« 夏映画いろいろとか脚本:浦沢先生とかZ感想とか | トップページ | ボボボーボ・ボーボボ#62 »

陰陽大戦記#36

「壊れて直して壊して目覚めての巻」

天流宗家渾身の連撃に耐え切れず折れてしまった西海道虎鉄.それを修復するために,マサオミの紹介で幽海山に向かった天流&ボート部の混成団.気の合う同士の楽しい旅行とは言いにくいのだが,天流もボート部もリクの仲間であることには違いない.
奇しくも地流の四鬼門の側にあった幽海山の洞穴.その奥は名落宮,玄武のコロクの住まいへと繋がっていた.虎鉄が折れたのはコゲンタのせいだと断じたあとでリクとコゲンタを洞窟から追い出したコロクは,砕いた虎鉄を炉にくべて残ったリクの仲間たちに五行の力を込めさせる.既にリクたちはスワンボートで大鬼門へと向かっている.天流宗家と四鬼門を護るオオスミの戦いはすぐそこだ.

たった1人の少年の存在が巨大組織を揺るがす様をここまで描いてきた「陰陽」.特に過去の記憶の断片を取り戻してからのリクの成長度合いは凄まじく,ついには虎鉄が折れたというのが前回までのあらすじ.別格扱いの天流宗家の能力を大降神の姿でコゲンタは受け止めていたわけですが,己の内の破壊衝動に負けたリクが大降神を拒否するようになってから,正気のまま巨大な力を受け止めることになったコゲンタへの負荷は増すばかり.闘うほど天井なしに強くなっていくリクに対し,式神であるコゲンタの潜在能力はそろそろ底を尽きかけているのか.とはいえ2人で強くなるためにはリクに手心を加えてもらうわけにもいかないから,自力でなんとかするしかない.リクの愉快な仲間たちも協力してくれるから(笑)頑張れコゲンタ!というのが今回の物語.仲間5名がひたすら漕いで,ボート部が話の役に立つという珍しい回です.

