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陰陽大戦記#40

「全ての終わり,終わりの始まりの巻」

月食の下のミカヅチビル.逆式のイツムの放った光によって式神たちを失いかけた天地の宗家.しかし絶叫とともに2人の流派章が極の位に至り,壊れたはずの神操機が再生する.新神操機によって再び呼び出されたコゲンタとランゲツは,宗家たちの望む新しい姿へと進化していた.
イツムと対峙する2体の新生白虎には,もはや介入は届かない.激しい攻撃に曝されながらも互いに不要な恩を押しつけあう2体の白虎は,次第に連携らしき形を取りはじめる.

大鬼門編もついに終結.前回から続くミカヅチビルでの逆式のイツム/ミカヅチとの死闘を終局へと導く「陰陽」.前々回から途方もなく上がったテンションそのものは前回終盤が頂点だったようで,それに比べれば今回はまだ落ち着いたもの…って,この状態で「落ち着いてる」なんて書ける作品はそうはない(笑).前回終盤で大爆発した悲しみは驚きへと変わって一応の大団円へ.大鬼門に関しては決着がつくものの,物事の奥底で蠢いていたもう1つの流れについては取り返しのつかない方向へ.事実が明るみになる将来には「大団円」という評価はまったくの裏返しになるのでしょう.

前半は短い.ミカヅチビルで失われたはずのコゲンタたちが戻ってきたその頃,天神町の隠された天流の社では妖怪退治中.ナズナさんの教育によってこの短時間で一応妖怪退治ができるようになっている3人の素質恐るべし(笑).リナが呼び寄せてモモがおとりでリュージがネギで殴るという三位一体のコンビネーション.とはいえ引き役のリナが張り切りすぎで残りの2人は一杯一杯.調子に乗って巨怪まで呼んじゃって大変なことに.もう一人攻撃役がいればきっとバランスがいいんだけど,さすがにモモにネギで殴らせるのは無理か(苦笑).何はともあれこの先天神町の守りに闘神士が残らなくてよくなったことは大きい.戦力として計算に入れるのは無茶だけれど,帰る場所が仲間に守られていると思えるだけで心強いですからね.
同日同刻,ミカヅチビルではムツキたちミカヅチセキュリティが奮戦中.確かに代表取締役は社員に給料分は働いてほしいよなぁ(笑).あまりに妖怪の数が多くてへたばりそうになったところで,前回交通機関としての役割を全うしたテルが登場! リク抜きでの天流と地流の共闘というレアな光景が展開します.両闘神士とも非常に生真面目なところが性に合ったのか,トラブルなしに共闘してるのが楽しい.イソロクもエビヒコも激戦を生き抜いてきた実力派で,流派こそ違うものの一般人を守りたいという心意気は同じ.コミカルですが,流派を超えて協力することは可能だということを語るシーンです.
そしてリクとユーマ対イツム/ミカヅチ.前回ラストで「天地宗家は不要」とイツムを介したウツホの介入に貫かれた白虎.しかしこれを2人の宗家は絶叫によって取り戻し,神操機と式神の新しい姿を手に入れます.闘神士が望む形に生まれ変わったこの2体をウツホは認めることができません.宗家ときつく絆を結ばれてしまっては,今イツムを操っているような影響力を式神にもたらすことが難しいってことなんだろうね.逆に深い絆に結ばれていない式神は,この先ウツホに操作されてもおかしくないってことか.
自分たちの存在を引き剥がすイツムの光を,今度は砕くコゲンタとランゲツ.操作できないと知ったウツホはイツムの攻撃で2体を倒そうとするものの,リクもユーマも,共通の敵がいれば流派を超えて協力することは難しくない.ビットを孤月拳舞や邪皇嶽真錐で壊したあと,闘神士の指示によって互いを助けはじめる2体の白虎.最初に手を貸したのはユーマで,それに応えるのがリク.宿敵につい手を貸してしまったユーマのおかげで始まった恩の貸し借りは瞬く間に激化! リク以外は「違う」と言うに違いないけれど,恩を返しまくるランゲツと押し付けまくるコゲンタの動きは間違いなく共闘です.

