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陰陽大戦記#22

「思い出は君の中にの巻」

暴走したフジとの戦いをコゲンタの大降神で切り抜けたリクだが,別の伏魔殿に落ちて迷子になるわフィールドは壊すわコゲンタの記憶がないわと大降神は危険すぎる.その大降神のきっかけになった百鬼滅衰撃は使いたくないと考えたリクは,自分からあてのない闘神の特訓を開始.武者修行としてコゲンタと2人で伏魔殿に入るのだが,こんなときに限って妖怪の気配すらなかった.けれどリクにはこの崖の道の記憶があるような気がする.自分を呼ぶ誰かの声に従って近づいた先には,天流の封印で隠されていた吊り橋が現れた.

シリーズ中盤のクライマックスを目前に,ここまで幾度となく語られてきた重要な要素を一歩進める「陰陽」.主役の太刀花リクは祖父と2人暮らしで両親はなし.しかも祖父が失踪してから現在に至るまでは天涯孤独の状態.とはいえとてもそんな悲劇的な状況に見えないのは,コゲンタがいてくれるからなのか,それとも集う仲間が面白すぎるからなのかは定かではありません(苦笑).そんな孤独を抱えるリクが,モモと幼馴染になった3歳以前に何を経験していたのか,その一端がここで語られることになります…って散々アバンで見ているような気はするんですが,まあそれはそれ,これはこれ.

前半は夜の太刀花アパートからスタート.前回の夜…ではまだコゲンタが目覚めないだろうから,翌日の夜くらいだろうか? 夜中,いきなり大降神しているときの感じについて質問をはじめる闘神士と,「よく覚えてないからいい気分じゃない」という戦闘バカぶりを発揮する式神はいい勝負です.でもそのまま理由も言わずに寝てしまっては,コゲンタに迷惑ですよリッくん.
翌朝.これまでのいきさつと昨日夜までの考えを総合し,自分が強くならないとコゲンタを失ってしまうことを心底自覚したのか,朝焼けの道を走るリク.モモにも一人で闘神の修行をするのでボート部は休むと伝言を頼み,なかなかの気合の入れっぷり.そういや1学期,百鬼滅衰撃を知ったあとでいきなり闘神の勉強をはじめた時期があったけれど,それの強化バージョンかな.理由も「百鬼滅衰撃をやっぱり使いたくない」と「やっぱり」が強化されております.すごい力ではあるものの,やるたびにコゲンタが寝たり状況によっては大降神を起こしたりする危険な技に頼らなくていいように強くなろうと考えたリク.前回目にしたヤクモの戦い方もいい刺激になったようで,珍しくやる気は十分! でも…印の手がかりなんて心当たりはございません(笑).今回は冒頭からここまで天流側でシリアスだったんですが,ついに耐えられず物語がギャグに戻ってしまうあたりが情けなくて素晴らしい.
というわけで旅立つリッくんに笑いを届けてくれるモモちゃん.何重たそうなものを持ってきてくれたのかと思ったら,でかくて黒くて丸くてラップぐるぐる巻きの珍妙な物体.頭よりもでかそうなその物体が「おにぎり」だなんて! しかも「デザートも入ってる」だなんて(笑)! 特に2つ目のコメントにいい驚きぶりを見せる主役は,律儀にも背負って伏魔殿に出かけます.見送るモモはとても複雑.天流の闘神士と幼馴染にクラスメートでボート部の仲間,対照的な2つの立場をここまで同時にこなしてきたリク,モモは幼馴染ゆえに,それが相当大変なことであり,ゆえにいつまでも続けられるものではないことを鈍い本人よりも強く感じているんじゃないかと.両立の辛さは闘神士のナズナやソーマには理解しがたい部分だと思うので,リッくんにアプローチするならこの方向性がいいと思うよモモちゃん.ちなみにナズナとソーマはリクを巡って口喧嘩.中学3年レベルと大卒会社員レベルの会話を見守るのは,テーブルに載せられた昼食代の三百円.…2人とも本当に賢いなら,不毛な喧嘩はやめようよ(苦笑).
その頃,勇んだものの修行場としては失敗フィールドに来てしまったリク.けれど彼にはなぜか,小さい頃の覚えが…ってそりゃコゲンタは知らないと思います(苦笑).朧な記憶の中では吊り橋の架かっていた場所に近づいていくリク.そこに重なる記憶の橋では女の人が自分を呼んでいて,自分を…ヨウメイを呼ぶ声に誘われるようにふらふらと断崖に向かい,いきなり崖下に落ちかかるリク! 「びっくりしたぁ」ってそりゃコゲンタの台詞だ(苦笑).コゲンタは幽体のままじゃ声しか届かないから,もうちょっとで最終回になっちまうところでしたよ! しかし,そこには本当に封印された吊り橋が存在していたのでした.

