ボボボーボ・ボーボボ#63
「下ネタ不条理不眠競争!の巻」
死生トリプルでのバトルはなおも続く.天国エリアではボーボボとサービスマンがレム相手の不毛な攻撃に行き詰っていると,エリアの壁をぶち破り,おしりの痛い天の助が地獄エリアから天国エリアへと飛び込んできた.役目を終えたカンピョー君は燃え尽きてリタイアし,ついにレムとの本格的な戦いがはじまる.
爆睡真拳のねむりん粉を食らったボーボボたちは眠りこみ,レムの支配する夢の世界に入ってしまう.もう一度睡眠すれば二度と目覚めないこの世界はレムの思うがまま…のはずがボーボボたちのハジケは一段上.大量のひつじだって難なくいなすのだが世界自体はレムのもの.このままではレムの思う壺だ.
その頃,首領パッチは地獄でゴエモンに引導を渡す.幻獣ですらないカテゴリーを越えた首領パッチはまさに正体不明・縦横無尽!
不条理よりは勢い中心になってきた原作の笑いを,豊富な技術力と抜群の演技力の投入によってさらに加速させることによって有無を言わせぬ笑いを生み出すアニメの「ボーボボ」.ここまで長く付き合ってくると大抵の展開は笑ってやりすごせるもんですが,それでも浦沢先生が登場するとやはり話が違います.本編も見事なもんですが,先生らしさが十二分の発揮されたローテンションのアバンが実に素晴らしい! 本編自体は前半は天の助と首領パッチがいい味出しまくりで,後半は久々にバラエティとしての見立てがやりやすくて楽しい.音効の愉快さと相まって,笑いで腹一杯になってしまう回です.
で,物凄かったアバン! いきなり暗い場末のラーメン屋で無言で食っているボーボボたち…というある意味画期的な映像.ラーメン屋でクマの車掌が切符拝見だなんて,もはや子どもすら置き去りの妄想世界(苦笑).ボーボボのタンメンはキャベツが切符.首領パッチのラーメンはナルトの切符.天の助の野菜炒め定食+餃子も無事に確認され,残る田楽は五目チャーハンを食いながらも切符を見せずに逃走したので捕り物帖に! ここでいきなりハイテンションに変わったムード.しかしそれも未だに静かに食っているボーボボたちの姿によって急速冷凍.この温度変化,この絶妙の間…さすが先生だ!
前半は天の助と首領パッチ! 死生トリプルのエリアを隔てる壁はかなり丈夫なんですが,前回ラストで地獄エリアに乱入したカンピョー君(恐らく子どもに大人気)の活躍によりついに破壊されるときがやってきます.レムの睡眠という強すぎる防御によってサービスマンのサービスは一切通じず,さすがの2人も攻めあぐねていたとき! 「おーしーりー!」と絶叫しながらエリアの外から壁をぶちぬいて天の助参上! 「お尻はどこだ! お尻はどこだ!」ってこんなバカな台詞が違和感なく聞けるのは本作だけ(笑).「落ち着け」とボーボボに手痛いツッコミを食らった天の助,「お尻が痛いのー」と見せた尻には,もはや事切れたカンピョー君が刺さっていたのでありました.その一生をリアクション芸人に捧げたカンピョー君.君の微妙な一生は1週間くらいは忘れない.
天国エリアに天の助が入ったことによってはじまる,本格的なボーボボ組VSレム戦.たしかにドタバタとうるさかったのは間違いないんですが,「ピーチクパーチクうるさい」という言葉のとおりに小鳥の声を特に説明もなく流すあたりが非凡! 気がついたやつしか笑えない,この微妙なギャグが大好きだ(笑).レムの技は爆睡真拳.ふりまくねむりん粉はボーボボたちを睡眠に誘います.一応はサービスマンのサービスの余波を利用したフローラルのそよ風で吹き飛ばすものの,ここで抵抗しても状況がよくなるわけもなく,必死で我慢するビュティさんを尻目にボーボボも敵も全員就寝(苦笑).サービスマンのチラリズムもアレなんですが,素晴らしいのは「布団で寝る」と言いながら冷蔵庫の一番上の段に頭を突っ込む天の助.己の食品という特質を如何なく発揮した素晴らしいボケです.
