第10回しりとり竜王戦・本戦
この記事は第10回竜王戦,準決勝以降の記事です.予選の様子は直前の記事か以下のリンクでどうぞ.
R'sM: 第10回しりとり竜王戦・予選
出場者は実力のある芸人ばかり.10回大会にふさわしい面子で行われる死闘はどうしてもレベルが高くなり,芸風的な「お約束」すら通用しないという異常事態に.プラスアルファを求められるこの戦場に未だ座っているのは渡辺(ジャリズム)・板尾(130R)・河本(次長課長)・千原(千原兄弟).さらに厳しくなるルールとテーマを乗り越えてたった一つの勝者の地位を手に入れるのは誰なのか? ちなみに予選で敗退した連中のうち,いとうの後の松本が実に良いひな壇芸人ぶりを示しているのでご注目(笑).
準決勝第1試合は渡辺対千原,両者とも3段同士の実力派なんて事実はファンにとってはもはや説明の必要もないでしょう.常に手堅く,しかし文句のつけようがない高みを目指す渡辺と,板尾譲りの不条理な勢いに加えてテーマへの順応性の高さを誇る千原の真正面からの激突は…なんだかよくわからない領域へ.
準決勝第1試合の競技は「しりとりトッピング」.「~しかも~」でしりとり.
テーマは「ゴージャスな言葉」.「キャビア食べ放題しかも罰ゲームで」からスタート.
これまで主導権の取り合いが続いていたものの,今回は千原がゆっくりと取ります.そして「デニーロを見た.しかも荻窪で」…人名は派手だけど,それのどこがゴージャスだ(笑)? この大振りに続く渡辺は「ディナーにフォアグラを出しまくる,しかも刑務所で」とテーマ準拠の手堅い攻撃.1巡にして差をつけられた千原は長考した上に「デザイナーズマンション,に,決めた,しかも,キッチン,に,は,スープバーがついている」…考えながら口に出してるから切れ切れだー(笑).回答権を捨てたくないのはわかるんだけど,もうちょっと時間内に収める努力をするべきだ.で,このやたら時間のかかった一撃に渡辺も長考し,「るー,るーるー,るるるー,ルックスは,王女並み,しかも,王子なのに」…前のめりに倒れたー(苦笑)! しかも言った本人が一番自爆したことをわかっているようです.相手の自爆に対し千原は攻勢を強めます.最初の回答を継承して「ニコラスケイジに会った.しかも向こうから声をかけてきた」と良回答.このテーマでの「しかも」の正しい使い方がようやく見つかった.しかし渡辺も決してくじけない.活舌は悪いんだけど「宝ぼこー,宝箱を見つけた.しかも,トイレにあった」と無理やり無邪気な回答.追い詰められたにしてはそれなりだ.千原はまたも長考.またも長い長い!そして「箪笥から,箪笥で,へそくりを見つけた.しかも,円だ」円でいいでしょ? といういとうのツッコミが冴え渡る(笑)! 渡辺は渋面で,「ダイヤモンドをくれてやる,しかも,私のマッサージつきで」…私のマッサージはゴージャスですか?
まさに七転八倒の戦闘は終了.もっと高い場所があるはずと2人が求めたのか,それとも純粋にテーマに対し力が及ばなかったのかは定かではありません(笑).この状況を「楽しそう」と称する有野はさすがだなぁ…(笑).2人がわけのわからない世界に行ってしまった結果,3対6で千原が決勝進出.迷走しつつもかろうじてテーマを掴んでいたことがよかったようです.
準決勝第2試合は河本対板尾.こちらも実力は申し分なしの2人.今回しりとりの神が降臨しノリに乗っている河本と,常にエキセントリックながらも安定して最強の板尾竜王.強固な板尾竜王の壁を河本は乗り越えていくことはできるのか.
準決勝第1試合の競技は「しりとりトゥギャザー」.「~と~」でしりとり.
テーマは「西村知美が書き下ろした童話のタイトル」.「とろりんと47匹のカッパ」からスタート.
いつだって先行したがる板尾は今回も先行.そして「パンダと七匹のパンダ」と見事に当てる! 審査員も素晴らしい悪文と絶賛です.対する河本の「ダンベルとダンボ」は同じ動物でも弱い.主導権を握った板尾…しかし「ホロホロ鳥と,ホロホロ鳥と,から揚げにされかけたホロホロ鳥」って前のと同じパターンに固執するのはどうだろう? 河本は「リンゴさんとゆっくり温泉でも行きましょう」はとろりんのネジの抜けたムードを存分に醸し出す回答に到達.型を守る板尾は「ウガンダのおむつの買えないウサギの親子と,子どものいないウサギの親子」とハードなムードで反撃.無邪気なとろりんにウガンダに現地ロケに入ったとろりんが襲い掛かるという,実に恐ろしい戦いです.けれど波を掴んだ男はひるまない.河本は「小麦粉と戦争」でりんごを掴んでいたとろりんに小麦粉とついでに銃を掴ませるなんて(笑)! 自分の芸風を食いにこられて板尾は悩み,「ウルトラの父とウルトラのバツイチの父」と例の型で対抗するもののやや弱い.明らかに板尾を越えるとろりん像を生み出した河本,「血まみれの男と,コアラ」とミステリーへ.板尾の「らくだのコブと使い道」は少々外れてしまい,河本は「ちょうちょとちょうちょの小競り合い」と板尾の型を盗んでみる始末.それでも粘る板尾の「維新の立派なサムライと華のないサムライの子どもたち」という童話なのか何なのかよくわからないタイトルで終了しましたとさ.
