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焼きたて!!ジャぱん#41

「面白いほど出戻りまくりの巻」

大会委員長による最終最大の計略すらも,和馬のジャぱんとピエロの世界レベルの変形能力によって見事切り抜けた日本チーム.委員会の不祥事はついに明るみとなり,フルフェイスの冠を装着したモナコ国王自らが現地に赴き参加者に謝罪する.日本は運営の失態を受け入れ,大会は続けられることになった.
結局準決勝に勝ち上がったのはアメリカ・中国・フランス・日本の4チーム.準決勝の課題はF1レーサーのためのスポーツパン作りだ.メンバーは全員参加の上,最も優れたパンを作った職人の所属チームが勝つことになるから河内や諏訪原も気は抜けない.さらに日本の相手は強敵フランス.日本チームは2名は意気高く,1名は場の勢いに逆らえずにパン修行へと旅立った.

番組開始当初の手堅いパン職人コメディの姿はもはや欠片しかなく,異形のリアクション作品として絶好調の「ジャぱん」.原作既読者としてはこの方向に来ることを承知の上で取り上げてきたので,覚悟はとうの昔に完了してるんですけども(笑),改めて振り返ると凄いリアクションのかわりに本当に大切なものを失ってきたような気がしてなりません.月乃さんの後継者レースとか母親の話とか,乗っ取りどころか生命の危機とかに比べるともはやどうでもいいもんなぁ(苦笑).今回は次回からはじまる激戦に備えての仕込み回.見所は繰り返しの笑いです.

前半.後で事情を知った奴からは「そりゃ全員で集団幻覚でも見てたんじゃねえのか?」と疑われること受けあいの壮絶なリアクションによって助かった日本チーム.ピエロがあの場に居合わせなければ確実に死んでいたはずだから,理屈はともかく生きているって素晴らしい(笑).で,死の危機から解放されたことによって緩みまくった河内が自然の呼び声に答えてみたら,またもとんでもなく不敬なことに.河内の場合は策とはいえエギジビジョンでもやらかしているので,関係者内部では既に変質者として扱われている可能性もあるなぁ…(笑).甲冑姿でライオンの顔の偉丈夫こそ,大会開催地の王であり大会の最終責任者でもある第14代モナコ国王.もちろん本作はフィクションです(苦笑).モナコ国王の証である獅子の冠をその頭部に装着している国王陛下なんですが,そもそもフルフェイスは冠じゃないんだから納得しちゃだめだ黒やん!
一国の国王がわざわざこんなところに出張ってきたのは,ここまでの運営委員会側の不正行為についての報告と謝罪のため.でかい縦穴に邪魔な日本代表を捨てたはずが戻ってきちゃったことが確定した時点で下手人である大会運営委員長は逃走.このまま残っていれば秘密警察に糾弾されるどころか,下手をすればサンピエール側の刺客に殺されかなねいから当然でしょう.立派な邸宅も高い地位もピエロのリアクションのおかげで失ってしまった委員長.彼の将来は間違いなく真っ暗のはず.
運営委員会側の不始末によって参加選手(主に日本チーム)に多大な迷惑をかけたことを国王は謝罪.胴元が賭事を自分で潰すわけにはいかないので,国王自ら公正な大会にするために監視に入るから続けてくれと依頼します.小国とはいえ一国の元首が,ぶっちゃけルーレットの玉みたいなものに頭を下げる姿に感銘を受けた諏訪原は王のサムライぶりを評価.河内もさっきの粗相を許してもらえたし(笑)和馬に至ってはあの程度の不正は障害にならないってのをパン作りで示したので試合を続行することに.…ただし,日本チームはパンタジアを守るため,そもそもこの試合から降りることはできないわけですが.
さ準決勝の開催が決まったところで次に勝ち進む4チームもピエロのリアクションですぐさま決定! 一見,一人でひたすら暴れているように見えても,美味いパンを食って精神を思うままに解放させるリアクションが空しいものではないことを,同じリアクション職人の黒柳のお兄さんは誰よりも理解しております.出場チームが決まったところで準決勝の内容についても一緒に告知.モナコGPに出場するレーサーのためのスポーツパン…ということなので,さすがにもう無人島とかジャングルとか巨大洞窟のような過酷な自然(笑)が出てくることはなさそうです.
生き抜いて勝ち抜いて,なんとかモナコに戻れた日本チーム.早速ホテルで準決勝の作戦会議をするものの,和馬が妙に乗り気でない.スタミナがついて消化の良いスポーツパンを作ることは職人としてやりがいのある課題なのですが,和馬はこの課題を既にジャぱん51号で解決していたのです.51号ということはジャぱんの中でも近作なので,今の和馬に改良の余地が見つからないのは当然のこと.ついでにここまで和馬の凄さを間近で味わってきた河内や諏訪原も,そんなジャぱんが出てきちゃ自分たちの出番はないか?…と思われるところなんですが,今回はこれまでとはルールがちょっと違います.
準決勝では3人,3種類のパン製作が認められていて,最も優秀なものが勝者に.これは対戦相手のみならず味方同士でも競い合うことのできるってことなのでいかにも諏訪原の心をくすぐりそうだ.さらに敵のフランスはその見た目だけでなくパン職人としての腕もまた非凡.なんせ一番上にいる奴は,パンをつくるためだけに歩かず喋らず徹底した肉体改造を行うという脅威の変人でソフィの顔は暗くなるばかり…しかし,生命の危機すら突破してきた日本チームの闘志が敵の変態ぶり程度で薄れるわけもない.5日間,天性の戦士である諏訪原を先頭に3人はそれぞれ修行の旅へ!…って,河内は黒やんとソフィさんの目に負けて嫌々出て行ってますが(苦笑).

