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番外編 竜王・板尾創路の独りしりとり

テーマと最初の文字に縛られた名人達の輝かしき発想や目を覆いたい迷走(笑)を楽しむ「しりとり竜王戦」.このサイトではすでにおなじみだと思うのですが,熊本や沖縄の方はこれまでの軌跡についてはひまつぶしに書いた前回までの激闘の歴史などご覧下さい.時々変則ルールは入るものの,しりとりの肝はやはり短文を通じての芸人同士の個性のぶつかり合い.芸風や発想だけで全てが決まるわけではなく,名人同士の関係性や深夜番組での立ち位置,経験の多寡なども勝負に影響するところが侮れない企画なのです.
で,今回はその番外編.しりとり名人中最強を誇る板尾創路永世竜王を土曜日に連れてきて,たった一人で延々としりとりをさせ続けるという,たぶん永世竜王を限界まで追い詰めてみる人間性クイズみたいな企画です(笑).以前の全国特番のときは慣れない場で名人達が調子を崩しまくったという過去があるので,そんな中でも高いレベルで安定していた永世竜王独りのほうが崩れなくていいだろういう計算もわからなくはないんですが,正直言ってこの生放送の荒行は過酷すぎ.お笑い基礎体力や反射神経が尋常ではない永世竜王であっても,次第に面白を持続できなくなるわけですが…ラストはさすが!

司会はいとう.審査員は勝俣.MEGUMI,松尾の比較的いつもの面子.ルールは板尾竜王に延々としりとりさせるという嫌がらせに限りなく近いもの.さらに一本と技ありが出た場合は,某局がちょうど裏でやっていた24時間テレビに1本=1000円,技あり=100円で募金を行うという特別ルールを適用.便乗もいいところなんですが(笑)板尾が地球を救うのが面白いのでよし!
板尾永世竜王にスポットを当てたこの企画で,最後に登場するのがリポーター兼アシスタントのカンニング竹山.彼が見に行った控え室の永世竜王は部屋のすみっこで瞑想.ついているテレビは裏番組のオンエアバトル(苦笑)…永世竜王なんだからさ,しりとり以前に状況設定で笑い取るのはやめようよ(苦笑).

しりとりの歴史について知らない人のため,これまでの板尾永世竜王名場面.「に」ではじまる悪そうな言葉「兄さんの引き出し」(たぶん1回),「か」ではじまるエロティックな言葉「貝のもらいなき」(2回),「よ」ではじまる高倉健の寝言「四番,高倉」(5回),「く」ではじまる切ない言葉「クルージングの途中だが,さらばじゃ!」(3回).他にも凄い回答は山ほどあったんですけども,それが本当に凄かったのはやはり前後の流れがあったから.竜王の言葉だけ切り取られても,あのときの高揚感はやっぱり伝わってこないんだよなぁ….あといとうさん,これは一応しりとりだよポエムじゃないよ(笑).
過去の紹介の後はいよいよ永世竜王御出座! どうも常人とは緊張の仕方が異なる彼であってもかなりのプレッシャーが既に来ているようです.ルールとテーマが中に書かれた10枚の紙を,数字で選択することで企画がはじまります.

最初は1番.「しりとりセンスマッチ」.テーマに合った言葉でしりとり.
テーマは「悲しそうな言葉」.例文「これはカブト虫じゃない」からスタート.

ついにはじまったしりとり.やや考えた永世竜王は「イスカンダルについたのだがおっさんしかいない」といきなり長文.しかも自主的にツバメ返しルールの上に「い」攻めまで行うマゾっぷり.敵に回すと恐ろしい相手なのは間違いない自分に襲われ続ける竜王哀れ.続く「イスカンダル日帰り」は同じ単語で省エネ.くすくす来ています.「リングサイドでしか戦ったことがない」は脇役が主役にしみじみと自分の人生を語る言葉としてはいい味出てます.「板尾創路ですが,今日はひとりです」…確かに(笑).悲しいというテーマでこれを言い出すあたり,永世竜王にはこれが嫌がらせ以外の何物でもないことをよく理解しているようです.「スーパーマンの,ウィンドウショッピング」はイスカンダルに続いたフィクションネタ.確かに奴は着たきり雀だ.そしてフィクションシリーズの決定版が!「グーフィーの,性同一障害」…最初のテーマとは思えないほどの凄まじい回答! 関係者が見ていないことを祈るばかりです(苦笑)! 最後の「糸,さもおいしく食べた」は直前が凄すぎて微妙.しかし審査員は,いとう以外は考えすぎているのか誉めちゃってます.…これ,もしかして糸じゃなくていとうだったりはしないか?

