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陰陽大戦記#39

「闇の罠にも切れない絆の巻」

暗い空のその日,知らなかったことと話せなかったことをついに共有したリクとコゲンタは,テルとイソロクの力を借りて東北から南下を開始した.同じ頃,九州の四鬼門を壊したユーマも東上を続けている.日本には大鬼門から飛び出した大量の妖怪が跋扈し,天神町もその例外ではない.災厄の中心となってしまったミカヅチビルでは,地流闘神士たちが一般人への被害を防ぐために奮戦している.そして訪れる夜.蝕に入る満月の下,天と地の宗家は地流大鬼門のミカヅチを目指す…神流の計略通りに.

あまりに哀しい前回を越え,もう一度2人が走り出した「陰陽」.リクとコゲンタの問題はまったく解決しないどころかより深まってしまったわけですが,とりあえず問題があることを共有できただけでもいいんじゃないかと.解決ってのは常に理解の先にあるものですからね.底まで落ち込んだ感情は浮上を始め,前回から引き続くハイテンションの中でド派手な展開が連続.コゲンタ・ランゲツ対イツム,キバチヨ対ブリュネ,そしてついに登場する元凶と新商品.事態は転がるように悪化するものの,時折挟み込まれるその他大勢が大変面白いため(笑)悲壮感が漂わないのがうれしい.この期に及んでネギ出してくる致命的なボケっぷりこそ,本作最大の強みに違いない!

前半.今期クライマックス回の冒頭にボート部を出してくるあたりから,作り手の妙な気合が推し量れます(笑).大鬼門のもたらす垂れ込める暗雲の下でもボート部は無闇に元気で,胡桃を握って握力強化.現在大鬼門に過去と覚悟を背負って向かっているリッくんがここで練習をサボったことを怒られていると知ったら…苦笑いしそうだ.そういやリクが闘神関連で学校をサボった描写はこれがはじめてか? しかしミカヅチが倒れかかっている影響は否応なしにボート部をも襲います.これまでになくでかい(けどなんか可愛い)妖怪が登場.雪が降ったあの日から壊れかけていた日常がついに崩壊する衝撃のシーンのはずなのに,情けないほど悲壮感がありません(苦笑).
日本全国に出没する巨大な妖怪.国が非常事態宣言を出すほどの大混乱の中で,天神町に残ったナズナは身動き取れない.心配だったリクと連絡が取れたのはいいものの,この町のボート部のような無力な連中を放ってリクの目指す大鬼門に向かうわけにもいかず…この難問を解消するためにナズナが考えたのが町民による自助努力.隠された天流の社にボート部を集め,妖怪払いの方法を教えます!
「自分の町は自分で守る」というその思想は決して間違ってはいないんですが,手法に関してはそりゃ当人たちでなくても大いに疑問が.符をリナが使うのはまあいいとして,符で強化したネギで妖怪を叩くって,シリーズ中盤から終盤に向かうこの大切な時期にそれはどうなのか! 確かに臭いのきつい食品には魔を払う力があると古くから考えられていて,例えばにんにくなんてのはその典型.だから臭いのするネギを退魔の道具にすることはそれなりに理にはかなってるんですが,「だいたいは効きます」ってナズナさんのアバウトさが嫌(笑).そうか.神操機がなくてもある程度はネギで行けるのか…ってそんな無茶苦茶な! お願いだから誰かツッコンでくれよ(苦笑)! ところで一般人のモモちゃんはそこで何をするのか? 妄想特急を走らせたりするのか?
田舎の天神町にまで直接的な影響が出るというこの事態,災禍の渦の中心に近い場所では妖怪の量も普通ではないはず.ミカヅチビルの近くにいるソーマはフサノシンとともに妖怪退治.原因が大鬼門にあるとわかっているのに,なぜ母はソーマを引き止めるのか.ユーマたち家族の真相についても,いいかげん明らかになりそうです.
そして震源地直下の地流本部では,大量の妖怪を退けるべくミカヅチセキュリティサービスの皆さんが奮闘中! 敵に回せば侮れないこの力もまた,本来は人や節季を守るため逞しい力に違いない.ムツキは何を求めて闘神士になったんだろうか.わけがわからなくても一般人を守るために頑張るこの真面目そうな人は,人々を守るためにエビヒコと契約していてもおかしくはないなぁ.
やがて,雲に阻まれついに一度も太陽の光が照らすことのなかった昼は終わり夜へ.雲を払い闇に浮かぶのは青白い満月.その真下にはミカヅチビルと舞い飛ぶ妖怪.月を蝕む闇のように非現実は現実を侵食するんですが,その光景は禍々しいはずなのになぜか美しい.そんな災禍の中心にはミカヅチ急便の大事な荷物として戻ってきたユーマがまず参上! ムツキたちと顔を合わせたあと,ミカヅチの元に向かいます.
そして,同じようにミカヅチを目指しているのがリクとコゲンタ.テルたちこと便利な交通機関の力を借りて,東北から一気に東京へ! 正義の味方らしく目立つ妖怪は倒しつつ南下しているようですが,テルたちの頑張りのおかげで体力温存中.将来的にはきっと報われなさそうなものの(笑)ナズナさんへの愛をエネルギーにして闘うテルたちは強い.激しい戦いを覚悟し,百鬼滅衰撃連打で消耗したコゲンタを休ませるリク.彼らは欠ける月の下,大鬼門にこそ己のするべきことがあると信じて向かいます.

