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陰陽大戦記#27

「夏の終わり,夢の終わりの巻」

ミカヅチの儀式は成り,地流はついに大鬼門を開いた.その儀式には巻き込まれずに戻ってくることができたものの,今のリクではミカヅチに敵うわけもない.今天流がするべきなのは,無謀な戦いを挑むことではなく力を蓄え時を待つこと.悔しくもどかしい気持ちを抱えながらも,リクは天神町に帰る事を決め,ソーマもそれに従う.
大鬼門の開放によって降りしきる夏の雪のなかで,リクとソーマの乗った天神町行きのバスはトンネルの近くで立ち往生する.中には大鬼門の影響で現れた妖怪・土蜘蛛の姿が.確かに今の天流は無力だが,リクは人の暮らしを乱し,悲しませるものは許せない.それがたとえ妖怪でも…地流でも.

リク=ヨウメイを巡る中盤のクライマックスが緩やかに終わっていく「陰陽」.実質22話からはじまった物語は,リクが知ってたことを知らなかった千年前の己の辛い過去を取り戻し,それでも一緒に進んでくれる友のため,過去からも未来からも逃げたりしないと過酷な宿命の道を歩む覚悟を決め,天流宗家として地流の元に出向いて天流の過去の罪を謝罪し,その上で「この力を,みんなの笑顔のために使う」と誓うことで閉じていきます.自分を知り,さらに相手をも知ったリクが痛感するのは力の差.高い理想も正しい思想も,貫き通すためには必要なものがあります.ちなみにこのシリーズは22話のヨウメイの夢からはじまってますんで,終わりを飾る後半の展開は対を成すものなので間違ってません.間違ってません(笑)!
今回からはアバンとOP・EDが変更に.OP曲は前のほうが好きだったな.リク以上に牙を剥いたりたそがれたりのマサオミが気になります…あ,地流側の蛇が思い切りいる(苦笑).そういやあれは誰なんだろう.…つまりあいつらは他人ではなく,実際の動機はそこに起因しているのか?

前半.お天気キャスターが福井さんのパロディ.…子どもは全力で置き去りだ(笑).地流が鬼門を開いてしまったことで降り始めた雪は,8月末の真夏なのに止む気配はなし.しかもミカヅチビルのある東京だけでなく,天神町にまで寒波は訪れていました.狂う気象の中,町から消えたリクとソーマの行方を気にしているボート部.特にリクが行ったのを知っているモモは,友達まで不安にするわけにはいかないと必死で笑顔をつくって信じる様子がいじらしい.今は野菜とかこたつとかを気にしているリュージもリナも,2学期以降はモモと同じく,否応なしにナズナのいる天流の事情に巻き込まれていくんだろうか.
その頃,リクとソーマはバスで帰宅の途についてます.来るときは新幹線だったけれど,雪で止まったのか交通費を安くあげるためにバスにしたのかは定かではありません.中の様子は路線バスみたいだけどね.バスの窓に映るのは曇ったソーマの顔と,ここに至るまでに2人が感じた思い.
大鬼門の開放には巻き込まれなかったものの己の力不足を痛感したリクと,父の言葉を守るためにすぐにでも地流を止めたいと逸るソーマ.「無理だ,勝てない」と言い切るリクは,何も知らず周囲に流されていた頃の彼とは明らかに違う.状況から最善の道を選び,その方向に仲間を説得する良いリーダーぶりを見せています.今の2人の小さな力では,ミカヅチに一太刀浴びせることすらできない.だから最善手は撤退.まだ決定的に負けていない今だから,次の機会のために未来を繋ぐのが正解です.…それに明日から「新学期だし」とにこりと言うリク.今それを言うかとソーマには怒られてますが,気を緩めて冷静になってもらうためにわざと道化を演じてますね.おかげでソーマも納得し,今はバスの中.
もちろん,リクは本当は笑顔でなんかいられない.それでも穏やかに「焦らないで」とソーマをなだめた言葉は,彼自身にも向けられています.時が来たら必ず来ると厳しい顔で誓うリク.皆の笑顔のために力を使うなら,ミカヅチビルに再来することは避けられない.…地流大鬼門のもたらす悪影響が雪だけでないことを帰り道に知ることによって,それを痛感したに違いない.土蜘蛛の出現に先頭切って飛び出し,闘神符を放つリク.どんな厳しい状況でも,コゲンタやソーマやフサノシンや,一緒に戦ってくれる仲間がいるからこそ,妖怪や地流に対抗する気持ちはくじけずに,心の中で燃えるのです.