長い後半.コゲンタ&ランゲツ対イツム/ミカヅチの戦いはさらに熱気を帯びるわけですが,その中で式神というよりはどんどんロボットに近づいていくイツムがサンライズらしくておかしい(笑).その強さは半端ではなく,新しいコゲンタたちですら窓壁に叩きつけます.その光景に天地の宗家の思いは同じところへと収斂.イツムを放っておいたら地上は地獄になる.皆が悲しい思いをすることは,絶対に止めねばならない….元々順序は違うけれど同じような願いを抱えている2人の宗家の心は,ここに至って完璧に目指すところが一致.2人がイツムを倒すために動いた結果が,驚くべき効果をもたらします.
同じ心に応えて輝く2つの極の流派章.2体の白虎の目は光り,トランス状態のままで宗家たちの左右対称の印を受け入れます.イツムを中心とした大極の陣は赤と青に輝き,さらに混ざり合って…紫に! これはウツホの封印と同じ色.天地宗家の鏡合わせの印にはウツホの介入を封じる効果があるようです.遠い昔にこれに類する技でウツホを封じたのが,この物語のはじまりなのかもしれません.
月蝕の下,紫光に削られてミカヅチの体からは融合していたイツムの体が剥がれ飛び,口からは実態を持たぬ逆式のイツムが飛び出します.この元凶には実体がないため,コゲンタたちは攻撃が入らずに苦闘.しかし極に至った流派章の導きによっていつもの怒涛斬魂剣と爆砕牙点穴の印を入れたなら,流派章・神操機・式神に続いて技までもが新たな段階へ! 式神の姿をもさらに強化して放たれる,五行奉神剣と爆砕爪拳壁.2体の白虎による大技の連打によってイツムの存在は打ち砕かれていきます.…皆既食が終わって月が再び姿を取り戻す中,極神操機を手にした宗家たちの超降神によって,ミカヅチは人の姿に還ったのでした.
熱い新バンクによって事態は終結し,大鬼門の開放からはじまったこのシリーズは緩やかなエピローグへ.伏魔殿の底から長い旅の末についにミカヅチビルに至ったユーマは,ミカヅチから宗家の名を受け継ぐことになります.この終局を見る限り,ウツホに操られた最近の数話を除いて,ユーマに対するミカヅチの仕打ちは全て,彼を宗家として鍛え上げるための厳しい試練だったと考えて良いようです.…伏魔殿の底に飛ばしたのは正直やりすぎだと思うんですが(苦笑)宗家ならば戻ってこられると信じて,心を鬼にしていたんでしょうね.
前回繭に包まれたミヅキは解放され,父であるミカヅチの元へ.イツムを失い倒れ,今まさに燃え尽きようとしているミカヅチの目に映る幻影は,好きだった女の姿.…金も権力も掴んだ彼が唯一掴めなかった彼女について,自分の大切な娘に語るミカヅチ.会長でも宗家でもなく,一人の人間として感情を吐露するのは,彼が宗家を名乗ってから初めてのことかもしれません.見事期待に応えた若き後継者に背負ってきた全てを渡し,今ここにいるミヅキに感謝の言葉を残し,地流を支えてきた柱は崩れていきます.
地上の人々を危機から救うために大きなモノを失ったユーマ.その代償として,これまで彼が失っていた全てのモノが戻ってきます.記憶を取り戻した母,思いをすれ違わせて天流に身を寄せていた弟,そして封印されていた父.過去,飛鳥家で一体何が起きたのかについては,程なく当事者の口から語られることになるのでしょう.あまりに才能溢れる兄貴のおかげで幼いながらとんでもない目に遭わされたソーマも,ようやく求めていた場所にたどり着いたようです.…フサノシンとの契約はどうなるんだろう?
そんな幸せな光景を一人見ているリクにもお迎えが.大鬼門を塞ぎ世界の危機を救い全てが終わったはずだから,「帰りましょう,天神町に」というナズナの言葉に微笑んでうなずくリク.地流ほどの大団円ではありませんが,天流の仲間たちやボート部はなんとか元気で,テルに至ってはムツキと意気投合できたようなので上々の成果ではないかと.宗家と主要幹部の交代が,今後地流の天流に対する方針をどのように変えていくのかも楽しみです.
戦いは終わり,季節は正しき姿へ.大鬼門が封じられたことによって天神町にもミカヅチビルにも紅葉が舞います.これまで天流が頑張ってきたのはこの日のため…なのだけれど,リクの頭には一抹の不安が.「これで全てが終わったのかな」

時を戻し,天上で月が影に覆われようとしていたその頃,伏魔殿の底の底ではヤクモ対ガシンの闘神も終局へと向かっていました.ガシンは限界を越えてキバチヨを操っているわけですが,それでもヤクモの強さには届かないあたりが凄まじい.神流の事情を知っている厄介さから,ヤクモはこれまで神流に何度も襲われてきたわけですが,それを全て単独で跳ね除けてきてますからね.ただし単独行が過ぎて,同じ天流の仲間との情報共有がろくにできてないのはまずい.折角の貴重な知識がまるごと失われるかもしれない危機が,まさに今ここに.
皆既月食を前に壊れかかりの神操機で戦うガシン.とうに限界を越え,式神を失う危機にさらされているのは承知の上で「だからどうした!」…戦いの中でようやく語られる,ガシンが戦う理由.ウツホの力を狙う連中から自分や子どもたちを守ってくれたのがガシンの姉の式神であったキバチヨ.姉は罪なき人とともにウツホの封印の道具にされたから,ウツホが復活すれば姉を含めて全てが元に戻る.自分を仲間と信じる者を騙し傷つけても叶えたかった願いは決して邪悪なものではなく,ウツホの力の争奪戦に巻き込まれた彼らもまた被害者であったわけです.
ヤクモの五重の塔が完成し,大降神キバチヨに対し技が決まった瞬間にガシンの神操機は砕け…皆既食の元でついにウツホが目覚めます.地上の誰もが気づかぬ中で神流の大願が成就.復活に巻き込まれたヤクモの行方は.天地の宗家と同じく,再生する神操機の傍らにいる疲れ切ったガシンは「これで全てが,終わったんだ」と呟いて…物語は次の段階へ.次回に続きます!

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