前半.前回折れてしまった虎鉄を修復できるとマサオミに言われ,幽海山のコロクを訪問することになるリク一党.神であり化性のものであるコゲンタすら力を受けきることができないなんて,宗家ってのは一体どれほどの化け物なんだろう.ランゲツとユーマコンビの場合はどうなんだろうか?
とりあえず手当たり次第に仲間を集めたようにしか見えない(笑)リッくんご一行はバスに乗って琵琶湖のほとりまで小旅行.天流とボート部の混成部隊は互いに住む世界があまりにも違いすぎてチームワーク皆無.全員リクかコゲンタが好きなのは間違いないところですが(笑),それぞれの意図が噛み合わなくてまとまらない.特に一刻も早くリクと契約について話したいコゲンタにとっては,その他全員は邪魔以外の何者でもなく….でも,リク自体はここまで培ってきたなけなしの人脈で集団旅行できることが困りながらも楽しそう.コゲンタがリクしか見ていないのに対し,リクにはコゲンタ以外にも大切な仲間がいるわけです.
琵琶湖幽海山に一応到着した一堂.しかしいい味出してる運転手の説明によって,この付近も油断できない場所であることが判明します.時折降るのは「カモにネギを背負わせた男」茂平さんの像すら溶かす強酸の雨! …それって火傷じゃ済まないどころか,降っている間は息すら危険な気がするんだけど大丈夫か(苦笑)? 草木を含め周囲を強い酸で侵したのはもちろん四鬼門の効果.金属すら溶かす腐食の雨に覆われた,強い水性のフィールドです.水は繋がっているので動植物に対し相当広範囲に影響が出ているはずですが,ミカヅチのフォローは周辺住民に大量のミネラルウォーターを配布した程度.このままでは周囲の自然は崩壊するに違いない.
タクシー並みに融通の効く(笑)バスの運転手の助けも借りて,ついにマサオミの地図にあった洞窟に入ったリク一行が目にしたのはちゃぶ台と人数分のお菓子とお茶.準備したのはこの洞の主であるはぐれ式神・玄武のコロク.いつの間にかあの名落宮にまでリクたちはやってきているわけですが,一同が特に迷うことも惑わされることもなくここまで到着できたのはコロクの招き?あるいは一度来て帰ったリクの力? …まあ何はともあれ先読みの力を持つらしいコロクの指示に従って,珍妙な虎鉄修理がはじまります.
ばっきり折れてる西海道虎鉄.それはそのままコゲンタの強度を示すもの.闘神士の物凄い力を受け止めきれていない証拠だから,「このままだとすぐにまた折っちまうぞ」とコロクに断定されております.もちろんそれはコゲンタだって重々承知.今回修理した虎鉄がまた折れる前になんとかしなけりゃ,今度は剣だけでは話が済まないかもしれないし….しかしそれ以上に自分がリクの足を引っ張っていることに,プライドの高いコゲンタは耐えられそうにもないわけで.
壊した本人たちは修理の役に立たないらしく,あっさり「出てけ!」と指示され洞窟の外に出されたリクとコゲンタ.正義感か義務感か時間つぶしか話の都合のどれかで(笑)強酸の雨降る中,地流の四鬼門へと殴りこみに出かけます! 漢相合傘と漢スワンボート.今回の敵式神の邪な目で見れば恐らく麗しい光景なんだろうけど…(苦笑).命の危機一歩手前のスワンボート行.こんな誰も来なさそうな場所に酸に侵されていないスワンボートが置いてあるのはかなり不自然なんですが,湖の中の鬼門に突入してもらわなければならない奴がここに持ってきたんじゃないかと…やっぱり誘導してくれたタイザン? リクはいいとして,「イチニッサンイチニッサン」ってコゲンタも勝手にボート部に毒されているよなぁ.
湖中の島で待っているのはわにのマグカップでおなじみのオオスミ部長.彼女は前回取れなかった天流宗家の大降神のデータに相変わらずご執心.彼女が開発したと思しきチップの模様は,おもちゃ闘神符に八卦眼を重ねたときに出る図になっているわけですが,連撃といい闘神符の記号といい今になっておもちゃの要素を積極的に取り込みにくるなんて,その間の絶妙の外しっぷりがいかにも本作らしいっつうか…(苦笑).
さて,天流&ボート部の混成部隊はコロクの指示で虎鉄修理のお手伝い.剣の欠片を炉にくべて,炉から突き出す櫓を漕いで五行の力を込めるという,ボート部完全優位の修理過程でございます.ナズナは木,リュージは火と土,モモは金,リナが水の力を込めるというのがコロクの指示.既に敵地に突入したリクとコゲンタのためには一刻も早い修理が求められるわけですが,五行の割り振りについては「気にスンナ,結構適当だから」ってとんでもなく適当…確かに闘神は陰陽術とは似て非なる技術体系なんだろうけど,「陰陽」大戦記なのにそれでいいのか?