戦いの舞台は夢の中へ.眠り込んだ彼らの精神が送られたのは,レムの究極奥義,レム・スリープワールド! この夢の中でもう一度眠れば二度と現実では目覚めない…というわけで,ぎりぎりの戦いがついにはじまるわけですけども,意味のないサービスが混ざっちゃって緊迫感台無し.レムがまず呼び出したのはなんか可愛いデビル羊の大群.確かに気絶は眠りに近いので羊集団でどつくというのも一つの手だとは思いますが,なんせ相手は百戦錬磨のボーボボたち.どつかれてむしろ寝ちゃったり,天の助が寝そうなところをわざびとカラシを使って無理やり起こしたり,羊に教育上問題のあろことを教えてみたりとやりたい放題.
ハジケ勝負で敵を倒すには,まず相手のつくったルールをぶち壊すことから始まるのはここまでの戦いで既におなじみ.しかしレムもボーボボたちにルールを崩されるわけにはいかないので,一度はボーボボたちも従ってしまったねむりん粉でさらに眠りを誘います.眠りクエストでは眠気を覚ませるわけがなく,このままではレムの世界を壊すことができません!
さて,その頃の地獄エリアなんですが,天の助の離脱によって首領パッチと2人きりにされたゴエモンは首領パッチの不条理芸に巻き込まれてます.種類からしてわからないなら,そのままアレは他の何物でもなく,首領パッチなんだと認めてしまえば楽になるはずなのに,正体を突き止めようとするから発生してしまう悲劇.安土桃山様式の城になった首領パッチの中にある千両箱を盗みに入ろうとしたものの,防御が堅くて罠に引っかかってしまう…って首領パッチが急にでかくなったり元に戻ったりで眩暈を起こしそう.音の「ディーフェンス!」の連呼も地味に素晴らしい! 心臓を狙ってもそれはサンタさんのためのお寿司だし,ゴエモン計算は通用しないし….
あるときは住宅,あるときは城,そしてあるときはスパルタ女教師.「私,縦横無尽」とパチ美先生が宣言するとおり,旧Rブロック隊長程度であの首領パッチを攻略できるわけがない.首領パッチの正体はゴエモンにわかるわけがなく,猫っぽい仕草でミスリードさせられて大失敗.そんなわけでゴエモンは完敗.首領パッチは常識の枠すらぶち壊す,最強のベテラン芸人です!
後半は見立てやすくて楽しい.天国エリアの戦いは夢の中へ…というわけでここまでのあらすじを話している最中に次々倒れるナレーター,田楽,そしてビュティ.そこにもねむりん粉は降っていますか? 夢の中ではレム…というよりは眠気との決戦開始.頭上に現れたそれぞれの寝メーターが一杯になると永遠の眠りに落ちて敗北です.これはそのまま,バラエティでの不眠勝負を思い浮かべてもらえると割とそのまんまです.レムはこの企画の司会者なので,普段の20倍の強さ! しかし対するボーボボ組ことベテラン芸人チームだって,若手の司会者にあっさり従うような連中ではない.不眠競争なのに眠る支度が既にOKって,確かに「馬ー鹿ーサー」バージョンなんだよな(笑).
眠る支度を整えてしまったのが災いしたのか,自分の芸が通じないことを知ったからなのか,サービスマンは早々に眠ってしまって脱落.しかしその犠牲がボーボボたちの闘志を駆り立て,なぜか米真拳でレムを攻撃! …自分たちの技で攻撃すると,下手するとシリアスになってしまうがゆえの反射的な回避行動でしょう.対するレムは真拳奥義・寝撃でボーボボを攻撃.見事に左肩をおねんねさせるわけですが,首領パッチに負けず劣らずボーボボの体内もわけのわからないことになっており(笑)中にいる小さいボーボボたちはちっとも寝やしないのでありました.寝メーターの上がる音がドレミーって鳴っているのが可愛いな.枕を使って枕投げで一暴れなんて,不眠競争だといかにもありそうな状況です.ちなみにレムは京都でも金閣寺でもないのでガイドブック片手に観光に出るのはどうかと思います.このご時世だと,寝撃どころかセクハラで訴えられるぞ天の助(苦笑).
眠らないバカどもにレムから提供されるのは魔歌布団! これはほどよく抵抗し疲れてきた頃にはじまる,「布団の中に入って起きていなさい」って命令と同義ですね(笑).ちょっと眠気が出てきたときに布団の中に入ってしまうと,眠くなくてもついうとうとしてしまうもの.この窮地を救うのは布団たたきことしゃもじ! ベタな冗談トークによって,布団という罠をうまく回避していきます.囁かれる眠気を誘う死の子守歌すら,自分で歌って眠気を吹っ飛ばす役に立てるボーボボと,余計な曲をリクエストして仲間に蹴られる天の助.さすがはベテラン.どんな風に眠らせようとするのかという手口を知り尽くしているのです.