勝俣の「競争相手がいないから竜王の高さがわからない」という意見はまさにその通り.ついでに竜王自身は回答のテンポが遅目なので,いつものしりとりのスピード感がないところも違和感.結構ハイペースで進んでいる中で,永世竜王が静かに時間を止める感覚も見事なものなんだけどね.

次は3番.「しりとりツバメ返し」.「~だが~」でしりとり.
テーマは「深い事情がありそうな言葉」.「アンコールだが無視」からスタート.

「篠原ともえがシリコンを入れた」…冒頭から個人攻撃ってどうなのか.そしていきなり「だが」が入ってないというルールの無視はそうなのか(苦笑).さすが竜王滅茶苦茶です.そして言いなおした回答が「篠原ともえだがシリコンを入れた」…まんまかよ(苦笑)! 「誕生日だが年4回ある」は前のに比べれば相当にまとも.この回答についてのMEGUMIの「女性に多い」ってコメントが鋭い(ヒント:プレゼント).「留守にしているのだが,特に,留守にする必要はない」は板尾らしい.意味不明でありながらも,どこか寂しい雰囲気が漂うところがいい.…とはいえ独りで答え続ける竜王は次第に苦悩.「いい奴なのだが,はしを渡らず,川を渡って家に帰る」たぶん一休かなんかじゃないか(笑).苦悩する竜王は再び個人攻撃.「ルー,大柴とだが,コンビを組んだ」意図はわかるが大変に失礼.そしてついに炸裂! 「ダミアンとわかっていたのだが,体を許した」…底知れないこの黒さこそ永世竜王の真価だ! でも松尾さん,6月6日じゃ1つ6が足りない気がするぞ(笑).やっと中の黒さが出てきていつものしりとりなら尻上がりに調子を上げていける場面なんだけど,今回は自分が回答し続けなければならないため休む暇がない.ゆえに「たこーす,たこー,」と一体言いかけて失敗.けれどもう一度,「他校に喧嘩を売りに行ったのだが……帰って母校で暴れた」と持ち直す! とはいえさっきの黒さに比べると明るく,ムードを維持できないのは辛い.さらに苦悩したばかりの「た」をまたも自ら食らい,そして…ふつーに時間切れに(笑)!

竜王自ら集中力を切らせて終了.思いもよらないところでテーマが切り替わることになってしまったために場が荒れ段取りが滅茶苦茶に(苦笑).いつもと違って熊本と沖縄でも見ているってのに,いつものペースでゆるゆると処理しているあたりがなんだかおかしい(笑).竜王の反則は,制度としてペナルティがないのが問題でしょう.時間切れと「ん」は竜王のギャラから1万円くらい引いていくプレッシャーが絶対必要だと思います(苦笑).

次は7番.「しりとりツバメ返し」.「~だが~」でしりとり.
テーマは「胸がキュンとなる言葉」.「インスタントだがおふくろの味」からスタート.

前の崩れっぷりがあまりにひどかったのか,あるいは黒いテーマでこそ真価を発揮する永世竜王には苦手なテーマだったのか,「自民党員だが,民主党のあの子が好きだ」…それはキュンよりは「深い事情」のほうだろ(苦笑).「大捜査線だが,踊るか!」…これは審査員の意見が真っ二つ.でも,これはこんな苦し紛れなことを言い出す永世竜王にはキュンと来るけれど,言葉自体はやっぱりキュンじゃないと思う.「カルフォルニアの,太陽を,燦燦と浴びて,育ったのだが,…ちっちゃい」…だからそれでは胸はきゅんとならんと(笑)! もう,見るからに煮詰まってきていてそれが面白い.テーマに苦悩する永世竜王,「糸こんにゃく,100%の,ジュースだと,わかっていて,私は飲んだのだが,…彼は叱ってくれた」だから「彼」って入れればいいってもんじゃねえ(苦笑)! 恋愛さえからめばキュンとなるだろうという腹なんだろうけど,いくらなんでも状況が無茶.そしてもっと恋愛味を強めてみる竜王の「たんがよくからむ彼なのだが,プロポーズのときはからまなかった」…いとう,それ全然ストレートじゃないよ.勝俣もこれはストライクコースじゃないよ.今まで永世竜王が真後ろに向けて投げていたのが,やっと前に向かってへろへろボールを投げただけだよ(苦笑).「狸の金玉を,面白半分で,蹴ったのだが,…ミッキーに化けて,逆に楽しませてくれた」ってまた後に向かって投げてる! もう全然キュンと来やしねえというかむしろ人として最低.ラストは「タンカに乗せてもらったのだが,…タンカもくれた」なんだろうこの夢世界.