後半.リクたちがついに島に上陸しオオスミ部長&甘露のミユキのコンビと戦い始めたそのころ,コロクの洞では4人が必死で炉の櫓を漕いでおりました.先読みのできているコロクのことだから,気を込めることに不慣れなボート部に合わせてこんな形の装置にしたんじゃないかとは思うんですが,体力面では幼いナズナにはさすがに辛い.ここぞとばかりにボート部の実力を誇るモモちゃん,口では普段負けっぱなしだけど,その借りをこんなところで返さなくても…(苦笑).
リクやヤクモは別格として,並みの闘神士では式神の呼べない名落宮では人の心の力だけが頼り.星の巡りの変化かこの妙な状況に内心怒りを抱いたのか(笑)なんとなくソーマも火になってきたということで,ついに5人がかりの修復開始.既に闘っているコゲンタとリクを救うため,彼らにできるのは無駄口叩かず虎鉄を直すこと! 全国大会進出はともかく(笑)夏休み中の特訓の成果を発揮しチームワークで漕ぎまくる一同.頑張れ!
5人が必死に漕いでいる一方で,リクとオオスミの戦いはどんどんヒートアップ.地流幹部の式神の1柱・甘露のミユキは不気味に美しく,その声までも実に豪華.けれど暴走するマッド女科学者と耽美で邪なお姉さまのコンビの迫力を前にしても,今日はリクだけでなくコゲンタも大降神を拒否! 渦巻光速蹴汰や強化チップ併用の護紗錐貫通衝を連続で食らって叩きのめされても,あくまで連撃で倒す気満々です.…でもコゲンタ,逸る気持ちはわかるけど,1回で倒れる百鬼滅衰撃の連打をオーダーするのは無茶.
剣なしで大降神もしないリクとコゲンタは,オオスミにとってもミユキにとっても不可解で苛立つ敵.特にミユキはリクたちの間に美しさを感じているってのがよくわからん(苦笑).それは闘神士と式神の間の関係の自然さ正常さが美しいのであって,それ以外の何物でもないと思いこみたいところです(笑).「あの美しさを今のうちに潰す」…と嫉妬に狂うミユキは延蹴隔絶禁断を放ち,コゲンタを触手で捕えて電撃を食らわせます.
自分自身の限界に突き当たっているからこそ,それを超えるためのより強力な印を求めるコゲンタ.でもさすがに百鬼滅衰撃はまずいということで,リクが切るのは離震兌離,破軍孤影斬の3連撃! これによって彼を縛り付けた戒めを食いちぎるだけでなく,ミユキ本体まで食いにかかることに成功.これだけ同じ印を連打できるようになったのは,リクの気力が途方もなく大きくなっているからでしょう.けれどこれは追い風と一緒で,ちょうどいい風なら走ることも楽になるわけですが,後から暴風に吹かれちゃコゲンタだって吹き飛ばされてしまいかねないわけですよ.天流宗家の強さに夢中になったオオスミと,その自然な美しさが許せないミユキはついに大降神チップ+四大天の力で大降神! …通常の大降神に比べるとどれほどのパワーアップなのだろう? 四大天が3倍,チップは不完全で1.5倍程度だろうから,4.5倍ってところか? 対岸まで衝撃が伝わるような巨怪を一撃で倒すには,どうしたって必殺剣が必要なわけです.
リクたちが美しく連撃を放ったりしていた頃(笑)愉快な仲間たちは2人のために必死で漕いで漕いで漕いで漕いで漕いでついには虎鉄の再生に成功! 仲間たちの気力と心配がたっぷり詰まったこの剣を,フサノシンが湖中の島へと届けてついに戦闘は終局へ.仲間の様々な気持ちが込められた剣は,まるでリクの力を示すかのように重くなってます.パワーアップで剣の形が変わるとオープニング等を書き換えなければならないので,「重くなった」ってのは結構省作業な感じだ(笑).この剣を使って放たれる,リクの離震離兌・怒涛斬魂剣三連撃の威力は今までよりもさらに増し,ついにはミユキ消滅! 四大天の封印の1つにひびが入り,一瞬描かれる誰か.
鬼門が閉じたことにより近畿の異常気象はおさまることになるでしょうが,封印の解除が最終的にもたらすものに比べたら,異常気象程度はかわいいもんだったりするんだろうか….天流宗家の攻撃によって四大天の封印を2つ失ったことにより,不完全ながらもウツホが目覚め始め,噴き出す瘴気や妖怪を抑えきれなくなったミカヅチがついに倒れます.四鬼門は気象コントロール装置などではなく,衰え行くミカヅチの封印を複数人で分散して担当するための仕組みだったりするのだろうか….コロクにはリクとコゲンタの先に待つとてつもない山が見えているようですが,それはユーマ? ミカヅチ? それとも,ついに目覚めはじめたウツホそのもの? あるいは…

物語も次第に緊迫の度を増していきます.天流では,コゲンタはどのようにしてリクの力を受け止めるのか.地流では,鬼門が壊されミカヅチが倒れ,ついに影っていく組織を一体誰が支えることになるのか.謹慎中のユーマとその母の再会が,ユーマが後を継ぐきっかけになったりするのかな.
…そして,伏魔殿の奥の神流.今回の冒頭で,ミカヅチが宗家の血を継がないことから,ウツホの封印をもはや抑えてはいられないだろうと判断していたタイザンの判断は正しかった.彼らが狙っていたのは月食.確かに月食待ちなら,次の機会までに数年かかるってのも頷ける話です,月の勾玉の効力が最も強まるという月食の夜,一体何が起きるのか.
表面では天流と地流の対立が目立っているものの,本当の構造は戦わされる天流と地流VS後で糸を引く神流.ウツホが目を開いたことを先触れとして,次回は真実がその姿を現すようです.サブタイトルは「砕かれた信頼」…予告映像をブラフと考えるなら,我々はついに時が来たことを覚悟しなければならないようです.次回に続きます.

|

« 夏映画いろいろとか脚本:浦沢先生とかZ感想とか | トップページ | ボボボーボ・ボーボボ#62 »

レビュー◆陰陽大戦記」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 陰陽大戦記#36:

« 夏映画いろいろとか脚本:浦沢先生とかZ感想とか | トップページ | ボボボーボ・ボーボボ#62 »