後半.雲が消え満月が姿を現したそのとき,伏魔殿の底ではガシンが天と地の封印をくぐり,その下の封印へと降下.ヒビの入った四天王に囲まれた紫の大極陣こそ,ウツホを直接封じるもの.そこに月の勾玉を置いて微笑むガシンのところにやってきたのが伏兵ヤクモ! 落下は華麗そのものなんですが,ガシンが動き出すまでじっと隠れて待っていたと思うと物凄く地味だ(笑).2人の一戦は暇つぶしレベルのものではなく,まさに当代最強同士の激戦.青龍同士の激しい鍔迫り合いの中,隠れる神流を咎めるヤクモと裏切られたと答えるガシン.過去天流と地流に裏切られたからこその神流の現在? 「天流も地流も信じない」と叫ぶガシン.そこにはリクの両親や,リク本人,そして現在の天流の愉快な仲間たちのことまで含まれてしまうのだろうか.
地上ではついにミカヅチのもとへユーマが到達.彼を「地流宗家」と呼ぶミカヅチ.結局その地位を譲れなかったミカヅチがユーマをそう呼ぶとは考えられないので,彼の心は既にウツホの思うがままなのでしょう.ゆえにミカヅチの言葉はウツホの言葉.現世を壊し新たな秩序のもとに生まれ変わる,愚劣な罪を繰り返すこともない清浄な世界…それがウツホの目指す「争いのない世界」? そんな世界では式神や人間を含め,全ての生き物は無用になってしまうのではないのか?
宗家の力を求め,真実を知らないユーマをミカヅチの姿で挑発するウツホ.赤銅のイツムが既に闘神士の心を侵食していることをランゲツはあっさり看破.その理由が己の後暗い経験だったりするのが面白い.禁断の逆式に自ら手を染めたからこそ,それが世界の破滅を導くと誰より理解しているわけです.あのミカヅチを地流再興の功績から本気で敬愛していたユーマの場合,尊敬の念があまりに深すぎて,そのミカヅチが禁を犯したことから受ける衝撃も相当のもの.式神戦でも,ミカヅチの強さ以上に心の動揺の影響が大きそうだ….当然ランゲツ対イツムではイツム優位.面で攻撃し防御するランゲツでは,空間ごと支配しダメージを与えるイツムの最古祈念呪に抵抗できない.技によってランゲツの名が体から浮き上がったそのとき!真打であるコゲンタが登場してウツホの契約書き換えの妨害に成功!
ミカヅチを挟み,顔をあわせる2人.何度もぶつかってきた2人ですが,互いに宗家の地位に立ったことと,間に共通の敵がいることが大きく違います.ウツホはこのときを千年…ではなく千二百年待ちわびた.伏魔殿の底の2つの封印のうち,天と地の封印が千年,そしてその奥の紫の封印が千二百年ってことか? 非常に深刻かつ重要なこの場で仲間割れかと軽口を叩くコゲンタと,馬鹿者呼ばわりするランゲツの胆の据わりっぷりも素晴らしい.一応リクは凛々しく宣戦布告するものの,ミカヅチは逆式を発動中のためにたぶん聞こえてないですよ(苦笑).
まず逆式を止めるのが先と決断したユーマ.おかげでリクとの決着は後回しにされるわけですが,された瞬間に「今はボクの仲間だね?」と異様にうれしそうなリク…お前,本当に仲間とか好きだなぁ(苦笑).後回しは仲間じゃねえときっぱり断るユーマですが,これは事実上初の共闘! ただし今のイツムの力は2体の白虎でも及ぶかどうかわからない.それぞれの意思と誇りと義務を胸に大技が次々炸裂するも,かわされるわそらされるわで当たりもしない.…生半可な技では目も醒めんと挑発するミカヅチ=ウツホに向かって,地流宗家によるランゲツの凶闘気爆砕牙点穴・三連撃.計108発の衝撃のあとで今度は天流宗家の怒涛斬魂剣・三連撃! ここまでの応酬はこれまで使われてきたド派手なバンクの集大成で,どれも実に贅沢.2つの三連撃の強大な力を食らい,ついにイツムが消え,ミカヅチが倒れます.
伏魔殿の底では最後の封印が開き,中からは封印されていたウツホが復活.地上では沈黙したミカヅチを挟んで,今度はリクに喧嘩を売ろうとするユーマとそれを必死で断るリク! ミカヅチの方針を継承する気満々のユーマにとっては天流はやはり敵であるのに対し,最悪の式神間違いをやらかしたリクにはもはや私怨すらない.一方的な一触即発の2人の間で,無力のはずのミカヅチが語るのは…「もはや天地宗家は不要」.意表を突く大降神で,コゲンタとランゲツは同時にビームで貫かれ,さらに神操機の頭までもが消えた!

