いちご100%#3
「時には退くことすら道の巻」
(A)高校受験は波乱のうちに終了し,ついに訪れた合格発表の日.しかし,真中と小宮山の番号は掲示板にはない.2人とも幸い補欠では合格していたもの,卒業式の日になっても小宮山のところにだけは合格通知は来なかった.かろうじて夢の泉坂高校に合格した真中の頭からは,あの日から東城のことしか浮かばない.彼女は別にいるはずなのに,妄想の相手は眼鏡のない東城の姿…そのことを真中の次に知っていたのは,西野だった.
(B)真中が目覚めると同じ布団の中に半裸の女の子がいた.一つ年下の幼馴染,唯が春休みを利用して高校の見学にやってきたのだ.彼女の志望校はあの桜海学園.学校見学に付き合わされる真中はものすごく複雑な気分だ.
たった一つの座をかけたルール無用の真っ向勝負に挑む,乙女たちのあられもない戦いぶりを愉快に見守るべき「いちご」.いやもう本当に,いい大人が見ちゃいけないくらい文句なしにくだらないのは間違いないんですけども,そこがいいんだ本作の場合は! 真中の心さえ動かせればなんでもありのいちごにまみれた戦場で,西野が見せたとんでもない攻撃! …確かに一歩退くことも一つの戦術.そして,失うものなど何もない新人が仕掛けた凄まじい直球勝負! 作画は確かに不安定だけど状況がもうそれどころじゃねえ!
前半は西野の華麗なるステップ.前回東城渾身の一撃で高校受験が台無しになった真中.もちろん真中が悪いので同情の余地なんてこれっぽっちもなく,実際の試験の結果はもちろん不合格.…視聴者側の意識としては特に補欠合格なんかしてなくてもいいんですけども(苦笑),真中はこのバトルの勝敗判定装置なのでなくなるのはまずい.東城は順当として,合格して喜んでいいはずの西野の態度がおかしい.眼鏡を外した噛ませ犬改め最大の敵を前に,西野が考える次の一手とは.
そんなわけで中学生活最後の卒業式には,真中にも遅れて春の知らせが.ただし小宮山だけが未だに冬.とはいえ真中は小宮山なんかどうでもよく夢中なのは東城.眼鏡が壊れたという名目でコンタクトで登校した東城は,元々の素材の良さを周囲に見せつけ大人気.他の男に取り囲まれ真中とは微妙に距離を置くことで,嫉妬心を引き出そうとする老獪極まりない技が恐ろしい(笑).その技術に転がされた真中の頭はもちろん東城に対する妄想で一杯.己のイメージを美化し東城は都合よくエロで阿呆にする妄想は現実との落差が激しい.もちろん,東城が己のために泉坂を志望したはずがなく,ましてや中学時代の思い出を要求されるなんてありえない.ありえないけど…恥ずかしい妄想に廊下で浸るバカ真中.こいつの彼女は本当に気の毒.真中の頭は東城で一杯.西野とつきあっているはずなのに.
卒業式の風物詩と言えば第二ボタン争奪戦,ということでその実例を見せてくれるのが大草.真中の友の割には一人だけ随分と出来がよい上に性格も良く,東城も西野もこっちが好きなら納得できるのに.それに比べるともはや小宮山はどうでもいいという真中の友人軽視ぶりは最悪.しかも考えているのはやはり東城のこと…どうして自分の側にいる人を大切にしないんだろうこの男は.
そう.本来真中が考えなければいけないのは,現在彼女である西野のこと.今回は大人気ゆえによれよれ姿でご登場です! さらに真中の第2ボタンを目ざとく見つけ,いきなり組み付いて口でそれを切り取るという凄まじい攻撃! 現在頭は東城に支配されているということで,ボディを狙ってきたその様が可愛いくてエロく…真中が憎くてたまりません(苦笑)! 西野がもらった中学の思い出.なんせ西野は泉坂には,真中と同じ高校には行かないことを決意してやがりました.なんせ真中はバカゆえに考えていることがわかりやすく,勘が鋭くなくてもモロバレ状態.「好きな人いるでしょ?」という一撃は,さっきの接触と相まって真中に対し痛烈なヒット.しかも「自分も好きだし」と相手に塩を送る西野.ここから先が大勝負!
西野の進路はあの桜海学園.しかもその理由は…真中を諦めていないから.受験の日に西野が知ったのは東城と真中は自分の知らない「映画」が共通しているということ.彼女という立場ではあっても,思いを共にするほどの趣味は西野にはなく…ゆえに,それを捜すためにあえて別の高校に行くのだと武者修行宣言! 現状を冷静に分析し己の弱さをはっきりと知り,その上で武道家として求道の旅に出る西野.なぜ真中のためにここまでやっているのか,本人ですらその理由はよくわかっていないようですが,格闘家の本能としてあの鉄棒の告白で心に火がついたのは間違いないらしい.人を好きになるのは理屈じゃない.そして,嫌な奴を好きになるほど心は広くない.…別れ際に渾身のコンボを叩き込んでいく可愛い西野.鮮烈な記憶を残して一時退場です.
