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焼きたて!!ジャぱん#35

「潰れそうな会社を救っても地味の巻」

予選を見事に突破した日本チーム.妨害を乗り越えてきた日本チームの強さを認めたフランスチームはついに真の姿である3階建てとなった.本戦に残った16チームの中,フランスとともに満点のアメリカチームには和馬たちがよく見知った顔がいた.パンタジア新人戦で闘ったシャチホコが,なんとアメリカ・サンピエールUSA代表として出場してきたのだ.
河内からの連絡を受け,冠はアメリカチームが日本チームを潰すためにサンピエールが送り込んだ刺客だと判断する.しかし元から日本チームには優勝するしか道はない.むしろ問題は運転資金を賭けに注ぎ込んだ南東京支店.今大赤字を出してしまえばそのまま倒産するしかないのだ.

パンを作って企業買収を防ぐという,実にフィクションらしい豪快な展開を見せる「ジャぱん」.原作は非常に端正で淡白な絵なので,笑いの質としては考えオチや不条理に近いはずなのですが,それをサンライズ謹製のやたら分厚くて熱い動画にしちゃったもんだからもう凄いことに.特に三男とか冠とか,とびきりの不幸に見舞われた奴がやたらに輝いているのは気のせいか?…あ,木下は常に緩く不幸なのでいつも通りだ(笑).今はまだ今後の凄い展開に向けた序曲なんですが,今の段階でここまでの迫力を見せてくれていることが頼もしい.
ちなみにアバンは木下,物凄く頑張っているものの自分以外の従業員は一人として働かずため息.会場で大暴れしているあの人と同じことができているのにこの冷遇されっぷり…その原因についてはラストで明らかにされ,どうにもそれがやるせない.

前半は新たな刺客登場なんですが,その前にフランスチームに大きな変化が.自分から喧嘩を売っておいてむざむざ引き分けたことを兄どもから怒られる3男エドワード.妙な仮面でマントで全身をすっぽり包んだフランスチームのコスチュームにはフランスっぽさが微塵もないどころかむしろ地球人離れしているわけですが,そんな彼らが見せるのは「本戦に備えた完全体」.長男が次男の上に乗っている時点で漂っている大変に嫌な予感を裏切ることなく,怯える3男に問答無用で迫る兄ども! この異様な迫力.一体どこの怪獣アニメですか(苦笑).
会場ではついに本戦出場の16カ国を発表.満点がフランスとアメリカ,9点がイギリス,中国,エジプト,そして8点で通過した日本! 冠の計略の副作用で2点減点されながらも,和馬の機転と諏訪原の腕力でここに残った彼らを十数人のピエロが祝福.減点さえなければ満点で,減点の元凶である河内のみ意気上がる日本チームの前にやってきたのがフランス代表…雲をも貫く3階建てに(笑)! しかし高さはともかくとして,得点は双方満点であったとしてもピエロにエビスをもらっている日本チームが実質勝利.しかし諏訪原が武士の情けをかけたのは,一番下に入った3男の仮面が曲がっていたから.フランスチームをこの姿にして一番後悔しているのは,仲の悪い兄たちに足やら手やらで小突かれている3男に違いない(苦笑).敗者とはかくも哀れなものなのです.
最初から色物道を驀進するフランスチームに対し,和馬がようやく気がついたのはアメリカチーム.その中にあのシャチホコが.河内に言われるまで名前を忘れている和馬も,声かけられるのを待っていたシャチホコも常人では滅多にないほどにマイペース.しかし,シャチホコの現在の立場は日本チームことパンタジア代表にとっては脅威.ライバル店のサンピエールのアメリカ系列店から出場中だなんて! 純粋な闘争心溢れるシャチホコを,あの雪乃がアメリカチームに送り込んでいたことが発覚します.
シャチホコは悪い奴ではないものの腕は一流.雪乃とサンピエールオーナーが送り込んだこの脅威の敵に対し常人である河内だけはやっぱり動揺.その上日本の冠に,それは刺客に間違いないと駄目押しされてしまいます.パンタジアを存続させるために冠が取った手段は豪快なものですが,それでも現状の資金量や買収までのタイムリミットを考えればそれほど多くの可能性が残らないというのは仕方がないところ.しかし冠が立てた計画が優れていたのは,出場しオッズを引き上げ賭けることに成功した時点で,サンピエール側が表立ってパンタジア存続の芽を摘むことができなくなったところ.優勝さえできれば彼らは必ずサンピエールに勝てるわけです.
むしろ今存続が危ういのは日本に残った南東京支店そのもの.運営資金をほとんど賭けに注ぎ込んでしまったために,大赤字を出した時点で資金繰りが不可能となります.店舗や敷地などは恐らく本社の持ち物だろうからそれを担保にして融資を受けることもできないだろうし,冠の持つ特許を企業に売り渡すにしても担保にするにしても,手続きにかかる時間を考えると間に合いそうにない.その状況を理解して全品7割引の大攻勢をかけてきたサンピエールオーナーの冷静な判断恐るべし.しかし南東京支店には彼がいた! 物凄く目立たないことが逆に目立つ彼が!

