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金色のガッシュベル#119

「信じることは怖いことの巻」

パートナーの恵が長期の仕事に出かけるため,高嶺家に預けられたティオ.昼はガッシュとウマゴンを公園で振り回し,夕方も皆と一緒に楽しそうに食事する.そして夜は一人きりの客間を嫌がって,ガッシュとウマゴンと一緒に寝ることに.ガッシュたちの前ではいつも元気なティオは,内緒の過去をガッシュに語る.
パートナーに出会う前のティオは,敵と他人しかいない世界でたった一人のパートナーを見つけ出すこともできず,心細い気持ちで広い世界をさ迷っていた.そんな中で出会った魔界での友達・マルス.ようやく笑顔を見せられる相手が見つかったと思ったのに,いち早くパートナーを見つけていたマルスは容赦なくひとりぼっちのティオを攻撃してくる.何とか逃れ,心も体も傷ついて流れ着いた港.そこでティオは運命の相手に出会った.

魔物とパートナーの緊密な関係を軸に,戦いの中で人の繋がりを描いてきた「ガッシュ」.もちろんその構図の中心にいるのは主役であり友情の体現者でもある(笑)ガッシュと清麿になるわけですが,今回はガッシュの仲間の中でも最古参のティオと恵を主役とした過去話.ガッシュのようにバカ真っ直ぐではないティオのパートナー探しの旅は,孤独で寂しく悲しいもの.しかしその厳しい旅路そのものよりは,恵に出会ってからの病室でのかたくなさが特に心に残ります.最近の本作だと,この手のメッセージは現在の戦闘の中で朗々と謳われることが多いので,過去回想でメッセージをメインに語るってのは結構珍しいですね.

アイドルの恵の仕事にどうしても連れていけないため,事情をよく知っている高嶺家に預けられたティオ.何度も高嶺家に遊びに来ているから特段の不安はないものの,パートナーとの別れはやはり辛いのかわずかに落ち込むティオ.しかしそれも一時のこと.ガッシュとウマゴンという絶好のおもちゃ(笑)とともに早速公園へと繰り出します! 夕方の回想で,本当におもちゃにされていたことが判明するガッシュたちがかなり気の毒.前回のナオミちゃんといい今回のティオといい,どうしてあれほどひどい目に遭わされなければならないのか.ガッシュはきっと愛情の裏返しだろうから仕方ないとして,恐らくただ巻き込まれているだけのウマゴンが気の毒でなりません(苦笑).
高嶺家の夕食はティオも加わってきっといつもよりもにぎやか.相変わらず清麿のことが好きなようで,いろいろ話しかけているティオのことを「いつも元気だのう」と見ているガッシュ.もちろんガッシュの能天気具合にはかなわないものの(笑)パートナーが不在で心細がっても仕方のない状況でも笑顔を絶やさないティオは確かに元気.とはいえ,さすがにひとりぼっちで寝るのは寂しいようでガッシュたちと一緒のご就寝を希望.ひたすら能天気なわけではないってところを,ガッシュはたぶん…気づいてないなぁ(苦笑).
暗い部屋で,ティオはどうしてそんなに元気がいいのかと問いかけるガッシュ.それにティオは,最初からこうだったわけではないと答えます.寝返りを打つあたりが実に可愛いティオは,ガッシュに秘密厳守を約束させた上,過去を語ります.
他の魔物たちと同じように,一人きりで人間界にやってきたティオ.パートナーが見つかるまでの魔物の心細さは相当のもの.特に術以外の基礎的な能力の低い魔物の子にとっては,敵魔物に襲われたらそれを食い止める術がないという点で深刻.ましてや特殊能力のない少女型の魔物にとっては,人間界はあまりにも広くて冷たい.魔物とパートナーは引かれ合うように出来てはいるようですが,出会いに間に合わずにこの段階で消されていった魔物もそれなりにいたんじゃなかろうか.…さらに,魔物とはいえ腹は減るだろうし,怪我だってするわけなんですが,本の持ち主についに出合えず,自分で自分の本を燃やすこともできない魔物の子は,一体どうなってしまうんだろう….
そんな想像したくもないような事態の淵で必死にパートナー探しを続けていた当時のティオ.敵に狙われ,安心できる場所もなく,魔物とはいえ心は普通の幼い少女と変わらないのに,下水の中を逃げまわったりしなければならない過酷な日々.パートナーが見つからなかったことにかけては現在横で爆睡中のウマゴンも相当のものですが,ガッシュという仲間や高嶺家という安心できる場所を先に手に入れられたところは,ウマゴンの方が少しだけ幸運だったのかもしれません.たったひとり,パートナーを探し続けるティオですがまだ見ぬ相手がどこにいるのかはわからないままで…そんな絶望の中のある日,ティオは船上でかつての友達に再会します.
魔界時代は仲良しだったマルスとの再会で,辛い日々の中では決して見せなかった笑顔を浮かべたティオ.ここで出会った相手がバカでお人よしのガッシュなら,これから先の悲劇が起きることはなかったはずなんですが….友達だったはずなのに,丸腰のティオに迷わず攻撃してくるマルス.バカなお人よしなんかではなかった彼は,自分の競争者を蹴落とすためにパートナーとともに攻撃を仕掛けてきます.一縷の期待を裏切られたことに悲しみ,怒り…それでも本を燃やしてもらおうと思うほどには絶望しなかったティオは,呪文から逃れて海へと落下.その落下が,真のパートナーとの出会いをもたらします.
港で,ティオが溺れていたところを助けてくれた恵.きれいで優しい彼女のことを,きっとティオは最初から好きだったんじゃないかと思うんですが,直前の手痛い裏切りの後遺症で,恵を含め,どうしても周囲を信じることができません.ゆえにティオは心を閉ざし,そんなティオのことを恵は自分のことのように心配します.この時点でも十分売れっ子アイドルだったはずの彼女に余分な時間はない.けれど出会って関わってしまったことの責任を取るために.恵はどうしても他人に思えない小さな女の子の面倒を見ることを決意します.