後半は…間違ってません(苦笑)! リクたちがバスで帰宅の途中,土蜘蛛と戦うまでの前半から,地流ビルでリクと別れたマサオミはどこかの旅館様の一室で3人の会合に参加していました.持ってきた映像を見せるためにMacMiniらしきものをいきなり持ち出すマサオミさん.これはパソコンが苦手だからMacなのか,ある程度以上のマニアだからMacなのか? 映像で振り返るここまでの地流敗北の歴史のうちで,特にイゾウの敗北に驚く彼は…あの人.リクの強さを誇るかのような表情を見せるマサオミの心も気になります.
力をつけ,相当の実力者とも対等の戦いが可能になった天流.特に天流宗家の周辺には実力者が集まっているので,組織にはなっていないものの簡単には滅ぼせない程度の戦力になった,というのが3人の評価.地流以上に正確な判断をしているこの3人は…神流ですね.天流に「しっかり働いてもらう」という言葉.こいつら,火に油をさらに注ぐ気満々だよなぁ.しかし彼らにとっては厄介なのがヤクモ.彼らのことを嗅ぎ回る彼は神流の真実に最も近いはず.ということはヤクモとミカヅチで食い違った伏魔殿縁起で,真実を語っていたのはやはり….ヤクモについては「まかせろ」と引き受けるのが3人目.彼がどれほどの実力者なのかは,遠からず伏魔殿の中で披露されることになるのでしょう.
さてその頃の天流なんですが,孤月拳舞の通じない土蜘蛛に虎鉄を降ろしてもらい立ち向かうコゲンタ.しかしコゲンタではサイズが違ってどうにも力不足.…けれど,彼らは孤独ではない.フサノシンと初歩的なコンビネーションを見せるコゲンタは,当初仲が悪かったことを考えると素晴らしい改善ぶり.宗家が突出して強くても長期戦には勝てないので,今後は仲間たちのパワーアップやより一層のチームプレイが要求されるようになっていくんだろうか.足を切り落として動けない土蜘蛛が食らうのは,離震兌離の破軍孤影斬! …漢字が直ってよかった(笑).
道を塞ぐ障害を退け「新学期までに帰れそうだね!」と口にするリクに対し残る3人が即座にツッコミ(笑).これはリクの本音で,しかも本人は真剣.天流が地流を止める術を持たない限り,今後状況が良くなることは考えられない.あと何回新学期を迎えられるんだろうというリクの懸念は深刻です.まだ学校に行ける今だからこそ,皆のところに帰って,学校に行きたい.千年前から来た天流宗家のヨウメイではなく,現在を生きる太刀花リクとして,今後消えるかもしれない貴重な時間を,友達と一緒に過ごしたい….

…とか思っていたらバスにまたも襲撃.しかも今度の背景は伏魔殿? なんだかでかい妖怪らしきものの出現に立ち向かうのは…聞いたことはあるものの,ここで聞こえちゃいけない声だ(笑)! バスの上にはボート部の3人.しかもなぜかモモとリナが闘神機持って式神を降ろします! やたらに激しく動きながらやってくる豊饒のネネ.そしてビジュアルからして絶対に弱い癒火のヒヨシノ.伏線なしの超展開にひたすら驚き,もはやコケるしかないリッくん.こいつボケだから,世界に介入するほどの強いツッコミができないのが辛い.ギャグに関しては相変わらず流されるままのリッくんの前で切られる2人の印は…なぜかコゲンタ攻撃に!
モモちゃんの「I Love You リッくん」という相合傘印.絶対に精神攻撃だと思ったら案の定で(笑)「必殺! コタツでごろニャーン ミカン食べ放題冬の陣」で召還されるのはコタツ.これがコゲンタの真上に落ちて「コゲンターコゲンター!」と真面目にリクが動揺してみると,コゲンタはコタツ猫に(苦笑).…ツッコミのできる奴が先に無力化されたのは痛い! このボケ放題の世界を止められる可能性を持つ存在が皆無となり,ボケはさらに重くなっていきます.追い打つのはリナの「トラさん命」.本来は震離兌で西海道虎鉄がやってくるはずが,キタのは「トラさん専用ネコじゃらし」.顔は崩れるわ猫だわと爆走する「陰陽大戦記」.前半終了時点でこんなバカ話になるとは誰も予想できないと思います(笑).
バカはさらにエスカレート! こたつの上のいつもより等身が上がったモモとリナ.お行儀の悪いモモちゃん曰く,リッくんが帰ってこないから心配で心配で,大降神できるようになりました.ついでにリナちゃんも大降神で巨大化してみました.…もはやリクことボケは怒涛の展開におろおろ流されるしかなく,でかい招き猫と巨大リナとでかいコゲンタとねこじゃらし生み出す無敵のハーモニーは世界を揺るがし,なぜか当然のようにその全部が無力なボケの上に落ちて,消えていく「太刀花リク」という存在…「あー!」
涙を流し鼻ちょうちんを膨らまして寝ているリクを起こすのは,ソーマ.夢でした(笑).
この一連のシーンは千年前の過去から「見せられていた」美しく悲しいヨウメイの夢が消え,リクの無意識が「自分で選んだ」珍妙な夢に変わることで物語を締めようとしているので間違ってません(笑)! それにヨウメイとリク,2つの立場を持つことになった主役ことボケがどちらをベースに選んだのかも明らかになってます.彼自身を示すがゆえに砕けて消えたのは,「太刀花リク」のほうだったわけですから.

リクたちが帰宅すると,ナズナだけでなくボート部もアパートで待ってました.勇気ある撤退で,無事に帰ってこれたのはよかった.皆,とても心配してましたしね.とはいえモモちゃんの心配はついさっき完成したばかりのリクの心の傷に直撃(笑) 「やめてモモちゃん,大きくなったらだめだよ.大きくなっちゃー!」とがたがた震えて怯えるリク.昨日の冷静な宗家は,一体どこ行っちゃったんだろう(苦笑).
夏休みは終わり,事態は悪化.野菜命のリュージを動揺させる雪は止む気配もなく,この先この国はどうなってしまうのか….地流を止めるために力を蓄える時間は,それほど長くはなさそうです.さらにこの先天流にはマサオミの離反も待っています.裏切られた心の傷と,失われる豊富な知識を補う術はあるんだろうか.
予告ではユーマと,クラダユウの消滅で記憶を失っているはずのミヅキの姿が.狐面は誰? それにあの子どもは,あの人にとてもよく似ているんですが….そして,作品冒頭から失われたままだった導師たる彼はついに帰ってくるのか? 遠いけれど目指すべき場所へと歩き出す,次回に続きます!

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