今まさに去り行く太陽のように,西野が自分の側を離れたことを痛感する,屋上の真中.けれど西野で一杯の彼の心を再度取りにきたのが東城.屋上はバトルがはじまった思い出の聖地.いちごパンツにただ憧れていた昨日にはもう帰れないけれど.東城は真中の第二ボタンがないことに気づき,去った西野の痕跡を目にします.それを塗りつぶすべく行動に出る東城.そう,この世界にヒロインはたった一人! 「何か思い出欲しいな」と夢のように迫る東城.この状況をぶっ壊したのは神の手こと小宮山.…まあ,うまくいっちゃったら先の話ができないから,当然の帰結だとは思います(苦笑).
後半は破壊力抜群だ! 春休みの朝,早朝半裸少女というとんでもないバラエティ企画(たぶんドッキリカメラ系)の餌食となるのはもちろん我らが真中.作画は微妙ではあるもののその衣装ときたら凄まじい.年齢差というハンデを背負った彼女ならではの,まさに身を捨てた攻撃だ! 新登場の戦士の名は唯.真中とは幼馴染で,幼少のころから泣き虫真中を助けてくれた一つ年下の女の子です.もちろんその彼女が半裸で布団にもぐりこんでいる理由は特にないんでしょうけども…しかし,これまでの東城や西野が見せてきた攻撃よりも一段体に近いところが恐ろしい! 脱げかかったパジャマでパンツは丸出し.いちごではないですが.
そんな少女台風・唯が真中家にやってきたのは学校見学のため.寮のある学校を狙っているという彼女の本命は…桜海ですか(苦笑).春休みとはいえ手続きとか西野に出くわす可能性もないとは言えず,真中はものすごく複雑な気分.西野との破局を思い出させることによって真中に揺さぶりをかける唯は,「合格した人に会いたい」というわがままでさらに傷口を抉ります.しかし,これはヒロインの座争奪戦で示す手としては逆効果ではあるまいか?
そんな失敗を取り返すのが帰り道で唯が見せる弱さ,犬に必要以上におびえ,悪口を言いつつも真中に頼る可愛い気を見せつけて,最初のイメージとは逆の親近感を出そうとしてますね.さすが1年下だけあって技はどれもこれもまだまだ大振りなんですが,もうちょっと自然に技が出るようになれば,2大ヒロインにも対抗できるかも.
唯の不自然極まりない猛攻はさらに加速.幼馴染という立場を使い唯が戦場として選択したのはなんと風呂! 裸になるところなので,捨て身の技を仕掛けるときにはこれ以上の舞台はありません.まずは背中を流すという名目で潜入し,さらにシャワーをかぶってずぶ濡れになるあたりまでものすごく不自然だけど(笑)お約束.唯ちゃん,いくら幼馴染でもやっぱり風呂で顔をあわせるのは照れるよ(苦笑)! 着替えないと風邪をひく…ということでいきなり風呂場の中で服を脱ぎだし,一緒に入ろうとする唯だがそれでは場所取りが甘い.正しい攻め方としては出入り口付近に場所を取り,真中が出られない状況で服を脱ぐべきです.おかげで獲物には逃げられてしまうのは,やはり経験不足.一撃一撃は相当の威力なんですが,丁寧でなく荒が目立つのが勿体無い.
最後の攻撃は翌日の朝.寝坊した彼女の服装は,昨晩よりもパワーアップ! 無駄に服を着ていない唯は,やっぱり攻撃の組み立てがなってないとしか言いようがないなぁ(苦笑).ただし,ほぼ全裸なんて見せられたらさすがにそれで頭の中は一杯になりそうなので,未熟ながらもよく考えたとほめてあげたい.そして真中はそのまま本棚の下で潰れていてください(笑).
さて,次回は…ついに来た北! いちご戦士の中でもイチオシの彼女は,実に強引かつ強力な技を次々に繰り出すダイナマイト! 緩急織り交ぜた見事な暴れぶりはまさに本作の申し子.えげつなく,かついとおしい彼女がどこまでやってくれるのか.そしてこれに対抗する東城の動向は如何に.次回に続きます.
| 固定リンク
「レビュー◆いちご100%」カテゴリの記事
- いちご100%#12(2005.06.28)
- いちご100%#11(2005.06.19)
- いちご100%#10(2005.06.12)
- いちご100%#9(2005.06.05)
- いちご100%#8(2005.05.29)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント