焼きたて!!ジャぱん#40
「時は水面の泡と消え!の巻」
運営委員長の渾身の策略によって,巨大な縦穴に落とされてしまった日本チームとピエロ.洞窟の過酷な環境で日本チームが心を壊すことを恐れたピエロは,自分が泳いで助けを呼びにいくと言ってしまう.しかし実はピエロはカナヅチで,なんとかして別の脱出手段を考える時間を稼ごうとする.
まずは日本チームに金魚並みの魚を材料に美味いパンを作らせようとするピエロ.しかし和馬がすぐさまジャぱんを思いついてしまった.経験からしてジャぱんがまずいわけがない.かくなる上はリアクションをバカ長くして時間を稼ぐしかないとピエロは必死の計算を開始.内容を数値化して日本チームが文字に戻すまでの時間を稼ぐのだ! 本心を隠した今回のリアクションは意味不明の数列,その内容がわからなければ助けを呼びに行かないと宣言することで時間稼ぎに成功したと思われたのだが….
食うものだけでなく作るものまでも命を賭ける危険なストーリー展開が魅力になってきちゃった「ジャぱん」.けれどやはり命を賭けるのは,審査員こそがふさわしい.ここまでのリアクションの中で最も印象深いものとしては,黒やんが天国のキャバクラに行った奴が思い浮かぶわけですが,今回のリアクションはそれに劣らぬ面白さ! 本来,リアクションはパンの美味さを表現するために個人的な精神体験を必要以上に脚色したもののはず.で,あまりに美味いパンは精神にとどまらず肉体にまで影響を及ぼす…ってのを表現してみせたのが天国のキャバクラの臨死体験.しかし今回のリアクションはその範疇をさらっと越えていきやがりますんで請うご期待.さすが,世界レベルは体のつくりが違うよなぁ(苦笑).
前半.追い詰められた運営委員長の放ったとんでもない罠によって,世界最大級の縦穴にろくな装備もなしに落とされてしまった日本チーム.ピエロのおかげで諏訪原の墜落死が避けられたことだけはよかったけれど,脱出手段のない場所に落ちた一同はこのままでは死を待つばかり.…委員長,本気で殺しに来てますよ! 日本チームの精神を救うため,泳げないのに泳いで助けを呼びに行くと言ってしまったことからはじまるピエロの苦悩と驚愕の物語.涙ぐましい引き伸ばしに全力で挑むピエロこそ,間違いなく今回の主役です.
2,3キロ無呼吸で泳ぐ予定のピエロに体力をつけてもらうため,日本チームは早速課題の魚パンに挑戦.日本チームの士気が上がるほどピエロは憂鬱に.いつもはなんでもソツなくこなす彼であっても,溺れ死ぬ危機の前では陽気なピエロの仮面も剥がれ気味.けれどそれを日本チームに悟られてしまったら彼らの心が壊れてしまう…ゆえに,恐怖を一身に抱えることになってしまう1本のカナヅチ.その空回りぶりはまさに哀れな道化師そのもの.彼は泥船.決して救世主なんかじゃないことは,彼だけが良く知ってます.
そんなピエロの苦悩には欠片も気付かず,洞窟の魚を釣りまくってパン作りの準備を順調に進める日本チーム.急いで別の脱出方法を考えないと公約通りに泳がなきゃならない大ピンチ.幸いなことに魚は和馬の人相が変わる程度にまずく(笑)ぱさぱさで食える代物ではなかったので,ピエロは必死でそれを使ったパンが食いたいと条件を出します.大好物は魚なので(本当はお肉が好き),最後の晩餐にはとびきりのパンが欲しい(本当はただの時間稼ぎ)というピエロの説得に心動かされた日本チームは,大変まずい魚を使って美味いパンを作るという難しい課題に取り組むことになります.泳ぐことになれば即死確定のピエロ.世界レベルの仮面の裏側から覗く顔がなんとも哀れです(苦笑).
一応まずい魚をうまく食わせるにはそれなりに時間がかかるだろうと考えたピエロ.その間に別の脱出方法を考えようとした矢先に和馬がさくっとそれを思いつく(笑)! しかもジャぱん22号! …美味さでは定評のあるジャぱんの登場はピエロへの死刑宣告.しかも和馬はマッハでつくると,音速を超えると宣言だ.必死で和馬の心を乱そうとするも「ジャぱん」と言い出した和馬にはもはや迷いなし(苦笑).もちろん河内たちのジャぱんに対する信頼も絶大.かくてどれほどまずい魚でもうまくなる,かまぼこジャぱんの作成が決定.
このままでは美味いパンと一緒に死がマッハで来ると悟ったピエロは,審査員としての最終手段を取ることに決定.ちゃんとした脱出手段を思いつくまでリアクションを続けるという恐ろしい決意! とはいえリアクションは根本的に考えてやるものではなく,パンの美味さに対する自然な感情表現.しかしどうしても溺れたくないピエロは,最終的にかまぼこに落ちていくリアクションを必死で考えます.…たぶんまるで原作者みたいだ(笑).程なくパン作りする和馬たちの会話から「ママどこ?」というキーワードを発見するピエロ.両親がいない彼の境遇からしても,この絶望状況でママどこ?と探す気持ちを表現するのは悪くない.けれどこのままでは一発で終わってしまうため…キーワードを数値で表現し,和馬たちが計算する時間を稼ぐことに決定.