そして,心を開かないティオに精一杯の愛情で接してくれた優しい恵.現在のティオが恵のことを本当に大好きで信頼しているのは,ろくに笑いもしない自分に向かって一生懸命尽くしてくれた当時の彼女の姿を知っているからなんだろうな.金で買える好意ではなく,手作りの愛情やかけがえのない一緒の時間を惜しみなく与えてくれた恵.アイドルという特殊な立場上,そりゃ恵の青春にも結構な葛藤があったはずですが,そんな過去すら良い経験に変えてティオを気遣ってくれるあたりまで素晴らしい.焦らなくても,体も心もゆっくり治せばいいとどこまでも受け入れてくれる恵に,ついにティオは心を開きはじめます.
最初は名前,それから恵の好意を控えめながら受け入れること.恵とティオの関係が静かに深まっていく様子は情感たっぷり.ただ可哀想と甘やかすのではなく妹のようにだめなものはだめと諭しているあたりも,恵の人格者ぶりをよく示してるんじゃないかと.この若さでここまで人として完成されているのは,元々の性格の良さだけでなく,かなり激しい葛藤と戦って勝ち抜いてきたような気がする.心の傷は未だ癒えず,夜に怯え孤独に怯えるティオですが,一生懸命で優しいこの赤の他人がパートナーならいいなとまで思い始めます.
…でも,魔物とパートナーの出会いは他人を内輪の戦いに引きずり込むことと同じで,その上恵がパートナーである確証もなく,さらにあのマルスの手がこの病院にまで及んだことを知ったティオは,好きな人を巻き込まないために一人逃げ出すことを決意します.その直前にティオを止めた恵.そもそも魔界の王を巡る魔物の子の戦いだなんて荒唐無稽な話を信じてもらえるはずもないし,話すことで好きな人を巻き込むことを嫌がるティオに,恵は必死で食い下がります.今ここでティオが一人でいなくなってもいいことなんかない.戦いには巻き込まれずにすむかもしれないけれど,こんな別れは絶対嫌だと引き止めるのです.
ティオは裏切られた心の傷が未だ埋まらないだけでなく,自分が好きな人を傷つけることまでも恐れています.他人だし何もしてあげられないと必死の言い訳を重ねても,そもそも他人なら何かしてあげたいとは思ったりしないはずなんだ(苦笑).そして,だから本当のことを言えないと頑張るティオを叱る恵.「どうしてそんな大人みたいなことを言うの!」…もう他人ではないと,友達だと泣いてくれる恵の姿にティオの心のトゲは溶けていきます.
ようやく心を許しあったティオと恵の前に現れたのが例のマルス.ティオの心を深く傷つけた彼は,今度は折角出来た理解者を傷つける脅威となったわけですが…今となっては彼の存在がなければ,現在とティオと恵は存在しなかったということがよくわかる.最初の戦いはティオを恵に引き合わせるもので,2度目の戦いは恵をティオのパートナーにするためのもの.魔物だということを自分の口で明かし,恵を守り全てを引き受けようとするティオ.けれど恵は決して逃げない.ティオが恵を大切に思うように恵もティオを大切に思う.友達だから,どんな荒事だって頑張れる!

ごく短期間で大変ドラマチックだったガッシュと清麿の出会いに比べると,ティオと恵の出会いは静かでゆっくり.けれど食い違う心の細やかさはさすが女の子同士,なかなか見ごたえがありました.ガッシュもお約束のように寝てしまわないで,こういった心の機微を少しは学ぶべきではないかと思います(笑).自分のパートナーを信じることからはじまった人間界でのティオの交友はガッシュたちとの出会いによって大きく花開いたわけですが,次回のあの邂逅は…こんないい話の次にあれが来るのかと思うと,なんだかティオが物凄く気の毒.むしろ次が大和屋氏のほうがいいんじゃないのかとまで思わせる,ティオが真の意味で炸裂してしまうに違いない,次回に続きます.

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