もう明らかにテーマに負けた竜王.あまりの苦闘にやられたのか,CMに入ると前のめりに倒れてます(苦笑).このCMで少し回復できるといいんですが.

CM開けは6番,「しりとりイマジネーション」.テーマのイメージでしりとり.
テーマは「矢沢永吉の親友のニックネーム」.「右ストレート」からスタート.

ニックネームは短文で手数勝負のお題.永ちゃんなのでバタ臭くてレトロな感じが基本線で,そこからわざと外した面白さも狙うことが可能.てなわけで最初は「トルネード」と直球.続けて「ドレミ」はきっと女の子だ(笑).そして続けて「ミファソ兄弟」…ドレミの親戚なんだろうか? 「インディ500」も車な感じでここまで基本線を外さす頑張ってきたわけだけど,集中力が切れたのかあるいは新たなる笑いを求めに言ったのか,ここから先がおかしくなっていきます.「クールビズ」は非常に官僚っぽいんだけど永ちゃんの親友にいるのか(笑)?「ずうとるび」はイメージじゃないだろ.実在するだろ(苦笑).そして「びわ」…思いついた単語をそのまま口に出してませんか? 自分でも迷走しているのは認識しているのか,永世竜王は切ない顔したり口を尖らせてみたりと長考.で,その末に「和民」,店の常連なのか店員なのか経営者なのかはたまたたまたま和民で知り合ったのか(笑).「ミニスカ」はいとうは男ではないかとコメント.ラストは「カージャック」…やはり若気の至りだろうか.

手数を要求される短文ゆえに,あっという間に精神力を消耗してしまった感があります.頑張ってるんだけど,30分以上独りで妄言を吐き続けるのは辛いよなぁ.そしてCM.

CM開けラストは2番.「しりとりイマジネーション」.テーマのイメージでしりとり.
テーマは「ジーコが留守電に残したメッセージ」.「視聴率いくつだった?」から.

ラストは長考からスタート.「箪笥の,箪笥の,奥のほうに,……」まで言ってもう一度コマを置く(笑).どうも踏み切りを失敗したらしい竜王はもう一度,「箪笥の奥のほうに,ジーコって書いておいたら」どんな指示だよ(苦笑).しかしさすがは竜王.実在の人物をいじらせたら天下一品.「ラモスの携帯番号を教えて欲しいんですけど…あ,ラモス来た」これはいい! いかにも留守電だし,無理やりラモスがいるのがおかしいし.そしてさらに勢いを増すのが「田んぼの真ん中でやるということはどういうことですか!」きっと伝聞で聞いた報告に対する問い合わせなんだろうけど,なぜそんな場所で試合しなきゃならなくなったのか,さすがにツッこまずにはいられなかったに違いない.「カモ監督のはっきりした住所を教えてください」はプレゼントなのか殴りこみなのかで印象が変わってくるかもしれない.自分は即座に後者だと思ったのですが.そしてラストは「今,ブラジルですが,勘違いしてました」…勘違いで現地に飛んだのか(笑)そのスケールのでかさとコメントの情けなさが見事な対比となってます!

ここでようやく独りしりとりという苦行終了.板尾永世竜王マニアにとっては夢のような時間であったに違いない.ちなみに最終金額は37400円.これ,ちゃんと日テレさんに届いたんだろうか? 竜王の感想はやはり指が疲れたとのこと.そりゃずっと打ちっぱなしで,しかもやりなおしてる分余計に指してたりしましたからね(苦笑).毎度ながら永世竜王の凄まじい言語感覚はさすが.単体で1時間維持できるのは,たぶん彼くらいのもんでしょう.しかし! 永世竜王が本当に凄いのはやはり他の名人とうまく絡み合ったとき.強敵とともに高い領域に到達するあの風や波はしりとり本編ならではのものだと思いますんで,今回出会って惹かれた皆様には,ぜひともしりとり本編の視聴をお勧めしたいと思います!

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