後半はこんなときでもやっぱりバトル.隠された橋の先は四季の溢れる美しい伏魔殿.節季を司るゆえに四季の自然に対しては意外と詳しいコゲンタですが,思い入れはないことが後に判明.四季の庭の中心に置かれた東屋に春夏秋冬を経由して向かうリクとコゲンタ.最近は随分乱れ気味ですが日本には四季があり,その四季に対する愛着や畏怖や敬意を源として式神が生まれたのかもしれないと思わせる光景…なんだけど,肝心の式神が随分とワールドワイドな名や技を繰り出してくるからやっぱり違うんだろうなぁ(苦笑).
赤い毛氈の東屋でのどかな光景を眺め,腹が減ったので弁当を食い,ともうこの時点でリクの修行する気はゼロ.前半の決意は一体どこに消えたのか(笑)! 一度は決意しても,すぐ忘れてしまうのはリクのよくない癖ではないかと.付き合いが長いコゲンタが修行をさっくり諦めているのが気の毒です(苦笑).リッくんが口にするのはモモちゃんがくれた巨大なアレ.歩いたゆえの空腹からか,生来の悪食がまったく改善されていないのかデザート入りのおにぎりに対し「おいしーい!」ってばくばく食っている主役…もしかして,他の人がくれたらなんでも美味いのか?
おにぎりが消えていくのと合わせるようにギャグは薄れて過去の記憶へ.初めて来たはずの伏魔殿で,誰かと一緒に弁当を食べた懐かしい記憶が蘇ってくるリク.優しい女の人の声と白い手.ここまで浮かんでいながら思い出せないのは,単純に忘れているだけではないのかもしれない.修行に来たはずなのに昼寝をはじめた夢の中,古装束の女性は小さな子にこの庭を見せて語ります.「守るために印を切りなさい」という彼女の言葉.守るべきは美しい光景だけではなく,四季,さらに広げればそれを司る式神まで含まれるんでしょうね.印は心,心は空気に溶け込み,空気は私たちを暖かく包む…ヨウメイの母,ショウシが語るこの言葉が示すのは一体何なのか?
リクがまどろみの中で返事した頃,この美しい伏魔殿に侵入した地流のライタツと式神・青錫のナナヤがノリでなんとなくフィールド破壊を開始.きぴきぴと動くこの闘神士と式神は,無造作に八幡破魔成層圏という結構な大技でフィールドを爆撃.もちろん目覚めたリクは許せず,言葉で止めようとするも断られて結局戦闘開始! ノリでぶっ壊そうとする地流も地流ですが,よくわからないけど,大事な場所だから壊されたくないという天流も天流でやっぱりいい勝負.もうちょっとなんか明確な理由はないんですか(苦笑)? 既に見参しているおちゃめな(笑)青錫のナナヤ.ライタツとナナヤのノリはよく似てますね.闘神士は一緒にいる式神に性格も影響される…なんてこともあるんだろうか?
式神戦は闘神石ではなくこの光景を巡る攻防に.面白半分にこの伏魔殿を傷つける敵に怒るリクですが,いくら相手が1体でも空中に浮かぶナナヤに確実に当てられる「適度な」攻撃手段を持たないコゲンタは不利.つい,虎鉄をぶん投げた上にかわされてるのが間抜けです(苦笑).敵の攻撃を食い止められず,しかし百鬼滅衰撃はフィールドを壊すので使いたくないためにひどく焦って憤るリク.しかしもちろん印のあてなどどこにもない…はずが,なぜか脳裏に蘇るのは白くて優しい手.誰かによって心に刻みつけられたその印を思い出したとき,ついにリクの流派章は「伍」に.ゆっくりと切るのは離・震・兌・離.式に伝わるのは「破軍狐影斬」! ビーム型で指向性も高そうな必殺の虎顔はナナヤを喰らい,こりこりとその存在を潰してコゲンタの勝利! ちなみにこの技,「狐」影になってるんだけど虎の技なのに本当にいいのか? もしかして本当は「孤」じゃないのか(笑)?
入り口だけを封じ,伏魔殿はそのままに帰還するリク.闘神石は東屋の屋根に置き去りとなったので,もう一度このフィールドが舞台になる話があるかもしれないですね.自分が「知ってた」ことを「知らなかった」印を思い出したリクは,自分が何か大事なものを忘れていることにようやく気づきます…まさかこの段階にたどり着くまでに,22話もかかるとは思いませんでした(苦笑).

帰っても仲間が喧嘩していて,今は一人ぼっちではないリク.孤独を嫌う彼にとって,コゲンタも天流の仲間たちも失いがたい存在です.しかしこの絆はあくまで闘神士リクが築いたもの.それがもし失われてしまったら…ただの中学生であるリクの手に残るのは,一途に待っていてくれる幼馴染や部活の仲間たちだけでしょう.そんなわけで次回はランゲツ戦で,特にサブタイトルが不安を煽ります! この物語なら当然来るに違いない展開がとうとう到来.大変なことになったことすらわからないような大変な事態がついに来るというのか.シリーズ中盤を飾る重要なエピソードの開始に心を震わせつつ,次回に続きます!

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