ピエロが選んだ暗号化の手法はメッセージの数値化.RSA暗号を適用する前にやる奴ですね.皆がパン作りをしている横で難解な計算を行い,そのリアクションのネタができたのと同時にパンも完成するだなんてまさに本末転倒(苦笑)! 計算に夢中のピエロは脱出方法を考えることもできた貴重な時間を無駄遣い.しかもメッセージの符号化なんて,計算機さえあれば割と簡単にできることなのになんだって砂に書いて作ってたんだろう…(笑).
さて! ついに22号を食うことになったピエロ.さすがに和馬のパンは美味くて,つい感情がストレートに出てリアクションが終了しそうなところを必死で耐えるしかないピエロ.身をよじって耐えるピエロはまさに異様.しかしどれだけみっともなくても,死なないためにあの数列を叫ぶのだー! 「104877443673!」 さらに解けないと飛び込まないと付け加えたピエロ渾身のメッセージ.わけのわからん展開に怒る河内と諏訪原の傍らで,ひたすら指を負って考えている和馬.今回,ピエロの努力をことごとくぶっ壊していくのがこの男なのです.
後半.日本チームが104877443673にどれほど長く翻弄されるのかなと思ったら,いきなり「わかった!」と言い出したのが意外にも和馬.しかも答えは「MAMADOKO」って正解! なんと和馬,なぜかマトリックス風に数値化されたメッセージを暗算でアルファベットに戻すことができる神童だったのでありました.確かに計算はめんどくさいものの,暗号化されてもいないし変換テーブルも標準的なものだったためにあっさり解けてしまったんでしょうね.レインマンというかマイトというか(笑)あまりにも似合わない脅威の理系ぶりを示した和馬の大活躍によって,最長のリアクションを狙ったはずがアイキャッチ中に終了するという大変情けない結果に(苦笑).
当然別の脱出手段を思いつく余裕などないピエロは,水死を避けるために「ママどこ」についてひたすら語りつくすことを決意.実際にやられたら和馬たちにとっても視聴者にとっても前見た奴と同じものをまた見せられるという耐え難い時間が到来するはず.時間稼ぎのためだけに,総集編を流すのはできれば避けていただきたい(苦笑).しかしピエロの計画は感受性豊かな若者達の行間を読む力によって粉砕.語らなくていいと言い出す諏訪原.そして泣きながら「ママドコ」の解釈を要約してしまう河内(笑)! 手際のいい要約はピエロに残された最後の命綱を一刀のもとに断ち切ってしまいます…この危機的状況でかまぼこをママどこと表現したのだと号泣する日本チームの3人こと鬼は,恋しいママに再会するためにすぐさま泳げとカナヅチを水際に追い詰めていきます!
さあ,さあ,さあ!と涙ぐみながらピエロを水辺に追い詰める3人.通常の精神状態ならここまで息も合わないでしょうが,ピエロに同情している以上に一刻も早く助かりたい3人の心は絶妙にシンクロしているようです.ピエロはレシピを聞くことで最後の時間稼ぎを狙うものの,やたら勢いづいた和馬のマッハの解説によって瞬く間に完了.…出す目が主に和馬のおかげで全て裏目に.仕事とはいえ,ここまで雇い主の言葉に従って日本チームを苦しめてきた罰が当たってしまったのだろうか(苦笑).かまぼことパンを融合させるレシピは興味深いものの大変に速い上にピエロはついメモを取ってしまって,時間は結局泡のように消えてしまったのでありました.
ピエロの母恋しさに号泣しながらも早く泳げとせかす無責任な3人の鬼.その包囲網からはもはや世界レベルの逃げる余地もない.ついに全てを諦めたピエロは,期待に答えて死地へと華麗にダイブ!
かくして当人たちにその意図はないにしても日本チームはピエロを追い詰めて自死に追い込んでしまったわけですが(苦笑)これで終わるわけもない.意識を失うピエロの脳裏を巡るのは,妄想の海水浴.まだ見ぬ家族とともに海で遊び,そのあとは砂浜で一緒に遊びたかった….でも,なんで砂浜でキャッチボール? しかもなんで連続でキャッチを失敗? 「メジャーリーク3号開眼!」ってお前誰(笑)?
自分の妄想にしても展開があまりにおかしいことに気がついたピエロ.なんでエラー? しかもピエロは,水中で息ができている…エラーで呼吸! エラ呼吸! リアクションだから仕方がないものの,軽く人間の構造を越えたぞこのピエロ(笑)! 呼吸器官が変化したピエロは当然泳げるようになり,川の黒やんたちのもとへと無事に到着したのでありました.とりあえず人の体でなくなった時点で妄想が現実を侵しているから,もはや頬肉とかの現実的な裏づけはどうでもいいと思うよ.人の思いが現実を変えるのは当然の話.でも…この越え方はおかしいだろ(苦笑)?
ついに「食ってる奴の気のせい」とかいう範囲を越え始めたリアクション.審査員としてこの先も美味いパンを食わねばならないピエロの世界は,果たしてどこまで変質していくのか? 次回に続きます!
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