呆然とする2人の宗家.これこそがウツホの最後の罠.式神との繋がりを今まさに失いかける2人は名を絶叫! 手にかろうじて残ったグリップに呼びかけ,必死で友を呼び戻そうとする2人.今いなくなったら,皆が辛い思いをすると叫ぶリク.ここで負けるわけにはいかないと叫ぶユーマ! けれど…必死の叫びも空しく大切な存在は次第に離れ,薄れ,消え…その恐怖に,悲しさに,寂しさに叫んだ瞬間に流派章に浮き出すのが最後の「極」.力強く輝く2人の流派章の中央は天流でも地流でもなく,極のしるしへ.手の中に残った神操機のグリップから這い出し舞い上がった青と赤の糸が,ウツホの介入よりも深く,2つの式神を縛り付けていきます.
今まさに失われようとしていた存在はそれぞれの手の中に呼び戻され,神操機は繭となり,そして金色の輝きとともに新しい姿へ.その中からは…今失ったはずの声が!

終盤,突然の衝撃をひっくり返すさらなる衝撃! 新神操機での降神は(まだ降神なのに)異様にハイテンション! 発される円は大極より分かれる陰陽を中心に,七色,八卦,五行,十二支…それは時間と空間の全て.宇宙の全て.そこから呼び出されるコゲンタとランゲツは新しい姿に! うわあ,この時期にオープニングとバンクを変更する気ですよこの人たち(笑)! というわけでさあ新生白虎2体の活躍やいかに,というところで終わるってのがまた憎らしい.
ついにウツホという共通の敵を得た天流と地流.普通にやっても勝てるわけのないこの強敵をなんとかするには,今こそ流派を超えた協力が必要.そのためにはユーマの天流に対する敵愾心を解消することが不可欠なんですが,説得はぜひとも彼の御両親にお願いしたい.ユーマは天流陣営にはいないツッコミを立派にこなしてくれそうなので,そっちの意味でもぜひ仲間になってくれ(苦笑).恐らく大変なことになっているに違いない制作現場を気遣いつつ,ボート部の活躍もちょっと期待しつつ,次回に続きます!

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