総括する重要なエピソードがやってきそうなので,警戒しつつ次回へと続きます.
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