重要なのはやはりテーマ.西村知美に何を考えさせると面白いのかを模索する戦いは両者譲らず,河本,板尾とも8点で同点! しかし事前にギャラリーが河本の童話「コアラ」「小麦粉と戦争」を押していたのが効いたのか,判定は3対0で河本が決勝進出! 板尾竜王は自分を倒したこの猛者に「ナイス」という評価を与えます.
決勝は,ここまで板尾の眷属として腕を磨いてきた千原と,今回予選から大波に乗っている河本の一騎打ち!
力とテクニックを併せ持つ千原と,今回の風を間違いなく掴んでいる河本.しりとり新時代を現実のものとするのは果たしてどちらなのか? そして河本のスタミナは温存できているのか?
決勝の競技は「しりとりセンスマッチ」.テーマに合った言葉でしりとり.
テーマは「クールな言葉」.「雨の日も白のスーツ」からスタート.
ゆっくり手を挙げる千原が先攻.「つっかけ? No,ブーツ」演技を含めて最初からキメてきた! それに対する河本は「積み木の家に引越したんだぜ」ぷ,と直後に自分の言った恥ずかしい台詞に自爆していちゃ仕方ないよなぁ(苦笑).クールというテーマをしっかりと掴んだ,比較的二枚目の千原は「絶体絶命?望むところ」とまさにこの戦いに対する意思表明.それに対する河本は,どうにもこうにも身から染み出るブサイク軍としてのボキャブラリー.「ロビーでなら何時間でも待てるよ」…なんでロビーで待つのか.かっこいい男は相手を待たせるものではないのか.千原の「4時間目?ミュージック」はちょっと失敗(笑)それは小学生といとうが批判.しかし河本のもはや回復不能の崩れっぷりに比べればマシ.「九九をヨーロッパで覚えよう」ってまた小学校か….千原の「内田有紀? 知らねえ」は審査員にはモノ知らずとして評価されてますが,世代的に内田有紀を知らない人間がいないから,それをわざと知らないふりするのがかっこいいつもりなんだろうけど通じてない.で,ずーっと迷走している河本の「エントツの見える丘で,2時」…それはクールじゃない! 両者とも崩れてしまったこの戦い,千原は放送事故並みの長考の末に「ジャイアンツ師匠,タイガース師匠,おはようございます」…壁に激突しに行ったー! でも最初から河本はコースを走っていないので安心.「スープのお風呂に入ったあとで」ってそれのどこがクールなのか,説明してみろ(苦笑).そしてラスト.千原の「デニスホッパーは,いいぜぇー?」はその演技っぷりを含めて美しき自爆! 放った直後に自ら倒れてスタジオも騒然.
河本が不利なテーマであったことは勝俣も含めこの場の全員が看破.確かにもてない男理論で動いているんだよなぁ.これでテーマが「無理している言葉」ならぴったりだったはずなんですが,そもそもクールがわからないというとんでもないハンデは,しりとりの神の力をもってしても越えることができなかったのでありました.
結果,千原7点,河本4点で千原が勝利! 点にはならなかったものの素晴らしいラストの自爆とともに(笑)竜王に! 実力者が揃ってしまったがゆえに,いつもの芸風以上の能力を見せたものが最後まで勝ち残るという凄まじい結果となりました.天然がいないゆえに気を抜く場所がなかったことはやはり気になりましたが,この戦いをくぐった奴は間違いなく一段レベルアップできているはず.この先さらにガチンコ味を強めていくのか,あるいは天然だけ集めて大会をやるような暴挙に出るのか(笑)はわかりませんが,楽しみに見守っていきたいと思います.
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コメント
あなたの主観が入りすぎてて中身が変わってる!事実だけ伝えろ!
投稿: 評論家が多すぎる | 2005.06.29 00:07
事実のみが必要な場合は、他のサイトでもっと正確なものを提供されているところがありますから、そちらを御覧いただければよいかと思います。
たとえば、
http://otokuri.at.webry.info/200506/article_46.html
こちらなど。
かねてからご案内のとおり、このサイトには情けないほど独特な主観の入った記事しかありませんのでご了承ください。
投稿: Rowen | 2005.06.29 04:14