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焼きたて!!ジャぱん#24

「手品の範囲を越えてますの巻」

パンタジア新人戦・決勝戦がついにはじまった.海洋酵母で勝負をかける冠だが,和馬は冠の想像を超えていた.1つ目の生地は水で洗い,勝負を捨てたのかと思われた和馬.しかし彼が作り出した2つ目の生地は,冠の海洋酵母の生地を上回る粘りを見せる.もちろん冠も,準備していたのは酵母だけではない.
ついにはじまる試食.2つのパンを前にするのはスーパー審査員でもある霧崎GMだ.先に口にした冠のパンに対し,霧崎は「ジャぱん」らしからぬ地味なリアクションを見せたように思われたが,視線を上に向けると….

1時間スペシャルの後半,ようやくお待ちかねのリアクションが炸裂する「ジャぱん」.前回分で溜められたテンションは今回の中盤で爆発し,ついでに(笑)決勝の勝敗も明らかになります.無体なリアクションでおなじみの黒やんとは違い,霧崎GMのリアクションは顔に似合って端正なもの.…裏側を考えるとものすごく嫌な想像になりますが(苦笑).そんな仮面をぶち壊す和馬はさすがは主役.理論的なパンの秘密と不条理なリアクションの見事なコントラストをお楽しみください.

前半は激突!和馬VS冠.新作の海洋酵母に勝負をかけた天才・冠.これに対する天然・和馬の武器は,月乃さんに悲鳴を上げさせるような奇行.一心不乱に折角の生地を大量の水で洗いはじめる和馬の真意は観客の誰にも伝わらず,ついに周囲は激しいブーイングを開始.けれど案の定パン作りに夢中の和馬の耳にギャラリーの声が届くことはありません.むしろ心配する方が損なくらいの和馬の様子を見ながら、「大丈夫やろ,今にはじまったことやない」と月乃を安心させようとする新キャラこと…河内.例の外道な教会に行った効果で,見事なアフロとなって戻ってまいりました! 大アフロ店長と小アフロ河内は髪型が揃ったためかコンビネーションも素晴らしく,教会を中傷する月乃さんの美しい両頬に容赦ないツッコミを食らわせます.ヒロインである月乃さんは守るべき大切な対象なのですが,それに加えておもろい南東京カルテットの一員でもあります.ヒロインというだけで汚れから逃れられるほど本作は甘くありませんので,月乃さん,頑張れ!
生地を洗うという謎の行動を見せつけた和馬は2つ目の生地の制作にとりかかります.悪化する雰囲気に大喜びの雪乃、困惑する月乃、そして己の勝利を確信する冠.生地を洗うとガムのような弾力を持つグルテンが残ることは冠も知っているんですが、さすがにその意味までは汲み取れなかったところが惜しい.この段階で和馬の手の内が読めれば、(時間が許せば)冠もまったく同じ手段で対抗することができたかもしれないんですけどね.冠は、もちもち生地から四角いパンを焼成開始.しかし目を離した隙に和馬が起こした奇跡によって、全てが覆されてゆきます!
和馬の生地は冠の生地以上ののびの良さ.それはまるでもちのような、フーセンガムのような….この生地に一気に態度を変える現金な観客と、その秘密がわからずに戸惑う関係者たち(除く店長).冠のパンにも秘密があるのですが、果たして主役のパンに対抗できるほどのものなのか.
丸と四角、2つのパンは焼き上がり、ここからがジャぱん最大の見所である試食です.口にするのは霧崎GM.仮面の美形は声だって速水氏で非常に豪華.二枚目声に面白い事を言わせるのが現在のギャグアニメのトレンドで、むしろそっちの方向を極めすぎ、面白変態声優のイメージが先に立つようになってしまった奴もいて、現にそいつは横でパンを食いたがっているわけですが(笑).
まず手にしたのは冠のパン.これを口にした霧崎の言葉は「…素晴らしい」.この淡白なリアクションに対し激しく抗議する河内がおかしい.確かに作品の花はリアクションなんだけど、その不足を作中人物が指摘するのはとてもメタなネタ.実に「視聴者の代理」らしい働きぶりです.ただしこういうネタは子どもには理解が難しいのでさらりと流すのが基本.実際、河内に怒られてもなぁ(苦笑).もちろん霧崎GMは我らの期待を裏切ってはいませんでした!

後半は暴走する仮面.視線を上げることによって判明する、霧崎GMの真のリアクション.顔の仮面から…孔雀の羽根が! この見事な変態仮面ぶりに比べれば、アフロなんか大したことはないので粛清される月乃さん.うまさで出てくる鳥が変わるよ!と鳴き声つきで店長が紹介した点数表では孔雀は100点で冠は満点.これと闘う和馬は、自分のパンで最低でも孔雀を狙わねばなりません…って目標設定が色んな意味で大間違いだ(苦笑).
冠のパンは技術的にも使用した材料も傑作.特に酵母だけでなく,小麦粉にまで超一流のものを使う細やかな配慮が素晴らしい.和馬に対して敵意を持たない冠が,己の使った小麦粉を披露しているのに対し,南東京支店に対し悪意ことくさやをぶつけてくる雪乃.いくらもらったからって,こんな人の多い場所で開いて,しかも生で食っちゃだめだ店長.
冠の渾身の作品に対抗するのは,こちらも渾身の和馬のジャぱん60号.丸いこのパンを口にすれば…衝撃に倒れる霧崎GM,仮面にもひびが! 変態仮面からは孔雀の羽根が飛び出すだけでなく,本体の孔雀が顔を出して…そのまま飛んだ! しかもなぜか孔雀on霧崎GMに追われるのは河内.これはヘタレとしてはものすごくおいしい役回りなので(笑)月乃さんの「助けてあげなきゃ」発言は野暮ってもんですよ.
そのあまりにもイリュージョンな霧崎GMの悲しい過去.フランスで捨てられ,路上でパン販売をして暮らしていた彼は客寄せのために手品を…って「手品」の一言であのリアクションの説明が済むのは大間違いだと思います(笑)! あと動転しているのはよくわかってますが,調理台を足蹴にしないでいただきたい.さすがは主役.ジャぱんの力は凄まじく,優勝者は和馬!
和馬の勝利に納得できない冠に,その敗因を孔雀を背景に説明するのは黒柳.和馬が作って洗った1番目の生地こそが勝利のタネ.パンに粘りをもたらすグルテンを2つ目の生地に加えることで生まれたのが,和馬の生地の弾力の秘密.通常のパンの2倍のグルテンを含む,ダブルグルテン生地がもちもち感だけでなく表面の良い歯ごたえまでももたらしていたのです.

バイタルグルテンという技法を知っていながらも,常識に縛られ,実際に作っている和馬を目の前にしてもタネの使い方を見抜くことができなかった冠は敗北にようやく納得.もちろん和馬のクリエイターとしての情熱や常識を覆す発想は素晴らしいわけですが,真の意味で素晴らしかったのは,ペターライトの消失という衝撃にくじけることがなかった非常に太い神経.これこそが,雪乃の野望をぶち壊す最大の力であったに違いありません.
というわけで主役の大きな戦いが終了し,残るは最終戦・3位決定戦.アフロになった河内が例の教会で経験したこととその成果も気がかりですが,大会に出場し優勝候補と言われながらも,ここまで一度も食ってもらっていない諏訪原のパンの行方も気がかりです(笑).冠の研究所と今後なども気にしつつ,次回に続きます.

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