後半.前半ラストに覚悟を持って旅立ったのにCMの後でいきなりホテルに帰ってくる日本チーム(笑).確かに職人にはパンを作るための材料が必要で,その場所がわからないためにおめおめと戻ってきた3人の間抜け振りが情けない.黒やんに王宮に行けと言われて今度こそ旅立つ…はずが,王宮がどこかわからないからとまたも旅立てない3人.お前ら,本心では修行になんか行きたくないんじゃねえのか(苦笑)? 意外と悩み多い3人ですが黒やんに叱られ,ようやく王宮へと向かいます.
王宮は関係者以外立ち入り禁止だし武器の持ち込みも当然許可されないわけですが,河内のフォローのおかげで諏訪原も含めて3人で入宮.ところで,モナコで市中で日本刀を持ってうろうろするってのは法に触れたりしないんだろうか.選手は国賓扱いってことである程度特別扱いされていたりするのかな? 王様ことライオンキングの待つ広間には東西南北の様々な材料がふんだんに準備されているわけですが,ここで王様が,1つの質問を日本チームに投げかけます.
「とびきりうまそうなパンができたら最初に誰に食べさせる?」…新しいパンを常に探索する職人にとっては日常的なこの状況に対し,「ジャぱん」をひたすらに開発してきた経験から迷いなく答えるのが和馬.美味そうなものは実際に美味いかどうかわからない.そんな不確定を他の誰にも食わせるわけにはいかないから,答えは「自分」と回答.この答えは見事に正解.王様は満足し,日本チームに王宮に置かれた材料を使うことを許します.そして材料を手にした日本チームの3人が準決勝に向けた修行のために…やっぱり黒やんたちのところに戻っていくのが情けない(苦笑).確かに調理道具もないような山野でパン作り修行に意味なんかないんですが,諏訪原だけは山篭りでもいいのではないかと総意が一致しているあたりがなんだかな(笑).
そういえば食材を手に入れるのに条件があった…と王様の質問について説明すると,その質問にソフィさんが反応.王様が懇意にしているとあるベーカリーショップのオーナーから聞いたものという話だったけれど,ソフィにはそのオーナーに心当たりがありすぎ.なんせついさっき秘密警察の事情聴取に答えた内容が,まさにその問いだったわけで.
ソフィの父であり現在のサンピエールオーナーである霧崎氏を黒幕と見た秘密警察は,娘のソフィにその人物像について事情聴取.実の親でありながらもソフィがオーナーを憎むシリアスな理由がここで語られます.…他の家族を置き去りに出て行った父.程なく母は他界し,幼い兄と妹が飢死を待つ状況で父がふらりと戻ってきました.これで救われたと思った幼い2人を地獄の底に突き落としたのが例の問い.「とびきりうまそうなパンができたとき,パン職人は誰に食べさせる?」…父は和馬と同じ回答をした上に,飢える我が子の前で実に美味そうなパンをばりばりと食ってみせました.
和馬とオーナーの答えはまったく同じなのですが,オーナーの行動は明らかに非人道的.パン職人としての腕は素晴らしいのかもしれないけれど,人間としては最悪.そんな悪魔の所業を聞いた日本チームは,敵の下衆ぶりと怖さを改めて認識することになります.腹違いの妹をいびり倒す雪乃も相当のものでしたが,我が子を虐待して迷いのないオーナーは雪乃のレベルを越えている.キッズ向けアニメとしては悪人の性格が徹底してド腐れているところも本作の魅力の1つなんですが,なぜここまで根性が曲がっているのだろう?

王の質問を,今なお現王家に強い影響力を持つ霧崎オーナーの警告と解釈して警戒する河内と和馬.大会委員長がいなくても,王を間接的に支配することで日本チームを潰せることを示したものだと考えます.実際に行動しなくても,恐怖で日本チームが萎縮すれば敗北する可能性がより高まるのでなかなか優れた心理攻撃ではないかと.事情を知らない黒やんたちには突飛な妄想に聞こえていても,サンピエールがパンタジアの買収にかかっているのを知っている南東京支店の二人にとっては当然の結論.そんな強敵を倒すため,パン職人ができるたった1つの方法は…うまいパンをつくること! この先オーナーからの横槍が入ってくるのは仕方ないけれど,いくら彼でも国王の監視下で日本チームのパンの味を変えることまではできないはず.圧倒的に美味いパンには,どんな暗躍も通じることはないのです.
そんなわけであくまで次回への繋ぎの回なんですが,ラスボスであるオーナーの下衆ぶりと「どんな障害もパンさえ美味ければなんとかなる」というこの世界の原則を示す1話でありました.ちなみにモナコ王家の家訓で王家の子が庶民の子として育てられるってのは,この先の長い長いリアクションの本格的な仕込みの開始なので覚えておいてください(笑).モナコカップはパンの美味さだけで全てが決まる簡潔な構造なのですが,店舗の経営という面ではパンが美味いだけではダメな南東京支店に迫る雪乃の魔手も気がかりです.次回に続きます.

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