後半は木下の真価.斜め向かいでの7割引セールの衝撃は真っ赤に燃える自転車操業・南東京支店を直撃直前.月乃は祖父に正直に話して援助を求めると言い出すものの冠はこれを完全否定.確かに支店の運用資金を無断で賭け事に使っては,たとえ日本チームが優勝したとしても資金の目的外使用で後継者レースから脱落するだろう…というかそれを口実に雪乃の妨害で脱落させられることが目に見えています.そこで松代店長が考えたのが,集客のためのパンの実演販売.しかもレジ打ちまで含めて数役を木下ひとりで賄うのだから実に経済的.
そしてここまで散々描写されていながらもあたかも常識のようにスルーされてきた木下の分身に,ようやく日が当たるときがやってきた! 木下は木下隊サーカスの御曹司.サーカスの御曹司なら分身の術ぐらい普通にこなすのだ! …分身の術を突破口にして一躍有名になったピエロの立場は一体どこに(笑)! そこを「常識」の一言で押し切る店長も滅茶苦茶です.木下は,ここまでの才能を持ちながらも月乃の色香に迷って南東京支店に引き込まれたという大変にお買い得な人材だったのでありました.しかもそのパンの腕に至っては,ある面では敵と同等のものを持っているという素晴らしさ.彼もまた,逸材であったわけです.
冠が喰う自分が開発し木下がつくったパン・オー・アルブ.口にした冠の脳裏に広がるのは,黒やんが同じものを食って思い浮かべたリアクション.黒柳の過去の甘い潮風の思い出のはずが,なぜか相手役が自分になっているという恐怖.「僕の心はいつも君で一杯だ」って冠に唇を迫る黒やん.間違ってもそっち方向の性癖はない冠にとっては迫る先輩はまさに恐怖.あまりの怖さにあの冷静な冠が動揺して絶叫!
自分に及ばないまでも,木下のパンは完成度95%.そのコピー能力は天才的! …確かに着想に劣るところはあるものの,一人で高品質のパンを十数人分も作ることができるというのは労働力としては素晴らしいすぎる資質.その資質を十二分に生かすため…これからは朝の仕込みも任せることに決定だ(笑).木下自身は月乃にときどきお茶さえ出してもらえれば無給で働いてくれると思いますので,折角の労働力は存分に使うべきです.そうすれば3人でテレビ見ていても倒産はしないわけだし.冠の「なんとかもちこたえているので,頑張ってください」という言葉の白々しさが素晴らしいや(苦笑).
南東京支店が木下によって持ちこたえることが決まったその朝,夕方のモナコではついにトップ16による本戦が開始! 課題はパンのスピード勝負.速くて美味かった8チームまで合格だ.人間離れした感覚の持ち主である和馬も諏訪原も特に焦りはしないものの,常人である河内は時間制限に激しく動揺.しかも発酵時間の必要がない無発酵パンは禁止.その上太陽の手&手甲の発酵促進でパンをつくった場合は90分が必要なのに,ピエロの言い忘れた制限時間はたったの60分! 折角盛り上がった日本チームの太陽のなんとかが消えてしまうほどのルールの追加提示を受け,当然のように河内は「なんやて」を叫ぶものの…確かに厳しいルールではあるけれど,その条件は他のチームも同じ.この逆境を平気な顔で突破できなくては優勝なんて絶対に無理というわけで,早速和馬はピエロに相談.残りたった45分でパンを生地から焼き上げる秘策が次回炸裂しますんでお楽しみに.

東京では雪乃とサンピエールオーナーの目論見が木下一人の活躍によって覆されるという異様な状況に.なんせ印象が弱すぎる彼は完璧なノーマーク.あまりの目立たないことを誉められてもうれしくはないでしょうね(苦笑).キャラが弱すぎ実演販売は完璧な成功まではたどり着かず,作中でも最もとんでもない2人に同情されてしまうという気の毒ぶり.ここまで徹底して花のない木下は,やはりパン職人が適職だったのではないか.どれほど派手な化粧をして,素晴らしい分身を見せても,観客から完璧に無視されるピエロの姿が目に見えるようだ….
ちなみに南東京支店の売上をより伸ばすなら,パンの近くに冠と月乃さんを何もさせずに座らせておけば花の問題は万事解決すると思うのでぜひお試しください.座るのが嫌なら写真でも可(笑).もちろんパンづくりやレジうちは全て木下にお願いすれば,和馬が優勝するまでは間違いなく持ちこたえてしまうと思います.てなわけでやっぱり運命はモナコカップ会場へ.ついに動いた山は和馬の前にどのように姿を現すのか,そしてそれは和馬に何をもたらすのか…ってこのあたりは原作とは別の展開になってもおかしくないので結構先ですが楽しみ.そしてとんでもない展開のプレリュードが香ばしく終了する(笑)次回に続きます.

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