天の助,別名「武器」を得たボーボボはレムに果敢に攻撃を仕掛けるものの,バトルそのものはボーボボ側が圧倒的に有利でもこの企画はあくまで不眠競争.どれほど大暴れしても…というか暴れるほどに体力気力は消耗され,睡魔がボーボボ一同を襲います.レムの繰り出す速睡殺時計は,そのまま放置&VTRの早送りだと思うのですが(笑)その間にレムが予想もしないような行動を取っているベテランたち.天の助は出荷され,ボーボボは退化して猿に! そして鼻毛真拳奥義・サルのお歳暮アタックがレムに炸裂! …司会者がいないのをいいことに,2人で打ち合わせて入り口に罠を仕掛けるようなもんだろうか(笑).
それでも頑張る司会者ことレムは,ついにデス・ダークフィールドを展開.つまり部屋の電気を消しました! これは地味ながらも睡魔に負けそうな奴にとっては強烈です.暗闇では司会者の思惑通りに進んでしまうとボーボボが持ち出したのが蛍.ルール上部屋の電気をボーボボがつけることはできないけれど,持ち込んだ別種の明かりを見て眠気を払う作戦.さすがにツッコミのビュティさんにはそろそろ限界なんですが.それを妨害するように入ってくる煙.隣の部屋こと現実世界では,ベテラン芸人首領パッチがサンマことスニーカーを焼いてました(笑).そりゃ収録に水ならぬ煙刺されちゃ,ボーボボたちも怒るよな(苦笑).
もはや眠る直前のビュティのことを天の助に任せ,レムに真っ向勝負を挑むボーボボ.鼻毛真拳・荒野の投げ縄ジョニーではカウボーイ姿で,投げ縄で己の大切な「武器」を回収するボーボボ(笑).リアクションだけは苦手なボーボボがリアクションのプロの天の助を武器として扱うのは,まさに適材適所って奴ですよ.
司会がどれほど頑張っても眠らないベテラン芸人ども.眠らせられずに困るレムに対し,ボーボボはおやすみのミルクでカウボーイらしく自分から就寝! でも,怖い形のメーターに満ちたのは眠気ではなく…怒り! 不眠競争だなんて,いい年をした芸人が喜んでやるような企画のわけがない(笑)! そして判明する「一度も眠ったことがない」というボーボボの特技!…ってこのスリープワールドに来るために寝てる奴が言ってるんだから,まさに寝言(苦笑).レムは必死で寝撃を連打するものの,ボーボボのアフロの中に大きな目覚まし時計が.ろくに眠る暇などなく,24時間戦い続けるのはレムなど足元にも及ばぬ売れっ子芸人ボーボボならではのライフスタイル.ついに究極奥義・ゴールデン目覚ましが炸裂し,この眠りの世界こと不眠競争は崩壊していきます.
ついに天国エリアの現実に戻ったボーボボ組.今度はボーボボ側が容赦なくレムを攻めたてる番だ!…ってやる前にまずはスニーカーを焼いていたアホに制裁を加えるボーボボ(笑).不眠競争の横の部屋で楽しそうに遊ばれちゃ,眠気が限界に来れば来るほど腹が立つに違いないわけで.
さあ,これでレムとの勝負の結果はほぼ確定.次回もレム声の白鳥涼子氏の活躍は続くようですが,青二プロの贅沢すぎる人材の投入振りは一体何を狙っているのだろう(苦笑).次回は退場者によって開いた椅子に新たに座る真打登場.このステージのクリアももうすぐ? 次回に続きます.
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コメント
今回のボーボボは浦沢氏が脚本を書いた作品でしたが、以前「オペレッタ狸御殿」ですが僕は以前フジでやって浦沢氏の特撮ものを思い出してしまいました。「シュシュトリアンなどの作品です」あとボーボボはアニメのはれときどきぶたを思い出しました。あと僕のブログにリンクを張って良いですか。気になったのでカキコしました。
投稿: 三河のまさ | 2005.06.22 22:57
特撮では「カーレンジャー」が一番好きです.そして「はれぶた」は「ガッチンポー」のほうに近いと思います.
そちらからのリンクはご自由に.相互リンクについては全てお断りしています.
また,記事内容に深い関係のないトラックバックやコメントについてはこちらの一存で消去させていただいてます.
投稿: Rowen | 2005.06.24 04:08